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17/07/23(日)17:30:14 西住S... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1500798614574.jpg 17/07/23(日)17:30:14 No.441606637

西住S! 初めての人ははじめまして久しぶりの人はお久しぶりです 西住みほことベタ住です! いろんな世界からやってきた西住みほたちが、元の世界に戻るためにここで仲間を集めていたんだけれど、とんでもない連中が現れた その名も影住 影住は欠住っていうもう一人の西住みほが指揮をとっていて、世界を滅ぼそうとしているみたい そうこうしているうちに新型カーボンに浸食されてお姉ちゃんは負けちゃって…… これからいったいどうなっちゃうの!? su1948933.txt

1 17/07/23(日)17:30:51 No.441606742

19  影住が八輌迫ってくる。  欠住は後ろにぴったりつけてきている。 『スーパーアンコウの軸線に、二輌乗らないように進んでいる』  if住が通信してくる。 『こっちが撃ったら欠住が突っ込んでくる手はずね』 『任せるにゃ!』  ねこにゃーさんの声が聞こえた。 『こっちも攻撃慣れてきたし、突っ込んで!』  アリクイさんの戦車は三式中戦車、チヌっていうらしい。  と、突然チヌが暴走を始めた。しかも急にわたしたちの前に飛び出してくる。その瞬間だった! 『うあっ!』  影住から一斉に放たれた砲を目の前のアリクイさんチームが受け止めた!  ぴょこんって立つ白旗。さおりんが声を上げる。

2 17/07/23(日)17:31:10 No.441606798

『ももがーさん! 大丈夫!?』 『あー、生きてるにゃー』 『急にレバーが効かなくなったモモ……』 「悪い……ここで脱落ぴよ」  報復にスーパーアンコウが砲を撃つと、それを影住達は器用に外した。通信越しにif住の舌打ちが聞こえる。 『あいつら、欠住が直接指揮してるんだ!』  再び猛烈な砲撃! でもわたし達は狙われているのが判ったので、すでに回避行動を取っていた。 『ベタ住さん。三凸の影に入って!』  エルヴィンさんの通信が入る。更にカモさんチームが横に並んだ。そどこ先輩が尋ねる。 『西住さん。こっちの作戦が、ESPAから漏れてるってことない?』 『向こうからこっちに接続するのは無理。やり方を知らないし、これには経験が必要だから』 『にしず――いや、欠住さんは、自分のESPA作ったことないし、そこは大丈夫だと思う』  わたしの説明に、会長がかぶせてきた。この三輌がわたしの守りについている。こちらも一斉に砲撃。しかし当たらない。 『ぬわ――――! あたらんぞこれ!!』  左衛門佐の叫びに、鬱住が応えた。

3 17/07/23(日)17:31:46 No.441606915

『……行進間射撃は難しいんだ。中々当たるものじゃない』  次の影住の一斉射は見事この三輌に防がれた。外れたのも幾つかあったので、やはり動きながら全弾当てるとかは難しいんだろう。  考えないと。欠住がここからどう考えるか。  if住が脱落したアリクイさんに声をかける。 『ねこにゃーさんたちは、戦車から出ないで下さい。カーボンに守られているから多少のことは大丈夫』 『じゃあ西住さん、任せて! こっちで突破口作る!』  急にせり出したのは八九式中戦車、アヒルさんチームだ。快適な速さでわたし達より更に先行する。影住達は微動だにしない。無視しているかのよう。 「なんでだろ」 『八九式は古い戦車なんだ。あの砲は通常の戦車の装甲は射抜けない。多分あの影住もそれくらいの装甲があるんだろう』  頭の中に語りかけてくるのは偽住だ。 『キャプテン達がすんなり行けたのは、乗員の能力が高いからだ』  相手の砲を避けて進んでいた戦車のハッチがパカッと開いてキャプテンが顔を出した。思わず声が出そうになる。危ない! 案の定欠住が砲塔を向けた。そして一撃!

4 17/07/23(日)17:32:16 No.441606995

 アヒルさんを囲むように影住達が動き出したのは念入りにとどめを刺す為か。シュッと白旗があがる。同時に煙がわっとキャプテン達を取り囲んだ。 『ちょっと! 大丈夫!?』 『大丈夫……危なく煙幕の煙吸っちゃうとこだったけど』 『煙幕?』 『煙幕用の筒があったんだ。それをアタックした。……やられちゃったけどね』  キャプテンは咳き込んだりはしてない。無事なようでほっとした  スーパーアンコウの砲が唸る。煙幕を避けた影住の一体が消える。 『全員停車! 右の方から顔を出す影住を狙って』  二体の戦車が集中攻撃を受け、消える。向こうも一斉に打ち返してきた。固い鉄の弾ける音。当てずっぽうとはいえいい勘してる!  この煙幕騒ぎは三十秒も保たなかった。ゆらゆらした煙が一つずつ筋になって天に吸い込まれていく。カーボン化だ。距離をとって正面からの撃ち合い。何発か八九式に当たって気が気じゃない。 「ダメだ! 左右から挟み込もう! 真ん中にいるキャプテンが心配」 『じゃあレオポン、カバさん、会長は中央で引きつけて、ベタ住とうさぎさんは右翼から。スーパーアンコウとカモさんは左翼から向かう』

5 17/07/23(日)17:32:38 No.441607069

 闇住からの提案に承諾した。どのみち近づかないといけないんだ! 闇雲に攻撃する中央部分が影住達を引きつける。こちらは移動しながら砲撃して影住を分散させないようにする。  いけるかも! と思った矢先だった。  あ!  シュルツェンが吹き飛んだ。挟み込もうとしている影住からの攻撃ではない。もっと奥に潜んでいた影住八輌がこちらを狙っている。瞬く間に一つが消え失せた。同一線上に他の影住はいない。再び舌打ち。 『なんだよ、ちまちま潰さないとだ』  吐き捨てるようなif住の声の後、また横殴りの攻撃。うさぎさんチームの混乱した声。 『どうする? どうするどうする!?』『先に敵の大将叩く?』『向こうからの攻撃に、守り切れないよー』『進んだら一斉に狙われそう……』  そこに小さな声。丸山さんだ。 『すすんで、ねらわれよう』 「ちょ!」  止めようとしたところに、固い決心をした声がした。 『西住隊長、後続の方任せて貰っていいですか』 「お、お願いします」  覚悟の決まった声に、押し切られてしまった。  二砲頭もつM3リーが直進する。

6 17/07/23(日)17:32:57 No.441607114

「やっぱりこっち食いついてきたね!」  梓が言う。あやと山郷は砲を撃つ。外れる。でもそれでいい。 「かりなちゃん、ジグザグに走って! あの影住のラインを超えればいい!」 「あーい!」  元気よく答える操縦手を、宇津木優希は懸命に励ます。 「大丈夫! かりなちゃんは出来る子!」 「あいあーい!」  迫る影住にフェイントをかけて、ウサギさんチームは突破する。 「あー! 惜しい!」  山郷が叫んだ。 「ねえこれ、わたしたちほんと大丈夫? ちょーこわいんですけど!」  あやは砲頭を回して牽制した。後続の影住達が、ゆっくりと旋回を始める。梓は説明した。 「危険だけど、これでこっちを引きつけられるなら。  上手く突破出来たら、向こうに捕らわれている西住さんもいる」  その瞬間、丸山が声をかけた。

7 17/07/23(日)17:33:17 No.441607169

「止まって」 「え?」 「一直線」  かりなが思わずブレーキを踏む。一直線が何をさしているか判らなかったけれど、梓も「わかった」と言ったからだ。  その途端、数発の衝撃! 倒れる戦車。うんともすんとも動かなくなった戦車の中で、山郷は倒れ込んだかりなを胸の中に抱き留めて言った。 「ぐわー! やられちゃったじゃん!」 『サンキュー、ウサギさん』  上機嫌な鬱住から通信が入る。 『よくやってくれた。おかげで射線の上だ』  事態は同時進行する。カモさんチームが突っ込んだ。欠住たちに砲が集中する。猛然とした打ち合いに、一歩も退かない。 「風紀委員はね! ルール違反には一歩も退かないのよ!」  園みどり子のこめかみから汗が零れる。後藤もよ子は最後の全身を試みる。ゆっくりゆっくり。金春希美は砲を定め、当たった! 影のシュルツェンが弾けて炭になる。 「釘付けに仕切れるか自信ないよ、そどこ」 「ちょっとパゾミ! そどこってなによ」

8 17/07/23(日)17:33:42 No.441607253

「先輩だって言ってるじゃないですか」  後藤が突っ込むと、うるさいわねゴモヨ、と園は言う。 「とにかく、ここで盾になるのよ! その間にあのピンクの戦車が、後続の敵をやっつける!」 「そどこ! 敵が正面に突っ込んでくよ!」  ごもよが叫んだ。目の前に陣取っていた影住が、挟み撃ちを嫌ってか前進を始める。 「追うわよ!」  旋回し始めたルノーB1bis。しかしそれが先方の狙いだった。突如バックしたⅣ号が性格にさらけ出された腹を狙う。シュコッと白旗のあがる音。  そのとき、後続の影住をなぎ払う、スーパーアンコウの砲撃があった。 「敵が近づいてくるぞ!」  エルヴィンが声を上げた。 「当たらないなあ……イライラするぞ」  左衛門佐が答える。当たっても、致命傷を与えられないのがイヤなところだ。 「よし、みんな。我々も突撃を敢行しよう。エルヴィンいいな」  カエサルが宣言すると、おりょうが首を振った。

9 17/07/23(日)17:33:57 No.441607291

「ダメぜよ! いくら三凸が固いからって、突撃は――」 「フッフッフ。いいか見ろ。そこに魂と書かれたボタンがあるだろう」  自信満々に指さす先には、確かに妙なボタンがある。 「おそらくこれが我々の起死回生のボタン。きっと何か策が仕込んであるに違いない!」 「……戦車動かす知識のなかに、こんなの入ってなかったけどなあ」  ぼやくエルヴィンの背中を押したのは左衛門佐だった。 「駄目で元々。どっちにしてもここを食い止めないとべたべた作戦が失敗する」 「なら……行くか!」 「わかったぜよ!」  三凸が前進する。カエサルがボタンを押す。とたん、軽く何かが割れる音と、四方でなにかが立つ音がした。 「な、なにが起こった?」  カエサルの狼狽した声に、通信が入る。 『カバさんどうしたの? なんか赤くなったよ?』 「赤く!?」

10 17/07/23(日)17:34:12 No.441607344

『あと、なんか四本旗が立ったよ。風林火山? 新選組の旗?』  呆気にとられた会長の返事に、素っ頓狂な声を出すエルヴィン。 「え? ちょっと待って、それだけ?」 『それだけ』  事実、三凸は突然外装を赤く変え、四本の柱を立てて走っていた。もしエルヴィンが頭を出していたら、苦笑する欠住が見えたかもしれない。 「こなくそぉぉおおお!」  おりょうが突如半回転した。迫る影住の横腹にぶち込む。また一輌が炭の塊になった。 「もう一発!」  カエサルが装填する。その瞬間。前後から強い衝撃が来た。 「あと五輌と指揮官だけってことかな」  ナカジマは汗をぬぐった。 「ピンクの戦車の手助けがあればいけるな」  スズキが頷く。ツチヤがエンジンを動かす。 「いずれにせよべたべた作戦には、影住が邪魔だしね。このまま接近する」

11 17/07/23(日)17:34:42 No.441607436

 赤い三凸が落ちた。ホシノは冷静に、一番大きく隙を見せた影住を撃ち抜く。 「やるねホシノ」 「ESPAと同じだよ。判断とか動作はESPAに任せるんだ」  小麦色の肌に笑顔を乗せてウインクする。ナカジマがガッツポーズをとった。 「よし! 生徒会も一輌撃破! あと影住三輌……と、あれ?」  ナカジマが困惑する。進み始めたポルシェティーガーが突然止まったのだ。はっと気づく。 「そうか! エンジン故障か! ちょっと直してくる」  ハッチを開けようとしたナカジマをスズキが止めた。 「駄目だ! 今出たら死ぬようなものだよ!」 「前進はともかく、細かく動けないといい的だ!」 「こっちも撃ち返すから、任せてよナカジマ」  ホシノも一緒になだめたその時だった。ボン! と音がして戦車の動きが止まる。ツチヤが言った。 「駄目だ。エンジン完全にいかれたみたい……。校舎周りでもずいぶん被弾したし、ここまでかも……」 「そんな……会長たち一輌じゃ、さすがに四輌止められない……」 『足止めすればいいんだね』

12 17/07/23(日)17:35:01 No.441607489

 どこからか声が聞こえた。すぐ側だ。一瞬通信か、西住さんのESPで繋がったのかと思ったらそうじゃない。 『僕らが足止めしてくるよ!』 「え?!」  キューポラの蓋が自動で開いた。そこから飛び出す四体の車。 『任せて! しっかり足止めしてみせるから!』 『ドリフトドリフトぉ!』 『とびっきりの走りを見せてやる!』 『ナカジマ……みんな。こうやって話せて、よかったよ』  イエローレオポン、ドリフトオレンジ、パーフェクトレイン、そしてポルシェティーガー。  ESPAの宿った四つの玩具が荒涼とした大地を走り出した。三輌の影住はそれが何か理解出来ない。彼女らの中には無い世界の情報に対処できないのだ。一つ一つが、影の戦車を駆けのぼり、影住に体当たりをする。  一瞬影住たちの顔に表情が浮かんだ。  生徒会のヘッツアーがうち一輌を撃破した。もう一輌の影住を撃ったのは、残った影住だった。残った一輌がふらふらと前進して、そのまま炭化していく。  ポルシェティーガーはそのまま欠住めがけて突っ込んでいく。

13 17/07/23(日)17:35:25 No.441607558

「これが、この世界の自動車部……」  自動車の玩具に意志を乗せて走らせるESP研究会というものがあるのは知っていた。影住を足止めさせ狂わせたのは、おそらく車に乗せた意志が電池の代わりになって、虚無の西住みほの影、すなわち影住に人格を与えたせいだろう。  ではなぜ自分に向かって走って来るのか、欠住は考えた。自分に体当たりすることで、ちょっとした妨害をしてみせる。そんなところだろう。  スーパーアンコウ、ベタ住のⅣ号、あとは会長のヘッツァーだけ。うざ住の姿が見えないのが気にかかるが、きっと彼女は上手くやってくれるだろう。  玩具の体当たり、その程度大したことは無いというのが欠住の判断だった。もし怪我をしたとしても、それがなんだというのだ。戦いは次は何を奪う。右腕も、心も、既に勝利するためにくれてやった。あとは右目か左目か。 「まるで黒騎士ですね」  と呟いた。  Ⅳ号の車体を、車が走りあがってきた。よくここまで来れたものだ。でも飛びついてきたのは違った。車は運ぶものに過ぎない。 「西住さん!」  飛びついてきたのは、ナカジマそっくりのESPAだった。  いや、違う。ナカジマさんだ!!

14 17/07/23(日)17:35:40 No.441607605

 突然頭の中に記憶がよみがえる。過去のこと。仲間のこと。戦い。勝利。右腕がもげたみほを心配する顔。 「うそだ!」  みほは叫んだ。  見えるはずがない過去の風景に、欠住は前進の命令を出した。この世界と、自分が元に居た世界とは何もかも違う。判るはずがない。  向き合ったのはヘッツァーだった。 「西住さん」  顔を出した会長が言った。 「決着をつけよう。  君と、僕たちの世界の決着を」 「わたしを止めるのがあなたですか――」  嘲笑したつもりだった。  背は高いけれど、いつ見捨てられるか怖くて怯えていた、この世界の角谷杏。 「ずっと一緒に学生生活を送るんだ。箱庭のなかで」  恥ずかしそうに言った彼女を。  一筋涙が零れたのは、何故だか判らなかった。

15 17/07/23(日)17:36:36 No.441607750

今日はここまでー! うわーすごい時間かかっちゃった 明日残りお出し出来るかなあ 明日出せれば、べたべた作戦です! 後半になります 読んでくれてありがとー

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