虹裏img歴史資料館

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17/07/15(土)06:46:35 西住S... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1500068795047.jpg 17/07/15(土)06:46:35 No.439725010

西住S! この前の続きだよ! とりあえずいけるとこまでどんどん行こうね!! 前回までの粗筋! ついに世界を亡ぼすべく現れた影住軍団 大洗を、世界を守るため駆けつけたのは別世界の大洗女子戦車道隊だった この世界の大洗とあの世界の大洗が重なって、遂に奇跡が起こる でもでも、これからわたしたちいったいどうなっちゃうの!? su1937743.txt

1 17/07/15(土)06:47:27 No.439725059

 向こうの世界のわたしたちと、この世界のわたしたち。  額と額をくっつける。  その瞬間、彼らは情報となってわたしたちに吸収される。  彼らはESPAと同じだ。それが一体化することで、彼らが出来たことがわたしたちにも出来るようになる。 「で、指揮はみんなにお願いね」  西住Sに声をかけると、彼らは「えー」っと不満の声を上げた。 「お姉ちゃんにお願いしたい」  お姉ちゃん達は、融合する相手がいないから、残って一緒に戦ってくれる。 闇住の言葉に、お姉ちゃんは首を横に振った。 「わたしは参謀だ。主の作戦を立てるのはお前達の役目だ」 「まあやることは決まってるからね」  偽住が皆を見回す。 「わたしたちはまず影住を粉砕する。  スーパーアンコウの砲なら一度に何輌もの敵を仕留められるだろう。ただ、欠住が問題だ」 「うざ住はどこ行ったのかしら」

2 17/07/15(土)06:48:03 No.439725098

 if住が首を傾げると、ナポリンが「あいつ肝心な時にいねーからなあ」とぼやく。 「……スーパーアンコウ、ティーガーⅠが前進、相手を引きつけ、他メンバーには後方からの支援が妥当だと思う」  鬱住が近づいてくる一団を見ながら言った。 「……なんにしても、出来るようになった、というのと、実際に動かす、には大きな違いがある。  みんなには戦車に慣れて貰う必要がある。その為にわたしたちが最前線に出よう」  皆がそれぞれ頷く。 「つまり三輌で前進するってことだね」  わたしが確認すると、皆が怪訝な顔をした。 「ベタ住はここに残れって」  闇住が言った。 「戦車戦はしたことないし、ここからは影住退治で私達の仕事だ」 「そんな……」  抗議の声を上げかけたわたしに、if住も言った。 「さっきここが要の世界だって言ってたでしょ。  あなたがやられることで、ここの世界が閉じたらなんの意味も無い。

3 17/07/15(土)06:48:24 No.439725119

 ――まあもっとも、戦車が倒されても白旗があがるだけで死にはしないはずなんだけどね」 「……敵は本気だからね。なにがあるかわからない」  鬱住も頷いた。 「ベタ住は中継を務めて欲しい。わたしたちも限界があるから、頃合いになったら全軍を前進させてフォローしてよ。  ベタ住の通信能力に期待する」  ナポリンが真剣な顔で言って、わたしの肩をぽんと叩いた。 「おそらく相手はパンツァーカイルでくるだろう。突出した我々を包み込むようにするだろうから、そこを斜行陣で撃破するようにして欲しい。」  お姉ちゃんの指示に、偽住が「そんなに上手くいくかなあ」と呟く。そこを苛立った声が言った。 「偽住! お姉ちゃんの完璧な作戦にケチつける気!」 「あ……いや、別にそんな」  しどろもどろになる偽住に陽住が胸を張る。 「こんなのまっしょーめんからぶち破っちゃえばいいんだよ!」 「よし、そうしよう」  お姉ちゃんが即断するので、わたしは思わずずっこける。ちょ、ちょっと! そんな単純に決めちゃっていいわけ!?  陽住がにんまり笑った。

4 17/07/15(土)06:48:50 No.439725141

「どうせ自分の意志のない影住でしょ? 欠住だってつかいすてにしてかかるよ。つまりあっちはぶつりょー作戦でしかない。  だったらちまちま考えるより、まっしょーめんからこーげきでダイジョーブ!」 「なるほど……有効的な射線を考えること無く攻撃を仕掛けてくるか。烏合の衆なら勝ち目はあるな」  ナポリンのお姉ちゃんが頷く。それからお姉ちゃん同士で頷いて。 「「エリカ!」」  と呼んだ。if住のエリカが「はいっ!」と応える。 「聞くところによると、君は大洗に行ったエリカだそうだな」 「大洗の柔軟な発想と、西住流を収めた君の力が知りたい。ついてきてくれるな」 「お任せ下さい!」  背筋の通った敬礼を送るエリカ。if住が感極まって泣きそうになっている。 「では参りましょう、隊長達。  いずれにせよもう先行する必要があります」 「うん。赤星。任せる」 「小梅!」  鬱住が立ち上がり、赤星さんに頭突きした。

5 17/07/15(土)06:49:21 No.439725177

 痛いよそれ! ゴッって音したよ!  悪そうな笑顔をした鬱住が言った。 「死ぬなよ」 「あなたこそ。私が殺すまで」  ……ここの黒森峰ってどんなとこなんだろう。 「ま、お姉ちゃんは狸だから、心配してないけどね」  というのはナポリンだ。 「ベタ住。集団の指揮はお姉ちゃんに尋ねて、それを大洗のみんなに送ってね」  頷くわたし。  お姉ちゃん達が戦車に乗って、機動までに十秒かからなかった。敬礼して進み出した瞬間、陽住が顔を出した。 「ベタ住――! ベタ住は、おねえちゃんすきー?」 「……だいすきだよー!」 「あたしも――――! おねえちゃんだーいすきー!」 「陽住は絶対幸運の持ち主なんだ」  偽住がわたしに囁いた。

6 17/07/15(土)06:49:41 No.439725199

「あいつの言ったことは、ほとんどそのとおりになるし、周囲も発憤する」 「じゃあいけるってこと?」 「向こうには軍神の欠住がいる。矛盾みたいなもんかな」  ちょっとそれどういうこと? 「無敵の矛と無敵の盾。欠住はどんな相手でもぶち抜く矛の力がある」  次々と乗り込む西住S。エンジンが掛かる。キャタピラが回る。ピンクの戦車がまっすぐに走り始める。 「パンツァー、フォー!」  偽住の合図でスーパーアンコウの速度が加わった。

7 17/07/15(土)06:50:02 No.439725214

17 「本当に、戦車の知識がついたのかな……」  そう言ったのは、カエサルさんだった。 「いや、疑うわけじゃないけど、俺ら性別違うでしょ? もしかしたらと思って……」 「西住さん、さ、紗希が無口になっちゃいました!」  澤さんがドギマギしながら言う。傍らに立つ丸山さんは、どこか遠くを見つめていた。 「なんか情報が多すぎてちょっと整理出来てないかも」  そういうのはナカジマさんだった。 「ほんとに向こうの世界の私達ってこんなことできてたの? 天才じゃない?」 「根性ださないといけないのは、判るんだけどね」  キャプテンは難しい顔をした。見るからに肩を落としている人もいる 「残念だけど向こうの鍛えた力は、こっちは使えないニャー。もっと鍛えておけばよかった……」 「なんかよくわからないけど、キュウリ食べたい」  そう言うのは園先輩だ。

8 17/07/15(土)06:50:41 No.439725253

 誰もが暗い表情をしている。そりゃそうだ。昨日からいろんなことが起こりすぎて、一番事態に通じているわたしだって悩んでいるのに。  ざわめく人たちのなかに、凜とした声が響き渡った。 「みんな、静かに!」  会長だ! 彼女が前に立つと、周囲が注目した。彼女は小さく咳払いする。 「不安なのはよく判った。だから試してみよう。  西住さん。お願い」  え? わたし?  急に振られてぽかんとしてしまう。 「ちょ、ちょっと! なんでわたしなんですか!」 「そりゃ、僕も向こうの世界の僕をちょっと見習おうと思ったのさ」  ニヤッと笑ってわたしの首根っこを捕まえる。 「なんでもいいんだよ。向こうの人たちが知ってて、僕らが知らないことって他にもあるでしょ。  例えば校歌の歌詞が向こうと違うとかさ。  そういうのが歌えたり出来たりすれば、きっと動かしたことのない戦車だって動かせるよ」  なるほど。

9 17/07/15(土)06:51:14 No.439725281

 でもなにがあるかな……。 「あ!」  そうだ!  わたしは会長の腕からするりと抜けてみんなに両腕を広げた。 「皆さん! 踊りましょう!」  踊る?  周囲がざわめいた。わたしは手をバタバタさせる。 「踊れるはずです! それで、わたしたちはこんな踊り、絶対に知らない」  不意に西住みほのことを思い出した。二人きりで踊ったよね。 「あああんあん、あああんあん」  あああん、あああん、あんあんあん。  あ、頭のなかで音楽が聞こえる。みんなの頭にもきっと。 「踊ってみて!」  テッテレッテテッテレテテッテッテッテ。  音楽と共に身体が動く。歌も自然と口をつく。

10 17/07/15(土)06:51:32 No.439725298

片手をあげて、あんこうの灯の代わり。  うねうねお尻を動かして泳いでるみたいに。  踊れなさそうな振り付けに思えて、ちゃんと踊れる。スカートが跳ねて、でもみんな真顔だ。 「踊れたっ!」  さおりんが言った。華が汗をぬぐう。 「いけるぞ、これ」 「ちょっと恥ずかしいですけどね」 「秋山さん、見えなかったか? あのパツパツのスーツを着るんだぞ」  みんなも一瞬思い出したみたいだ。ピンク色のタイツを向こうの世界の人たちは着ていた。そんな姿が見えた。 「フフ」  会長が笑った。 「あの、桃の顔ったら……」 「しょ、しょうがないじゃないですか! 恥ずかしいでしょ!」  真っ赤な桃様が叫ぶと、皆が一斉にどっと湧いた。 「大丈夫。ちゃんといける」

11 17/07/15(土)06:51:55 No.439725314

 今度は力強い頷きがあった。よし、いける。 「皆さん乗ってください。しばらく待機ですが、なるべく戦車を動かして慣れて下さい」  はいっ! と皆の声が、乾いた大気を揺るがした。

12 17/07/15(土)06:52:35 No.439725362

今日はここまでー ゆっくりとしかすすまなくてごめんね でもそろそろ佳境かな! がんばります またねー

13 17/07/15(土)08:53:06 No.439734640

if住にとってはそりゃジョバジョバするくらい感動の光景すぎる…

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