17/07/07(金)00:54:44 【SS】... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1499356484864.png 17/07/07(金)00:54:44 No.438092220
【SS】ガールズ&パンツァー NEW GENERATIONS 前回まで su1927976.txt
1 17/07/07(金)00:55:24 No.438092318
「あはは! いっくよー! パンツァー・フォー!」 今日もなほの元気な声が大洗の戦車演習場に響き渡る。 なほの大洗での生活は、順風満帆そのものだった。なほはⅣ号を選んだ初日から、その頭角をメキメキと表していった。 具体的には、初日の試合で先輩方の車両をいくつも撃破したのである。 当然、それはなほ一人の力ではない。乗員全員の実力が噛み合った結果である。だが、なほの指揮が卓越していたのもまた事実だった。 その指揮に、鈴と理沙は舌を巻いた。 「ほう」 「あらあら、凄いですわねぇ」 「いやまったくだ。ここまでできるやつは初めて見たかもしれん。下手したら去年の黒森峰の隊長さんに並んでるんじゃねーか?」 「そうですわね。去年なほさんがいれば、いい勝負ができたんじゃないかしら?」 二人はなほをそう評した。 それほどなほの戦車道は、冴え渡っていた。 鈴も理沙も、時代の大洗を任せることのできる後輩ができたと、喜んだ。 一方、なほは褒められて喜びながらも、決して慢心することはなかった。
2 17/07/07(金)00:55:40 No.438092359
「確かに褒めてくれるのは嬉しいけど、みんなや先輩方も凄いから、油断したらすぐ抜かれちゃう。もっと頑張らないと」 なほは同級生に「隊長さんから褒められて凄い!」と言われたときにそう返した。彼女はそのやんちゃな性格で周囲を朗らかな笑顔にしながらも、自分に対しては厳しかったのだ。 それがさらに周囲のなほへの評価を上げさせることとなった。 そのことで、なほはどんどんと同級生、さらには上級生と仲良くなっていった。 それはチームの結束へとつながり、強豪校である大洗はより強くなることとなった。
3 17/07/07(金)00:56:00 No.438092423
「いやー毎日楽しい!」 ある日の昼。なほは友人達と昼食を取りながらそう言った。 「なほりんは本当に楽しそうだよねー」 「そうねー。うちはこの前のテストがボロボロで憂鬱だって言うのにー。あーまたおかんに怒られるー!」 「それはあなたの自業自得でしょうに」 頭を抱えてオーバーに嘆くつぼみに対し、翠が言った。 そんな二人を見て、香織は「ハハハ」と笑った。 「……そういえば」 と、そこで先程からずっと黙って食事をしていたユリカが口を開いた。 ユリカの手元にあるトレーの上の皿はすべて綺麗になっていた。 「……母さんが、今度みんなで集まりたいって言ってた」 「え? ユリカのママが?」 「……うん」 ユリカは最後に残っていたいちご牛乳をずずずっと啜りながら頷いた。
4 17/07/07(金)00:56:16 No.438092465
そのユリカの言葉に、なほ達は身を前に乗り出す。 「えっ、なにそれうち聞いてない!」 「……まだそう思ってるだけって言ってた。スケジュールは、これから調整するって……」 「なるほどねぇ。確かにみんな同じ学校に入ったから、集まりやすいのかもね。……かーさん、ちゃんと朝起きれるかしら……」 「うちのママはいつでも大丈夫そうだなー」 ユリカの話を聞いて、各々が期待に胸を膨らませ始めた。 その中でも、一番目を輝かせていたのが、なほだった。 「みんなのお母さんが集まるってことは、うちのお母さんも来てくれるってことかな!」 「あー十分あり得るね。そこら辺調整してくれそうだし」 なほの言葉に、香織が頷く。それに続いて、つぼみ達もうんうんと頷いた。 「なほのおかんに久々に会いたいねー」 「……テレビでは見てるけどね」 「そういうことじゃないでしょ。多分うちのかーさんも会いたがってるだろうし」 「だよね! だよね! あー早く日にち決まらないかなー」 なほは友人達とそんな話をしながら、デザートとして買ったカスタードプリンにスプーンを入れるのであった。
5 17/07/07(金)00:56:37 No.438092526
それから、なほ達が集まる日にちは思った以上に早く訪れた。ユリカが話してから、翌々週の日曜日になったのだ。 ちょうどその日は学園艦が大洗港に寄港する日であり、ちょうどいい日であるとされたのだ。 なほ達はその日を楽しみに待った。楽しみにすればするほど時間はゆっくり流れるように感じられたが、ついにその日はやってきた。 「やっほー! みんな!」 大洗のとある公園。 そこで、沙織は広げたシートの上に座りながら、やって来た人影に対し笑顔で手を振った。 「ちょっとママ! 恥ずかしいって!」 「ふふ、元気があるのはいいことだと思いますよ香織ちゃん?」 恥ずかしがる香織に対し笑顔でそう言ったのは、つぼみの母である五十鈴華だった。 「だよねー」 「あなたは少し元気すぎますつぼみ」 「はーい」 つぼみを叱る華。その姿を見て、沙織はクスクスと笑う。
6 17/07/07(金)00:56:55 No.438092572
「本当に仲良いねー」 「沙織さんのところほどではありませんわ」 「そうですなー本当に沙織殿のところは仲が良さそうです」 華の後ろからまた別の声がした。それは、ユリカの母、秋山優花里だった。優花里はユリカと一緒に華の後ろから沙織のところに歩いてくると、ゆっくりとシートの上に座った。 「ユリカはあんまり私と口を聞いてくれなくて寂しいんですよー。もっと喋ってもいいんですよ?」 「……それは嫌……」 「えっ!? なんでですかー!?」 大げさにショックを受ける優花里に、一同は笑う。ユリカはなおも表情を変えずに優花里の隣に座っていた。 「ちょっとかーさん! いい加減しゃっきりと目を覚まして!」 「うう、眠い……」 と、そこで更に別の影が騒ぎながら沙織のところにやって来た。翠と、翠の母である冷泉麻子だった。 麻子は、非常に眠たげな顔でよたよたと歩いており、その手を翠に引っ張られている。 「案の定起きられなかったんだから! こういう日ぐらいはしゃきっとしてよ」 「……そうは言ってもなぁ……」
7 17/07/07(金)00:57:12 No.438092627
「もう麻子! 翠ちゃんに迷惑かけたら駄目でしょ!」 そんな二人を見て、沙織は立ち上がり麻子に対して言った。 すると、麻子は重たげなまぶたを開いて、その視線を翠から沙織に向けた。 「おお……沙織、久しぶり」 「久しぶり、じゃないでしょ! もう! 久々に会ったと思ったらこれなんだから!」 「すいません、うちのかーさんが本当に……」 翠は麻子の腕に手を回しつつも、ペコリと一同に頭を下げた。 沙織はそれに「ううんいいの! 翠ちゃんが謝ることじゃないよ!」と両手をひらひらと左右に振る。 翠は未だまどろみから完全に覚めていない麻子をシートの上に座らせた。 それに続き、シートにつく五十鈴親子。 シートの上には、今四組の親子が座っている状態となった。
8 17/07/07(金)00:57:29 No.438092687
「あれ? そういえばなほりん達は?」 「うーん、なほちゃんもみほももうそろそろ着くころだと思うんだけど……」 「ごめんなさーい!」 香織と沙織がまだ来ていないなほのことを心配しているちょうどそのとき、遠くから謝る声が聞こえてきた。なほだ。 なほが一人で沙織達のところにかけてくる。なほは沙織達のところに着くと、両手を膝の上において、ぜいぜいと肩で息をした。 「ごめん……遅れ……ちゃって……」 「ううん、ワタシ達もちょうどさっき着いたところだし。それよりなほ、なほのかーさんは?」 翠が一人できたなほを不思議に思い聞く。すると、なほは息を整えてから、申し訳無さそうな顔で口を開いた。 「あの……ギリギリまで待ったんだけど、やっぱり忙しくて来れないらしくて……ごめんなさい……」 「…………」
9 17/07/07(金)00:57:53 No.438092770
なほは明らかに気落ちしているようだった。 普段明るいなほの姿を見慣れている一同は、落ち込んでいるなおほの姿を見て、どう声をかけたらいいものかと言葉を探した。 僅かながら沈黙が一同を支配する。 「……まあでも! きっと今度は来れると思うから!」 その沈黙を破ったのも、またなほだった。 なほのその気丈に振る舞う姿に、沙織達もまた、自分達も笑顔を作らなければと思う。 「うん! 今回はたまたまお仕事が重なっちゃっただけだよ! それより今は、みんなで楽しも?」 その表れであるかのように、香織がなほの肩を叩きながら笑っていった。
10 17/07/07(金)00:58:09 No.438092817
「そうそう! それよりうちお腹減ったー!」 「もうこの子ったら! でも確かに、お腹は減りましたね。みなさん、各自でお弁当を作ってきたんですよね今日は?」 「そうですね! いやーユリカは本当に料理が上手なんですよ!」 「……別に……そんなことは……」 「……うちの翠も、負けてはいないぞ」 「うん、だってかーさん朝弱いから全然弁当とか作れないもんね!」 つぼみ達も香織達に合わせて、話題を変え笑顔を作る。 なほには、そんな香織達の優しさが嬉しかった。 「……うん! 私だって作ってきたんだよー? とっておきのやつ!」 こうして、なほ達は一人欠けながらも、互いに談笑しあい、久々の再会を楽しんだ。
11 17/07/07(金)00:58:28 No.438092871
◇◆◇◆◇ 「よーし、それじゃあ大会のメンバーを発表するぞ」 広場に整列する生徒を前に、鈴がタブレットを片手に言う。 季節は進んで夏。 戦車道を志す高校生達にとっては、勝負の季節がやってきた。 戦車道の全国大会が間近に迫ってきたのだ。 大洗では今、その大会に出場するメンバーが選出されようとしていた。 「それじゃあまず、あんこうチームから」 大洗は強豪校であるゆえ、もちろん出場できる数の戦車はすべて出す。しかしそれとは別に、伝統としてかつて全国大会で初優勝したときのチーム名をそのまま引き継いだ戦車を用意していた。 それは、編成上重要な役割を担わされることが多い、大切なチームだった。 その一つが、あんこうチームなのだ。
12 17/07/07(金)00:58:49 No.438092925
「まずは車長……西住なほ!」 「はい!」 なほは名前を呼ばれ大きな声で応え、列から一歩前に出た。 「一年で車長を任せるんだ。しっかりと結果を出してもらうぞ」 「任せてよ、隊長!」 なほは鈴にぐっと親指を上げ、ウィンクをして応えた。 あんこうチームは大洗の中でも隊長、あるいはそれに準ずるものに与えられるチーム名だ。 一年ながらそのチーム名が与えられることに、鈴のなほに対する期待が表れていた。 「それじゃあ乗組員を発表する。乗組員は――」 そこで発表されたチーム編成は、以下の通りだった。 車長、なほ。 通信手、香織。 砲手、つぼみ。 装填手、ユリカ。 操縦手、翠。
13 17/07/07(金)00:59:05 No.438092974
それは、奇しくも十七年前の親達の世代と同じ編成だった。 だが、鈴はそれを知っていて割り振ったわけではない。この割り振りは、あくまで偶然によるものだった。 それからも、鈴は編成を発表していく。そして、すべてのチームの編成を発表し終えた後、鈴はそれぞれの隊員をそれぞれの戦車につかせた。あんこうチームはⅣ号だった。 「よし、全員配置についたな。今大会はこの編成で挑む。去年は残念ながら優勝旗を手にすることができなかったが、今年は優勝旗を俺達の手に取り戻せると俺は確信している! それではこれより、大会編成における特別訓練を行う! 全員、乗車!」 『了解!』 鈴の言葉により、それぞれ各員が自分の戦車に乗り込んだ。それは、なほ達も同じだった。 「まさかみんなと同じ戦車で大会に出られるなんてねー」 戦車の中で香織がそんなことを言う。 それに、他の者達も頷いた。 「そだねー、どっかでバラバラになると思ってたよー」 「……隊長は一番戦えるチームわけをした。それが、わたし達だとみなされた」 「まったく、大会でまであんたらの面倒を見ることになるだなんて……ま、いいけどね」
14 17/07/07(金)00:59:22 No.438093025
つぼみ、ユリカ、翠がそれぞれ言う。 それに対し、なほはフフン、と自慢げに鼻を鳴らした。 「当然だよ! 私達五人は最強なんだからね! 大会、絶対勝つよー!」 「うん! ……それにしても、なほりん凄いやる気だねー」 「まあね、だって……」 そこでなほは嬉しそうにふふっと笑う。 それが気になって、香織は聞いた。 「ん? どしたのなほりん?」 「いやね、約束してくれたんだ。お母さん……日程的にもし私達が決勝に出られたら、大会の決勝戦は必ず見に来てくれるって!」 それがなほの上機嫌の理由であった。 ずっと会えなかった母が来てくれる。それだけで、なほはもっと頑張ろうという気持ちになれた。 「よかったじゃんなほりん!」 「うん! ほんとほんと!」 「……そうだね、良かった」 「この前は駄目だったもんねぇ、本当に良かった」
15 17/07/07(金)00:59:38 No.438093079
香織達も、まるで自分たちのことのように喜ぶ。そんな仲間達に対し、なほは「ありがとう!」と満面の笑みで言った。 「お母さんが来てくれるんだから、無様なところは見せられないよね! というかまずは決勝に出られるように頑張らないと! そまずこの練習から頑張ろう! それじゃ行くよ! パンツァー・フォー!」 なほのはつらつとした声が車内に響き渡る。仲間達はそれに応え、戦車を動かした。 その日、あんこうチームは他のチームに大きな差をつけて、一番の成績を出した。
16 17/07/07(金)00:59:53 No.438093126
なほが決意を固めてから数週間、あっという間に第八十回戦車道全国高校生大会はやってきた。 かつてに比べて出場校も大きく増えた大会は、一筋縄ではいかないはずだった。 だが、大洗はかつてない快進撃を見せた。 次々と、大会での対戦相手に対し快勝していったのだ。 そこには、やはりなほの働きが大きかった。 もちろん、隊長としての鈴、副隊長としての理沙の作戦があってのものである。だが、臨機応変に事態に対応し、ときとして相手の意表を突く作戦を立案するなほが大洗にとって大きな力となったのは間違いなかった。 大洗は、かつてにないほど王者としての貫禄を見せつけた。 月刊戦車道は、その大洗の活躍を大々的に特集した。その快進撃を綴った記事が大きな人気を呼び、普段は戦車道に対し興味のない一般層をも引き込んだちょっとしたブームとなるほどであった。 そうして大洗は次々と勝利をもぎ取っていき、ついに決勝戦を迎えた。 決勝戦の相手は、大洗よりも遥か昔から王者として名を轟かせていた、黒森峰女学園だった。
17 17/07/07(金)01:00:12 No.438093171
「今日はよろしくな、梨華子(りかこ)」 「ええ、よろしく頼むわね、鈴ちゃん」 鈴と黒森峰の隊長である渥美梨華子は、笑顔で握手を交わしながら言った。 鈴と理沙、そして梨華子は同じ場所で育った幼馴染であった。それゆえ、お互いの戦術、戦略のことはよく知っていた。 お互い、これ以上やりづらい相手はいないだろう。 「今年は去年のようにはいかねぇぞ」 「そうだねー、去年は隊長の力が大きかったからね」 「あら? 自信がないのかしら? これは、案外簡単にいけるかしら」 「ふふっ、それはどうだか。私達黒森峰はあくまで王者の座を譲る気はないから。残念だけど、今年も優勝旗はうちのものだよ?」 鈴、理沙、梨華子は互いに旧交を温めながらも、バチバチと火花を散らした。 その様子を見ながらも、なほはどこか落ち着かない様子でチラチラと観客席に視線を泳がせていた。 「ちょっとなほりん、落ち着きなよ」
18 17/07/07(金)01:00:29 No.438093205
「う、うん……でもお母さんがどこかにいるのかなって思うと、落ち着かなくて……」 「もー、うちの勝利はなほに掛かっているようなものなんだから、もっとしっかりしてよー」 心配する香織に続いて、つぼみが呆れた様子で言う。 つぼみの言うことはもっともであった。鈴と理沙、そして梨華子は互いに知りすぎているために戦いは硬直すると思われていた。 それを打破する可能性があるのが、なほだった。なほは黒森峰にとってイレギュラーな存在だからである。 もちろん、黒森峰もなほを研究していないわけではない。 だが、それでもなほの戦術、戦略をすべて読みきっているわけではなかった。 「……なほ、落ち着く……」 「そうよまったくこの子ったら! 今は戦いに集中しなさい!」 「うん……そうだよね……落ち着け、落ち着け私……」 ユリカと翠に言われ、なほは胸に手を置いて自分の鼓動を落ち着かせる。それは、柄にもなく大会に緊張しているという部分もあったからであった。 「よしお前ら! そろそろいくぞ!」 と、そこで鈴が梨華子と話を終え、なほ達の元へとやってくる。 どうやらそろそろ試合のようだった。
19 17/07/07(金)01:00:44 No.438093253
「ほらなほりん! 行くよ!」 「……うん!」 なほは大きく頷く。そこに、鈴がやって来た。 「なほ、今日は全力を出して頑張るぞ。俺達にとっちゃ最後の大会だ。悔いの残らないような試合にシたいんだ。だから、頼むぞ!」 そう言って、鈴はなほの肩に両手を置いた。 その鈴に対し、なほは「はい!」と大声で応えた。 「……よし! なほも絶好調なほうだな! それじゃあ、行くか!」 「ええ、行きましょう! みなさん!」 鈴と理沙がそういうと、大洗の隊員達は「おー!」と拳を振り上げ応えた。 こうして、第八十回戦車道全国高校生大会決勝戦、大洗対黒森峰が始まった。
20 17/07/07(金)01:01:05 No.438093317
◇◆◇◆◇ 「……はぁ! はぁ!」 なほは観客席を走っていた。 今すぐにでも会いたい人が、そこにいるはずだから。 「お母さん! どこにいるの! お母さん!」 観客達は夕日の中、次第に帰り始めていた。しかし、なほが会いたい人影はいない。 「お母さん! 私、勝ったよ! どこにいるの! お母さん!」 大洗と黒森峰の試合は、大洗の勝利で終わった。大洗が、全国大会における優勝を手にしたのだ。 しかし、そのことよりもなほは母にその試合を見てもらったということのほうが大切だった。 そのことでそわそわしていると、隊長である鈴がなほに事情を聞いてきた。そして話を聞くと鈴は言った。 「なんだって!? それだったら早く観客席に行ってこい! 西住選手に、お前の頑張りを精一杯伝えてこい!」 鈴はバシッ! となほの背中を叩いて、なほを送り出した。
21 17/07/07(金)01:01:22 No.438093370
「……いいお父さんになりますわね、鈴さんは」 「……そこはお母さんじゃないのかよ」 理沙はなほを送り出した鈴にそんなことを言った。 そんな会話を後ろに、なほは必死に観客席に走った。そして今、こうして観客席の中から自分の母親を探しているのだ。 「どこ! お母さん!」 どこにもみほの姿はない。もしかして帰ってしまったのだろうか、という考えすらなほの頭によぎる。そして母は、そんなことをする人間じゃないとすぐに否定する。 「お母さん! お母さーん!」 大声で探し回るなほに、観客達が好奇の目を向け始めたときだった。 「……なほちゃん」 なほに話しかけるものがいた。 それは、沙織だった。 「あっ、おばちゃん!」 「お姉さん!」 「そだった……お姉さん、お母さん知らない? 探しても全然いなくて……」 なほがそう聞くと、何故か沙織は暗い面持ちでなほを見た。
22 17/07/07(金)01:01:40 No.438093429
「ん? どしたのお姉さん?」 その視線になほも気づいたのか、なほは聞き返す。 「あのね、なほちゃん、落ち着いて聞いて……」 そうして、沙織は重々しい口を開いて、なほに言った。 「みほだけど……急な試合が入って、これなくなったって……」 「……え?」 その沙織の言葉を聞いた瞬間、なほは目の前が真っ暗になった。 つづく
23 17/07/07(金)01:03:32 No.438093722
これはダークサイドの匂い
24 17/07/07(金)01:06:52 No.438094280
みぽりん...
25 17/07/07(金)01:09:55 No.438094793
薄々そんな気はしてたけど…これは…辛い…
26 17/07/07(金)01:10:54 No.438094956
なほちゃんが自殺してからダークサイド認定しよう まだだ まだわからない…
27 17/07/07(金)01:13:27 No.438095333
これはみぽりんが悪いよなぁ…
28 17/07/07(金)01:14:37 No.438095523
大丈夫? なほりんの心壊れない?
29 17/07/07(金)01:25:39 No.438097154
みぽりん駄目な部分もしっかり受け継いでる…血は争えないな
30 17/07/07(金)01:27:22 No.438097376
多感な時期にこれはまずいですよ
31 17/07/07(金)01:34:25 No.438098334
>これはダークサイドの匂い これ書いてる「」って…まさか…
32 17/07/07(金)01:35:49 No.438098506
戦車道は良妻賢母を育む武芸です (※効果には個人差があります)
33 17/07/07(金)01:36:02 No.438098537
きっと赤星の娘が助けに来てくれる……
34 17/07/07(金)01:37:33 No.438098733
なほりんが例の表情になっちまう!
35 17/07/07(金)01:38:54 No.438098901
まほ叔母さん助け…無理だな