ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
23/05/02(火)01:12:03 No.1052855090
泥の深夜便
1 23/05/02(火)01:17:28 [1/2] No.1052856524
────マズい。虎の尾を踏んだかもしれない。 ウィーン郊外にある時計塔法政科が借り、セルヴィスが拠点としているモーテル。そこでセルヴィスは思考と体が固まっていた。 事の起こりは大した事ではない。キャスターととりとめもない雑談をしている最中、よりにもよって兄の話をしてしまったのだ。 確か……そう、ウィーン市内での足として馬を使うか蒸気自動車を使うかとかそんな話だった。 「お話した通り、身共は神殿を構築しその場で戦う事が主軸となります」 「ふむ、やはり機動戦には向かないと言う事だね。だがいざという時の足は確保しておきたいな。 馬は手頃だが餌やりの手間がある、蒸気自動車はアイドリングに時間がかかる。…あの万博で展示されていた自動二輪は中々良さそうだったけどまだ実用化に時間がかかりそうだなぁ」 キャスターの言葉にセルヴィスはフランスの発明家が作ったと言う新しい乗り物を思い出していた。 「……自動車? 自動二輪、ですか?」 セルヴィスの聞きなれない言葉にキャスターは不思議そうに小首を傾げる。 なんとか座から与えられた知識を引き出そうと唸っているがどうにも芳しくないようだ。
2 23/05/02(火)01:17:49 [2/2] No.1052856616
「自動車というのは…そう、馬がいなくても走る馬車のようなものです。僕は兄と違って新しい物好きではないので詳しくないですが」 困っているキャスターに助け船を出したセルヴィスはささっと車の絵を描いてキャスターに見せる。 感心するようなキャスターを見ながら何時ものように余計な一言を付け加え…そこで自分のミスに気付いた。 「……兄? マスタァにも兄上が?」 キャスターの被る精神的な仮面の隙間、そこから垣間見えた瞳にほの暗いもの炎が宿るのが見えた気がした。 一瞬、嘘をついてその場を取り繕うかと馬鹿な考えが浮かぶ。…バカか、僕は。 彼女は伝説に語られる女王、魔女だ。僕の浅知恵が通じるわけもない。 それに僕は、彼女に対して誠意と真摯な言葉で対話を重ねると決めたのだ。 「…すまない、キャスター。君の過去を揶揄したり乏しめるつもりはなかった。不快に思ったなら謝罪する」 セルヴィスはその場でキャスターに深々と頭を下げた。 「いえ、身共は気にしておりません。…そうですか、マスタァに兄上が」 キャスターは笑みを持ってセルヴィスへの返答とする。 ぼそりと呟いた最後の言葉は安心したセルヴィスの耳には届かなかった。
3 23/05/02(火)01:28:09 No.1052858916
目の前の男を、魔女は輝きの消えた紫の瞳で見つめる なるほど、この男は”マスター”でありながら”サーヴァント”である自身に対して上に立つのではなく、手綱を取ろうとするのではなくせめて信頼を勝ち取って多少なりともマトモな関係を築き上げようというのだろう。 だから、紫の瞳を閉じて笑みを浮かべながら魔女は男を抱きしめ問い詰めた 「ねえ、”マスタァ”?あなたは身共の主。身共の道行きを共に歩む要石であり、あなたの願望あるいは立場のために戦う存在です。なので、身共から質問を変えさせてください」 その肌はまるで雪に触れたかのような冷たさと、新春の若葉のような柔らかさで魔術師の男────セルヴィスに触れながら、脳を直接揺らすかのような清らかな天使の如き声で耳元で囁く。
4 23/05/02(火)01:29:11 [キャスターをよろしくお願いします] No.1052859088
「貴方の戦う理由を、望みを教えてください。貴方は此度の戦いにおいてともすれば命を失っても構わないほどの理由を持ってこの戦いに臨んだ。そうでしょう?」 衣越しに男の背中を爪でくすぐりながら魔女は言葉を紡ぎ続ける。 「勝ちに行くつもりがない?ならば、あなたはなぜこの戦いに参加したのでしょうか?」 「神秘の秘匿だけを望むのならば、あなたはあなた個人だけではなく、組織として動くべきだった。そうでないのに身共を呼び込んだ理由を────」 「身共の正体がどのようなものであるか見当をつけながら、戦いの選択権を譲る理由を────身共に対し、その手に刻まれた魔力によって生殺与奪を手に入れたと認識した理由を────」
5 23/05/02(火)01:30:25 No.1052859352
言葉を紡ぐほどに、魔女の身体は男に密着を続け、その身体の柔らかさを肉体に教え、ささやきの心地よさを身体に刻んでいるというのに、その言葉をどこまでも冷たくしながら──── 「貴方の願いと、方針を明らかにせずに身共と『対等』であろうとする立場を取ろうとする理由を、教えていただけませんか?」 「────ねえ、”マスタァ”?首輪をつけることすらも使い魔に躊躇する、臆病なお人」 自らを使い魔と呼称し、男への値踏みを開始した 男の肉体を抱擁しながら、氷の冷たさを味合わせ、魔女は自らを召喚した男が主であるのか、従者であるのか、取るに足らぬそれ以外の存在であるかを見極めるために。
6 23/05/02(火)01:33:23 [キャスターをよろしくお願いいたします] No.1052859980
誠実に対応するのは正解ですが変に下手に出るよりは立場を明らかにしたうえで主あるいは使い魔を召喚したマスターであると そして行動を抑制しうる首輪を持つ存在であるとしなければ魔女であるので寝首を書きかねないので気を付けてください それはそれとして因縁欄でセルヴィスちゃんなりに誠実に対応したのはキャスター的には良い感じに好感度は多少なりとも高くなるので初手から傀儡にせずに質問を投げかける程度のブレーキはかけるでしょう
7 23/05/02(火)01:34:58 No.1052860285
あとバベルマンは髪色とついでに瞳の色をその場の平均的なモノに元の色から変えています スマホから書き込めないため遅くなって申し訳ない…
8 23/05/02(火)01:47:50 No.1052862627
セルヴィスちゃんはこの先生きのこれるのか
9 23/05/02(火)01:56:06 [1/2] No.1052864040
>ぼそりと呟いた最後の言葉は安心したセルヴィスの耳には届かなかった。 「ふふ、マスタァ?一つ、身共からわがままを伝えてもよろしいでしょうか?」 マスターである男の腹を衣服越しに手で摩りながら、少女────キャスターは上目遣いに男の表情を伺いながら、輝きの失せた紫の、宝石の如き美しさの瞳を見せて言葉を紡ぎ始める。 「身共は所詮、今を生きる貴方と生きた土地も時代も異なる存在。今の時代の文化に対して、例え聖杯から知識を支給されようとも疎いことには変わり有りません。mしてや、最新鋭の知識など────」 ただ当然の言葉を吐き出しているだけだというのに、並の精神の男であるのならば理性すらも蕩かすほどの妖しき声を出しながら、魔女は可愛らしいお願いを与える。 「今の時代にも、御者は雇えるのでしょうか?その……自動二輪というものは?」 「ええ、ええ。マスタァも殿方ですから、場合によっては自動二輪なる脚の速い乗り物は御者に任せずに自身で運転してしまいたいという欲望もあるでしょう?それとも、それ以外の移動手段……馬車でも……あるいは、馬車の如き自動の四輪でも────」
10 23/05/02(火)01:56:18 [2/2] No.1052864071
「マスタァ?どうか、身共をそれに乗せて今の時代の、今の娯楽を教えていただけませんか?ええ、ええ。当然、情報は必要ですから身共の愛らしい手勢で雑多な情報を集めることは容易ではありますけれど────」 「実際に体験しながら、マスタァのことを教えていただくのは、身共にしか出来ないことでしょう?」 まるで見た目相応の少女であるかのような願いを伝えながら、キャスターは男に願いを告げた。男にとって真意は理解できなくとも、失言と思えた内容であったとしても────マスターである存在が明かしたセルヴィスという人間の要にもなり得る…そうした情報を開示した男に対して、キャスターは多少なりともその言葉に興味を示した、それだけの些細な出来事に過ぎない。 それでも今この瞬間においてはキャスターにとってセルヴィスという存在は、マスターは興味を引く存在になったのだ
11 23/05/02(火)02:04:37 [きのこれるようにがんばるー] No.1052865383
キャスターの言葉にとろけそうになる/震えそうになる体と身を委ねそうに/怯えそうになる心を辛うじて理性で制している。 ほら、言ったじゃないか首輪を付けただけの魔獣と会話が成り立つものかと魔術師としての自分が語りかける。 何故聖杯戦争に参加したのかとキャスターは問う 何故願いと方針を明らかにしないのか、対等であろうとするのかと問う。 何故、仕事だからと言う義務感?恩人に選ばれたからと言う高揚感? 何故…いやこれは分かっている。僕が、臆病だからだ。イリーナさんは僕の慎重さを買ったと言った。だが、それは臆病の裏返しでもある。 ふと、兄の言葉を思い出す。 『猟犬相手に信頼関係は築くのはまず、どちらが上か決めてからだ。人間相手でも似たような事が言えるかもな。貴族ってすぐマウント取り合うから。まぁ、お前は慎重過ぎる。たまには一歩踏み出して見ろ…踏み出して崖なら?ドンマイ!』 兄は遊び好きで所謂放蕩者だが、だからこそ、時々僕より見識があるような事を言う。…たまには言うことを聞いてみるか。 「…何故戦うのか。それは僕が間違ってると思うことを正す為に、だ。その為に君に傀儡にされるつもりはないよ、キャスター」
12 23/05/02(火)02:21:03 [がんばれー キャスターをよろしくお願いします] No.1052867764
「────間違い、間違いですか。それを正すためだと」 所詮は、臆病であるが故にこの最後通告を無視して本心を隠すなり、あるいは自身をスクルドだとある程度知っているであろう魔術師として気に入るかもしれない答えを思考し、吐き出すだろうとキャスターは考えていた。あるいは、諦めていた。 しかし、予想とは反し彼なりの返答を得た。そして、少なくとも傀儡にされることを拒否する程度の気骨を彼なりには示した。ならば、この男が望むのは自身を制御する”マスター”としての立場なのだろう。そう、”サーヴァント”であるスクルドは結論付けた。ならば────
13 23/05/02(火)02:21:30 [一人称の私を解禁できたら嬉しいですね] No.1052867834
「身共は、誰よりも輝く英雄を、北欧に名高き英雄集団を滅ぼした悪しき魔女、スクルド」 「なれど、結末に基づく影であろうとも身共はキャスターのクラスのサーヴァントとして罷り越しました。故に、身共はあなたが主の立場を望むうちはサーヴァントとして甘んじましょう」 背中を弄る爪を、指の腹に変えながら。 片方の手を頬に触れて男の顔の感触を確かめながら──── 「もしも、もしも身共があなたの『正しさ』から反するようなことがあるのならば────」 「────どうか、どうかそれでも私を見てください」 「怒りを、ぶつけてください。憎しみをください。私を、許さないでください」 その天使の囁きの如き言葉に、一筋の贖罪の色を滲ませながら魔女は 「それが主であることを望む貴方の責任です」 少なくとも、この時の間は男を傀儡にする必要がない”マスター”であることを容認した
14 23/05/02(火)02:24:12 No.1052868177
あっ解禁というのは日常とかそういう戦闘とか関係ないところでの私口調解禁ですね 私はカップリングが好きなので楽しみです
15 23/05/02(火)02:24:17 No.1052868187
スクルドさんめっちゃえっちで怖い…
16 23/05/02(火)02:25:52 No.1052868416
デンマークのアーサー王と円卓を仕留めたデンマークのモルガンだ 面構えが違う
17 23/05/02(火)03:06:05 [ヴィオレットウィーン入り] No.1052873189
ここはウィーンのリング通りにある、インペリアルホテル。 元々はヴュルテンベルクの宮殿だったが、万国博覧会に合わせて高級ホテルとして改装された。 そして私はここで働くスタッフの一人、高級ホテルだけあり高貴な方々が宿泊しに来るので非常に緊張してしまう。 そんな事を考えていると、新たなお客様がお見えになったみたいだ。 「ごきげんよう、宿泊したいのだけれどよろしいでしょうか?」 「もちろんです、よろしければお名前をお伺いしても?」 来店されたのは若く可愛らしい容姿の女性のお客様だった。 美しいドレスを着ており、それは一目見るだけでその女性が裕福な方なのだと気付かせてくれる。 もちろんこのホテルに泊まるからにはそれぐらいの方でないと困るのだが。 「ヴィオレット・レーネです、しばらくここに滞在する予定なので荷物が多いのですが、部屋まで運んで頂ける?」 外の方を見てみると馬車が1台止まっており、彼女の従者であろう人物数人が馬車から荷物を降ろしているのが見える。
18 23/05/02(火)03:06:33 No.1052873227
「ええもちろんですミズレーネ、しばらくということはやはり万博でしょうか?」 「そのつもりです、ひょっとしたらすぐに帰る事になるかもしれませんけどね」 彼女との会話が終わり、宿泊する部屋を決めると同時に近くにいた従業員に目線を送り、ミズレーネの荷物を運ばせるよう合図を送る。 それとほぼ同時に、入り口からミズレーネと瓜二つの女性が入ってくる。 服装も同じ物に統一されているところを見るに、おそらく双子の姉妹なのだろう女性は、ミズレーネに声をかける。 「こちらは終わりましたよ、馬車も帰らせました。もう宿泊処理は終わったのかしら?」 「ええ、今から案内してくれるみたい」 「ミズレーネ、そちらの方は御姉妹でしょうか」 「……ええ、そう、そうよ」 やはり姉妹だったようだが、なぜかミズレーネは少し間を置いて肯定した。 ヴィオレットでは無い方のミズレーネはそんな彼女を肘で小突いている。 「ちょっとお姉様、それはあんまりではありませんか?」 「ええゴメンなさいね、ちょっとぼんやりしてただけです」 「えーっと…ミズレーネ、妹様のお名前をお伺いしても?」 「モワメームです」
19 23/05/02(火)03:07:00 No.1052873267
モワメーム…モワメーム(自分自身)?随分変わった名前だが、妹様の方は否定していなかったし本名なのだろう。 あまりお客様の事を詮索するのも失礼なので、会話を切り上げ彼女達二人を部屋まで案内する。 「それでは、ごゆっくりお寛ぎください。何かあれば何時でもお声がけを」 「ええ、ありがとう」 そう言って彼女達が自分の部屋へと入っていくのを見届けた後、自身の仕事場へと戻っていった 「モワメームって名前安直すぎたかしら?」 「別にいいんじゃないの?ワタシが人形だって気付くはずないし」 「それもそうね…さて、これからどうしようかしらね」 「ひとまずはサーヴァントを召喚する準備を整えて、その後万国博覧会を見て回るのがいいと思うわよ」 「そうね、そうしましょう…ウフフ、どんなのが召喚されるのかしら、楽しみだわ…」
20 23/05/02(火)03:08:52 No.1052873423
終わり ウィーンにホテルとかあるのかなと思って調べたらインペリアルホテルが万博と同じ年に出来たとか出てきたので多分このホテルにヴィオにゃん泊ったんだろうな考えて書きました
21 23/05/02(火)03:16:34 No.1052874015
ヴィオにゃんの人形お話できるのか…
22 23/05/02(火)03:23:27 No.1052874572
>ヴィオにゃんの人形お話できるのか… 自分の分身として作成した特別な人形なので会話できるし魔術も使える凄い人形 でも自分と全く同じ人形ではないので失敗作でもある
23 23/05/02(火)03:30:54 No.1052875171
むっ唐突に閃いた ヴィオにゃん人形をオナホ代わりに使う
24 23/05/02(火)06:37:31 No.1052883459
深夜にまたおもしろそうなことしてる…