22/12/30(金)20:28:32 私はい... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
22/12/30(金)20:28:32 No.1009833290
私はいつもみたいに店に立ってお客さんの相手をする。 今日は私の誕生日で皆盛大に祝ってくれた。 半ば貸切の宴会みたいな雰囲気の中、TVでは交通事故のニュースをやっていて… 「…変な夢」 なぜか心臓は激しく脈打っていた。 メジロマックイーン、トウカイテイオー、ライスシャワー、ビワハヤヒデ…いろんなキラキラウマ娘と対戦しては敗れた私でも、彼は諦めず付き合ってくれた。 「いままでお疲れ様、ネイチャ」 「トレーナーさんこそ、こんな扱いにくいウマ娘ずっと相手にするの大変だったでしょ?」 「好きだからね、苦じゃなかったよ」 「…そーいうの、私みたいなのには言わない方が良いですよ?」 「ネイチャ以外に言わないよ」 「はいはいそーですか、じゃー…また、ね」 「ああ、また」 そう言ってトレセンを去った私は実家の家業を継いだ。
1 22/12/30(金)20:29:19 No.1009833626
ある日、 「え"っ!テイオーあんた結婚すんの⁉︎」 「そー!ネイチャに直接言いたくってさー!」 久々に見た顔だ、と思ったのも束の間、衝撃発言をかまされた。 お相手は当時のトレーナーだの、向こうからプロポーズしてきただの、どこが好きだの酒混じりに惚気る惚気る。 「でも苦労したんだよ?なんせあっちは手出してくれないしさぁ~」 「そりゃあ大人なんだし当たり前でしょ?」 「でも今は毎日好きだって言ってくれるモンニ!」 「おぉ~愛されてますねぇ」 「そういえばネイチャは?」 「へ?」 「ネイチャくらいなら引く手数多なんだし~?今付き合ってる人いるの~?」 ニヤニヤしながら頬を突いてくる。こういうところはやっぱり変わらない。
2 22/12/30(金)20:29:36 No.1009833740
「残念ながら未だフリーですよ~」 「えっそうなの?なんか意外。てっきり…」 「てっきり?」 「ネイチャもトレーナーとくっつくと思ってたんだけどなぁ。まあいっか、で結婚式来てくれる?」 「そりゃあもちろん…って言いたいケド…」 「えー⁉︎来てくれないのー⁉︎」 「ごめんごめん、ちょっと保留させて?その日私の誕生日でさ…」 「そっかー…」 その後は終電まで惚気話に付き合わされるのだった。
3 22/12/30(金)20:29:49 No.1009833840
またこの夢だ。 私はいつもみたいに店に立ってお客さんの相手をする。 今日は私の誕生日で皆盛大に祝う。 半ば貸切の宴会みたいな雰囲気の中、TVでは交通事故のニュースをやっていて…目が覚めない。 (ありゃ?…ま、いいか) 楽しげなホールへ視線を移そうとした瞬間、TVから目が離せなくなった。テロップにあった名前は 「はーっ…はーっ…はー…ヤな夢…」 間違えるはずがない。あれは私の…元トレーナーさんの名前だ。 あれは夢、あれは夢、あれは夢…そう言い聞かせて自分を落ち着かせようとしても、しばらく胸騒ぎは収まらなかった。
4 22/12/30(金)20:30:05 No.1009833949
「ネイチャー!」 …結局来てしまった。白いドレスに鹿毛と幸せそうな笑顔がよく映える。 「似合ってるよテイオー、相変わらずキラキラが似合うねぇ」 「ネイチャこそ!ドレス、よく似合ってるじゃん!」 「そ、そうかな…?ありがと」 「うん、似合ってる」 「!!」 後ろを向くと…数年ぶりに彼がいた。 「な…なんでトレーナーさんが…?」 「あれ?知らなかったのネイチャ」 「だ…だって」 「ボクの旦那さんと仲良かったんだよ?ネイチャのトレーナー」 「テイオーとネイチャは同期だからね、何かと話したんだ」 「へ、へえ~…そうなんだ…」
5 22/12/30(金)20:31:19 No.1009834401
\テイオー!そろそろ移動だぞー!/ 「はーい!じゃあネイチャ、また後で」 「う、うん。また」 「じゃあ俺達も行こうか」 「…ハイ」 その後は滞りなく披露宴も進み、お開きとなった。 「ネイチャネイチャ」 チョイチョイと手招きしながらテイオーが近寄ってくる。 「ネイチャのトレーナーさん、2次会来ないって」 「そ、そうなんだ」 「2人っきりのチャンスじゃん!」 「別にそういうんじゃ…」 「んもー!いいから言ってきなよ!」
6 22/12/30(金)20:31:48 No.1009834564
「ちょちょちょテイオー⁉︎」 グイグイと彼の前へ押しやられる。 「ネイチャが話があるって!」 「そうなの?」 「ちょっと、テイオー!」 振り返るとごゆっくり、とでも言いたげな表情を浮かべ足早に去っていくテイオー。心の準備が…。 「話って?」 「う、うん…えっと…2次会、行かないん、ですか?」 「うん、帰ろうかなって。遅くなってもいけないし」 早く帰らなきゃいけない。それはつまり、 「誰か待たせてるんですか?」 「まあうん」
7 22/12/30(金)20:32:08 No.1009834679
「ははは…そーですか…いやートレーナーさんも隅に置けないですなー…」 …勝手に聞いて何を落ち込んでるんだろアタシ。バカみたい。 「そうだ、ネイチャもくる?ウチ」 「えっ」 「多分あの子も喜ぶと思うんだけど…ダメかな?」 「いやいや…私が会っても…むしろお邪魔じゃない?」 「いや…あーでも怒るかも?」 「ほらやっぱり。そんな訳でパスって事で…」 「そっか…じゃあネイチャ、またね」 「うん、また…」 彼は車のエンジンをかけ、窓を開けると、 「ネイチャ、誕生日おめでとう」 「…うん、ありがと」
8 22/12/30(金)20:32:49 No.1009834955
覚えててくれたんだ…と喜んだのも束の間、あの夢を思い出す。 交通事故のテロップ。 ただの夢じゃない、と。「また」はもうないのだ、と。 夜道を走る。 制限速度はウマ娘の方が速い、まだ追いつける、そう信じて。 呼吸が荒い。当たり前だ、もう何年もトレーニングから離れてたんだから。 それでも、走り続ける。 離れた分を取り戻すよう、全力で。 視界が暗い。もう足が上がらない。 それでも、もう二度と、大切な人と会えなくなるのは…!
9 22/12/30(金)20:33:07 No.1009835050
「…いやだ…!」 「何が?」 「…へ…?」 「いやこの先で事故があったらしくてさ、引き返してきたんだけど…なにかあったの?」 全身の力が抜けるって…こういう感じかぁ… 私はいつもみたいに店に立ってお客さんの相手をする。 今日は私の誕生日で皆盛大に祝ってくれている。 半ば貸切の宴会みたいな雰囲気は、その一言でますます熱を帯びた。 「ナイスネイチャさん、私と結婚してください」
10 22/12/30(金)20:33:17 No.1009835122
オワリ
11 22/12/30(金)20:41:40 No.1009838263
最後もうちょっと書かないと急すぎない?
12 22/12/30(金)21:31:21 No.1009859003
いい… エピローグも欲しい…