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22/11/27(日)23:59:20 「っだ... のスレッド詳細

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22/11/27(日)23:59:20 No.998099827

「っだー!やっぱ負けたー!」 シロガネ山での修行中。 レッドに敗北したゴールドが叫んだ。 「悪いな。でもまだまだ負けてやるわけにはいかないな」 ゴールドが地面に腰をつき、 「っかー!最近のレッドさんはなんか緩んでたかれひょっとして今なら勝てんじゃね?って思ってたのによー! バトルになったら結局いつものつえーレッド先輩じゃねーか!」 「オレ、そんな緩んでたか?」 レッドは心当たりがなくて頭をかく。 だがゴールドは半目を向けてきた。 「すんごく。最近彼女できたんだーってオレにめちゃくちゃノロケ聞かせてきてたじゃないっスか」 「そうだっけ?」 「そうっスよ。鼻の下伸ばしてデレーってして」 そうだったのだろうかとレッドは首を捻る。

1 22/11/27(日)23:59:39 No.998099953

「ま、くっついたのがあのブルー先輩っしょ。 そら浮かれるのもしゃーないとは思うんですけどね」 「まぁなぁ」 つい先日、ブルーに告白した。 それが受け入れられて交際を開始した。 人生初の彼女だ。 自分でも気づかないうちに調子に乗っていたのかもしれない。 「あのフェロモンムンムンでナイスバデーな美人の先輩でしょ? レッド先輩も男っスねー」 「いや外見でブルーを好きになったわけじゃないぞ? そりゃあ、美人だとは思うけど」 出会ったころからかわいいとは思っていた。 そのせいで彼女に騙されて酷い目にあったのだが。

2 22/11/27(日)23:59:59 No.998100083

「んじゃ、どういうとこが好きなんスか? ブルー先輩の」 「ブルーの好きなところか…」 思い浮かべてみる。 これまでの付き合いで彼女を好きになったこと。 嬉しいと思ったこと。 楽しかったこと。 「…全部かな」 「かーっ!それズルいっスよ! そんなん何にでも言える反則カードじゃないっスか!」 「でも本当だしなぁ」 ブルーとは長い付き合いだが、もう嫌いなところがない。 かつては嫌気が差していたところもあった。 それも今となっては美点にも思える。

3 22/11/28(月)00:00:54 No.998100481

「あーもー、やってらんねー! 先輩の惚気ひたすら聞かされるわバトルでも勝てないわで散々っスよ!」 「たはは、まあ今回の修行はここまでにするか」 ゴールドのモチベーションも切れてきた。 こんな時に無理に修行を続けても気持ちが続かない。 正直、自分もブルーに会いたいという気持ちが強くなっている。 彼女の話をしたのがいけなかった。 頭の中で恋人の顔が次々と浮かんでいって仕方がない。 集中できないのはこちらも同じだった。

4 22/11/28(月)00:01:13 No.998100597

「んじゃ、さっさと山降りて帰りましょう! あとなんか奢ってくださいよ!」 「しょうがないなー」 詫びの意味も込めてゴールドの要求を受け入れた。 ブルーにはあとで修行が終わったと連絡しよう。 そう思いつつレッドはゴールドとともに片付けを始めた。

5 22/11/28(月)00:01:36 No.998100757

日の沈んだ夜。 マサラタウンの自宅の近くにレッドはたどり着いた。 久しぶりに見る自分の家。 見慣れていたはずの姿も懐かしい。 と、部屋の窓が明るくなっていることに気づいた。 自分がいない無人のはずの家。 そこに明かりがついている。 つまり、自分以外の誰かがいる。 そうしたのは誰か。 その答えはすぐに出た。 なので、レッドは足を早めた。 会いたかった人が、きっと待ってるから。

6 22/11/28(月)00:02:47 No.998101235

「ただいまー」 玄関のドアを開けて、家に入る。 玄関には、予想通り見慣れた靴があった。 男物ではない。 ひと回り小さい、女物の靴。 レッドの家には少し前までは縁のなかったものだ。 「おかえりなさい!」 女の声。 こちらも予想した通りのもの。 パタパタと足音を立てて誰かが近づく。 エプロンをつけた女性。 長い髪を揺らしながら上機嫌な笑みをこちらに向けてくる。 ブルーだ。

7 22/11/28(月)00:03:10 No.998101405

彼女に改めて言う。 「ただいま」 「おかえり。帰って来るって聞いたら我慢できなくてきちゃった。 思ったより修行終わるの早かったのね」 「まあな。ブルーの話してたらゴールドが拗ねてさ。 バトルで勝っちゃったのもあるけど」 「あの子も結構頑張ってるわね」 ゴールドは確かに力をつけている。 応用力も高いし地力さえつければかなりのものにはなると思う。 「それよりご飯にしましょう。 お腹空いてるわよね?」 「そうだなぁ。結構空いてるよ」 ゴールドに奢った食事からしばらく経っている。 それなりに腹には入るだろうとは思う。

8 22/11/28(月)00:03:42 No.998101638

「余ったら冷蔵庫に入れて明日食べましょ。 それじゃこっち」 腕に抱きつかれる。 とても柔らかいものが押しつけられる感触。 女性らしい箇所が当たっている。 それを嬉しく思ってしまう自分がいる。 外見で彼女を選んだつもりはない。 そうなのだが。 こういう時はスタイルのいい人を恋人にできてよかった。 そう思ってしまう。 「レッドはアタシが胸大きくてよかったって今思ってるでしょー?」 気づかれていた。

9 22/11/28(月)00:05:14 No.998102301

「ごちそうさま」 「いいえ。結局みんな食べちゃったわね」 「ブルーのご飯が美味しいからだよ」 「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」 食事後、落ち着くと隣にブルーが座る。 「うふふ…」 「どうした?」 機嫌がよさそうにブルーが笑う。 「久しぶりにレッドに会えて嬉しいなって」 「それは、オレもだよ」 2人で抱き合う。 彼女の感触。匂い。体温。 それらを触れなくなってそこまで日付はかかっていない。 だけど、もうしばらくはしていなかった気分になる。

10 22/11/28(月)00:05:56 No.998102609

彼女の頭を撫でる。 柔らかく、艶やかな髪。 こちらの手指が滑っていく。 「ふふ」 幸せそうにブルーが笑う。 いつもとは違う笑み。 付き合う前は知らなかった彼女の仕草。 彼女が本心から嬉しかった時はこうなると知ったのは最近だ。 そういった知らなかった面を知ることは嬉しい。 より彼女を理解したようで。

11 22/11/28(月)00:07:21 No.998103173

「レッドがアタシのどんなところを好きか、ねぇ」 ゴールドとした話をブルーにも聞かせた。 「オレ、全部って答えたけど。 それってダメなのかな」 「嬉しいけど、もうちょっとほしいかな」 「ほしい?」 そ、とブルーが続ける。 「全部って言うのは簡単。 だけど、もっと具体的に言ってほしい。 あなたがアタシのどういうところが好きか。 どう好きになったのか。 そういうところも教えてほしいなって」 「そっか…」

12 22/11/28(月)00:07:42 No.998103315

好きな人に好きになってもらえたところを語ってもらう。 それは確かに嬉しい行為なのかもしれない。 それが詳細にならなおさら。 「ちなみにアタシはね」 ブルーが顔を近づけてくる。 ついそれに身構えてしまう。 「そういう、照れ屋なところ」 にこりと笑みを向けられる。 さらに近づいて来られる。 途中、彼女がバランスを崩しそうなので慌てて抱き止める。 「優しくて、頼りになるところも好きよ」 「あ、ああ。ありがとう」 照れながらも元の位置に座らせる。

13 22/11/28(月)00:10:34 No.998104507

「わかった?」 「ああ…。ブルーが好きになってくれたところも、 具体的に言ってもらえたらどうなるかも」 「そう、よかった。結構恥ずかしいのよ?」 少し頬を赤くしてブルーが言う。 彼女がそうしてくれた。 ならば彼氏として。 それに応えてやらねばならない。 「じゃ、まずアタシのどういうところが好き?」 「そうだな…」 少し考える。 照れや躊躇もあるが、言う。

14 22/11/28(月)00:16:50 No.998106829

「優しいところ、かな」 「あら奇遇。アタシもそうよ。 さっき言ったけど」 リアクションが薄い。 確かに先ほどブルーに優しいところが好きと言われたばかりだ。 他のことを言うべきということなのだろう。 再び考える。 「強いところも好きだな」 「バトルのこと?それはレッドたちほどじゃないけど」 「そうじゃなくてさ。心のことだよ」 彼女の過去。 暗く、辛い生活をしてきた。 身も心も傷つけてられた。 それでも彼女は生きてきた。 苦難を乗り越えて、幸せを勝ち取った。

15 22/11/28(月)00:20:37 No.998108289

そんな彼女を尊敬する。 単にバトルが強いよりも、それは誇れるものだと思う。 「どんなに辛い目にあっても立ち直って、前に進んできたブルーはすごいって」 「そこは、レッドもじゃない?」 「オレなんかまだまだだよ。 ブルーほどじゃない」 経験した過去の辛さも。 そこから自力で這い上がる意志も。 自分にはないものだ。 かつての自分はブルーに励まされ、立ち直ったのだから。

16 22/11/28(月)00:26:32 No.998110518

「他には?他に何かない?」 「他には、そうだなぁ」 ブルーが、身を乗り出してくる。 もっと聞きたいのだろう。 自分がどんなにブルーを好きなのか。 どれだけ自分に愛されているのかを。 「オレが頭に血が昇った時に、宥めてくれたりしてさ。 ブルーの言葉なら、なんだか素直に聞いちゃうんだ」 「レッドは単純だもの。 言い方さえ気をつけてたら言うこと聞いてくれるわ。昔からね」 「そうなんだよなぁ。 昔からブルーはオレの扱い方が上手くて」

17 22/11/28(月)00:33:13 No.998112979

思えば、出会った頃から。 あの時から、ブルーには良くも悪くも乗せられてしまっている。 彼女の意見に従うしかない。 そう思わせる誘導が上手かった。 「前と違って今はオレに酷いことしないからさ。 だから安心してブルーの言う通りにできるんだ」 「信頼、してくれるのね」 「恋人だからな」 「そう…」 優しい笑み。 瞼が少し閉じられている。 こちらを見つめる瞳。 満面の笑みではなく、薄い笑み。 何かを噛み締めているような、そんな顔だった。

18 22/11/28(月)00:39:00 No.998115158

「他には?アタシの外見とか好き?」 「それも好きだよ。 外見で選んだわけじゃないけど、彼女が美人で嬉しいとも思うよ」 そこも事実だ。 彼女の美貌が評価されるのは自分のことのように嬉しくなる。 「胸大きくて、スタイルもよくて嬉しいなとも思ってる?」 「自分でいうなよ!そうだけど…」 気恥ずかしくて、つい大声になってしまう。 やはりそれも事実なので否定ができない。 彼女本人に指摘されるのは羞恥でしかないのだが。

19 22/11/28(月)00:40:39 No.998115807

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20 22/11/28(月)00:44:51 No.998117339

「…ふぅ。満足したわ。 これくらいでいいわよ」 「そうか…」 言われて肩を落とす。 なんだか肩が凝った気がする。 慣れないことをしたせいか、身体に普段はない負荷がかかっていた。 ある意味では、どんな修行よりも過酷な行為だった。 「ごめんね。無理に言わせて」 「いや、いいよ。 ブルーが言って欲しかったのなら聞かせてあげたいし」 せっかく恋人になれたのだ。 パートナーの喜ぶことをしてやりたい。 たとえそれが恥ずかしい行為でも。

21 22/11/28(月)00:49:30 No.998119010

「いっぱい、いいこと聞けてよかったわ」 言いながらブルーはあるものを掲げてみせた。 細長いスティック状のもの。 それでも手のひらサイズのものだが。 彼女がスイッチを押す。 『優しいところ、かな』 「そ、それって、オレの声!?」 おそらくボイスレコーダーなのだろう。 機械を通して聞く自分の声には違和感はある。 だけど、この状況で聞かせてきたセリフがさっき自分が言ったばかりのこと。 だから自分の声を録音した、という見立てで間違いないだろう。

22 22/11/28(月)00:53:46 No.998120451

「それ、音声データを消してくれないか?」 「ダーメ。毎日聴きたいもの」 ブルーはこちらの要求を断るとシャツの襟元を引っ張る。 あらわになった胸元にボイスレコーダーを入れて、シャツを元に戻した。 「消してほしいなら取ってみる? ちょっとくらいならボイスレコーダー以外のところも見たり触ってきてもいいけど♡」 「いや無理だよ…」 こっちはまだ彼女の裸どころか下着すら見たことがない。 事実上手が出せない。 そんなところに隠されて、レッドは頭を抱えた。

23 22/11/28(月)00:54:03 No.998120554

以上です 閲覧ありがとうございました

24 22/11/28(月)01:01:44 No.998123138

彼女ができて腑抜けたレッドを書こうと言うのが初期案でしたがそういう堕落しそうなのからの脱却は前回ブルー視点ですが書きましたので今回のようになりました 多分スイッチ入ったらレッドはいつものバトル脳に戻るかと

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