虹裏img歴史資料館

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22/11/24(木)22:50:31 「おの... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1669297831762.jpg 22/11/24(木)22:50:31 No.996939140

「おのれメイケイエールめ…」 チームメンバーが集う部室。ホワイトボードの前でトレーナーの隣に立つ彼女を見て、廊下側の椅子に座るアタシは前から知っていたその名前を誰にも聞こえないぐらいの声でつぶやいた トゥインクルシリーズクラシック期の夏合宿前。その最後のチーム会議で新メンバーを紹介すると聞いていたから、どんな子が加入するか楽しみにしていたのに。実際にこのチームにやって来たのはアタシとちょっとした因縁がある相手だったのだ 「メイケイエールです!!!!よろしく!!!!!!!!!お願い!!!!!!!!!しまあああああああああああああああああああああああす!!!」 気をつけの体制で思いきりさけぶ彼女。よくみると目の中はぐるぐるにうず巻き汗はタラタラ。緊張してずいぶんかかっているらしい そんな少女を他のチームメンバーは暖かい拍手で出迎えたが、この時アタシはどうにも皆んなと同じ気分にはなれなかった。別に今でもあの事件を気にしているわけではない

1 22/11/24(木)22:50:53 No.996939303

…というよりアタシは、彼女よりトレーナーに怒ってるのかもしれない。当時アタシよりも不機嫌だったトレーナーがどうして彼女をチームに引き入れたのか。勿論引き入れるのはトレーナーの勝手なのだが、ならばどうしてアタシに一報を送らないのか。アタシと彼女のセンシティブな衝突が起こる可能性があることは簡単に想像できるはずで、そのケアもトレーナーの仕事ではないのか、と いや…彼女も彼女かもしれない。アタシがこのチームにいることなど承知だったはずだ。それなのにアタシと同じチームに入るのは、何かの当てつけなのか?あぁ…モヤモヤする! みんなの歓迎ムードに混じれなかったアタシは悶々としながら、開けっぱなしのドアから見える廊下の先を無表情で眺めていた

2 22/11/24(木)22:51:00 No.996939345

スレッドを立てた人によって削除されました 自演開始いいいいい

3 22/11/24(木)22:51:17 No.996939472

□ (ああああああああ…!!!!あの子どえらく怒ってまあああああああす…!!!!!!!!!) 緊張してつい大声で挨拶をした私は心の中でもそう絶叫してしまいました。目線の先には、廊下側に座るウマ娘が明後日の方角を向いています。その彼女がソングラインという名前だったのも覚えています。忘れるはずがありません みんなの歓迎ムードから明らかに離反していたその姿を見れば、あまり人の気持ちを汲み取れる方ではない私でもソングさんの気持ちを理解できました あぁ、すごい怒っている…

4 22/11/24(木)22:51:51 No.996939736

思い当たることは一つ。自分が緊張の末暴走してしまったあの桜花賞。そこでソングラインさんを邪魔してしまい二人揃って最後尾へ… 惨敗を喫したレースの後すぐ私は謝罪をするためにソングさんを探しました。しかしライブにも参加せずにそそくさと帰ってしまったらしく、チャンスを逃してしまいます いつか謝らなくては…とずっと考えていましたがちょうど良いタイミングが見つからず、遂にこの日を迎えてしまいました 無表情で廊下を眺めるその彼女の姿が自分を拒絶しているように見えて、私の胃もキリキリ叫んでいました トレーナーさんからは「別にあの娘は全然気にしてへん」と仰っていただきましたが… (絶対あの時のこと気にしてまああああああす……!!!どうしよおおおおおおお………本当にどうしよう………とにかく………とにかく謝らないとおおおおお…!!!)

5 22/11/24(木)22:52:34 No.996940030

■ チーム会議が終わり他のメンバーが渦中の新人を取り囲む中、気乗りしなかったアタシは用もなかったのでそそくさと部室を後にした 窓から夕陽が差し込んでいる。廊下を進む途中たまたま通り過ぎた教室にいるウマ娘二人が楽しく談笑をするところを一瞥して、あぁ、このままだと絶対気まずいな。と、さっきまでの自分の態度に後悔し始めていた あぁどうしよう、明日からどうやって彼女と接すればいいのだろう。ため息をつきながらスタスタ歩く

6 22/11/24(木)22:53:17 No.996940356

と、気がつけばもう、自分の下駄箱の前にたどり着いていた。外履きに履き替えるために扉を開けると。いっそ、今から部室に戻るべきなのではないのか?という考えがよぎった …いやいや、きっと今頃盛り上がっているだろう。アタシが戻ったらきっと雰囲気を悪くしてしまう。今日起こったことはもう仕方がない。おい!思い詰めすぎだぞソングライン!そうだ、今日は具合が悪かったことにして、明日から何事もなかったかのように初めましてすればなんとかなるでしょ! …しばらくの時間を、ただ靴を眺めるだけに使ってしまったな。アタシはようやく箱の中に手を伸ばす。その時だった

7 22/11/24(木)22:54:19 No.996940820

□ 「まってくださあああああああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ソングさんの背中をみつけた私は全速力で廊下を駆けながら、挨拶の時よりも大きな音量で叫びました! 「えっメイケイエール!?」 キキキーッ!とブレーキする音がオレンジ色に照らされた玄関に響きわたります。部室からひと足先に去るソングさんを見ていた私は他メンバーの質問攻めからなんとか抜け出し、ソングさんを追いかけたのでした 彼女は外履きを持っています。今靴を履き替えて帰るところだったようです。よかった!間に合った! 「ど…どうしたの?」 「あっ…あの!!!」 そして間髪入れず頭を思いきり下げて抱えていた精一杯の謝罪の気持ちをぶつけました

8 22/11/24(木)22:55:01 No.996941150

「あの時…迷惑かけて…ごめんなさい…!今までずっと…謝れなくて…ごめんなさい!!」 「えっ?あー…」 その叫びは再び正面玄関を響かせました。…しかしそのあと私たち二人はお互いどうすればいいかわからず、そのまま固まってしまいました。冷たい空気の中夕焼け空のカラスの鳴き声がやけにうるさく感じます しばらく経った後、ソングさんは外履きに履き替える音と一緒にこう言いました 「あ~、だっ大丈夫だよメイケイエールさん!ほらっ、アタ…私、べつにそんな、気にしてないから…!」 「…」 「…………えっと、だから~……その……」

9 22/11/24(木)22:55:58 No.996941545

その返事が聞こえても、私は頭を上げませんでした。再び二人ともその場で固まってしまう。また静かになってしまいました …ザリっ、と。靴と砂が擦れる音がしたと思ったら 「ごめん!じゃっ、またねっ」 「えっ」 とだけ言い残してソングさんは逃げるように校門へ駆け出していきました 私は一方的に謝罪を叫んだ後に、顔を上げて彼女の反応を、表情を見る勇気がなかったのです。無理に笑顔を作らせていたらどうしよう、目が笑ってなかったらどうしようって、とにかく、怖くて 逃げられた瞬間驚いてようやく顔を上げた私はそのまま、透明な壁に阻まれたように立ちすくんでただぼんやりその彼女の背中を追っていました

10 22/11/24(木)22:56:42 No.996941909

■ 「なんであそこで一緒に帰ろうとかそういう気の利いた言葉をかけなかったんだソングライン…ッ!!!!」 最悪だ最悪だ最悪だ!苦しくてぽすぽすぽすと枕をタコ殴りにしてしまう。ごめん!許せ! 自室に戻った後、居た堪れなくなったアタシはすぐベッドの上でうつ伏せになり後悔に苛まれていたのだった あの後にライブに出演せずにすぐ帰ったり(当時アタシは怒って帰ったというより普通に疲労で辞退しただけなのだが)、部室でぶっきらぼうな態度をとってしまったことを思い出す。あぁ、彼女はアタシをちゃんと見ていたんだ… しかも嫌われて当然な態度のアタシに向けてまっすぐ謝ってきた。言葉を思い返せばそうだ。彼女はきっと今日までアタシに謝罪がしたかったんだろう。なんて真面目で良い子なのだろうか それに比べてアタシはといえば適当にはぐらかしてその場から逃げ出した。なんと失礼なことをしてしまったんだ!

11 22/11/24(木)22:57:25 No.996942227

「あああああんもぉぉぉぉ!!!最悪!!!!絶対あそこで嫌われた!!!!アタシのバカ!バカ!バカ!」 「ただいまー」 「うわっノックしろタイムトゥヘブン!!」 自分の恥ずかしさで苦しんでいる中空気の読めない同居人が帰ってきた。醜態を晒したくなかったアタシは途端に黙る。しかしアイツはなぜか呆れ顔でアタシのことを見ていた 「…それ、普通に外まで聞こえてたよ」 「うそ!? はぁ…最悪だ……」

12 22/11/24(木)22:58:05 No.996942494

ああもうダメだ。体に力が入らない。まだ夕飯もお風呂も済ませていないのに 恥ずかしすぎてもう何もかもがめんどくさくなってきた。このまま寝てしまおうか。…さすがに乙女としてあり得ないけど 「それにしても、そんな悶えるなんてラインにしちゃ珍しいじゃないか」 「そうかもな…こんなやらかし初めてだもん…」 「何があったか僕に相談してごらんよ。何かの役に立てるかも」 同居人はイスにこしかけそう問いかける 普段なら、調子に乗るなよタイムトゥヘヴン!と罵るところだったが、事が事だったからついに打ち明けたのだった

13 22/11/24(木)22:58:55 No.996942813

「とある事情で一悶着あったチームの新人に、すごい突き放すようなことしちゃったんだよ…」 「へぇ…面倒見の良いお前らしくない。どんな子にどんな事したんだ?」 「…………………………………………いいや。説明するのめんどい。アタシもう寝るよ」 「なんでだよ!?肝心なところだろ!?相談にならないだろ!?」 「思い出させないでくれタイムトゥヘヴン!もう少しで落ち着くところだったのにぃ!!がああああああああ!!!!!!!!!」 「せめて静かにしてくれ…」 「まあ。なんとかなるさ。ほら、ウマ娘って基本みんな優しいだろう?その子とも上手くやれるって!」 「…アタシは優しくなかったぞ」 「ハハハ!言えてる!普通のウマ娘と違ってラインは厳しいもんな!特に僕とかに」 「その口止まらないならいい加減拳で寝かすぞタイムトゥヘヴン」 「ひっ!……このゴリウーめが!」

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