ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/11/22(火)23:30:32 No.996215031
「トレーナーさんは……宇宙人なんですか!?」 「スペ……」 昼下がりのトレセン学園、中等部校舎屋上にて。ウマ娘スペシャルウィークは自身のトレーナーへそう投げ掛けた。 彼女に背を向けたトレーナーは天を仰ぎ、一言彼女を愛称で呼ぶと振り替えることなく続ける。 「……そうだ。俺は、遥か彼方のソラからこの地球にやって来た外星人だ」 「そんな……本当に……」 何故こんな事になってしまったのか。そんな疑問を抱きつつ屋上から下を見下ろすと、特殊部隊が既に自分を捕らえるために展開しているのが見える。 (猶予は無い、か) 事の始まりは数日前。彼がモミジ型ウマ娘イーターから紅葉狩り客を守るために戦った事に起因する。
1 22/11/22(火)23:30:56 No.996215191
◆ 夏の暑さはすっかり失せ、冷たい風と美しい紅葉が目立つようになってきた秋のこの頃。スペシャルウィークのトレーナーは久々の休養で紅葉を見るべく群馬へ来ていた。 「有名観光スポットに来たみたいだ。テンション上がるな~」 群馬は自然が多く、またこの時期になると紅葉が非常に美しい事もあってどこも人で賑わっている。その賑わいの中の1人として──有名な観光スポットだとは知らなかったようだが──紅葉狩りを楽しんでいた彼だったが…… 「きゃああああ! ウマ娘イーターよ!」 ウマ娘イーター。人類の天敵であり相容れる事ない絶対敵。擬態の為か、モミジ型のそれが群れをなして現れたのだ。 観光名所ともなれば人も多く、ウマ娘も多かった。それを狙ってきたのだろう。山奥から次々と現れるウマ娘イーター相手に退役トレーナーの警備員やこっそりと担当とデートに来ていた現役トレーナー達が迎撃に当たるも、数の暴力とはいつの時代も猛威を振るう。あっという間に防衛戦は突破され、避難所にウマ娘イーターが押し寄せてきた。 その避難所で、スペシャルウィークのトレーナーは自分の身の振り方を決めかねていた。
2 22/11/22(火)23:31:17 No.996215323
(不味いな……スペが居ない今戦ってしまえば俺の正体がバレてしまう) トレーナーは自身の本当の姿を思い浮かべる。人間とは違う体色、体表のそれはまさしく外星人──宇宙人そのもの。バレればどうなることか。 (スペの為を思うならここで皆を見捨てて逃げるべきだろう。しかし……) 「ママ怖いよ……」 「大丈夫。パパもトレーナーだったんだから、きっと倒してきてくれるわ」 怯える小さくも幼い命を見て── (……はぁ。まったく、俺もトレーナー──“人間”になってしまったものだな) 判断に迷ったのはほんの僅かな時間。トレーナーは人々を守るためにウマ娘イーターの前にとびだすとある光線を放った。
3 22/11/22(火)23:31:57 No.996215585
『スペニウム光線』。スペシャルウィークのトレーナーたる彼のエネルギー源であり、彼の体組織を構成する原子番号133の超重元素“スペニウム133”。それを光波熱線として放射したのだ。 一瞬で周辺大気がプラズマ化する熱量でたちまちウマ娘イーターは蒸発したが“スペニウム133”は本来彼が愛バ、スペシャルウィークの近くに居ることで無尽蔵に獲得できる物質(愛)。それが無ければ消耗は激しく、彼は人間の外見情報を維持できなくなって本来の姿を衆目に曝してしまう。 それにより人類を遥かに上回る力を持った外星人が居る情報は瞬く間に世界へ広がり、各国が何としてでも彼を手に入れようと手段を問わず動き始めてしまったのだった。 ◆ (愚かなものだ。人間も、俺自身も。このままでは彼女もどんな目に遭うか) 「トレーナーさんは……」 「うん?」 回想から戻り振り返るとスペシャルウィークが涙を流していた。泣いていたのだ。しかしそれは決してトレーナーが外星人だったからではない。
4 22/11/22(火)23:32:20 No.996215732
「もう、私と一緒に……居られないんですか……?」 「──あぁ、参ったな。人間になっていたつもりだったが……そうか。これが寂しさ、悲しみか。群れからはぐれると言うのは……“心”に来るものだな」 「悲しいなら! 寂しいなら一緒に居れば……!」 「すまないねスペ。どうやらここまでのようだ」 トレーナーはスペシャルウィークの言葉を制止し、懐から掌サイズの金属と思しき筒を取り出した。同時に3年も経って最初ほどの輝きは失ってしまったトレーナーバッヂを彼女へ放る。 「どうかそれを大切にしていてくれ。そして、愚かな俺を許してくれ。君と他の人々を天秤にかけてしまった俺を。……君と居た3年間……とても楽しかった。愛おしかったよ」 「トレーナーさ──」 カッ! 筒が光り、辺りを眩しく照らす。目も開けられないその光の中へ、トレーナーは消えていった。 ……… …… …
5 22/11/22(火)23:32:41 No.996215852
「………あれ? 私どうして屋上なんかに……? ってええ!? 涙が!? なして!?」 世界は“彼”を忘却した。“彼”が誰だったかは誰も思い出せず、そもそも“彼”が存在していた事は無かったことになった。 ただ1つ、彼女の手に握られたトレーナーバッヂだけが“彼”の居たことを証明するように、鈍く光を反射させていた。
6 22/11/22(火)23:34:02 No.996216324
ゴルニウム564とか考えてたけど、響き的にはスペシャルウィークのほうが良かっただけ
7 22/11/22(火)23:36:24 No.996217141
ギャグ回ですか?
8 22/11/22(火)23:36:56 No.996217324
>ギャグ回ですか? しかし登場人物は全員マジだぜ
9 22/11/22(火)23:37:47 No.996217633
ツッコめばいいのか悲しいお話だったね…すればいいのかわからない…わからないんだ
10 22/11/22(火)23:40:07 No.996218457
>「トレーナーさんは……宇宙人なんですか!?」 >「スペ……」 >昼下がりのトレセン学園、中等部校舎屋上にて。ウマ娘スペシャルウィークは自身のトレーナーへそう投げ掛けた。 >彼女に背を向けたトレーナーは天を仰ぎ、一言彼女を愛称で呼ぶと振り替えることなく続ける。 >「……そうだ。俺は、遥か彼方のソラからこの地球にやって来た外星人だ」 >「そんな……本当に……」 >何故こんな事になってしまったのか。そんな疑問を抱きつつ屋上から下を見下ろすと、特殊部隊が既に自分を捕らえるために展開しているのが見える。 >(猶予は無い、か) シリアス系か… >事の始まりは数日前。彼がモミジ型ウマ娘イーターから紅葉狩り客を守るために戦った事に起因する。 ギャグか…
11 22/11/22(火)23:40:50 No.996218698
はるか空の星が
12 22/11/23(水)00:01:05 No.996225926
>>「トレーナーさんは……宇宙人なんですか!?」 >>「スペ……」 >>昼下がりのトレセン学園、中等部校舎屋上にて。ウマ娘スペシャルウィークは自身のトレーナーへそう投げ掛けた。 >>彼女に背を向けたトレーナーは天を仰ぎ、一言彼女を愛称で呼ぶと振り替えることなく続ける。 >>「……そうだ。俺は、遥か彼方のソラからこの地球にやって来た外星人だ」 >>「そんな……本当に……」 >>何故こんな事になってしまったのか。そんな疑問を抱きつつ屋上から下を見下ろすと、特殊部隊が既に自分を捕らえるために展開しているのが見える。 >>(猶予は無い、か) >ギャグか… >>事の始まりは数日前。彼がモミジ型ウマ娘イーターから紅葉狩り客を守るために戦った事に起因する。 >ギャグか…
13 22/11/23(水)00:22:49 No.996235347
物語の始まりは 微かな寂しさ──
14 22/11/23(水)00:25:37 No.996236661
しかしてその愛情という人類らしさこそが 君の存在を苦しめるとは皮肉じゃないか○○○○○○○(トレーナーの本名)
15 22/11/23(水)00:32:06 No.996239550
うわぁ急にZ空調するな
16 22/11/23(水)00:32:08 No.996239569
ベーターカプセルかと思ったらミューラライザーだった
17 22/11/23(水)00:35:18 No.996240928
(大気圏外に浮かぶ巨大なマーベラス)