虹裏img歴史資料館

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22/11/06(日)23:58:16 泥っすね のスレッド詳細

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画像ファイル名:1667746696419.jpg 22/11/06(日)23:58:16 No.990704551

泥っすね

1 <a href="mailto:sage">22/11/06(日)23:58:45</a> ID:ASJZht7A ASJZht7A [sage] No.990704716

スレッドを立てた人によって削除されました >>にお>にお

2 22/11/07(月)00:22:21 No.990713169

久しぶりにzawazawaを使いどころが来たようだな...

3 22/11/07(月)00:22:51 No.990713332

薄っすらと朝靄が浮かぶ路地を抜けると圧倒された。 端的に言うと人と物が溢れている。小さな広場に所狭しと屋台が並び、軒先には売り物が山積みにされていた。 それを求めにやってきた人々が行列を作り、屋台と屋台の間を縫って伸びている。 屋台の店先には例外なくカンテラが掲げられ、その明るい輝きが熱気を照らしていた。 その猥雑さに陰気はまるで無い。これから活動を開始するという陽の気に満ちて活発だった。 「ほらほら、ぽやっとしてねーでついてくるっすよ!一度逸れたら大変なんすから、ここ」 「手を出してください。繋いでおけば離れ離れになりにくいですから」 先々進もうとするアズーラ。ノノイは手を差し伸べてくれた。そっと握るとにこりと微笑んでくれる。 上着を引っ掛けた水着姿でサンダルをぺたぺた鳴らし歩いて行くふたりの後を追う。 途中には彼女たちと同じような格好の人を何人か見かけた。このエリアでは画舫乗りは普遍的な職業だ。 店先の前に立った人々はあまり悩むこともなく品物を電子通貨で交換していく。手慣れた様子だった。 すごい活気だ、と感嘆すると、城下町じゃよくあるものっすよ、とアズーラが軽く振り向きながら言う。

4 22/11/07(月)00:23:05 No.990713419

「"朝市(コキード)"は別にここに限ったことじゃねーっす。他の区画でも毎日開いてるっす。  仕入れたものを夜明け前から手早く売り捌いて、9時頃にはほぼ撤収完了って感じで。大抵のものはここで全部揃うっすよ」 ちなみに始終薄暗い珊瑚の海では微かな明度の差を夜明けや日の入りと定義している。 「珊瑚の海ではルコイで何でも取引されていますからね。売買が簡単なんです。他のエリアだと物質通貨で取引しているところもあるらしいですが…」 「ホントにそんなエリアあるんすか~?わたし眉唾だと思うんすけど。…あっ、ここっ!ここっすよ!」 ルコイは珊瑚の海の電子通貨の名前だ。SE.RA.PH最大の国家エリアの通貨なだけあり、その名は有名だ。 横の屋台で買い手が宙空を指で擦って画面を喚び出しそのルコイで支払いをしているのを見ていたら、強く手を引っ張られた。 ふたりが飛び込むように屋台の席につくのに倣い、彼女たちの横に座る。年季の入った椅子とカウンターだった。 いつものっす、3杯ね、とアズーラが注文しているので店の中を覗き込んでみた。 加熱されている大鍋から朦々と立ち込める湯気。カウンターの前の鉢には様々な副菜がずらりと並ぶ。

5 22/11/07(月)00:23:16 No.990713476

屋台を切り盛りしている初老の女性はあまり愛想のない態度で3つの丼をカウンターに置いた。 丼の中をたっぷりと満たす白い液状の食べ物。大鍋からよそわれたそれは美味しそうな匂いを放っていた。 「ここのお粥、本当に美味しいんすよ!わたしが言うんだから間違いねーっす!あ、おかずは目の前の鉢から好きなもの取っていいルールなんで好きにするといいっすよ」 説明するアズーラの目がきらきらと輝いていた。彼女がグルメだというノノイの言葉は確からしい。 試しに匙で粥を掬い、口に運んでみる。穀物の甘み。仄かな塩気。鼻をくすぐる微かな胡麻の油の香り。 口に入れると先程起きたばかりの胃に驚くほどするすると入っていく。アズーラが言う通り、素朴だが絶品だ。 「朝市に来る商売人が目当ての飲食店って結構多いんですよ。  でも、いろんなエリアにあるそういうお店を逐一知ってるのはアズーラくらいでしょうけれど」 「各エリアを全部渡り歩いて調べぬいたっすからね!わたし食べるものに関しては手が抜けねーんす。  それよりのんびり食べてる時間はないっすよ。王城の警備の巡回ルートなんてわたしたちは熟知しつくしてるっすけど、油断は禁物っす」

6 <a href="mailto:〆">22/11/07(月)00:23:35</a> [〆] No.990713596

「そうですね。うちの…『青の林檎』の社長なら便宜を図ってくれるはずですけれど、それまでに捕まっちゃったら元の木阿弥です」 「その格好をしてれば極端に怪しまれることはないと思うっすけどね~」 それはそうだ。捕まれば厄介なことになるのはもちろん、4人目の王の落胤なんてものを庇ってくれるふたりに迷惑がかかる。 だがアズーラの悪戯っ子のような笑み、ノノイの少し申し訳無さそうな苦笑を受けてつい自分の格好を見下ろす。 なるほど。画舫乗りの格好、となればこの珊瑚の海では保護色だろう。しかし…。 「急場拵えで変装させたんだからむしろ感謝して欲しいくらいっすよ?」 「あはは…。その、伝手を頼ってすぐ用意できたのがそれしかなかったので…」 水着なのはいい。このエリアではよくある姿だ。水に濡れる仕事をする人が多いから、というのは道理だ。 けれど、だとしてもこれは何とかならなかったのか。気を取り直し、匙を口に運ぶ。こんな格好をしていても粥は美味い。 「小魚のオイル漬けがお勧めっす」 「根菜の煮物も美味しいですよ」 勧められるままに口にしたものもますます匙の動きが早まるような美味だったので、少しだけ気が紛れた。

7 22/11/07(月)00:47:47 No.990721172

4人目の王の落胤 一体何者なんだ

8 22/11/07(月)00:56:17 No.990723801

さっき投げられたスーサイドが面白かったし自分も練ろうかな 一応ODやリストカットとかの自傷行為の具現としてのスーサイドの案もあるんだけど真名が決まらん…

9 22/11/07(月)01:19:23 No.990729975

「…凄…」 アズキは信じられないとばかりに渡された手元の柄を見遣った。 例えるなら、某映画のライトセーバー。手応えは薄く張った氷を指先で割るかのように繊細で、だがくっきりと残る。 切れ味を味わうよりも、全く未知の技術で作られた剣を手にした気分のほうが勝っていた。 「いっ…たた…いやぁ助かりまシた。わたし切った張ったはからっきしなんでスよ…」 ぼやきながらふらりと立ち上がった影の言葉で我に返った。埃を払いながら立ち上がった相手へと駆け寄る。 「だ、大丈夫ですか!?」 「生憎大丈夫ではないでース。1機喪ったかな。まあ、想定内でスが…」 体型を隠すようなゆったりとした服に身を包んだ小柄な女性が呟く。アズキには言葉の内容はちんぷんかんぷんだ。 やれやれ、と呟いた小柄は月光が見下ろす中、一転して面白そうに笑って言った。 「しかし、日本のこんな北の果てできみみたいな人に会えるとは思いませんでシた。名前を聞いても?」 「…鴈鉄梓希、です」 「ふぅン。アズキですか。わたしは───」 にたりと小柄が微笑む。機械が笑ったような不気味さを一瞬アズキは覚えた。 「テアといいまス。ええ、呼び捨てで結構でスよ?」

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