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22/09/23(金)22:04:10  サン... のスレッド詳細

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22/09/23(金)22:04:10 No.974809652

 サンディに抱かれて『女』にされた僕は目覚めと共に下腹部…具体的には生殖器の辺りがジンジンした。  肝心のサンディと言えば人の気持ちも知らないで僕の隣でスヤスヤと気持ち良さそうに寝ていた。  溜め息を一つ零し、僕は身体にこびり付いた汗諸々の体液をシャワーで洗い流すと、朝食を摂るべくカフェテリアへと向かった。  昼前。書類業務を終えて背筋を伸ばす。朝食を食べに出掛けている僅かな間に、僕の部屋から忽然と消えていたサンディは何所に行ったのだろうかと思い、少しばかり学園の中を散策してみる事にした。  トレセン学園は広い。使われてない教室や寂れた部室やら幾つもの広い花壇や畑。庭にはお茶をする為のテーブルと椅子が置かれたスペースがあったり、芝の上でお弁当を食べたがる生徒達の為に手入れの行き届いた広い芝もある。  さて、木を隠すなら森の中。裏を返せば人混みを探せば自ずと目的の人物は見付かると言う物。キョロキョロと見渡せば五、六人のウマ娘がワチャワチャとしていた。渦中の人物は勿論サンディだった。

1 22/09/23(金)22:05:11 No.974810219

「お前短距離頑張ってんだな。エラいぞ」 「はい! ありがとうございます!」 「お前最近調子伸び悩んでるんだってな。諦めんなよ。逆境なんざ噛みついてやれ」 「ありがと! あたい頑張る!」  サンディはニコニコと自分の傍に居るウマ娘達の頭を撫でて周り、その手に幾つかのハッカキャンディを手渡していた。 「サンディ!」  僕は「謎のハッカキャンディをプレゼントするウマ娘」と化していたサンディの名前を呼んだ。すると彼女は此方に一瞬振り向くと、周りの少女達の肩をパシパシと叩き、此方へと駆け寄ってきた。 「一体何をしていたの? 飴玉なんか配って」 「可愛い子に飴玉の一つや二つ、配った程度でこの国は地獄に落ちるのか? ケチで嫌な国だな」 「そーゆー意味じゃ無くて! 君は無意味にそう言う事をする子じゃないだろう?」  僕には確信があった。死の淵から僕の命を拾い上げたのは彼女だし、彼女は霧の様に消えてみたり忽然と姿を消したりと、超常現象を自在に操ってみせる、明らかに異質な存在だ。 「…ま、別に隠すもんでもねえな。オレ達ウマ娘やニンゲン風に言うと、運命を感じるって奴だ」 「運命…?」

2 22/09/23(金)22:05:51 No.974810608

 確かに、ウマ娘はよく赤の他人で在りながら特定の相手に対して何か不思議な縁や運命的な物を強く感じると昔から言われているが…   僕は自由気ままに庭を歩くサンディの後ろを付いて歩きながら考え込んだ。その時だった。 「おっ! あの姿はマックちゃんじゃねえか!」  不意に嬉々とした声を上げて駆け出したサンディの行き先は、このトレセン学園でもトップクラスの有名人の一人、優雅にお茶を飲んでいたメジロ家のご令嬢、メジロマックイーンだった。 「マックちゃーん! 久しぶりだなぁ! 会いたかったぜー♡♡♡」  今にも飛び付かん勢いで近付いたサンディを見て、メジロマックイーンは酷く不愉快そうな…まるでヒトを殺すのも躊躇わない様な、普段の優雅さの欠片も無い冷たい表情とオーラでサンディを見た。 「…何方様でしょうか。騒々しくもわたくしのお茶の時間を邪魔するのは」 「オレ様の名前はサンデーサイレンス! マックちゃんとオレ様は深い深ーい運命に結ばれて居るんだぜ!」

3 22/09/23(金)22:06:50 No.974811219

 えっへん、と堂々と薄い胸を張ってそう言い切るサンディを見て、興味も無いとばかりにティーカップを持ち上げてメジロマックイーンは彼女を切り捨てた。 「わたくしと貴女との間に深い運命? その様な物が在る訳が無いでしょう。わたくしの視界から消えて下さります? 折角のお茶が不味くなりますので」 「あぁ~~~ッ! その死海よりもドロッドロの塩ッぷりが堪んねえ! 久しぶりに味わったぜ! それじゃマックちゃん、また会おうな!」  言うや否や、サンディはウキウキルンルンとばかりに軽快なステップを刻みながら何処かへと立ち去っていった。  僕は今まで見た事も無いメジロマックイーンの冷たい塩対応振りに首を傾げた物の、取り敢えず彼女にサンディの非礼を詫びようとした。あんなに塩々な対応を取るメジロマックイーンは、ゴールドシップから酷い悪戯を受けた時でも見た事が無い。 「こんにちはメジロマックイーンさん。さっきはウチのサンデーサイレンスが貴女に迷惑をお掛けしてしまってすみません」  ぺこり、と頭を下げる。そして頭を上げた瞬間、目の前に飛び込んできたのは春の陽気の様に穏やかな表情のメジロマックイーンの顔だった。

4 22/09/23(金)22:07:28 No.974811564

「嗚呼…何故でしょうか。貴女が近付いてきた途端に胸の奥が暖かく成りましたわ。良ければお名前を伺っても? 若しかしてメジロの血脈のお方?」  僕はとても驚きながら自己紹介した。 「えっと…ハレルヤニチヨウビ、と申します。多分メジロの血脈では無いと思いますけど…」  歯切れ悪くそう答える物の、メジロマックイーンはしげしげと僕を眺めて… 「嗚呼、ですがその芦毛、その髪質、私に良く似ていますし、ゴールドシップさんとも良く似ていますわ…確りした体付きもゴールドシップさんの様に…わたくし、彼女とは何か深い縁を感じますの。だから貴女も若しかして、と…」 「畏れ多い限りです…」 「ふふ、可愛いヒト。お茶のお代わりを持って来させましょう。折角ですわ。お昼もご一緒しませんこと?」  その後、僕はメジロマックイーンの優しい言葉に押されてメジロ一家に紛れてお茶とお昼を頂く事になった。  昼休憩を終えて、学園指定のジャージに着替え、トレーニング道具を入れたダッフルバッグを片手に学園から宛がわれた小さなプレハブに足を運んだ。  その途次、霧の中から現れる様にサンディがひょっこりと顔を出した。

5 22/09/23(金)22:08:22 No.974812069

「よう相棒」 「やぁサンディ。さっきのメジロマックイーンさんに対する対応はもう勘弁してよ」 「そりゃ無理な相談だ。オレ様はマックちゃんに銀河の果てまでゾッコンLOVE♡だからな」  合成甘味料をふんだんに使った様な駄々甘な彼女の言葉を聞いて僕は「はぁ~…」と溜め息を吐いた。メジロマックイーンさんからサンディに対して僕宛に苦情が来ないか今後が心配になった。 「さて相棒。お前はこれからどうするんだ?」 「どうするんだって…サンディ、君が勝手に僕の出走届け出しちゃったからにはレースに出るしかないじゃないか。僕はトレーナーなのに」 「そんなつまんねえ事で一々悩んでたのか? バ鹿な奴だな。ウマ生、刺激があるから楽しいんだろうが」 「でも、僕がレースに出るとなったら誰が面倒を見るって言うんだい? 僕が受け持っているチームの少女達の面倒を。自分を優先してトレーニングするだなんて、そんな本末転倒な事はトレーナーとして出来ないよ」  困った風に僕がそう言うと、フフンと自信たっぷりにサンディは胸を張った。

6 22/09/23(金)22:09:14 No.974812559

「オレ様はこう見えて大きなレースを何度も経験したツワモノだ。あのケンタッキーダービーの勝利をもぎ取ったことがあるんだぞ」  ケンタッキーダービーと言えばアメリカの有名レースだ。然し彼女がそんなレースを勝った? 信じられない言葉に眉を潜めていると、露骨に不機嫌になったサンディが僕の鼻を強く摘まんで思い切り捻った。 「いだだだだだ!」 「納得いかねえならオレ様をダートで走らせてみろ。それで納得したならオレ様はお前のサブトレーナーだ」  ヒリヒリする鼻を優しく撫でながら何度も頷く僕は何とも情けなかった…。その後、チームの少女達を連れて1800メートルのダートコースに向かい、他の少女達に制服姿で紛れ込んだサンディは、周囲の不安と困惑を余所に砂埃一つさえ付けずに打っ千切りでゴール板を踏んだ。  彼女の走りに舌を巻いた僕達にニヤニヤと笑いながら近付いてきたサンディに肩を叩かれ、僕は彼女のサブトレに成る提案を飲む他無かった。

7 22/09/23(金)22:10:25 No.974813160

 今日も波乱の一日を終え、フラフラと自分の部屋に戻ってくる。するとシャワールームから頭を拭きながら出て来る全裸のサンディの姿があった。…傷塗れの身体を晒して。 「サンディ、ちょっと、キミ…」  絶句する僕に対して、サンディは何に驚いてんだコイツは、と言う表情で身体を拭いていた。 「なんだよ、スナッフビデオでも見たってツラして」 「誰だってビックリするよ! 君のその傷を見たら!」 「そんなに騒ぐなよ、五月蠅えなぁ」  …僕は、すぐ近くに在った椅子に腰掛けながら恐る恐る問い掛けた。 「サンディ…君には熟々驚かされてばかりだけど…その傷は、一体何があったの?」  そう問い掛ければ、まだ乾ききってない髪からポタポタと水を滴らせてニタリと笑い、彼女は答える。 「この傷はオレ様がオレ様足る存在理由であると同時に、何度魂を地獄の炎で燃やされても消えることの無い、オレ様が背負った業や悪役の烙印だ」  魔性の宝石の様な紅い瞳が此方をヂッと見つめてきて、僕は背筋が氷るような思いをした。

8 22/09/23(金)22:11:18 No.974813633

「ほら、お前も早くシャワー浴びて来いよ相棒。今夜は指三本イクからな」  等と、情事のプランを堂々と言い渡されて、僕は顔を真っ赤にしながらシャワールームに向かった。  …サンディの指と舌は、本当に艶めかしい。  甘く深いキスは簡単に頭をクラクラとさせるし、指が僕のお腹の中をかき混ぜれば身体はビクビクと痙攣し  麗しの小さな蕾を舌先でネチっこく責め立てられるだけで何度果てたか分からない。  そうやって、お月様が天高く登り、やや傾いた頃。サンディと枕を並べて寝ている僕は不意に気が付いた。彼女の声がする。 「…やだ…いたい…たすけ、て…いや、いやぁ…こわいよ…たすけて…おかあ、さん…なんで…わたし……」  僕は、泣きじゃくるサンディを深く、優しく抱きしめた。背中を撫でる。  彼女が何者なのか、僕には全く分からない。  分かる事は、彼女が僕の命の恩人で、足の速いウマ娘で、そして…悲しい過去があった、小さな女の子って事だけだ。  でも、それで良い。それだけで良い。 「大丈夫…大丈夫だよ。大丈夫だから…」  優しく囁く。何度も。何度も。 「…僕が、居るから。君は、もうひとりぼっちじゃないよ…」

9 22/09/23(金)22:11:51 No.974813928

 サンディが泣き止むのを見届けて、僕は彼女の額にキスをした。  …僕は彼女と一緒に生きる事を決めた。  彼女にどんな無茶を言われても、彼女に手を振りほどこうとされようとも  傷塗れの小さな命の恩人に、寄り添いたいと心から思った。  ────────── 『称えよ、晴れるや、日曜日3』 Q/何でトレーナーは初夜にサンディちゃんの傷に気が付かなかったの? A/パニクってたし、サンディちゃんが黒色の傷が目立ちにくいネグリジェ着てたから気が付かなかった

10 22/09/23(金)22:21:54 No.974819318

困った…いい…しか言えない…

11 22/09/23(金)22:22:33 No.974819652

>困った…いい…しか言えない… ありがとう とても嬉しい

12 22/09/23(金)22:24:41 No.974820862

>「謎のハッカキャンディをプレゼントするウマ娘」 またトレセン七不思議が増えるな…

13 22/09/23(金)22:25:52 No.974821520

>>「謎のハッカキャンディをプレゼントするウマ娘」 >またトレセン七不思議が増えるな… もう七つ以上あるだろ

14 <a href="mailto:s">22/09/23(金)22:57:28</a> [s] No.974838301

執筆が進めばまた来週投げるね 需要在るか知らんけど

15 22/09/23(金)22:59:29 No.974839234

朝っぱらからふざけやがって!

16 22/09/23(金)23:00:37 No.974839797

>朝っぱらからふざけやがって! セックスしたならやっぱシャワー浴びなきゃ

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