虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。

  • iOSアプリ 虹ぶら AppStoreで無料配布中
  • 「私が... のスレッド詳細

    削除依頼やバグ報告はメールフォームにお願いします。 個人情報,名誉毀損,侵害等について積極的に削除しますので、メールフォームより該当URLをご連絡いただけると助かります

    22/09/22(木)00:23:39 No.974207874

    「私が皇帝であろうと思ったときから、その名では呼ばれなくなった。だからね、その名を呼んで"シンボリルドルフ"を殺してくれないか」 三日月に照らされながら微笑む彼女は、今まで見たことのないくらい妖艶でキレイだった。 つまりはこういうことだ。彼女の、月に由来するという幼名は、皇帝たる彼女を殺す呪文であるらしい。 「君が呼ぶからこそ、なんだ。話した通り、幼少期の私を知るものはこの名を知っている。けれど、皇帝を玉座から消すことができるのは君だけなんだよ」 相変わらず、小難しい言い回しをするものだなと思う。それが背伸びなどではなく相応しいものであるというのは理解できるのだが。 「すまない、少し気持ちが先走ってしまったようだ。ただ、君もある程度察しはついているんじゃないかい?」 皇帝であることを捨てたいと、おそらく君はそう言いたいのであろう。 「以前の私では決して願うことはなかっただろうね。初志貫徹、私の理想を叶えることこそが私の生きる意味だと信じて疑っていなかった」 何故その決意が揺らいだのか。おそらく、原因があるとするならば………

    1 22/09/22(木)00:24:00 No.974207980

    「そう、君の存在だよ。………勘違いしてほしくないが、君の責任と言いたいわけじゃない。むしろ……私の問題なんだ。」 雲が三日月を隠していく。それに合わせて彼女の横顔も影に塗りつぶされていく。薄情にも夏のことをすっかり忘れたような夜風は、二人の体をゆっくりと冷やしていく。 「君だけだったんだ。皇帝としてでなく、一人のウマ娘として私を見てくれたのは。その上で、私の理想を叶えようとしてくれたのは。少し言い方が悪いかもしれないが、無遠慮に。私に接する者は、誰も彼も仮面をつけていたからね」 こちらの目をじっと覗き込んで彼女は言う。仮面なんか被ったって、その目の前では無意味だろうなと思う。家臣を品定めする、冷酷な支配者の目だ。 「途端に私は怖くなったんだ。誰も"皇帝"という仮面を外した私を見てはいない。演じ続けるしかなくなっているんじゃないか、そう思ってね。君と出会う前ならそれでも構わないと思えたんだが………」 そう言うと、彼女はこちらに一歩近づく。二人の間はだいたい頭一つ分。男女の指導者と教え子の距離として、言い訳ができる最も近い距離感だろう。

    2 22/09/22(木)00:24:19 No.974208085

    「ひどく心地よかったんだよ。快感とまで言ってしまってもいい。君と過ごす日々はね。私も皇帝であることを忘れられた。一人のウマ娘として生きることができた。君の素顔も何度も見れた。お互い、好きに自分をさらけ出せた。私の心を麻痺させてしまうには十分すぎるくらい、甘い日々だったよ」 自分としてはそこまで考えて接していたわけではないのだが、どうやら彼女にとって俺の存在は随分と大きくなっているようだった。 「……そこまで考えていなかった、か。むしろ、君のそういうところが私の心を揺らしたんだろうな。本題に入ろう。つまり、私が望むのは比翼連理。君と、より強く、より深い関係になる契りを結びたいという訳だよ。そのためには、皇帝としての私が邪魔なんだ」 どうも、さっきの話と繋がってきたようだ。弱音や絶望から来るものではない、むしろ望むものを手に入れるために"皇帝"を捨て去ろうと、つまりはそういうことのようだ。 「仮面の下の私は君が思うよりも強欲でね。3年間、ずっと我慢していたんだ。……君の信頼を裏切ってしまうくらい、醜い欲望を抱えていたんだよ、私は」

    3 22/09/22(木)00:24:35 No.974208193

    それでも3年間、素振りも見せずに耐えてきたのはさすがと言うべきだろうか。 「ふふっ…こんな時にでも称賛の言葉が出てしまうのはトレーナー君の良い所………いや、私が惚れた所だよ。君がそうやって私の何もかもを肯定するから、何もかも受け入れようとしてしまうから、私も我慢できないんだ」 ルドルフの手がこちらの腕をつかむ。彼女にとってはほんの少しの力であろうそれに、しかし体は重力の向きが変わったかのように彼女の体へと落ちていく。気がつくと、彼女は少女が自分の人形を離すまいとするようにこちらを抱きかかえていた。 「今朝も、シリウスと朝練習をしていたね。あのように破顔一笑した彼女を見るのは久しぶりだったよ。嘲笑うわけでも、彼女の出来の悪い友人を安心させるためのやせ我慢でもない、心からの笑顔だった」 耳元で彼女は囁く。彼女の吐息が耳にかかるたびにくすぐったい思いがして体が震える。彼女の顔を見ることはできないがトレーナーとして、すべてのウマ娘の理想を掲げる者として、その発言は如何なものかと指摘せねばなるまい。

    4 22/09/22(木)00:25:03 No.974208355

    「言ったろう?仮面の下の私は醜いと。特に君を求めるときはね。ここまで聞いたなら、シリウスと練習をする君を見て私がどんな思いをしていたのかわかるだろう?矛盾するようだが、この頃私は私の理想がたまらなく憎くてね。君を彼女から取り戻すことを許さない、この鎖がね」 今度は彼女の腕の力で彼女自身から離される。再び、見つめ合う態勢に戻る。ただ、両肩は彼女に掴まれたまま。どうも、自分はまな板の上の鯉。煮るのも焼くのも彼女の自由のようだった。 「こうまでされても君は拒まないんだな、私を。理事長に連絡する、その一言だけで私の凶行は止められるというのに」 どうも、彼女はこちらを試しているらしい。当然、自分には彼女を拒む理由なんてないし、凶行と呼ぶには可愛らしいものではないか、と思うのだが。しかし、自分が従順過ぎる家臣であることは確かで。君のことを思うのなら、ここは一つ、進言をしておくべきだろう。 「君を手に入れるのに、皇帝であることを捨てる必要はない………?しかし、現に私の理想のために君はシリウスに……」

    5 22/09/22(木)00:25:19 No.974208434

    彼女が陥りやすい考えだ。なにも、そんなに厳格に考える必要はない。これまでの功績を考えれば、多少傲慢とも言える振る舞いをしたって皇帝としての君が引きずり下ろされることはないだろう。 「……ほう?つまり、皇帝として君を手に入れればいいと……君もなかなか、残酷なことを言うね」 皇帝のトレーナーとして、それくらいの判断は当然だろう。 「やれやれ。ここまで話しておいてなんだが、シリウスもかわいそうだな。」 だから、今はまだ……君を殺すその名は胸にしまっておこう。 「なるほど、もっと傲慢に………か。君はそうやっていつも私を肯定………皇帝を肯定……よし、いいジョークも浮かんだし今夜のところはここまでで我慢するとしよう。ただ……これから、今以上に私のワガママに付き合ってもらうことになるな」

    6 22/09/22(木)00:25:48 No.974208589

    「どういうつもりだ………皇帝サマ」 「彼は私の大事な杖だからね。より一層私の業務やレースをサポートしてもらおうということだよ。君たちの練習には別のトレーナーを当てる。心配には値しないよ」 「そういうことを言ってるんじゃねぇ……よくその口ですべてのウマ娘の幸せなんて吐けるもんだ。反吐が出る」 「手厳しいな。だが、君も私の理想には欠かせないウマ娘の一人。彼無しでもちゃんと君たちも"幸せ"にしてみせるよ」 「舐めたことばかり………いいか、いつか絶対にアンタをその椅子から引きずり下ろしてやる。アンタが踏み台にした奴らの気持ちを教えてやるよ」 「正直に彼が好きだから返してくださいと言えばいいじゃないか。もちろん、彼を手放すつもりは毛頭ないがね」 「……フン。首を洗って待ってろよ、皇帝サマ」 多少傲慢になってもいいとは言ったが、これはいささか露骨過ぎやしないだろうか? 「そうかな。私としては今まで通り理想のために行動しただけなんだが………もしも、私が理想を叶えることが不可能な、どうしようもない暴君になったときは、頼むよ、トレーナー君。」

    7 22/09/22(木)00:26:04 No.974208658

    願わくば、君の理想が実現するまでこの名を呼ぶことがありませんように。その仮面を粉々にして一人のウマ娘に戻してしまうその名前を。 昼間だというのに窓からはキレイな三日月がはっきりと見えた。

    8 22/09/22(木)00:26:50 No.974208927

    傲慢なくらいな会長が好きなので書きました。 彼女にとって幼名はこれくらい重い意味を持っていてほしいなという妄想

    9 22/09/22(木)00:28:30 No.974209456

    なんだい今日は やけにカイチョーの怪文書を見るが...凄く良かった

    10 22/09/22(木)00:52:11 No.974216221

    会長はいい子ちゃん症候群みたいなところあるから自分自身の幸せをもっと求めてほしい

    11 22/09/22(木)00:53:36 No.974216593

    どっか他のサイトに投稿したりした?

    12 22/09/22(木)00:54:22 No.974216808

    承認欲求の塊なので渋にも投げてるヨ!

    13 22/09/22(木)01:01:38 No.974218720

    カイチョーシコシコ…

    14 22/09/22(木)01:05:06 No.974219593

    独占力が発動した会長はいいものだ…

    15 22/09/22(木)01:11:20 No.974221268

    会長とシリウスに取合いされるとか最高だろうな…

    16 22/09/22(木)01:11:39 No.974221346

    独占力が強い会長の怪文書好きだ ウマ娘側が力が強くて逆らえない描写も加点ポイント

    17 22/09/22(木)01:14:35 No.974222011

    やはりシリウスも女なんだな…

    18 22/09/22(木)01:34:41 No.974226302

    懐いていたトレーナーさん取り上げられるシリウス可愛そ… でも先に唾付けたのは会長だからね仕方ないね

    19 22/09/22(木)01:36:49 No.974226724

    これぐらい独占欲強いのも悪くないな…胸のうちで色々渦巻いてそうで…

    20 22/09/22(木)01:37:26 [シリウス] No.974226846

    寝取られじゃねえか

    21 22/09/22(木)01:38:53 No.974227100

    でも表立って我を出して争えってアドバイスしたのはトレーナーだしなぁ

    22 22/09/22(木)01:59:46 No.974230644

    やっぱ皇帝には女性トレだよね…

    23 22/09/22(木)02:05:15 No.974231520

    24 22/09/22(木)02:11:28 No.974232361

    まぁこうでもさせなきゃ自分の理想に潰されるしなこの人…

    25 22/09/22(木)02:20:39 No.974233555

    二人で取り合いいがみ合うのはよくないのでもう一人足そう

    26 22/09/22(木)02:29:26 No.974234560

    >でも表立って我を出して争えってアドバイスしたのはトレーナーだしな​ぁ 我を出せとは言ったけど争えまでは言ってないんじゃないかな!?

    27 22/09/22(木)02:33:27 No.974235020

    言っちゃ悪いけど会長にシリウスがうだうだ言ってる事全部ブーメランだからな 本心って言うか主語を言わないままひねくれた言い回ししてる時点で