虹裏img歴史資料館

1 22/09/08(木)21:49:13 No.969599097

「プッププーイ、こんにちプーイ。様子見に来たプイ」 「あれ、プイ先輩。今日オフだったんスか？」 勝手知ったる我が家の如く。紙袋片手にやってきたプイ先輩だが、なんか様子がおかしい ジロジロと、自分や姉貴を見渡して怪訝そうな、なんか変なものでも見たような 「……えー、っと。その格好は……」 「あ、はい。今日のための用意ッスね」

2 22/09/08(木)21:49:28 No.969599194

ワインレッドのカッターシャツに黒のスラックス、真鍮色のループタイ なんだ、何かおかしい部分があったろうか 「ああ、用心棒役プイ？」 「ちょっと詳しくお話聞きましょうか」 誰がチンピラだ、こら

3 22/09/08(木)21:49:43 No.969599293

● 「おはようございまあああああああああああああああああああああああああああああす！！！！！！！！」 「さ、流石にうるさいぞメイケイエール！！！！」 若草色のブラウスに白いロングスカートという爽やかな出で立ちで元気よく挨拶してくる、毎度おなじみ元気爆発娘メイケイエールちゃん 今日の格好は普段ともどこか違う、しかしよく似合ったセレクト。思わず姐御もおおーと歓声を上げてしまって 「すっごいよく似合ってるよ！！衣装さんと相談したの？」 「はい！！！！！！！！！昨日一日かけて打ち合わせして選びました！！！！！！！！」 「普段よりお嬢様度マシマシプイ」 事の発端はつい先日、エールちゃん……正確には、トレーナーからの要請があったことから始まった しばし前、その人気の爆発っぷりから正式に写真集が出版されることが決定したエールちゃん。その打ち合わせや撮影も、多少ゴタゴタしつつも進んでいると聞いていた しかし、その写真集のＰＲを行うために雑誌で特集ページを組むこととなた際にその編集部からある要望が飛んできたのだ

4 22/09/08(木)21:50:12 No.969599486

「オフショットっていっても、実際１００パーセント普段通りって訳にもいかないッスからね」 「つーかうちのチームのオフを完全に見せれるわけねーだろ」 そう。編集部の欲した宣材は『メイケイエールが所属するチームでのオフショット』 トレーニング中の光景については先だって取材が入り、我々もそれに協力したのだが……今回は、レース関連以外。普段の私的な姿、という写真が欲しいと 「数日間かけてしっかり全員分撮影していくからね！！！みんなも、カワイイ全開でよろしく！！」 「だからってそんな前に来たカメラマンさん以上の装備整えてこんでも」 事、こうなってしまえば誰より気合が入るのはそう。我らがカワイイ大将軍、姐御カレンチャンである もう話が来た時から企画を練り始めて、全員今日の服装は姐御チェック通過済みのもの。……柄が悪いと渋られたがそこは通すことに成功した もうすっかりスタッフ側みたいな勢いだが、本人も被写体というのがまた

5 22/09/08(木)21:50:23 No.969599562

「にしても、随分自由と言うか放任主義な企画ッスね。撮影はこっち任せで、あとで写真を向こうで選別って」 「カメラマンが撮影するとどうしても余所行きの雰囲気になっちゃうので、見知った中に任せるのが一番いい……ということでしたっけ」 「どっちにしろ、余所行き全開の格好してっけどな」 そりゃまあ、普段の姿そのままと言う訳にも。なにより姐御が絶対そんなも許さない。何時ぞやのカワイイ事変再来になりかねん というわけで、本当の意味での普段着なのは一応、なんかもう忘れがちだが一応別チームの所属であるプイ先輩だけだったりする 「ていうかソングラインちゃん、アロハシャツじゃないんスね。それも似合ってるッスけど」 「ストップ入りました……本当は用意してたんですが」 せめてもの抵抗か、黒いシャツの裾に一輪のハイビスカスを咲かせたロングスカート姿。まぁでも流石にバリバリのハワイアンスタイルでは違和感も出るか

6 22/09/08(木)21:50:33 No.969599627

「と言う訳で、今日居ない子達の分は数日に分けて撮っていくからね！！みんなも用意したカメラ、それか携帯のカメラでもいいからエールちゃん中心にお互いを撮影しあっていって！！」 「随分な無茶振りッスね」 「頑張ります！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」 「いやだから自然体でいいんだってメイケイエール！！それとお前はメインの被写体だから！！」 そう、あくまでもメインはエールちゃん。それを忘れるわけにはいかない とはいえだ。あとでデータを渡された編集部の方が頭を抱えないようにするためにも、ある程度頑張らねばならんだろう まさかちびっこ怪獣ドリジャノドンがトレーナーに噛みついてる写真送るわけにもいかんだろうし 「せっかくだし撮影側に回ってみるプイ。このカメラ借りていいプイ？」 「おっけーおっけー！！どんどん撮っていってね！！」 姐御が用意してきたコンパクトなデジカメを手に、プイ先輩も参戦を表明。そうだよな、この人がこういうイベント事気にならないわけがないし

7 22/09/08(木)21:50:48 No.969599723

「普段撮影される側ばっかりだしたまには撮る側になるプーイ♪」 あ、なるほどそういう 確かに、普段キリッとキメた姿で撮影されることを強いられてて、そしてそういうのがお嫌いなこの人。普段体験できない立ち位置、それがまさに今絶好のタイミングと言う訳か 「さ、それじゃ始めていくよー！！」 「よろしくお願いしまああああああああああああああああああああああああああああああす！！！！！！！」 こうして、ちょっとおしゃれ頑張ったプレハブメンバーによる『メイケイエールの日常』の撮影が始まることとなった

8 22/09/08(木)21:51:03 No.969599833

● 「とはいっても、トレーニングのない日の普段の姿なんて基本だらだらしたもんッスけどね」 言いながら、全員分のアイスコーヒーを作っていく。甘党派にはアイスカフェオレにして、おやつは昨日作ったナッツクッキーがあるのでそれでいい 「なんなら作業服着て小屋の修理やってる方が普段の姿ッスけどね」 「今から着替えますか！！！！！！！！！！！！！！！！」 「だめ。」 「はい。」 姐御の一言でスンッと大人しくなるエールちゃん。いやまぁ、流石にそんな光景送られたら編集の人も混乱するだろうからやらないけど とりあえずいったんお茶にして、となってから行動は早かった。みんなもういつも通り席作って待っててくれるし

9 22/09/08(木)21:51:17 No.969599935

「目線こっちくださいプーイ」 「カメラ目線だとオフショット感なくないッスか？」 「あんまり過剰に意識しなければ大丈夫！その辺は担当の人とも打ち合わせ済みだよ！」 いやいつの間に。ほんとこういう企画になると活き活きするよな姐御は……と、デジタル一眼レフを構えた姿を見てしみじみと 姉貴は以前別チームの某破壊神たちが宣伝で置いて行ったクッションでだらけてるし、マジで一ミリもカメラ意識してないその姿勢は逆に凄いと思う 「そういえばプイ先輩、その紙袋どうしたんスか？」 「おっと、すっかり忘れてたプイ。お仕事でちょっと地方遠征してたからそのお土産プイ。せっかくだし今みんなで食べるプイ」 「マジッスか。ごちそうさまです」

10 22/09/08(木)21:51:27 No.969599988

そう言ってプイ先輩が取り出してきたのは、一枚ずつ個別包装されたお煎餅。なんとまぁ渋いチョイスだが……何かどっかで見たなこれ、と 「濡れせんべいってやつッスか？」 「そうプイ。お仕事先の休憩で置いてあったのが美味しかったから隙見て抜け出して買ってきたプイ」 「またスタッフの方の胃を壊すようなことを……」 抜け出されたことを知った時のスタッフの方の心労とか想像したくもない 多分普段から常習的にやってるんだろうけど、この人最近周りにもフリーダム隠そうとしなくなってきてるからな……と一抹の不安を覚えてしまう 「私も差し入れがあります！！！！！！！！！！！！お仕事で帰省して買ってきました！！！！！！！！みなさんでどうぞです！！！！！！！！！！」 「これは……しるこサンド？」 「あ、なんか見たことある。でもなんか違うね」 「生しるこサンドです！！！！！！！」

11 22/09/08(木)21:51:39 No.969600072

また美味しそうなものを。しるこサンドは前にも何度かエールちゃんが買ってきてプレハブに常備されてたこともあるが、生というのは初めてだ 「………珈琲じゃなくてお茶の方がよかったッスかね？」 「んー、大丈夫………かな？」 「めんどくせえからそのままでいーだろ。早く食おうぜ」 クッションででろんと溶けた怪獣からの催促もあって、とりあえずみんな席について 誰からともなくいただきますの声、お茶にお菓子に手が伸びて、カシャカシャとあちらこちらから聞こえるシャッター音 格好の違いもあるのか、なんだか普段と違って変な気分だ 「あ、このお煎餅美味しい。柔らかいお煎餅って新鮮です」 「この濃い口のやついいわ。愚妹、今度また買っとけ」 「しるこサンドすごく舌触りいいプイ。あ、これつぶあんの方が好みプーイ」 「おいひいれふ！！！！！！！！！！」 「ああ、もう落ちつけメイケイエール。そんなハムスターみたいになってる姿写せないだろ」

12 22/09/08(木)21:52:05 No.969600278

なんだか、服装こそちょっと変わったものの、本当にいつも通りになってきた お互いカメラを向けあいつつのちょっとしたお茶会。自然と、話の流れは今この時の服装のことに 「約二名、正直ヤンキーだと思ったプイ」 「うっせーな、カレンみてーな事言うなよ」 「んな事言うならプイ先輩もおめかししてきてくださいよ」 「やープイ。お仕事でもないのに撮影のためのお洋服とか出してられないプイ」 でも時々みんなで出かける時の私服のセンスはやっぱいいんだよなこの人……と 手抜きしたがりなだけで、やろうと思ったら妥協しないし 今だって、多少ラフではあるがそのまま外に出られるちゃんとした格好してきてるわけで じゃないとまた姐御にカワイクされかねないし。あれはもう勘弁願いたい

13 22/09/08(木)21:52:18 No.969600352

「エールちゃんは普段とちょっとイメージ変えてるんスね」 「はい！！！！！！！！！！！ズボンスタイルでいこうと思ったんですが、今回はこっちでと！！！！！！！！」 「せっかくだしこの後どっか出かけようか。その服装なら、街歩きの方が絵になるし☆」 それはごもっとも。涼しげなお嬢様って感じの服装に、さっき見たら帽子も用意されてたことだし また近くの商店街でも行ってみるのもいいし、せっかくの機会だし海岸線辺りを散歩でもいいかもしれない ソングラインちゃんの格好もそういうの向きな事だし。仲良し二人、姐御の言う通り絵になるだろう 「ちなみにあの、この撮影機材って全部自前なんですか？」 「そうだよ。見た目物々しいけど、意外と安く買えるんだ。写真の出来も大きく違ってくるし、今度色々触ってみる？」 「これじゃほとんど本業カメラマンがいるのと変わらねえじゃねえか」 「いやいや、本業の人たちの機材はもっとすごいから。腕も勿論ね」

14 22/09/08(木)21:52:55 No.969600627

まあそりゃそうか、と ただ少し見せてもらっただけでも、ライトやそのほかの機材を使うだけでこうまで写りが違うのかと実感できてしまう差が出ていた 相当勉強したのだろう。カワイイの権化、恐るべし 「まあそんな姐御もこうして撮影されるわけッスけど」 「ちゃんとカワイク撮ってよ？変な加工とかなしね？」 「ファインダー向けられた瞬間キメてるの凄いッスねマジで」 いやホント、このカワイイ反射神経はなんなんだ 「ソングラインちゃん、エールちゃんと寄って一緒にこっち見てプイ」 「密着です！！！！！！！！！！！」 「あ、暑いから離れろメイケイエール！！！」

15 22/09/08(木)21:53:05 No.969600699

カメラ向けられたら全力で答える子、その２。いや密着って、マジでくっついてるし こういうところもファンを獲得してる要因なんだろうなぁと。見てて気持ちい位の元気の良さだし 「写真フォルダにどんどんお茶会の写真が溜まっていくッスね。ていうか、ここまで普段通りでいいんスかマジで」 「多分大丈夫だと思います！！！！！！！！！！！！！！」 「多分じゃダメだろ！！！だからくっつきすぎだメイケイエール！！！」 もう、なんかギュムーって。新手のモチみたいになってるよエールちゃん すると、なんか怪獣が大人しいなと思ってみてみると……なんか、携帯の画面をチマチマ弄って 「なにやってんスか姉貴」 「ほれ、これ見ろ。ククク」 ………なんで姐御の顔写真にヒゲ描いてんだ

16 22/09/08(木)21:53:25 No.969600845

「どうせ消すんだからバレ『　お　っ　と　ー　？　』 ズンッと 重力が倍加したかのような錯覚。見えないナニカに肩を押さえつけられたかのような圧力 ソングラインちゃんに抱き付いてたエールちゃんがヒィという悲鳴と共にさらに強く抱き付いて、エールちゃんの……おもちでソングラインちゃんが潰れて あ、プイ先輩高速で逃げやがった そしてとても、公共の紙面にお出しできない存在を背後に感じて 「ドリームジャーニー。」 ………とりあえず、何処にも提出はできないけれど

17 22/09/08(木)21:53:38 No.969600941

「　お　話　。　」 その光景を、一枚だけ。 触らぬ神に祟りなしの戒めとして、姉貴が『カワイク』されるのを写真フォルダへと残したのだった

18 22/09/08(木)21:53:50 No.969601043

● 「んー、今日は蒸し暑くなくて過ごしやすいッスね」 「お散歩日和です！！！！！！！！！！！！！」 「………そうだな」 あれから、姉貴がちゃんと姉貴に戻るまで少しかかって せっかくのおめかし姿なんだし外での写真も撮ろうという先ほどの話の通り、近くの公園まで適当にお散歩することとなった 通りゆく人が時々こっちを見てくるのは誰を見ているのだろうか。あと普通に変装してないせいでサイン求められることもあるが……何故か自分と姉貴を見て逃げる姿が確認されて ごめんなさい、ちょっと悲しい 「この公園、端っこにあるお店のソフトクリームが美味しいって評判なんだよね」 「あ、前にお仕事で行ったことあるプイ。チョコ系がイチオシプイ」 「今日甘い物ばっかじゃねーか」 「じゃあ、そこ行ってみますか………ん？」

19 22/09/08(木)21:54:01 No.969601115

わふわふわふ、と。なんか足元に来てる 見ると、確か……コリーだったか？そんな犬種の中型犬が寄って来ていた リードがついてるが、それを握る人はいない。多分散歩中の人のところから抜けてきたな 「わ、可愛いですね！！！！！！！！」 「メイケイエール、お前に寄ってきてないか？」 「ほんとです！！！！！尻尾追いかけられてます！！！！！！！！」 エールちゃんがブンブン振ってる尻尾に呼応するようにはしゃぐ名も知らぬワンコ うん。誰しもが思ってる事だろうけど、一応口に出しておこう 「………ワンコ二匹」 ブフォッと。ソングラインちゃんが隣で思いっきり噴き出してる いや、だって。ワンコ同士が戯れてるようにしか見えないんだもん。イヌ娘だよもう

20 22/09/08(木)21:54:12 No.969601198

「よーし、よしよし！！！！！！わぷ、すっごい元気ですこの子！！！！！」 ワシャワシャと犬を撫でまわしながら、エールちゃんは笑う それを見て周りを見渡せば考えることはみんな同じか。すっと、手元にカメラや携帯を取り出して 「結局、いつも通りのメイケイエールでしたね」 「それが一番ってことッスよ」 花が咲くように笑い転げて、元気いっぱいに芝生を走り回るエールちゃんを写した写真はどれも輝いていて これじゃ、どんなヘボカメラマンでも素敵な写真が撮れて当たり前だ。被写体がこんなにも最高の輝きを放て居るのだから 「写真集も雑誌も、楽しみプイね」 「そうッスね。きっと最高の一冊になってるッスよ」 「おうおうおう、おっち見ろ。目線よこせー」 「あ、おいメイケイエール！！！どこ行く気だはしゃぎすぎだ！！！！」

21 22/09/08(木)21:54:24 No.969601288

いいところのお嬢様のエールちゃんも レースで苛烈に魂を燃やすエールちゃんも こうして、人目も気にせず満面の笑みで騒ぐエールちゃんも 「編集の人、きっと送られてきたデータ量にびっくりしちゃうね☆」 「しっかり頑張ってもらわないとッスね。こちとら、可愛い後輩の宣伝は妥協できませんって」 どれも、我らが自慢の後輩の最高の姿なのは変わりようがないんだから 「あ、どっか走ってった………」 「おい待てメイケイエール！！！ああ、もう……！！！追いかけてきます！！！」 「お、走るプイ？一緒に行くプーイ！！！」 「っしゃ、一番先にアイツ捕まえた奴にドンケツがソフトクリーム奢りな。いくぞオラァ！！！」

22 22/09/08(木)21:54:36 No.969601380

……周りの騒がしさも、全部ひっくるめて 「ちょ、待ちやがれッス！！！！！！！」 これがメイケイエールと言うウマ娘を取り巻く、『いつも』なのだろうから

23 22/09/08(木)21:55:02 No.969601566

以上。エールちゃんを愛でたくて酒飲んで舎弟した

24 22/09/08(木)21:56:10 No.969602006

最近舎弟が多くて有難い…

25 22/09/08(木)21:56:18 No.969602064

…ラストにとんでもないレース始まってない？

26 22/09/08(木)21:58:19 No.969602846

最近酒飲み過ぎじゃない？