22/09/06(火)00:46:45 先日某... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1662392805831.jpg 22/09/06(火)00:46:45 No.968704164
先日某所にて発表した怪文書をゆかきりを広めるため、こちらにも投稿します
1 22/09/06(火)00:47:56 No.968704500
第一章 ことの始まり 事の始まりは何時だって突然という意味で、人々は青天の霹靂という言葉を使う。 実際には日常というものは連続性のある日々の中で生じているものだし、目視でその変化に気が付いてさえいればそんなことは起こり得ない筈だ。 だが新聞やら以前ならラジオで流れていた成功者の声は、まるで可能性の薄いような巡り合わせに感謝するような声を上げている。 それを自惚れだと感じる私は性格が悪いのだろうか、飛び込んだ先が果たして成功への道へ続いている等と彼らは確信して歩みを進めていたのだろうか。 きっと彼らは言葉ではそう言いながらも、自身の手管によって生じた自身の成果を眺めながらほくそ笑むもの。 『当たり前だろう』そんな事でも裏で言いながら、傍目には謙虚に振る舞って見せ体面を整えてみせる。 外に出れば私はまるで努力によって、この一身を立てているのだとでも言わんばかりだ。 実際問題として彼らは一定の努力をしたのだろう。
2 22/09/06(火)00:48:07 No.968704548
それは血がにじむほどなのか、それとも指先で転がす程度の努力なのかは伺い知れない。 そもそも実際に彼らが主張する努力とやらがどれ程ものかも、余り興味も抱かないのだからどうでもいい事だ。 だが私はそんな彼らがひどく妬ましい。 頭を垂れて、汗水を流せば何かを得られる彼らに酷い嫉妬心を抱いていると表現すれば良いのだろうか。 ときには私が彼らほどの努力をすれば何かを得られるだろう、そんな事を言うやつもいるかもしれない。 そんな彼らの言葉は何とも世間を知らないような、無垢な言葉だと思う。 何かを捧げれば何かを得られると信じられるのは、そういう環境が人を形作るのか、それとも天性のモノなのか。 だが彼らにとっては実際にそうなのだろう。 彼らは実際に何かに向かって歩き、そして実現するための努力さえあれば達成できると言い放てるのだから。 その力強い言葉には、今までの行動と結果が伴っている。 そしてそれを、その言葉自身を心から信じられることで彼らはその様な環境が備わっているのだと実感できる。 ……それは酷く羨ましく、その自身に満ちた言動を認識すると彼らと自分の差を思い知らされてしまう。
3 22/09/06(火)00:48:17 No.968704587
私には何もない。 何かを信じられるほどの環境も、そして何かを作り出せてきたという実際的な感覚もぼんやりと欠けたままこの歳になってしまった。 そんな事実を噛み締めながらも一先ずの人生を行きてきたし、これからも生きていくしかない。 だが、それでも人は言うのだ。 一生そのままなわけもないだろう、なんて。 視点が変われば慰めにも似たような言葉の色を含んでいるそれは、受け取った側にも素養が必要な言葉だった。 つまる所その言葉というのは、それまでの人生の経験を思い出させる言葉なのだ。 一生に浮き沈みがあるならば、今はたまたま沈んでいるだけなのだと現状を受け入れさせる為の言葉。 だが、もし受け取った側の人間が今までずっと沈んでいたとしたならば? そうだったとしたら、きっとなんて悪辣な言葉を投げかけたのだろうと憤るだろう。 ……些か話の中核が大きくずれたような気がする。
4 <a href="mailto:sage">22/09/06(火)00:48:29</a> [sage] No.968704641
兎に角、必ずしも人生は思い通りになるとは限らない。 特に私の場合はそうだったし、その日もそうだった。 何かをする時には、特に最近になればなるほど無意識に何かにすがるような気持ちになってしまう。 祈りに似ているが、それと違うのは祈る対象を持っていないことだ。 通ってくれ、頼むから何とか良くなってくれ。 物事の絵図を描く才能を渡されなかった人々は、そうして祈るように心の内側で呟くしかないのだ。 庭先に晴れ渡る暖かそうな陽光と、微かに寒さを感じるような冷たい空気が入り交じるのを眺める。 それから体中に浴びながら一つ息を吸い上げてから、ゆっくりと吐き出す。 軒先に降り注ぐ光を空から振りまいているから、この光を浴びさえすれば少しでも暖かくなるかと考えて外に出てみたがどうやら違うらしい。 どちらかというと風の運んでくる冷たく、微かに花の香りの乗った空気の方が強い。 その香気すら、今は少しだけ煩わしさを感じるような気がしてくる。 ……そうであるとするならば、何で私は外に出たのだろうな。 そんな事をぼんやりと考えながら、私はため息を吐き出した。
5 <a href="mailto:sage">22/09/06(火)00:48:44</a> [sage] No.968704716
「はぁ……」 吐き出したため息は中途半端な寒さに浚われて、空気の色を濁すことも出来ないまま空へと浮かんでいく。 いやもしかすると、吸った空気よりも吐き出した空気の方が比重的に重いというから、沈んで行くかもしれない。 ……自分みたいだな。 そんな事をポツリと考えた辺りで、無意識に悪く考える癖が出たことに気が付きまたため息を吐き出す。 どうにも憂鬱だ。 別段、特に何かがあったというわけではない。 正しくは仕事が決まっただけだ。 女手で仕事をしなければいけないから、とかそういうつもりはない。 ただ仕事の内容に一言文句を付けたい、そんな程度の事でしかないのだ。 とはいえ何であれ春先というのは何時だって憂鬱なものだ、自身の中に固定観念としてそんな考えがあるからかもしれない。
6 22/09/06(火)00:49:05 No.968704801
新しい出会いや新しい場所への移動や新しい喜びがあるなどと世間は持て囃すが、私はそんな考えには賛同しかねる。 だって実際にはそういった類は元々何もかもが面倒なのだから。 そんな事をぼんやりと考えながら、自身の着ている少しくたびれた衣服から干した梅の実を一つだけ取り出した。 手の上に転がした少し萎びた干し梅は、香りが抜けていて目の前に持ってきても余り匂いをさせていない。 ……まあ、秋口に庭に生っていたものを乾燥させて年を越したのだから、そういうものだろう。 とはいえ季節の余韻を感じさせることのないただの茶色い粒を見ていると、何だか風情とやらも一緒に抜けきった様な気持ちになってきた。 見た目だけで感じるには季節が外れているが、まあ、そんなものかと口に入れて舌で転がしてみる。 口の中に広がる味は、香りが抜けきっているのと同じ様に味もパッとしない。 どうにもこんなことばかりだな、そう思いながら舌で果肉を転がしながら歯を立てた。 ……さて、庭先に目を移してぼんやりと目の前の木が梅の木だったならば今はもう満開だったのだろう、そうしたらこの寒さに耐えて庭に出てくる価値だって湧いてくるものを。
7 <a href="mailto:sage">22/09/06(火)00:49:18</a> [sage] No.968704859
そんな取り留めのない仮定の事を考えるが、生憎この木は梅ではなく桜の木だ。 一体いつ、どこの誰が埋めたのかは知らんが、全くひどいことをしてくれる。 春先に花が咲いた時ならば文句は言わないが、一度この木が満開になった後の掃除をするやつの気持ちを考えていたのだろうか? ……少なくとも我が家が傾く前であれば、出入りの使用人とかがしていたのだろうが今はそういった事をする余裕はない。 解体された財閥の一つに我が家が関わる大家主が居て、その波及を考えることもせずに値打ちも付かない句ばかり読んでいた、そんな以前の家主には呆れるばかりだ。 全く、どいつもこいつも何を考えていたのやら。 そんな事をぼんやりと思いながら、蕾ばかり実らせている桜の木を忌々しげに見つめている。 その前の主人とやらの遺言さえ無ければ、この木をさっくりと切り落としてしまいたかった。 だがそういった蛮行に走らないのも、結局私がこの桜の木が我が家に残された僅かな価値であると認めているからなのだろう。 「……チッ」
8 <a href="mailto:sage">22/09/06(火)00:49:35</a> [sage] No.968704934
思わず湧き出した苛立ちから、口の中で転がしていた種に歯を立てた。 口の中に甘酸っぱい梅というには少し渋みのある味が広がるのを感じながら、ゆっくりと目を瞑る。 ……何をイライラしているんだか。 少し前に同じような事を考えたばかりではないか。 この木を放って置くことくらい、大したこだわりでも無いだろうに。 そう、何事も今に至るまでの過程や、これからの節目に起こることに比べれば些末なことなのだ。 そんな事を思いながら、少し深く息を吐き出す。 そしてゆっくりと息を吸い上げて、気持ちを宥める。 ……そう、それでいい。 そんな言葉を自分に投げかけながら、ため息のように息を吐き出した。 「……はぁ」
9 <a href="mailto:sage">22/09/06(火)00:49:56</a> [sage] No.968705029
とは言っても憂鬱なものは憂鬱なのだ。 何がと言えばまあ、大抵は自身に大きく関わるものだろう。 他の人であれば例えば学業の成績だったり、或いは今後のこととか。 そしてため息を吐き出すとなれば、それがどういったものかは察せずとも良いものであるとは考えづらい。 詰まるところ、今後の仕事の話だ。 「……何で私が」 そんな言葉を吐き出したのは、決してただ悪態をつきたかったからではない。 どちらかと言えばその何代か前の主人に対するイラつきか、それか今の早くに亡くなった主人に対するイラつきだ。 我が家には一応の金はある。 例えるならば少しの間は若い女が身売りをしないでも、暫くは慎ましく暮らせる程度の。 だけど所詮はその程度である。
10 <a href="mailto:sage">22/09/06(火)00:50:10</a> [sage] No.968705093
我が家を売ったとしていったい幾らの儲けになるか。 答えは大した金にはなりやしない。 この田舎にある少し大きな程度の家、一体誰が買うというのだろうか。 問に答える人物も、買付に来る人間も居ない。 だとすればどうすればいいのだろうか。 そんな事を考えながら、ポッケの中にある小銭を指で転がす。 年齢さえ許すのであれば酒やタバコでも嗜んで気分を落ち着けたのだろうが、生憎まだ社会通念上許される気色は無い。 ではこの遣る瀬無い気持ちの置き場をどこに投げつければ良いのだろうか。 例えば学校であれば勉学や運動に励みなさいと教師はのたまうし、図書館の司書であれば文字や絵の空想や過去に触れるのも良いという。 だがそれでも一時の誤魔化しのようで、何だか虚しいような気持ちが湧き出してしまうのだ。 この阿呆みたいな田舎に安いからと土地を買い込んで家を建てた馬鹿は、そして挙句の果てに妙な権力や金銭に手を染めてしまったのはどこの馬鹿か。 考えるだけで無性に腹が立って来てしまい、思わず地面を蹴り飛ばした。
11 22/09/06(火)00:52:37 No.968705737
以下続き fu1415984.txt 今の私の願いは他人の8万字以上のVoiceroidタグSSがPixivに現れる事です
12 22/09/06(火)00:53:54 No.968706082
補記: スマホ用のテキストファイルも張っておきます fu1415994.txt
13 22/09/06(火)00:54:37 No.968706281
この人また鈍器配って公開してる…
14 22/09/06(火)00:54:45 No.968706317
ほとんど掌編だし渋とかの垢制のに上げる気もないから力にはなれない
15 22/09/06(火)00:56:12 No.968706695
>8万字以上 きがるにいってくれるなあ
16 22/09/06(火)01:03:23 No.968708473
>ほとんど掌編だし渋とかの垢制のに上げる気もないから力にはなれない 正直、最近は普通に楽しめる文章だったら何でも良いかなって思い始めてる
17 22/09/06(火)01:05:58 No.968709074
なんか偉そうな言い草であれだけど繰り返し登場しすぎる表現(題材的に読み上げにベタ打ちで突っ込みたくなるんだけどその場合すごい気になる要素)とか誤字とか減ってるし話の組み立てとか中長編うまくなってない?と思う あと双子おとくん概念アレルギーを一時期発症してた時期と重なって読んでなかったんだけどついこないだ見たらすごいシコれてびっくりした ありがとう…寝たら読む
18 22/09/06(火)01:08:18 No.968709585
寝る前に読もうかと思ったらそんな量じゃなかったので先に寝るね とりあえずありがとう
19 22/09/06(火)01:19:42 No.968712012
読んでVoiceroidに興味を持ったり、ゆかきりを好きになってくれればそれでいいです 心残りは私事で50万文字書きたかったのに20万にすら届かなかった事だが……まあ、次回に活かしましょ
20 22/09/06(火)02:47:07 No.968724460
今日起きてたからいいけどよ!お前のゆかきり好きなんだよ!変な時間に出されて逃したら悔しいんだわ!!!