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22/09/01(木)00:39:52 泥の凍土 のスレッド詳細

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22/09/01(木)00:39:52 No.966950634

泥の凍土

1 22/09/01(木)00:41:30 No.966951108

深夜に被るとは珍しい

2 <a href="mailto:1/3">22/09/01(木)00:43:50</a> [1/3] No.966951836

「ハンバーガーがあるって聞いて焔の海まで出向いたけどぉ…まぁ、意外と悪くないわねぇ」 焔の海、狂熱の楽土にあるダイナーでもぐもぐと山のように積まれたハンバーガーを貪る女がいた。リコリプレスである。 正直言えばリコリプレスや基体の知っている、望んだハンバーガーではなかった。 システマチックに作られた大衆好みの雑な味付けのジャンクフードではない、手作りされた素朴な味の街のパン屋にあるようなハンバーガーだ。 芋チーズ生地はふわりとして練り込まれたチーズの塩気と芋は悪くない、色とりどりの新鮮な野菜の食感の後に来るソースと牛焼肉の旨味は味覚を刺激し、幸福感を与える。 「もうちょっとジャンキーなのが好みなのよねぇ」 15個目のハンバーガーを口に運ぶと、セットのコーラを口にした。 「おや、口に合いませんでしたか?…隣、構わないか?」 いつの間に後ろから気配がした。 リコリプレスはそれなりに経験を積み、ある程度修羅場は潜っているつもりだ。 なのに、それは気配すら感じさせずにリコリプレスの後ろを取った。 目だけを動かし視線を向けると、そこには黒い外套を身に纏い、赤いフレームの眼鏡を掛けた女性がいた。

3 <a href="mailto:2/3">22/09/01(木)00:44:31</a> [2/3] No.966952031

「……ええ、いいわよぉ」 ただ者ではない、内心警戒しながらも椅子を引き着席を促す。確信があった、気配遮断のあるアサシンクラスではない。恐らくはセイバー。それもトップクラスのサーヴァントだ。 「思ったより早かったわねぇ」 座ったのを見計らい声を掛ける。 「私の事を知っているのか?」 「いいえ、ただムーンセルからの使いでしょう? それもトップクラスのA級サーヴァント」 ほう、と女性、ホグニは口元を歪めた。正解のようだ。 「言っておくけど、SE.RA.PHをどうにかするつもりなんてないわよぉ」 「だが、それが本当かわからない、だから直接見に来た」 注文を取りに来た店員を手で制する。 「私のデータがムーンセルのデータにもないから?」 「ああ」 ホグニの言葉に今度はリコリプレスが口元を歪める。それはそうだ、並行世界のデータを公開する程ムーンセルのセキュリティは甘くない。 「本当に混乱させたいならこれをバラ撒いてるわぁ。アルターエゴの製造技術を、ねぇ」 リコリプレスは胸元からデータ結晶を取り出すとホグニに見せ付けるように翳した。

4 <a href="mailto:3/3">22/09/01(木)00:45:33</a> [3/3] No.966952327

「……アルターエゴ」 眼鏡の奥でホグニの目が細まる。 「各国の好戦派は欲しいでしょうねぇ、月の民をサーヴァント級の戦力に変えられるんだから」 「でもそのつもりはないと?」「ええ、金にも困ってないしねぇ」 「キャラバンを襲っておいてよく言う」「命までは奪ってないわぁちょっとしたおいたよぉ」 「おいたか、おいたで済む内であれば私達は二度と会うことはないだろう」 リコリプレスを一瞥してホグニは席を立つ。 「心して置くわぁ……ああ、これ頼みすぎちゃったの半分上げるわぁ」 立ち上がったホグニにハンバーガーの山を半分押し付ける 「礼を言う。そして、おいたで済まないその日が来ないことを願っておく」 ホグニは押し付けられたハンバーガーを抱えてダイナーから出ていった。 「……いやぁ、あんなヤバいのがいるとはねぇ。直接戦闘型じゃないんだけどぉ、私ぃ」 ホグニがいなくなったのを見計らい大きなため息をつくリコリプレス。多分直接戦えば現状10分も持たない。 「ああ、店員さん?残ったの持ち帰り出来るぅ? お会計お願いねぇ」 少なくとも暫くは程ほどに大人しくすべきだろう、程ほどに。

5 22/09/01(木)00:47:08 No.966952799

喰いすぎ!

6 22/09/01(木)01:01:50 No.966957020

も ぐ に ゃ ん だ に ゃ ん

7 22/09/01(木)01:02:59 No.966957356

俺のセイバーが可愛い

8 22/09/01(木)01:06:18 No.966958309

>も ぐ に ゃ ん だ に ゃ ん 両手で抱えたハンバーガーを少しずつ食べるほぐにゃんは可愛いですね…

9 22/09/01(木)01:53:16 No.966968671

fu1400741.txt そろそろ月での関連人物がまとまりそうなんだけどその際に出来た「王に仕える理由」 セレスティア嬢を勝手に関わらせちゃったのでこれだけ先にお出しする

10 22/09/01(木)02:06:45 No.966971070

ホテルの浴室。白い壁に跳ねた水滴の上から手をついて、そのまま壁に寄りかかる。 降り頻る温水を背中から浴びる。解いた長髪が下に垂れ、自らの顔を覆い隠す。 今だけは、自分は世界から隔絶される。 「ふ、ぅ」 寛ぐ余裕は無い。だが、この時間が自らには憩いの一つであるのは間違いない。この小さい身体にこんな用途を充てがう事が間違いなのだが。 水流を止めるため手を伸ばす。磨かれた金属の擦れる音が、狭く煙る密室に木霊する。 曇りかけの鏡の中には自分。このまま身体を拭って戻ってもいいが、今日の顧客はどんな人だったか。 あの人の相手をするのは1度目では無い。元々わたしのような嬢を指名する客、それなりの好事家であることは否定できないし、具体的な嗜好も分かっているつもりだ。 要は『不可抗力から始まるイケない事』が好きなのだ。なので正解は。 「ごめんなさーい!タオル、届かなくって……取ってくださらないかしらー!!」 浴室の外にも聞こえるように、助けを求める子どものように。 これから彼は見る。熱と水で照るこの身体を。触れてはいけない花を。 そしてわたしは目を閉じる。そして届かない布に手を伸ばして。 「か弱い女の子」になるんだ。

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