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22/08/19(金)22:19:41 時刻は1... のスレッド詳細

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22/08/19(金)22:19:41 No.962469360

時刻は18時をまわった頃、夏なのでまだ明るく、涼しくなり始めた今こそと練習に励むウマ娘が多くグラウンドに見える中、自分は荷物をまとめて帰る支度を始める。担当のチームの子たちには悪いが、こればかりは許してほしい。 「"絶対に定時で帰る男"か………トレーナーさん、どうしてすぐに帰るんだろう?」 「あら?知らないの?あの人の元担当の彼女に会いに行ってるって噂よ」 「えー!?トレーナーさん、彼女持ちなの!?ショック………」 「まぁ、誰も顔も名前も聞いたことがないから、あくまでも噂だけどね。本人は何も言わないし」 「でもさぁ………否定しないってことは本当なんじゃない?」 「だとしたら仕事よりも優先してるってことだし、ちょーラブラブじゃない?あーあ、私達は灰色の青春を送ってるっていうのに………」 ………………………………………………………………………………………… 家に着いたのは7時手前、日が落ちて暗闇が街を包みだす頃だ。 「ただいま、アヤベ」 「………今日も帰ってきてくれたのね。私なんか捨てたって許されるのに」 「すぐそういうこと言うんだから………あっ……アヤベ、またお酒飲んでる?」

1 22/08/19(金)22:20:15 No.962469646

「しょうがないじゃない………頭がふわふわして気持ちがいいのよ」 「平日は控えようって言ったじゃないか………とりあえず、お風呂入ってくるよ」 アヤベがこうなってしまったのは2年前、脚を壊してしまい、走れなくなってからだった。 「あの子が残してくれた脚だったのに………ごめんね、こんなお姉ちゃんで……」 ウマ娘である限り、いつかは訪れるであろう事態ではあった。しかし運が悪いことに彼女が怪我をしたその日、俺は出張で中央を離れ海外にいた。連絡を聞いて急いで戻ったとき、既に彼女は寮から出て一人暮らしを始めていた。 「ごめんなさい、トレーナーさん………カレン、アヤベさんを止められなくて……」 「君のせいじゃないさ、むしろ俺の方こそ何もできなかった………」 「アヤベさん、トレーナーさんには迷惑をかけたくないって言って………それでトレーナーさんからの連絡も全部無視して………本当は助けてほしいって思ってるはずなのに、一人で手続きとか済ませちゃって……」 「アヤベがどこに行ったのか、知らないかい?」

2 22/08/19(金)22:20:40 No.962469835

「ごめんなさい。本当は教えたいんですけど、絶対に教えちゃだめだって言われてて…………でもきっと、アヤベさんなら、少し一人でいたら立ち直ってくれます!それまでは……伝言とかなら、伝えられますけど………」 「じゃあ、アヤベに伝えてくれ。君と話がしたい、いつでも待ってるって」 それから1年間、彼女からの連絡などは一切なく、俺はトレセン学園で新しくチームを担当していた。カレンチャンだけはたまに彼女に会いに行ったり連絡を取ったりしているらしく、そのたびに間接的に近況を聞くのが習慣になっていた。彼女はずっと俺に負い目を感じているらしく、まだまだ話し合うまでは時間がかかりそうとのことだった。彼女を支えきれなかった俺には、そんな彼女を無視して会いに行くような資格はない。そう思って時間に解決を委ねてしまった。不安ではあったが、新しい環境に慣れていく自分もいた。 不安そうな様子のカレンチャンから連絡が来たのは、アヤベが就職したと聞いてから一ヶ月のことだった。 「アヤベさん………もう丸一日メッセージの返信が無いんです」 「それくらい普通じゃないのか?就職したって言ってたじゃないか。忙しいんだよ」

3 22/08/19(金)22:21:08 No.962470068

「いえ、出ていってから毎日短いけどちゃんと返信はしてくれてたんです!それにこの前、仕事がうまくいってないみたいなこと言ってましたし…………トレーナーさん、カレン今仕事で遠くにいるので、代わりにアヤベさんの様子を見に行ってくれませんか?住所、後で送りますから」 少し過保護になり過ぎではないだろうか?そう思ったが、アヤベに会いに行く口実が転がってきた以上、俺はそれを受け入れる選択肢しか頭になかった。仕事を終え、カレンチャンが送ってきた住所に向かうと、そこは綺麗な一軒家であった。とりあえずインターホンを鳴らすと、目に隈を作った俺の愛バが扉を開けた。 「やっと来たのね。まったく、注文してからどれだけ経ってると…………あっ…………」 「ごめん、アヤベ。会いに来ちゃった」 「どうして…………あなた達はそうやって………私なんかに………」 どうもアヤベの様子が心配だ。顔が赤い気がするし、暇そうなのにカレンチャンへの返信をしていないのも気になる。とりあえず、中で話をするべきかもしれない。 「とりあえず、中に入って話をしようか。あのときのことや、その後のことを」

4 22/08/19(金)22:21:32 No.962470254

「………そうね、あなたから逃げ続けるのは、不誠実………だもの」 アヤベの家に入ってリビングに向かう。少し無遠慮過ぎただろうか?しかし、俺は彼女のトレーナーとしてまだ為すべきことが残っているはずで、悩んでいる時間すら惜しい。 「すごい数の空き缶………アヤベ、お酒飲むようになったんだ」 「ダメなのよ、もう…………私は何もできないから………」 とにかく話を聞かねば、そう思いうなだれる彼女から少しずつトレセン学園を去った時から今に至るまでのことを聞いていく。 彼女が怪我をした日、とにかく彼女は走る以外に自分が何をできるか必死に考えたそうだ。しかし答えは見つからず、とにかくこれ以上他人に迷惑をかけないようにとトレセン学園を出て一軒家に越したらしい。レースの賞金を考えれば、家も生活も心配は無いだろうが、自分に何ができるかを知りたくて色んな情報を調べたり旅などをして一ヶ月前、ついに就職をしたらしい。しかし、仕事先の人間関係でうまくいかず、ついに昨日から無断欠勤をして家に引き籠もってるとのことだった。 「それでこんなにお酒を飲んでいたのか………」

5 22/08/19(金)22:21:59 No.962470471

「私はもうどうしようもないのよ………走る以外に、出来ることが分からなかったの」 「そんなことないよ!君は立派にやってるよ」 「もう無理なのよ………外の世界が怖いの。虚勢を張って、学園を飛び出してきたけれど、なにもかも学園とは違った。今もこうしてあなたやカレンさんに甘えているのに……これ以上、傷つくのが怖くて、外に踏み出せないの………」 彼女が外の世界に目を向け始めたのはつい2年前のこと、そんな段階で脚を壊し、一人ですべてをこなそうとする彼女に限界が来ることは明らかだった。無理矢理にでも、彼女についていくべきだった。今までそうしていたように。 「何事もいきなりうまくいく事なんてないさ、少しずつ出来るようになっていけばいい。レースだってそうだったろう?」 「だけど………もうなにもしたくないのよ。レースの賞金で生活はできるし……」 「大丈夫、アヤベは出来ることを増やしたいと思っていたんだろう?その気持ちがあれば立ち直れるさ。俺もサポートするからさ」 「本当に………?こんな私でも…あなたから逃げた私なのに、まだ支えてくれるの?」 「もちろん!君は僕の愛バだしね」

6 22/08/19(金)22:22:25 No.962470672

「それなら………一つ、ワガママを聞いてくれるかしら?」 「もちろん!今までアヤベがワガママを言ったことなんてないからね、なんでも言ってくれ」 「私の家に、住んでくれないかしら………そのほうが安心、できるから………」 流石にそれは………と言いかけたが、彼女の怯えるような目を見て了承することを決めた。あの時のように、彼女は自分の価値を見失っている。何かに縋るように生きる彼女を一人で放っておくわけにはいかない。リビングを見る限り、生活習慣も不安だ。こうして俺はアヤベと同棲することになったのだった………… …………………………………………………………………………………… 「本当にあなたは不思議な人ね………私が拒絶しても、強引についてきて…………まぁ…今では突いてくる人だけど…………ふふっ」 「うわっこの缶全部今日開けたのか……仕上がってるね…………アヤベ………」 「ごめんなさい、上に乗ってるのは私だったわね」 「いや、そんな話はしてないけど………」

7 22/08/19(金)22:23:06 No.962470999

同棲を始めてから約一年、アヤベは立ち直るどころか生活だけ見れば悪化しているようにも思える。しかしあの頃より表情は明るくなっているため、俺もカレンチャンもなかなか生活態度を改善するように言えないでいる。 「アヤベ、それで仕事は………」 「ダメだったわ、もう少し愛想よくないと任せられないって面接で言われたわ」 「そっか、それでお酒を………」 「そんなことよりもあなた、今日は金曜日でしょう?お姉ちゃんデーよ。よしよししてあげるからアヤベじゃなくてお姉ちゃんと呼んで」 「あぁ…………ごめんごめん、今日も疲れたよ…お姉ちゃん」 「よしよし、よく頑張ったわね…………無職の私の何倍も生きる価値のある子よあなたは………」 「アヤベ、自分を貶めるような言い方は辞めるっていう約束だったろ?」 「だからお姉ちゃんだって何度言ったら分かるの?……分かったわ。私もあなたの立派なパートナーだから偉い。これでいい?」 「まぁ………」

8 22/08/19(金)22:23:20 No.962471105

やはり明らかに悪化しているだろう。彼女が壊れてしまうのを恐れるあまり関係も生活もどんどん爛れてしまっている。しかし、自分も嫌だとは思っていないのが本当のところであり、止めるべき所が分からなくなってしまっていた。 「早いけど、今日はもう寝ようか。お姉ちゃんも酔ってるみたいだし」 「寝る………ふふっ…素直じゃないわね、明日は休みだしたっぷり可愛がってあげるわ」 「いや、そんな変な意味じゃなくて………普通に寝ようよ」 「お姉ちゃんが出来る数少ないことの1つだもの、ヤらせて頂戴」 「いや、今日は疲れてて………」 「口ではそう言っていても体は正直なんだから。ほら、行くわよ」 説得と抵抗虚しく、抱きかかえられてベットへ連れ込まれる。同棲を始めてからこういった圧倒的な物理的パワーを行使することも増えてきて、ますます手がつけられなくなっている。

9 22/08/19(金)22:23:40 No.962471226

「おはよう…………ございます」 「おはよう、アヤベ。片付けはしておいたから朝ごはん食べようか」 「ごめんなさい……私また………」 「酔ってたししょうがないさ。これくらいでアヤベのこと嫌いになったりなんてしないから安心して」 「いつも私を甘やかしすぎよ………もっとダメになってしまうじゃない」 「アヤベはダメなんかじゃないよ。昨日だって頑張って面接を受けてたんだから」 休日はいつも二人で過ごすようにしている。たまに仕事の合間を縫ってカレンチャンも訪れるが、それ以外に客人はほとんどこない。同期のみんなは事情を察してか、アヤベさんに何かあれば飛んでいくが、今はまだ見守るだけだとオペラオーを通して伝えてきた。 「アヤベ、今週は俺が仕事に行ってる間何をしてたの?」 「いつもと同じよ。金曜日は面接だったけど、それ以外の日はずっと家にいたわ。掲示板であなたやカレンさんを馬鹿にするような書き込みを削除したり、カレンさんのウマスタライブを見たり、デジタルさんに有償依頼を出したり…」 「言いにくいんだけどさ………もうちょっと健全な趣味を持とうよ。それこそ天体観測とか」

10 22/08/19(金)22:23:56 No.962471385

「それは………出来ないのよ。あの子にこんな情けない姿、見せるわけにはいかない……会いに行く資格がないわ………」 アヤベはトレセン学園を出て以来、星を眺めることが無くなった。きっとそれも彼女の自己肯定感の低さから来るものだろう。いつかまた、二人で星を見れるようにする。それが今俺がするべきことだと思う。 「ところであなたの方はどうなの?仕事の方は」 「まぁ……ボチボチかな。だんだんと重賞に挑戦する子も出てきたけど、まだまだ俺の力不足のせいで結果を出しきれてないよ」 「きっとチームの子たちはあなたのことが大好きなんでしょうね」 「そうだと嬉しいな」 「そんなトレーナーさんを私はこうやって独り占めしてしまっているのね………来週は、もう少し頑張ってみるわ。少しでもあなたにふさわしい私になるために」 「お、その意気だ!アヤベはできる子なんだから少しずつ頑張っていけば結果は出るさ!」 「ありがとう。………あっ…………ファミリーウマートのカレンさんコラボ、今日からだったわ………買いに行かないと……」 「クリアファイルだっけ?」 「そうよ。全6種、コンプリートしておかないと………」

11 22/08/19(金)22:24:09 No.962471511

そう言うとアヤベは財布を取り出して外出する準備を始める。最近は買い物と仕事の採用面接なら難なく外出できるようになった。少しずつだけど、前に進めていると言えるだろう。俺ももっともっと、支えていかないとな。 「少し行ってくるわ。何か買うものはある?」 「特に無いよ。気をつけていってらっしゃい」 「ありがとう、行ってくるわ」 …………アヤベが出かけて数分後、彼女のスマホが振動する。他人のものを覗いてはいけないとは分かってはいるが、好奇心には勝てずスマホを手に取る。どうやらメッセージが届いているようだ。

12 22/08/19(金)22:24:29 No.962471654

アドマイヤベガさんへ ご依頼の作品、「大好きなトレーナーの彼がチームのウマ娘達に逆NTRされる本」の執筆が完了いたしましたのでお送りします。ご依頼通りトレーナーさんはお送りいただいた資料通りに書かせていただきました。また、可能であればとのご依頼だったカレンさんに関しては、私の信条としてどうしても登場させることが出来ませんでした。お金をもらっておきながら申し訳ありません。非常に心苦しいのですが、今後R-18での依頼をなさる場合は実在のウマ娘ちゃんはNGでお願いします。 アグネスデジタル ………これは、まだまだ彼女と話し合う必要がありそうだ。

13 22/08/19(金)22:24:55 No.962471891

朝見た地雷系アヤベさんがめっちゃ刺さったので書きました

14 22/08/19(金)22:26:13 No.962472543

これは…いい…

15 22/08/19(金)22:32:01 No.962475316

デッ…デジタル!描いたのか!?

16 22/08/19(金)22:53:50 No.962486584

アヤべさんが倒錯してる!

17 22/08/19(金)23:00:26 No.962489481

ちゃんとそんなこと必要ないくらい相思相愛なのにぴょいで対価を払ってつなぎとめてるつもりのアヤベさんを盛り込んでていい

18 22/08/19(金)23:01:35 No.962490021

しかも姉ごっこという倒錯的なプレイとウマ娘のパワーを描写したソフト逆ぴょいも含まれててこれは滋養が付きます

19 22/08/19(金)23:10:23 No.962494222

想像できる壊れ方なのが良いよねよくない

20 22/08/19(金)23:12:44 No.962495351

メンヘラのくせにウマ娘パワーは健在なのが厄介過ぎる…

21 22/08/19(金)23:13:13 No.962495626

この壊れた方ならいずれ立ち直るだろう トレーナーは二度とアヤベさんと離れられなくなるものとする

22 22/08/19(金)23:13:38 No.962495844

ひでえ……

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