22/08/15(月)19:59:59 8回目!... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1660561199377.png 22/08/15(月)19:59:59 No.960955279
8回目! 実はスタミナSなのでまだまだ余力のある、フルートリズムのフルートひとくち講座!! 今回は「フルートの進化の歴史・本体の構造と吹き口編」です! 初回や2回目でサラッと歴史をご紹介したんですが、実はキー以外の部分でも、とっても進歩してきたんです。 特に、本体の管の構造や、リップ・ライザー(吹き口部分)の形状変化などは結構大事です。 今回は昔から現代まで、そこの所を重点的に掘り下げます!! では、どうぞ!!
1 22/08/15(月)20:00:15 No.960955398
まず、フルートのご先祖は「ただの筒に穴を開けて横から吹いたら音が出た」程度のモノでした。 そこから穴を開け、指で穴を開閉する事で音程を変えられるようにして楽器として使われるようになりましたが、 ここで2回目にご紹介した通り、バロック時代にはリコーダーが敵として立ちふさがる事となりました。 当時のフルートはただの筒(円筒管)に穴を開けただけ。 音量が小さかった上にチューニングも出来ず、さらに半音がとても苦手という、弱点だらけの楽器でした。 この頃はリコーダーが全盛期を迎える中、フルートは瀕死の状態でした。
2 22/08/15(月)20:00:34 No.960955552
流れが変わったのは1600年代の中頃。 フルートに画期的な改良がなされました。 それまでの「ただの筒」から3分割にする事で、チューニングが出来るようにして合奏でも使いやすくし、 主管を円錐状にする(足部管側に向けて内径を細く絞る)事で高音の時の指使いを改善。 更に、キーを付け加える事で半音も前より出せるようになりました。 ここからフルート人口も増えて様々な改良がなされようになるのですが、そのほとんどがキーを増やす方向。 管体の形状まで変更する人はほとんどいませんでした。
3 22/08/15(月)20:00:52 No.960955703
多くの人がキーシステムの試行錯誤を繰り返す中、 初回でご紹介した「1847年にベームさんっていう凄い人が作った銀製のフルート」が出てきます。 ベームさんの凄い所は、ちゃんと音響学を勉強した上で色々とテストしたんですね。 その中でも「高音・低音、更に半音も含めた、どの音程でも均一な音色・音量にするにはどうしたらいいか」 をキチンと考えて、0から再設計したんです。 その結果・・・
4 22/08/15(月)20:01:12 No.960955839
・頭部管を少し円錐状(吹き口側を絞り、主管側に向けて少しずつ広げる形状)にする事で、低音から高音までちゃんと出るようにする ・主管や足部管を円筒状にする事で、音程の計算をしやすくする。(円錐だと中の容積の計算が面倒なので・・・) ・今までと比べてかなり大きいトーンホールを、計算で弾き出した位置に配置する。 ・その結果、指で塞げないサイズや幅になったので新たなキーシステムを作る という改良を行いました。
5 22/08/15(月)20:01:31 No.960955952
当時の奏者は賛否両論だったらしく、 「ベームの楽器は音もデカいし音程も良いかもしれないが、音色が下品でスカスカ」という意見もありました。 とはいえ、音量と音程という長所を持ったベームフルートは一般にも広がっていき、その後のフルートのベースとなりました。
6 22/08/15(月)20:02:07 No.960956184
さて、ここからはリップ・ライザーの形状の改造がメインとなります。 古い楽器ではただの円だった吹き口の穴の形状は、段々「楕円にした方が吹きやすくなるな」という事で横に広がりました。 横に長い楕円になった後、 今度は四隅を尖らせて四角(スクエア)にした方がバリバリと鳴りやすくなるという事で、 段々四角に近い形状になっていきました。 ただし、ベームさんもブチ当たった問題として 「吹き口の穴を大きくしていくと、ある段階で全然音が出なくなる。」 という事で、そのサイズの中で「どうしたら一番音量が出て吹きやすくなるか」を模索していました。
7 22/08/15(月)20:02:35 No.960956403
そんな中、アルバート・クーパーさんという天才職人が現れます。 この人はベームさんのトーンホールの位置やサイズに若干アレンジを加えた「クーパースケール」というモノと共に、 「クーパーカット」という吹き口形状を提唱しました。 「吹き口のサイズを、ベームさんが限界と言ったサイズよりも大幅に大きくした上で、穴の下側をガッツリと削ってしまう」 という大胆な設計で、今まで難しかった低い音も簡単に出せるようになり、音量も大きくなりました。 「今までよりも更に音が下品でスカスカになった」という意見もありましたが、簡単に音が出せる楽器はメーカーとしても売りやすい。 そういった事で、ほとんどのメーカーは数年の内に一気にクーパースケールとクーパーカットを導入し、 現代作られるフルートのほとんどは、クーパースケールとクーパーカットをベースにしたり、それらに影響を受けた設計となりました。
8 22/08/15(月)20:02:53 No.960956529
で、現在はというと・・・ ラファンやシェリダンといった「音量も大きくて華やかだけど品のある音色」のする頭部管や、 昔の楽器のような「簡単には吹けないけれど上品で密度の高い音色」の頭部管など、 それぞれの奏者の好みによって色々な頭部管を選べる時代になりました。
9 22/08/15(月)20:03:10 No.960956642
各メーカーの音色や吹き心地の違いは、この頭部管の内部形状の差によるものがとても大きいです。 なので、交換すると別の楽器になったように感じますね。 みなさんも店頭で試しに吹いてみて、お気に入りの一本を見つけましょう!! 初心者の「」は吹きやすくてバランスも良くてお値段も安いヤマハのYFL-212辺りが良いと思いますが、 他のメーカーでも相性が合うのがあれば、そっちの方が良いですよ!! お値段高いかもしれないのが難点ですが・・・!!
10 22/08/15(月)20:03:27 No.960956777
今回はここまで!! 歴史に想いを馳せながらざっくりと書いてきました!! 明日は素材の事をちょろっとお話したいと思います! ではまたー!
11 22/08/15(月)20:15:55 No.960962189
教養高くなれてありがたい…
12 22/08/15(月)20:27:17 No.960967226
フルートリズムちゃんスタミナSだったのか… いやマジでネタ切れしないのすげぇ
13 22/08/15(月)20:30:18 No.960968625
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14 22/08/15(月)20:53:58 No.960979660
マジだった