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22/08/10(水)23:32:13 「勝利... のスレッド詳細

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22/08/10(水)23:32:13 No.959015837

「勝利したのはグラスワンダー!多くのG1ウマ娘が集う中、クラシック級ウマ娘が優勝!今後が楽しみなレース結果となりました!」 病室のテレビがグラスちゃんの勝利を告げる。画面に映るグラスちゃんは、息を切らしながらもなんだかとっても満足そうだ。私も一緒に走りたかったけど、元々怪我と体質のせいで今年は満足にレースに出れていなかったし、有馬記念は最初から考えてなかったからしょうがない。怪我をしていたのはグラスちゃんも同じだったけど、そこから必死に練習をして先輩ウマ娘たちに勝ってしまうのだからやはり彼女の才能は確かなものだろう。きっと私よりももっと…………… ウィナーズサークルに移動したグラスちゃんが感極まってトレーナーさんに抱き着く姿が大きく映し出される。ジュニア級で大活躍をしたのに、怪我で全てが狂って、復帰後もなかなか勝ちきれなくて、早熟ウマ娘だったんじゃないかって言われて……それでもトレーナーさんと二人三脚でつかんだ勝利だ。しかも相手は歴戦のウマ娘ばかり。そりゃあ相手が異性でも抱きつきたくなるよね。

1 22/08/10(水)23:32:44 No.959016009

でも、もし私がこんな弱い身体じゃなかったら、もっと走り抜ける力があれば…………その場所に居たのは私だったんじゃないかな。 せっかくの友達の勝利なのにそんなことを考えてしまう自分が嫌になって、その日はテレビを消して眠りについた。目を閉じていても、トレーナーさんと抱き合うグラスちゃんがいつまでも見えるようだった。 「グラスちゃん!レース見てたよ、凄かったね!私も早く追いつかなきゃ!」 「ツルちゃん、見ててくれたのは嬉しいですけど、無理は禁物、ですよー?トレーナーさんも心配しますし」 「うー…………分かってはいるんだけどぉ…………早く退院したいなぁ………」

2 22/08/10(水)23:33:05 No.959016144

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3 22/08/10(水)23:33:16 No.959016217

私達は今、同じトレーナーさんに担当してもらっている。最初にスカウトされたのは私、模擬レースで走り終えたあと体調が悪くなって倒れちゃったんだけど、その時介抱してくれたのが彼だった。その流れで担当にしてくれないかとお願いされて、私も快諾した。私の身体の弱さも含めて、一緒に乗り越えていきたいって言ってくれた。それがすごく嬉しかった。そんなことを言ってくれる人が居るとは思っていなかったし、レースであまり結果を出せていない私のことを、真っ直ぐな目で見てくれたから。だけど結局、身体の不調や怪我が重なってデビューはかなり遅れてしまった。その間、トレーナさんはグラスちゃんからの熱烈な逆スカウトを受けて私のトレーナーとグラスちゃんのトレーナーを兼任することになった。人手が足りない中央では珍しいことではないらしいけど、私が休養している間、グラスちゃんはどんどん結果を出していって、トレーナさんもグラスちゃんを見る時間が増えていって。最初にスカウトしてもらったのは私なのに………そんな醜い嫉妬の感情を抱いてしまった。

4 22/08/10(水)23:33:55 No.959016468

「でもでも、怪我を乗り越えて大勝利したグラスちゃんを見てたら私もすっっっごく元気をもらえたんだ!だから、来年こそ待っててよね!絶対にグラスちゃん達と走ってみせるから!」 「うふふ、ツルちゃんの走りは眼を見張るものがありましたし、私も一緒に走れる日が楽しみです」 ……そう、グラスちゃんも怪我をしていたんだ。でも、私と違って彼女はもう復活を遂げている。そのことを考えると、トレーナーさんが私よりもグラスちゃんに力を注ぐことは当然のように思える。悔しい、妬ましい………グラスちゃんは大切な友達で、いつか競い合うライバル、そんな存在なはずなのに彼女への歪んだ劣等感を捨てられない。出会って一年とちょっとのトレーナーさんへこんなに執着するなんて、きっと私はおかしいのだろう。だけど、私を支えてくれると約束してくれたあの人を、毎日のように病院にも来てくれてずっと等身大に接してくれたあの人を取られたくないって思う。かなりの遅れを取ってしまったけど、グラスちゃんには負けたくない………!

5 22/08/10(水)23:34:44 No.959016752

「さて、今日からはツヨシもトレーニングに復帰だな!グラスもシニア級で更に活躍できるように頑張ろう!」 「はい!今までトレーナーさんに心配かけた分、たっくさん頑張るぞー!」 「少しでも体調が悪くなったら言ってくださいね?私もトレーナーさんも、ツルちゃんの健康が一番だと思ってますから」 「心配ないよ!トレーナーさんがリハビリを手伝ってくれたお陰で、今年の私は一味違うから!」 激闘の有馬記念を制してから1ヶ月、年も変わり学園にはツルちゃんが戻ってきた。彼女の復帰は私にとっても喜ばしい。これでやっと、彼女と正々堂々勝負ができる。思い返せば、私はスタートの時点で出遅れていた。トレーナーさんと私が出会った時、既に彼はツルちゃんをスカウトしていたのだから。ひょんなことから外出先で彼と出会い、一緒にお茶を飲みながら走り方のアドバイスをもらったとき私は確信した。私のトレーナーはこの人をおいて他にいないと。彼が既に担当を決めていたと知っても私のその思いは止まることがなかった。半ば強引に彼にスカウトを迫る形になってしまったのは今でも少し残念に思う。

6 22/08/10(水)23:35:25 No.959017026

新しく私を担当すると聞いたときのツルちゃんの表情も忘れられない。トレーナーさんに見限られたと思ったのだろう。あんなに絶望した友人の顔を見るのは初めてで、私も心が痛んだ。だけどもトレーナーさんは優しい人、というより度を越したお人好しで、私とツルちゃんに平等に接した。むしろ、リハビリやお見舞いのことを考えればツルちゃんのほうを重点的に見ていただろう。私にはそれが悔しくてたまらなかった。私がジュニア級で結果を出しても、トレーナーさんは一瞬でも私だけを見てくれるようなことはなかった。きっと彼の中にはいつもツルちゃんが居たのだ。後からスカウトしてもらったのに傲慢かもしれない。考えれば考えるほど幼稚な独占欲だと分かる。しかし私は負けず嫌いだ。レースにはもちろん、彼を譲ることもしたくはない。幼稚な願いであるからこそ、私が子供であるうちに叶えてしまいたい。クラシック級の初めに怪我をした時、初めて彼の献身を受けた。すると、ツルちゃんへの嫉妬の炎は激しさを増した。彼女はずっとこんなにも温かい彼のサポートを受けていたのか。

7 22/08/10(水)23:35:56 No.959017243

病室で他愛もない談笑をして、ストレッチをするときは硝子を触るかのように私の足に触れて……もちろん、普段のトレーニングに不満があるわけではない。だが、療養中の彼の様々な行動はあまりにも甘く、私の舌を狂わせていった。復帰してからはトレーニングだけでは飽き足らず、過激なスキンシップを仕掛けるようになった。ツルちゃんがずっとトレーナーさんと甘い時間を過ごしていたのなら、私だってこれくらいする権利はあるはずだと言い訳をしながら。アメリカではこれくらい普通ですよ、と言いながら身体に触れると、きまりが悪そうに顔を赤らめて目を逸らすトレーナーさん。その瞬間だけは私の中の醜い独占欲が満たされた。でも、そんな卑怯なご褒美も今日でおしまい。私も彼女も、条件は同じ。言い訳は出来ない。 「よし!二人ともいいタイムだったぞ。ツヨシも復帰前よりも調子が良くなってるし二人が同じレースで競う日も遠くないな!」 「フー………フー………さすがグラスちゃん、早いね………ゼェ……ゼェ………」

8 22/08/10(水)23:36:12 No.959017342

「ツルちゃんも…………先週まで病院に通っていたとは思えない走りでした。トレーナーさんの言う通り、この先が楽しみです」 「ツヨシはどこか痛むところはないか?辛いようだったら肩を貸すぞ?」 「えへへ………ちょっとトレーナー室までお願いしてもいいですか………?」 忘れようとしていたはずの炎が私の中で再び燃え上がるのを感じる。やっぱり、私は幼稚だ。結局見えていても見えていなくても、彼が自分以外の誰かにその優しさを向けているのが気に食わないらしい。 「トレーニングも終わって、ツルちゃんも落ち着いたことですし………トレーナーさん、"いつもの"ご褒美、お願いしてもいいでしょうかー?」 「えっ…………トレーナーさん、いつものって…………?」 「あー…その………スキンシップみたいなものだよ。グラスが言うにはアメリカでは普通らしいんだけど………」

9 22/08/10(水)23:36:27 No.959017455

今からする"コレ"はツルちゃんへの嫉妬から来るものじゃない。むしろ、彼女に正々堂々と宣戦布告をするものだ。だから、卑怯じゃない。そんな子供みたいな屁理屈で自分を正当化する。ツルちゃんの目の前で、いつもの様にトレーナーさんの膝の上に座り込む。 「ほらほら、遠慮せずに撫でてください?耳の付け根のあたりを重点的にお願いしますね」 「グラスちゃん…………」 「ツルちゃんもしてもらいますか?練習の疲れが取れるような心地がしますよ?」 これからは3人一緒でいることが増えるだろう。だからこそ譲れない。私よりも早くトレーナーさんと出会ったあなたに、私よりも大切にされてきたあなたには、絶対に負けたくない。

10 22/08/10(水)23:36:51 No.959017594

………………………………………………………………………………………… トレーナーさんに頭を撫でられて満足そうなグラスちゃん。わざわざ私の目の前で"いつもの"と言ってこんなことをしているのは、私への当てつけか挑戦か。きっとそんなことはないのに、それでも自分の中の嫉妬や悔しさ、そして負けられないという対抗心が大きくなっていく。もしかしたら、グラスちゃんも病院での私とトレーナーさんを見たとき、同じ気持ちだったのかな。だけど、私は帰ってきた、グラスちゃんと直接競い合えるトレセン学園に。だったら私も条件は同じ。絶対に負けられない………! 「トレーナーさん!グラスちゃんを撫でるのが終わったら、私もナデナデしてください!病院でしてもらってた、脚のマッサージもお願いします!」 グラスちゃんの目の色が変わる。そうこなくっちゃ。私達は友達でライバルで負けず嫌いなウマ娘……だもんね。

11 22/08/10(水)23:37:39 No.959017880

元は勝負服を手に入れたツルちゃんに迫られるお話を書こうとしてたんです

12 22/08/10(水)23:43:46 No.959020086

ヒッ でもとてもいい…

13 22/08/10(水)23:44:11 No.959020220

厩舎とかジョッキーが同じとかそういうのじゃないんだな

14 22/08/10(水)23:44:58 No.959020526

戦闘力がどんどんあがっていく

15 22/08/10(水)23:45:18 No.959020684

黄金世代で一番独占欲強そうなのがグラスちゃんだったという安直な理由

16 22/08/11(木)00:03:12 No.959027446

刃傷沙汰になってないからセーフ

17 22/08/11(木)00:12:17 No.959030987

仲良くやるのが一番よー!

18 22/08/11(木)00:18:52 No.959033590

続きが見たいけど怖い 大好き

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