22/08/08(月)23:12:41 レッド... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1659967961522.jpg 22/08/08(月)23:12:41 No.958287447
レッド誕生日なので誕生日怪文書投下します 今回はカップリングとか無しのになります
1 22/08/08(月)23:13:03 No.958287606
誰かに必要とされる。 そんな自分になりたくて必死で生きてきた。 そしていろんな人と友達になれた。 だけど、そんな人達から必要とされなくなったら。 そう思うと、震える。 足場が急になくなるような恐怖を感じる。 自分の価値が無くなってしまう。 この世界に居場所が無くなってしまう。 そうして、自分が消えていって。
2 22/08/08(月)23:13:26 No.958287746
「…ッド、おいレッド」 「…レッド、そろそろ起きて」 「…レッドさん、もう昼ですよ」 「…え?」 呼び声が聞こえる。 それに導かれるように目を開ける。 見えた景色はいつもの自分の寝室。 だがいつもとは違う誰かがいた。 「…やっと起きたか」 ため息混じりに言うのはグリーン。 その横でブルーや苦笑し、イエローが申し訳なさそうにしていた。 「すごいぐっすり寝てたわよ。何しても起きないくらい」 「すみません、勝手に上がっちゃって…」
3 22/08/08(月)23:13:41 No.958287847
「あ、うん。ごめん。 寝坊してたオレが悪いし上がってくるのは仕方ないよ」 起き上がり、ベッドから出る。 「もうみんな揃ってるぞ。早く支度して出てこい」 「今日の主役をみんな待ってるわよー」 「お邪魔しました…」 グリーンたちが退室していった。 寝ぼけた頭で考える。 なぜ自分の部屋にグリーンたちがいたのか。 「…あ」 カレンダーを見る。 ある日付に赤マルと文字があった。 今日は誕生日だ。 あのホウエンでのトーナメントを終えて最初の。
4 22/08/08(月)23:13:57 No.958287948
「遅えっスよレッド先輩!」 「たはは、ごめんごめん。 今日が楽しみで寝れなくってさ」 リビングに入るとたしかにみんながいた。 先程いたグリーン、ブルー、イエロー。 ジョウトから来たゴールド、シルバー、クリスタル。 ホウエンから来たルビー、サファイア、エメラルド。 自分も入れて10人。 三地方の図鑑所有者が勢揃いしていた。
5 22/08/08(月)23:14:12 No.958288045
「んじゃ、本日の主役からひとことおなしゃす!」 「え、ええ?」 いきなりのゴールドからの無茶振りに戸惑う。 起きたばかりで正常に回っていない頭ではどう言えばいいか判断がつかない。 グリーンを見れば肩をすくめられる。 ブルーを見れば愉快そうに笑われる。 明らかに助ける気がない。 かと言ってイエローたち後輩を頼るわけにもいかない。
6 22/08/08(月)23:14:28 No.958288150
「ええと、今日は来てくれてありがとう。 気がついたらこんなに友達や後輩が増えて嬉しいけど、 なんか自分が1番上の先輩って実感湧かないや」 最後の一言で皆がずっこけた。 呆れの視線を向けられるが仕方ない。 思いつきをそのまま言うしかないので多少カッコ悪くても割り切っていく。 「でも何かあったらオレが必ず力を貸すし、逆に困った時はみんなの力も借りたいと思う。 頼りないところもあるけど、これからもよろしく頼むよ」
7 22/08/08(月)23:15:32 No.958288579
先程よりは和んだ空気になる。 皆からの視線も和らいだものになった気がする。 どうやら今のでなんとか持ち直せたようだ。 「んじゃ、そろそろケーキの蝋燭吹き消してもらいましょうか!」 テンションの高いゴールドが横に移動すると、ケーキがあった。 テーブルの半分を占拠するくらいの丸く大きなケーキ。 白いクリームや色とりどりのスイーツの乗った華やかなケーキだった。 その存在感にレッドは圧倒された。 「アタシたちで作ったのよ。ねー♪」 「が、頑張りました」 「2人とも、ありがとな」
8 22/08/08(月)23:15:59 No.958288765
ブルーとイエローに礼を言って改めてケーキを見る。 だが、その上の蝋燭は10本もなかった。 「あれ?蝋燭少なくないか?」 「あ、こっちにもあります」 ルビーの方を見るとそちらにもケーキがあった。 イエローやブルーのケーキとは対照的にこちらは四角い。 長方形とチーズケーキ、チョコケーキ、などの小洒落たさまざまなケーキに1本ずつ蝋燭が刺さっていた。 「こっちはボクが作ってきました」 「あ、ありがとう。だけどケーキ多くないか?」
9 22/08/08(月)23:16:20 No.958288916
「どうせエメラルドやレッド先輩でカビゴンが2体いますし。 ボクらが食べきれなくても大丈夫でしょう」 「オレたちのカビゴンを残飯処理係みたいに言うなよ!」 「まあまあ…」 ルビーとエメラルドを宥めると、部屋の電気が消される。 カーテンで窓が覆われてるため、昼間なのに部屋が暗くなる。 火がついた蝋燭だけが灯りとなって自分たちを照らしていく。 「んじゃ、お願いします!」 ゴールドに促され、レッドは蝋燭を吹き消した。 「誕生日おめでとう!」 「ありがとう、みんな」 礼を言うと、まばらな拍手をBGMに部屋が明るくなった。
10 22/08/08(月)23:16:36 No.958289031
「ケーキ美味いな」 「どっちの方ですか?」 「両方ともだよ」 ルビーに応対しながらも渡されたプレゼントを開ける。 グリーンからはプロテイン。 ブルーからはハンカチ。 イエローからはベルトとなっていた。 「父の日のプレゼントみたいっスね」 「正直、パパに贈ったのと一緒に買ったからね」 「すみません、悩んだんですがいいのが思いつかなくて…」 「でもちょうどよかったよ。 ベルトもハンカチも使い続けてぼろぼろだったし、プロテインは絶対使うしな」 グリーン、ブルーとイエローに礼を言う。
11 22/08/08(月)23:16:53 No.958289144
ゴールドからは自転車のサドルだった。 「キックボードでっち上げた時に余ったやつなんですけど、 レッドさんの自転車のサドル傷んでたしこれでいっかなって」 「ありがたいけど、実用品多いな」 「お前がもらって嬉しいプレゼントも他に思いあたらなくてな」 頷く一同。 レッドもそこは否定できない。
12 22/08/08(月)23:17:07 No.958289248
だがシルバーからは意外にも携帯ゲーム機だった。 「シルバーがこういうのくれるなんてちょっとびっくりしたよ」 「ゴールドとたまにゲームをしているので、 先輩にもぜひと思って」 どこか緊張したような固い口調でシルバーが言う。 彼はサカキの息子だと最近知った。 彼自身もショックを受けたようだが、それを乗り越えたのなら自分からはなにも言うことはなかった。 「ありがとな。後でやろうか」 「…はい」 笑いかけるとシルバーの緊張も多少はほぐれた気がした。
13 22/08/08(月)23:17:24 No.958289371
クリスからは新品のモンスターボールだった。 「今使ってるボールも傷んできたし、これが壊れないうちにこれに変えるよ」 「しっかしクリスのやつ面白みねぇな」 「余り物渡すよりはマシでしょ!」 怒りの蹴りがゴールドに直撃した。 「なにしやがる!」 ゴールドは抗議したが皆は流した。
14 22/08/08(月)23:17:40 No.958289461
ルビーたちからは服だった。 いつものとは別のデザインの赤い上着やジーンズ。 見たところサイズもぴったりそうだった。 「合同ですみませんが、ボクたちからはこれで。 冬用なので今の季節には合わないですけど」 「冬になったら着させてもらうよ」 「他の先輩方にも今度服贈りたいんでサイズ測らせてください」 そう言いながらルビーが近くにいたブルーの方へと歩く。 だがシルバーがその行手を遮った。 「姉さんの身体を測るとは何事だ!」 「いえ、やましい気持ちはないんですけど。 そんなに怒らなくても」 「まあまあ」 2人の間に立って仲裁する。
15 22/08/08(月)23:17:56 No.958289567
「本当はあたしからも着るもん贈るつもりやったんばいけど」 「腰蓑とか贈ろうとしてたんでオレたちで全力で止めたよ…」 エメラルドが大きなため息をついた。 「まあそれはそれで着てもいいかもしれないけどな」 「いや絶対やめろ」 グリーンたちに全力で止められた。
16 22/08/08(月)23:18:42 No.958289829
その後、ゲームをしたり。 みんなで話し合ったり。 楽しい時間を過ごしていたが、日も暮れて来たので皆は帰宅することになった。 「…なんか、部屋が広くなった感じだな」 皆が帰る前に片付けは済ませた。 先程までとは異なって物の少ない綺麗な部屋に逆戻りしていた。 楽しい時間はあっという間だ。 自分以外誰もいない部屋。 1人取り残されたような孤独感に少し苛まれる。 「レッド」 「え?」 振り向けばグリーンがいた。 ブルーやイエローも控えている。
17 22/08/08(月)23:18:58 No.958289933
「あれ?みんなまだ帰ってなかったのか?」 「帰ってほしいみたいな言い方じゃないそれ?」 「そういうつもりじゃないんだけどさ…」 「大丈夫です。ちゃんとわかってますから」 「これからちょっといいか? 来てほしいところがあってな」 「?いいけど」 この後の予定もない。 まだみんなと一緒にいたいのもレッドの本音であった。
18 22/08/08(月)23:19:12 No.958290037
リザードンの背に乗って、4人は移動していた。 「さすがに4人は狭いわね」 「かと言って、他に複数人乗れて飛べるポケモンもみんな持っていないからな。 我慢してくれ」 ブルーの呟きに応えつつ、グリーンがリザードンに支持を出していた。 「どこに行くんだ?」 「ええと、秘密です」 イエローに聞いてみてもはぐらかされた。 他の人ならともかくイエローがこう言うとは。 疑問に思っていると高度が下がっていった。
19 22/08/08(月)23:19:27 No.958290130
「ここって、トキワジムか?」 「そうだな」 簡潔にグリーンが返事をする。 着地した後、グリーンたちに手招きされた。 黙ってそれに従う。 促されるままジムの中に入る。 「レッド、誕生日おめでとう!!」 その瞬間、クラッカーの派手な音が鳴り響いた。
20 22/08/08(月)23:19:50 No.958290288
「え…?」 そこにいたのは仲間たち。 タケシ、カスミ、エリカやカツラのカントージムリーダー。 オーキド博士、マサキ、ナナミの研究者たち。 彼らが笑顔で出迎えてくれた。 「久しぶりだなレッド!元気そうでよかった!」 「もう、石になったとか聞いて心配したんだからね!」 「でも、本当によかった…」 「あ、うん。ごめん、心配かけて」 久しぶりに会うジムリーダーの面々に謝罪する。
21 22/08/08(月)23:20:14 No.958290447
「みんな今日の仕事も終わったし、ここからはワイらも祝うで!」 マサキの宣言に頷く皆。 グリーンたちの方を見る。 呆れたように肩をすくめるグリーン。 悪戯が成功したような得意げな笑みを見せるブルー。 照れて麦わら帽子で顔を隠すイエローがいた。 なんとなく仕掛け人がわかった。 「ブルーが言い出したんだな…」 「すみません、つい乗っちゃって…」 「止めても聞かないだろうしな」 「ここまで人集めたのはグリーンでしょ、同罪よ」
22 22/08/08(月)23:22:42 No.958291408
言い合う3人を見つつ、レッドは思った。 自分には、こんなに大勢の人がいる。 喝を入れてくれる人がいる。 慰めてくれる人がいる。 ついてきてくれる人がいる。 こんなにも、大勢の人が自分を必要としてくれる。 迷うことなんてなかった。 視界を少し広くしたら、それだけで気づけたことだった。
23 22/08/08(月)23:27:30 No.958293333
「ありがとう、みんな」 「…はい!」 「じゃ、行きましょう」 「でも、さすがにパーティー2回目だと腹が膨れてるな…」 「なら、腹ごなしにやるか」 グリーンがボールを取り出す。 瞬間、レッドもスイッチが入った感覚がした。 目つきが鋭くなり、ボールを構える手に力がみなぎる。 「やっぱり、こうなるわけね…」 「でも、レッドさんたちらしいですよ」 誰もそれを否定することはなかった。
24 22/08/08(月)23:27:43 No.958293418
「やるか!」 「こい!」 そして、激突。 誕生日なのに、などと誰も言わなかった。 結局気の済むまで2人のバトルは続いていたのだった。
25 22/08/08(月)23:27:58 No.958293504
以上です 閲覧ありがとうございました
26 22/08/08(月)23:31:07 No.958294648
土曜日は運ムン 日曜日はレブル 月曜日のレッド誕生日に誕生日怪文書となんとか3日連続で投稿達成しました このスレ画使うのも久しぶりです
27 22/08/08(月)23:32:12 No.958295064
>ブルーの呟きに応えつつ、グリーンがリザードンに支持を出していた。 指示の誤字でしょうか >ゴールドからは自転車のサドルだった。 >「キックボードでっち上げた時に余ったやつなんですけど、 >レッドさんの自転車のサドル傷んでたしこれでいっかなって」 ギャグな絵面でもしっかり実用性を伴ってるのが実にゴールド
28 22/08/08(月)23:48:32 No.958301503
>>ブルーの呟きに応えつつ、グリーンがリザードンに支持を出していた。 >指示の誤字でしょうか >>ゴールドからは自転車のサドルだった。 >>「キックボードでっち上げた時に余ったやつなんですけど、 >>レッドさんの自転車のサドル傷んでたしこれでいっかなって」 >ギャグな絵面でもしっかり実用性を伴ってるのが実にゴールド 誤字指摘ありがとうございます 慌てすぎて申し訳ねぇ…