虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    22/08/07(日)23:54:41 No.957927406

    タマムシシティの街中。 「お兄さん、これお買い得だよ!」 「いや、その…」 レッドは押し売りにあっていた。 目の前にあるのは自分より少し年上の男性。 そして広げたシートの上には能力アップ用のアイテムやモンスターボール。 だけどどう見ても適正価格よりは高い値段で売られていた。 「見た目は普通のアイテムと一緒だけど、ウチのは違うよ! 効果も倍増!」 どう断ったものか。 そう悩んでいる時だった。 「あ、レッド!」 「え?」

    1 22/08/07(日)23:54:57 No.957927527

    予想外のタイミングで、聞き慣れた女の声が聞こえた。 その方に向き直ると思ってた通りの人物がいた。 「ブルー!」 「あれ?お兄さんのお知り合い?えらい美人さんだねー」 「ありがと♡」 彼女は押し売りの男のおべっかを軽くかわすとレッドの腕に絡みついてきた。

    2 22/08/07(日)23:55:15 No.957927645

    「さ、デート行きましょう。 待たせてごめんねー」 「え、ちょっと!」 押し売りの男が止めようとするが無視してブルーが歩き出す。 「ぶ、ブルー」 「しっ。アタシに合わせて」 言われるがままに、レッドも脚を動かした。

    3 22/08/07(日)23:56:52 No.957928254

    「…ここまで来ればもう大丈夫でしょ」 押し売りのいた場所から5分ほど歩いた路地。 そこまで来るとブルーが離れた。 「ありがとう、ブルー…。 よく状況がわかったな」 「まぁ、アタシとレッドが初めて会った時があんな感じだったからね」 「たはは。そういえばそうだったな」 思い返せば懐かしい。 あの時の自分はブルーに騙されて、 それがキッカケになって今でも縁が続いている。

    4 22/08/07(日)23:57:13 No.957928366

    「この後予定あるか?せっかくだし喫茶店でも行くか」 「いいわね。レッドの奢りね?」 「それでいいよ。さっきのお礼もあるし」 さっそく喫茶店を探そうとすると、目の前に一つあった。 「ブルー、もしかしてここまで予測してたのか?」 「さあ、どうかしらねー」 余裕のある笑みを浮かべて、ブルーがこちらの手を引いた。

    5 22/08/07(日)23:58:07 No.957928719

    「レッドはバトルの挑戦でここに?」 「ああ。ブルーは?」 「アタシは仕事よ。ここにアタシの作ったアイテムを納品しに来てたの」 喫茶店で飲み物を飲んで喉を潤し、2人は話し合っていた。 「あ、前にあなたに出したみたいなのじゃなくてちゃんとしてるやつよ?」 「そりゃあちゃんとしたアイテムじゃないと客もつかないだろうしな」 オーキド博士に許されてから悪事はしないようにしてるはずだ。 するにしてもやむを得ないためで、決して私利私欲のためにはしないと思う。

    6 22/08/07(日)23:58:50 No.957928963

    「前とは違って、ちゃんとブルーは真面目に働いてるよな」 「信用してくれるの?」 「もちろん。ブルーとは長い付き合いだしもうそういうことしないって信じてるよ」 「ふぅん」 ブルーが頬を緩ませる。 「そういうレッドはあの頃よりは成長したのかなー? さっきの押し売りの人に買わされそうになってたしアタシがいないとあのまま押し切られてたんじゃない?」 「そうかもなぁ。 オレだけだと本当にそうなってたかもしれないし」

    7 22/08/08(月)00:02:05 No.957930206

    自分はブルーほど口がうまいわけでもない。 のらりくらりとかわせるような自信はない。 「考えてみたら、オレってあのときから成長したのかな」 「背は高くはなったわよ? 前はアタシより低かったのに今は逆だもの」 ブルーが身を乗り出してレッドの頭を撫でる。 普段はされないことをされてつい照れてしまう。 「それに、たくましくなった」 「そうかな…。辛くて逃げたりもしたんだけど」 「そこから立ち上がるのはレッドの心の強いところ。 逃げてもちゃんと戻ってきてくれたのはあなたのいいところよ」

    8 22/08/08(月)00:02:55 No.957930528

    「…うん。ありがとう」 褒められると、さらに照れが増してしまう。 「アタシも身体の成長もしたんだけどね? こことか」 ブルーが腕を組んで胸を強調する。 腕にのった膨らみはたしかに出会った時よりは大きくなったように見える。 思わず唾を飲み込んで凝視してしまう。 と、ブルーが愉快そうに笑う。 「ほんと、昔からレッドはアタシの見た目に弱いわね。 そんなにアタシが可愛かったのかしら?」 輝くような笑顔を向けられると、やはり見惚れてしまう。

    9 22/08/08(月)00:04:09 No.957931024

    「そんなにアタシの見た目が好みなら、いっそ付き合っちゃう?」 「…え」 耳を疑う。 付き合う。 自分と、ブルーが。 今まで想像すらしていなかった。 だけど悪くはないのでは。 ブルーの人格も好ましく思う。 辛い過去を乗り越えてここまでやってきた彼女に敬意すら覚える。

    10 22/08/08(月)00:07:27 No.957932242

    そんな彼女がパートナーになるのは悪くないのではないだろうか。 「冗談よ。真に受けちゃった?」 悪戯が成功した子供のようにブルーが笑った。 拍子抜けはしたが、すぐに戻る。 こういう冗談はなんとなく彼女らしいと思う。 だからか正気に戻るまで時間は全然必要としなかった。 「ちょっとはな。 正直、そういうのも悪くないって思っちゃったし」 「あら光栄ね」

    11 22/08/08(月)00:08:04 No.957932445

    軽く笑い合う。 「なんか、初めて会った頃はこんな風になるなんて思わなかったわ」 「オレもだよ。 ここまで長い付き合いになるとは思わなかった」 あの頃は自分を騙した相手でしかなかった。 その後も自分を利用してくる者であり、手を組むのも躊躇する間柄だった。 だけど、今では自然に手を取り合える。 力を借りたり貸したりすることに一切の躊躇いはない。

    12 22/08/08(月)00:08:20 No.957932567

    「あと何年か経ったら、もっとオレたちの関係も変わってるかもな」 「そうね。ひょっとしたら、それこそさっきの冗談が本当になっちゃってたりして」 「それはそれでいいかもな」 ブルーとならば、そういった関係になるのも嫌ではない。 さすがに彼女でなければダメだと現時点では言えない。 だけど、ブルーとならそうなっても。 つい思ってしまうのも事実だ。

    13 22/08/08(月)00:08:49 No.957932749

    「もし、さ」 「ん?」 「アタシたちがもっと大人になって、 30歳くらいになってもお互い恋人できなかったら。 その時はさっきのをホントにしちゃう?」 「そうだな。その時はそれでいいかもな」 また2人で笑い合う。 どこまで彼女は本気なのか。 冗談だとは思う。 でもどこかで本当であってほしいと考えてしまう。 その小悪魔のような表情からは読み取りきれない。

    14 22/08/08(月)00:10:25 No.957933312

    だが、冗談とはいえ自分とそうなっても構わないとは言ってくれている。 それくらいの好意はあるとは受け取っていいのだろうか。 と、急にブルーの表情が緩く切り替わった。 「それはそうと、デザート頼んでいい? そっちはアタシも出すから」 「いいよ。でもそっちもオレが支払うよ」 「そう?ならお言葉に甘えるわ」 ブルーが呼び出し用のベルを鳴らすとそう待たされずに店員が来た。

    15 22/08/08(月)00:11:22 No.957933683

    「このジャンボパフェください」 「こちらカップル限定ですがよろしいですか?」 「はい!アタシたち付き合ってるんで♡」 「承りました」 待ってくれ、と口から出ることはなかった。 こちらが何か言う前に注文が終わり、店員が下がってしまった。 「ブルー…」 「あら、これくらいなら今だけ言ってもいいんじゃない? アタシは構わないけど」 「オレだっていいんだけど、せめて先に言ってほしかったな」 「あら、ごめんなさい?」

    16 22/08/08(月)00:13:14 No.957934343

    ウインクをしつつ、舌を出すブルー。 大人びた容姿を持ちながら、どこか子供のような悪戯好きなところがある少女。 もし彼女と交際しても、こうして振り回されるのだろう。 それでも悪くはないと思える自分がいた。

    17 22/08/08(月)00:13:30 No.957934447

    以上です 閲覧ありがとうございました

    18 22/08/08(月)00:14:05 No.957934656

    ありがとう

    19 22/08/08(月)00:16:17 No.957935376

    パフェ3杯分くらい食ったような甘さと満足感があったぜ またよろしくな

    20 22/08/08(月)00:19:27 No.957936492

    前回がレッドに振り回されるブルーなレブルだったので 今回はブルーに振り回されるレッドなレブルにしました 自分の文でよろしかったらこれからもよろしくお願いします

    21 22/08/08(月)00:21:59 No.957937452

    >「このジャンボパフェください」 >「こちらカップル限定ですがよろしいですか?」 >「はい!アタシたち付き合ってるんで♡」 このパフェ一つでも刺さってるトッポかポッキー咥えたまま「レッドにも半分あげるわよ」ってキス待ち顔で差し出したりわざと使うスプーン間違えたりとか色々あるんだろうな…