22/08/01(月)00:01:55 慣れと... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1659279715704.png 22/08/01(月)00:01:55 No.955355559
慣れというのは嫌なものだ。オペラオーちゃんもドトウちゃんもアヤベさんもいないターフで私が感じたことだった。世紀末覇王とそのライバルの引退式は、それはそれは華々しくて、見に来ていたアヤベさんも困ったような呆れたような顔をしていた。つまりはいつも通りの光景だった。今でも学園では見ることはできるけど、レースでのオペラオー劇場は幕を閉じてしまった。私はそれがたまらなく寂しくて、悲しくて、悔しくて。なのに、練習をしているうちに喪失感は薄れてきて。思えばアヤベさんが引退したときもそうだった。涙を流して、もう一度走りたいと心から願っていたのに。いつの間にか私は彼女のいないレースに慣れていた。 別に私が特別薄情なウマ娘であるということではないだろう。誰だって経験するものだ。私達が生きている限り、同じ道を走り続けるなんてことはない。どこかで分かれたり、またどこかで一緒になったり。その繰り返しであることは分かっている。実際、ずっと仲良くしようと思っていた小学生時代の友人達の連絡先を私はほとんど知らない。
1 22/08/01(月)00:02:21 No.955355719
私が感じている友情や悲しさなんて、何年かしたら消えてなくなっているかもしれない。それはきっと、私達が生きていく中で前に進んでいるからで、悪いことではないのだろう。だけど私はそのことがたまらなく怖くて、心を削られていくような気がしてしまうのだ。 「ハーハッハ!今日も輝かしい宴を開こうではないか!」 「アヤベさんもトップロードさんも……今日は試しに唐揚げを作ってみたんですけど、いかがでしょうか………?」 「あなたはもう少し静かに出来ないのかしら。せっかくドトウが料理を作ってきてくれたっていうのに」 「ふふっ。いつも通りみんな賑やかで楽しいですね!」 ………そう、いつも通り。だけど、いつまでかは分からない。あなた達がターフを去っていったのと同じように、この関係もいつ変わってしまうかも分からない。少なくとも、卒業という明確な終わりが私達を待っている。
2 22/08/01(月)00:02:48 No.955355880
「…………ップロードさん、聞いてるのかしら?」 「あっ…………ごめんなさい、ちょっと考え事してました」 「トップロードさん、あなた何か悩んでるんじゃない?」 「いや、全然そんなことはないですよ!ちょっと疲れてるだけです!」 「言うつもりがないなら、こちらも無理やり聞こうとは思わないけれど………私が言うのもおかしいけれど、もっと素直に私達を頼ってほしい」 「そ、そうですよ………トップロードさんはいつもみんなを助けてるんですから、私なんかじゃ力になれないって思ってるかもしれないけど……何か手伝えることがあれば言ってください!」 「あぁ!麗しきボクらの友情!もし君が闇に囚われてその輝きを失っているのなら、ボクたちは迷わず手を差し伸べるよ!」 「みんな……………ありがとうございます!私が悩んでること、お話してもいいですか………?」 ………………………………………………………………………………………… 「嗚呼!つまりはボク達の輝きが強すぎるあまり、君の目を見えなくしてしまったということだね!」
3 22/08/01(月)00:03:17 No.955356045
「オペラオーはちょっと黙ってて。トップロードさんの言いたいことは分かったわ。時間というものは残酷に私達を変えていくことが少なくないもの」 「でも………私はどこに行くことになっても4人で走ったことを絶対忘れません………それじゃあ駄目なんでしょうか………?」 「大事なのはボク達がその時輝けているかどうかさ!過去がその輝きの一部になっているのなら、悩む必要は無いじゃないか」 「………私も二人と同じ意見よ。慣れてしまうことは怖いかもしれないけれど、新しいあなたになっているということでもある。過去はそう簡単に消え去ったりしないわ。あなたが感じていた悔しさや寂しさだって、今はないかもしれないけれど、思い出にはなっているでしょう?」 「思い出…………でもいいんでしょうか?それだといつか忘れてしまうかもしれないのに………」 「例え一度忘れたとしても、完全にあなたからなくなったりはしないわ。きっといつか思い出す時が来る。少なくとも、私はあなた達にそう教えてもらったわ」 「思い出す…………あぁぁぁ!お昼休みにトレーナーさんと進路についてお話する予定だったの、忘れてましたぁぁぁぁぁ!急いで行かないと………」
4 22/08/01(月)00:03:43 No.955356212
「相変わらず慌ただしいわね、とりあえず今日はこれで解散でいいかしら。トップロードさん、自分の中で答えが出ていないのなら、あなたのトレーナーさんにも聞いてみたらどうかしら?」 「トレーナーさん…………ですか………」 そうだ、トレーナーさんとの関係だって、いつ終わるか分からないじゃないか。私が引退したら、きっと彼は新しい子を担当にして、その子と再び走り出すのだ。 ………………………………………………………………………………………… 「…………そういえば俺も昔そんなことを考えたことがあったなぁ」 「トレーナーさんは自分が変わっていくことが怖くなったりしないんですか?」 「まぁ…時々悲しくなることはあるね。やっぱりさ、変わっていくって良いことばかりじゃないし。だけど、その時その時に良いって思えるように頑張ってたら、いつの間にか時間は進んでいってるものだよ。自分が変わったなぁって色々と振り返ってみることもあるけれど、そのときに思い出せているなら、それでいいんじゃないかな」
5 22/08/01(月)00:04:16 No.955356395
「私は………あの3人とずっと走っていたかったし、トレーナーさんともずっと一緒にいたいです。この気持ちも、忘れていってしまうんでしょうか?」 「それはわからないなぁ。俺だって今までの人生を全部覚えてるわけじゃないからさ。でも、忘れたとしても今の自分はそんな昔の思い出で造られてるって思うから、生きていればその思い出が自分から消え去ってしまうことはないと信じてるよ」 「なんだか難しいお話ですね」 「明確な答えがあるわけじゃないからね、君が納得の行く考えが一番さ。まぁ俺はそんなことを考えなくても楽しく生きられればいいやとも思っちゃうけどね」 「ふふっ……なんだかトレーナーさんにしては珍しく不真面目な発言ですね」 「この話に限らず世の中の難しいことは大体そうだよ。悩みたいときに悩んで、そうじゃないときはひたすらに前を向いて頑張る方が人生楽しい」 「ありがとうございます。答えはまだ出てないけれど、とりあえず頑張ってみようって気持ちになってきました!」 「そうそう、それが健全だよ。それじゃ、早速トレーニングを始めようか」
6 22/08/01(月)00:04:43 No.955356556
きっといつか、私は変わっていくのだろう。私の周りの人々も、変わりながらバラバラの道に進んでいく。10年後、20年後、私はどうなっているか分からない。だけど、今は、みんなとの思い出を胸に走ることのできる今は、とにかく必死にもがき続けてみようと思うんです。今はあの3人がいないターフだけど、私はいつだって4人で走ったレースを思い出せる。気がついたら忘れてしまっているかもしれないけど、それは今じゃない。雨が降ろうとも、嵐が来ようとも、この脚が壊れてしまうまでは、まだまだ走り続けよう。そう決意して、トレーナーさんとグラウンドに向かうのだった。
7 22/08/01(月)00:05:03 No.955356685
走り続けたトップロードが好きなので書きました
8 22/08/01(月)00:14:25 No.955359872
トプロ良いよね…
9 22/08/01(月)00:28:09 No.955364628
いい…
10 22/08/01(月)00:28:51 No.955364843
実装待ってるね…
11 22/08/01(月)00:34:33 No.955366831
もっとNTR怪文書書け
12 22/08/01(月)00:35:02 No.955366994
ヒソヒソ...トップロードさんよ... 覇王世代唯一随一の健全さだわ...
13 22/08/01(月)00:38:15 No.955368149
風評被害甚だしいね! 風評被害ね... 風評被害ですぅぅぅ!