ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/07/31(日)23:59:45 No.955354678
レッドと付き合い始めた。 突然、彼から告白されたのだ。 まさかとは思いつつも、断る理由もなかったので受けることにした。 あの人から異性として意識されていることは知ってはいたし、 そうされるのは悪いとも思わなかった。 だけど、恋愛対象とまで思われているとは予想すらしていなかった。 驚きこそしたものの交際することへの不満はない。
1 22/08/01(月)00:00:02 No.955354792
「だからレッドから告白されたから仕方なくね? あー困っちゃうわー♡」 「その割には嬉しそうなんだが…」 ビデオ通話でシルバーに報告したら、彼から指摘された。 「えー?そんなつもりないんだけど」 「いや明らかに浮かれてるじゃねーっスか」 シルバーの横からゴールドも言ってくる。 「まあ正直、アタシもワクワクしてるのは認めるわ。 誰かと付き合うなんて初めてだし」
2 22/08/01(月)00:00:22 No.955354932
そうやって話している間も、気になってくる。 彼が今なにをしているか。 どこにいるのか。 自分のことをどれだけ思っているのか。 早く会って確かめたくなる。 「じゃこれからアタシ、レッドに会いに行くからー♡ それじゃーね」 「あ、ああ」 通話を切ると、軽い足取りで自室を出た。 急に会いにいったらあいつはどんな顔をするだろうか。 そう考えたら自然と鼻歌が出てきた。
3 22/08/01(月)00:00:41 No.955355066
「そりゃ、急に会いにいってもいるとは限らないわよね」 レッドの自宅の前でため息をつく。 用事の最中だと悪いのでメールで一応連絡はしてみるが、返事はまだ来ない。 普段ではもうちょっと考えて行動していた気がする。 恋は人を愚かにする、と聞いてはいたがこの身で実感する日が来ようとは。 と、ポケギアが着信音を鳴らした。 画面を見ると、レッドからの通話だった。
4 22/08/01(月)00:00:56 No.955355166
慌てて通話ボタンを押す。 「もしもし?」 「もしもし、ブルーか。 ごめんな、家にいなくて」 「ううん、急に行こうとしたアタシが悪いわ」 こちらの思いつきのせいなのだから、謝られると罪悪感が増してしまう。 「今日はバトルの挑戦があったんだ。 他の街に行ってたんだけど、それも終わったし今からそっちに戻るよ」 「じゃあ、それまで喫茶店で待っておこうかな」
5 22/08/01(月)00:01:11 No.955355260
今はもう夏真っ盛りだ。 すでに汗が額から流れてきているし、早く涼しい場所に行きたいのが本音だ。 「オレの家に上がってていいぞ? エアコンつけといてほしいし」 「え?」 思ってもみなかった発言に戸惑いを隠せない。 「いいの? というかアタシ合鍵持ってないからメタちゃんに開けてもらうことになるけど」
6 22/08/01(月)00:01:25 No.955355357
「それでもいいよ。 今度合鍵作りに行こうか」 「…レッドがそれでいいなら」 通話を切ると、ボールからメタちゃんを出した。 鍵に変身してもらい、それでレッドの家の玄関の鍵を開けた。
7 22/08/01(月)00:02:12 No.955355660
「お邪魔しまーす…」 誰もいない家だが、つい言ってしまう。 リビングに行き、エアコンを起動させる。 そうはしたものの、まだ部屋の中は暑い。 汗を拭いつつ、テレビを見ているとだんだんと涼しくなってきた。 エアコンが効いてきたようだ。 冷蔵庫からミネラルウォーターを出して飲み、喉を潤わせると落ち着く。 「…ちょっと汗ふこうかな」 乾きそうな汗のベタつきが気になる。 タオルを借り、水道水で濡らして絞る。 額や腕、首元を拭いていく。 マシにはなったものの、今度は身体に貼りついたシャツが気になってくる。
8 22/08/01(月)00:02:31 No.955355782
まだレッドも帰ってきていない。 ならばいいかとシャツを脱いでみる。 上は下着一枚になる。 彼氏とはいえ他人の家であられもない姿になる。 言いようのない背徳感を覚えつつ、身体を拭く。 シャツに関してはレッドのものを借りようかと、部屋を出ようとする。 「え?」 「へ?」 すると、目の前にレッドがいた。
9 22/08/01(月)00:02:47 No.955355872
「…おかえり」 「…ただいま」 彼氏の家なのに、自分の方がおかえりと言う。 それも下着姿で。 彼からも見開いた目で見られている。 彼氏に見られていることへの優越感と羞恥心がせめぎ合って動けない。 「…ご、ごめん!」 顔を赤くして、レッドがようやく顔を背けた。
10 22/08/01(月)00:03:00 No.955355945
「替えのシャツ、あっちの部屋にあるから!」 レッドは逃げるようにリビングに入っていった。 途中、身体のどこかがぶつかった気がする。 でもそれがどこかはブルーには思い出せなかった。
11 22/08/01(月)00:03:14 No.955356028
「恥ずかしいとこ、見せちゃったわね」 着替えを済ませてリビングに戻る。 「い、いやいいよ。 汗かいてたなら仕方ないし」 顔を赤くしてレッドが目を逸らす。 普段ならからかうところだが、こちらも照れが抜けておらずそれどころではなかった。 「…ええと、どうする?」 「…なにも考えてなかったわ」 「え?」 「だって、レッドに会いたかったんだもの」 言ってからさらに恥ずかしくなった。
12 22/08/01(月)00:03:56 No.955356283
「…うん。気持ちはわかるよ。 オレもブルーに会いたくて急いで帰ってきたからさ」 そう言われて、身体が熱くなった。 クーラーの効いた部屋なのに、汗がまた溢れてくる。 「…映画でも見る? ディスク買ったけどまだ見てないのがあるの」 「う、うん」 気まずい空気を変えようと提案したら、レッドが乗ってくれた。
13 22/08/01(月)00:04:20 No.955356426
「…」 「…」 失敗だった、とブルーは後悔した。 見ている映画で濃厚なキスシーンがあった。 その後も主人公とヒロインが過剰なまでにスキンシップしていた。 異性と2人きりで密室にいる。 そのような状況だと、意識しないわけにはいかなかった。
14 22/08/01(月)00:05:18 No.955356756
映画が終わり、部屋が静寂に包まれた。 いや、違う。 心臓の鼓動が聞こえる。 自分のものだ。 キスを意識するとどうしてもそうなってしまう。 「えと、さ」 「…うん」 レッドから語りかけられる。 「ブルーは、キス、したことあるか?」 「ううん、ないわ。 付き合ったのもレッドが初めて」 「…そうか。オレも」
15 22/08/01(月)00:06:11 No.955357080
今度は安堵の空気が満ちた。 そうだろう、とは思っていたが実際に聞くと安心する。 「ねぇ、レッド」 「…ああ」 「レッドは、アタシとしたい?」 聞いてみると、レッドが表情を引き締める。 それだけで、彼の意志はわかる。
16 22/08/01(月)00:06:26 No.955357164
彼の顔に近づく。 レッドからもそうされる。 そうして、距離がゼロになっていく。 そこで着信音が来た。 「!?」 驚き、飛び上がる。 確認すると、自分のだった。 ママからの今日の夕ご飯についてのメールだった。 「あ、もうこんな時間だったのね」 時計を見ると、すでに七時前だ。 夏は日が落ちるのも遅いから今が何時かの感覚も狂う。
17 22/08/01(月)00:06:53 No.955357327
「ごめん、アタシ帰るわ」 「あ、うん」 逃げるように部屋を出る。 すでにシャツは自分のものに着替えているため、あとは帰るだけだった。 先程までの空気が思い返せば恥ずかしい。 玄関まで来て、あとはドアを開けようとした。 「ブルー」 「ん?」 レッドが追いついてきた。 別れの挨拶かなと思った。 が、彼に唇を奪われた。
18 22/08/01(月)00:11:04 No.955358723
「ごめん、収まりつかなくて」 そう言うと、レッドは玄関から離れていった。 「…」 言葉が出ない。 しばらくの間、ブルーは玄関で立ち尽くしていた。
19 22/08/01(月)00:11:21 No.955358800
一応、家までついて夕飯も食べたがその実感がわかない。 レッドからキスされた。 それもファーストキスで。 その衝撃は強すぎる。 かつてカモだと思っていた彼。 その人からの行動にここまで振り回される。 そのことに戸惑い、ドキドキする。 だけどそれもいいとブルーは頭のどこかで思っていた。
20 22/08/01(月)00:11:32 No.955358868
以上です 閲覧ありがとうございました
21 22/08/01(月)00:14:46 No.955360015
たまにはレッドから攻めでやってみました レッドも元はナンパ少年ですので彼から行くことだってあるとは思ってこうなりました
22 22/08/01(月)00:17:06 No.955360825
レッドさんからいくパターン珍しいというか新鮮というか
23 22/08/01(月)00:18:13 No.955361209
それなりにレブル怪文書書き続けて気がつけば126作目です とりあえず目標はカントーらしく151作でしょうか