虹裏img歴史資料館

1 22/07/22(金)02:18:14 No.951676321

「はよーっす、今日模擬レースだよな」「昨日トレーナーがさぁ」「あー彼女欲しいー」「お前、いっつもそれだよな」 トレーナーは学園へと歩いてく学生たちを見ると、眼をこすって、頬を叩いて、また眼をこすった。この学校はウマ娘が集まる学校だったはずで、ウマ娘のような尻尾と耳が生えた男子が集まる学校ではなかったはずだ。 「お兄さま？」 呆然としているトレーナーに、ふとそんな声がかかる。自身をそんな呼び方をするのは学園広しと言えど一人しかいない。 恐る恐る顔を向けてみると、そこには短髪の少年がいた。雰囲気的には可憐な少女にもみえるが、少し主張する喉仏や体の部位に見える丸が線になっていて、美少女ではなく美少年だとすぐに分かる。 「ライス、シャワー？」 考える先に、口がそう勝手に動いてトレーナーは驚愕した。心が何故だか目の前の紅顔の美少年をライスシャワーだと判断する。愛バは女の子で男の子ではないというのに、この数年間いつだってそうだったじゃないかと納得し始めているのだ。

2 22/07/22(金)02:18:37 No.951676370

「風邪、大丈夫……？」 「あ、あぁ……もうすっかり元気だよ。心配してくれてありがとう、ライス」 「うん。ボクね、お兄さまが元気になるようにって何度もお祈りしたんだ。叶ってよかった……」 照れ臭そうに笑うライスを見て、トレーナーは確かにこの子はライスシャワーだと心で理解する。微笑む癖も、他人を心の底から心配する優しさも、彼女と一緒なのだ。 「だからすぐに治ったんだね。ライスのおかげだよ」 「えへへ……途中まで一緒に歩こう？」 そうして昼食時になった。トレーナーがこの新しい世界、勝手に定めればウマ息子世界に来て分かったことと言えば、ウマ娘世界のメンバーもちゃんと男の子になっていたがライバル関係などはそのままであること、レースなどはそのまま同じだということ、女性ファンが男性ファンを押すほどに多くなっていること、何故かたづなさんも男になっていることぐらいで、後は成績さえもウマ娘世界と変わらなかった。

3 22/07/22(金)02:19:01 No.951676424

今自分は夢を見ているのだろうか。とトレーナーは男子向きのがっつりとした大盛メニューが多めになったカフェテリアで、昼食のパスタをフォークに絡ませながら考える。そうなれば自分は絵本作家になれるだろう、あまりにも壮大で上手くできすぎている。 「あ、お兄さまもお昼ごはん？ 隣いい？」 そうしていると、巨大カツカレーを持ったライスがトレーナーを見つけてやってきた。相手が笑顔で頷くと、こちらでも以外に朝はパン派なウマ息子はトレーナーの隣へと座って、手を合わせた。 変わっていることと言えばもう一つ、ライスシャワーの距離が近くなったことだ。異性から同性になっているからか、通学中にも手を握ってきたし、じゃれるように抱き着いてくるし、今でも対面の席は空いているのにわざわざ横に座っている。それがなんだかトレーナーには弟ができたようでなんだか嬉しい。 そうしてご飯を食べていると、今だトレーナーが見たらぎょっとする生徒の集団が、ライスたちを見つけて噂話と共に立ち去っていった。

4 22/07/22(金)02:19:23 No.951676476

「あ、ライス先輩だ」「トレーナーもマジイケメンだなオイ。流石グットルッキングトレーナー第二位」「あの噂マジ？ ほら、デキてるってさ……」「ねーわ。いやでもずっと一緒だしなあの二人……」「俺の姉貴が、写真撮ってこいってうるせーんだよな。腐ってからさ」 なるほど、男子高校生らしい可笑しなことを気にする噂だ。とトレーナーは少しだけ笑う。確かにネットにも美しい刺客コンビやらで特集を受けていてその手の女性に人気もあったようである。こういうのも異性ではなく、同性だからやれることなのだろう。 「ふふ。可笑しいな、ライス」 「……え！？ あ、うん、そ、そうだね！」 対するライスというと顔を真っ赤にしてあたふたとして思わず水を零そうとしていた。やがて静かになった後、カツをカレーの海に沈めたり転がしたりしながら恐る恐る強張った声を出した。 「お、お兄さまってね……好きなヒトのタイプってどんなの？」 「ん……そうだな、ライスシャワーみたいな子かなぁ」 トレーナーのその言葉に、ライスシャワーの耳と尻尾が飛んでいかんばかりに天を指した。

5 22/07/22(金)02:19:45 No.951676517

「人のために優しくできて、頑張り屋さんで、うっかりやさんな所が可愛かったり……ライスが女の子だったらなって思うよ」 爽やかな笑顔でそういうので、さらにライス少年は顔を真っ赤にして、隣の席でハンバーガーを貪っていた生徒まで思わず咳き込んでしまった。質が悪いことにこのトレーナーは絵本から出てきた王子様のように顔が良い。 「そ、そういうこと平気で言うから、みんなから噂されるんだよ！？ ぼ、ボク……」 「ごめんごめん、困らせてしまったね。でも、そういう子がいいのはホントだよ？ 多分ここは夢で、君は男の子だから目の前で……」 「ボクも……恋人はお兄さまのようなヒトがいいな……お兄さまがいいな……」 「え？」 次に呆気にとられたトレーナーの方で、隣の席で咳き込んでいた生徒は飲んだ水を盛大に噴き出した。 「へ、変だよね……ボク、オトコノコなのに……で、でも！ 男の子が好きなんじゃなくて、女の子よりお兄さまの方が好きってだけなんだよ！ だ、ダメかな……？」 「だ、ダメではないけど……ちょ、ちょっとライス、落ち着いて……」 「お、お兄さまが悪いんだよ。いつもそうやってボクを変な気持ちにさせるから……」

6 22/07/22(金)02:20:11 No.951676563

なんだか可笑しなことになったとトレーナーは熱かったり冷たかったりする汗が体中から出しながら、近づいてくるライスシャワーをどうするかを必死に考えた。しかし、一体どうすればいいのだろうか、このいろいろ可笑しくなった世界で。 潤んだ瞳のライスが場所も憚らずに近づいてくる。避けるのもダメな気がするし、しかし避けなければ避けないで、世の中の一定の女性たちが飛び上がる羽目になる。時間が、時間が欲しい。 「お兄さま……」 緊張しすぎているのか、ライスの整った美少年お顔がぐにゃっと曲がった気がした。 「お兄さま！」 次の瞬間、トレーナーはベッドの上で目を覚ました。少しくらくらとする頭を抑えて起き上がってみれば、ライスシャワーが隣で心配そうな顔をしている。女の子の、いつもの美少女のライスシャワーだ。 「お、お兄さま、大丈夫？ 看病にきたんだけど、すっごくうなされてて……」 「ライス……女の子の、ライス……？」 「え？ う、うん……ライスは女の子だけど……ひゃあ」

7 22/07/22(金)02:20:21 No.951676584

そんなライスシャワーを髪の毛から足のつま先まで見て、トレーナーはため息をつきながらその華奢な体を自らの胸の中に収めた。一瞬だけじたばたとしてすぐに頭から放熱をしながら動きを止めるライスシャワーを感じながら、トレーナーはアレが夢だったことに安堵した。どちらのライスも大事だが、やっぱりこちらのライスの方が見慣れているし、付き合いが長い。 それとも、今こうしているのはウマ息子のライスが女の子ならよかったのにと思っている自分が見ている夢で、あちらが現実なのだろうか？ だが、とにかく今は体と心を女の子の方の愛バで上塗りしたい。そう思いながらトレーナーは結局ライスに風邪がうつるまでそうしていたのだった。

8 <a href="mailto:s">22/07/22(金)02:21:18</a> [s] No.951676701

勢いとその場のノリで書いたが後悔はありません次は女トレーナーとタイシンだ

9 22/07/22(金)02:23:21 No.951676960

ライスくんもいいよね…

10 22/07/22(金)02:24:18 No.951677068

別に男トレーナーとタイシンでもいいんだぜ！

11 22/07/22(金)02:25:14 No.951677170

幸薄そうなライス君と耽美なお兄様の組み合わせはちょっとお姉様方に激毒すぎる…

12 22/07/22(金)02:29:01 No.951677592

しかもイケメントレーナーがライスにべた褒めときた 「お前が女の子だったら」のトドメも外さない パーフェクトすぎる

13 22/07/22(金)02:31:04 No.951677799

隣の席のウマ息子君は聞いてて色んな意味で気が気じゃないだろうな…

14 22/07/22(金)02:32:54 No.951677977

(なぜか男の子になる理事長)

15 22/07/22(金)02:41:11 No.951678874

(なぜか変わらないダスカとウオッカ)

16 22/07/22(金)02:43:21 No.951679117

ルドルフ族がヤバいことになっちまうー！！

17 22/07/22(金)02:45:26 No.951679298

ホントはダメだけどひでぇことだけど！お兄さまを思ってするライス君のソロぴょいがみたいィ～！

18 22/07/22(金)02:46:50 No.951679444

性別じゃなくてお兄さまが好きなライス君いいね…

19 22/07/22(金)03:37:49 No.951683593

ライス君のためにお尻の穴用意するトレーナーさん尊くない？