虹裏img歴史資料館

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22/07/18(月)00:53:19 昇り始... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1658073199600.png 22/07/18(月)00:53:19 No.950260090

昇り始めたばかりの太陽が、雲を鮮烈なまでに紅く染め上げている。 早朝の空はその静けさに反して迸るほどのエネルギーに満たされていて。 (そう、まるで私のように──……) 川沿いの道をひた走るサイレンススズカは、空を見つめながら一体感を覚えていた。 スぺちゃんを起こさないよう、こっそりと抜け出しての早朝ランニング。 寮からここまで人影は一度も見かけない。街は未だまどろみの中。 もちろん、起きてる人はいるだろうけれど── (一体何人が今日のこの空の色を知ってるかしら?) そんなことを考えていると、微かな機械音が耳に届いた。

1 22/07/18(月)00:53:34 No.950260152

目をやると、学園の練習場で何人もの整備スタッフが作業に励んでいる。 「……私だけの景色じゃなかったみたい」 クスッと笑い声を洩らすと、スズカは立ち止まりそちらにしっかりと向き直った。 「いつもありがとうございます。わたし達の知らないところで、皆さんが支えてくれてるんですね」 距離的に届くはずもなかったが、しっかりと声にして感謝を送るのだった。

2 22/07/18(月)00:53:48 No.950260250

そう。ウマ娘達の輝きは、大勢の陰からの支えの上に成り立っている。 たとえ当人が気付かなくとも、人生に、運命に、少なからず影響を与えているのだ。 学園の各方面のスタッフはそれを喜びとして、今日も舞台裏からひっそりとエールを送り続ける。 それはレースに関する部分以外でも──……

3 22/07/18(月)00:54:45 No.950260620

「それは確かな情報なんですね!?」 「ああ!!」 月下の庭園で、用務員達が力強い足音を立てて石畳の道を駆けていく。 「ライスシャワーが明日、このベンチの前でトレーナーに告白するそうだ!  ここからの全方位、視界に入るところには紙屑一つ目に入らないよう徹底的にゴミを取り除け!  ロマンスの最中に現実に引き戻すような要因は予め潰しておくんだ!!」 まるで地面に這いつくばるようにして目を見張り、用務員達は数センチの透明ビニール片までもを回収していく。 いかにもなゴミだけでなく落ち葉も、まだ枝についたままの色落ちや虫食いの葉をも。 数時間そうした清掃作業を続けた結果、周囲はまさに絵に描いたような美景へと変わった。

4 22/07/18(月)00:54:59 No.950260713

「よし……これこそ乙女が清純な恋心を晒すのに相応しい場所だ」 班長は満足げに頷き、しかし緩んだ頬を引き締め直す。 「だがライスシャワーのことだ、天気予報が晴れでもここは雨になるかもしれん!  逆にそれを利用できるよう、ここの植え込みを一時的に紫陽花に植え替えるぞ!」 その言葉に、休んでいた他の面々ももう一仕事だと力強く立ち上がった。 そしてついでに雨粒を遮るよう、ベンチの上の木の枝を重ねてアーチも作っておくのであった。

5 22/07/18(月)00:55:10 No.950260782

「図書室長、少しよろしいですか?」 下校時刻もとっくに過ぎ去り閉館した図書室。 しかしスタッフは残っており、準備室の方でそれぞれがデスクワークに打ち込んでいる。 そこに司書の一人が購入予定の新書籍リストを手に室長の机へと近付いた。 「この中のどれかを外し、替わりにこの本を入れたいと思うのですが──」 そう言ってタブレットに表示された書籍概要を見せる。 「……ちょっとちょっと。この小説、トレーナーと恋仲のウマ娘が親バレして引き裂かれる悲恋ものじゃないの。  こんなの読ませたら、ウマ娘達の心にブレーキかけちゃうことに……」 司書は大きく首を横に振る。 「ネットの評価を見る限り、逆のようです。『横槍が入らぬうちに、既成事実を成立させるべきと学んだ』と」 「…………なるほど……」 しばしの思案の後、室長はボールペンでリストに横線を引く。 「この『有馬記念へと歩ませた100の言葉』を外しましょ」 「はい!!!」

6 22/07/18(月)00:55:25 No.950260868

夕暮れが近付く時刻、食堂の厨房に下っ端調理師が段ボールを抱えて飛び込んでくる。 「スッポンの生き血、届きましたーー!!!」 「来たかっっ!!」 料理長は頷くと、待機していた部下達によく通る声で伝える。 「いいかお前ら、分かってるな?今日はバレンタインだ!なので夕食にコレを混ぜて後押しをする!」 応!!!と声を揃えて気合のこもった返事をする調理師達。 そしてそれぞれが準備に取り掛かり、厨房内の空気は瞬く間に戦場のものへと切り替わった。 「量には注意を払えよ!それと分かるほど入れてはダメだ、普段の味の中に隠せ!かといってケチるのは論外だ!  気付かせないだけじゃない、食事が終わってトレーナーのとこにチョコを渡しに行く時ちょうどに  体が熱くなりはじめる──そのギリギリの分量を見極めろ!」 その言葉に再び、応ッッ!!!!の声が重なり合った。

7 22/07/18(月)00:55:40 No.950260953

今日も彼ら彼女らはトレセン学園のスタッフとして、ウマ娘達を支え続ける。 その人知れず、ささやかな力添えが、少女達の未来を輝かせると信じて。                              <終わり>

8 22/07/18(月)01:04:17 No.950263768

気ぶり勢しかいない…

9 22/07/18(月)01:06:54 No.950264616

理事長なんとかしろ寿退社が止まらんぞ

10 22/07/18(月)01:20:54 No.950268651

>理事長なんとかしろ寿退社が止まらんぞ 重畳!レースで輝けないウマ娘も幸せになれる、これこそがトレセンの誇りっ!!

11 22/07/18(月)01:21:26 No.950268799

気ぶり学園…

12 22/07/18(月)01:50:12 No.950275690

図書室が一番ひどいな!?

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