ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/07/12(火)23:42:23 No.948461526
「捻挫ですね。ただ、すぐに冷やしたのは良いご判断です。一応ギプスで固定はしておきますが痛みがないようであれば外して構いません。運動などを控えれば日常生活に支障は無いでしょう。」 保健室で説明を受けながらメイショウドトウのトレーナーはほっと胸をなでおろす。もしも重大な怪我であったら、担当であるメイショウドトウは必要以上に自分を責めていただろう。というのも彼の怪我は彼女のドジに巻き込まれてのものだったからだ。 「しかし階段でウマ娘に巻き込まれて転倒したのに軽い捻挫で済んだのは幸運でしたね。まぁ、あなたもトレーナーである以上受け身などは身につけているでしょうが」 「はは、まぁそうですね……」 軽いけがで済んだのはそのウマ娘の豊満過ぎる肉体のおかげでしょう、なんて死んでも言えない彼は保健室の先生の言葉に適当に相槌を打ちつつ、この後のトレーニングについて考えていた。捻挫と言ってもひねったのは利き手とは逆の左手首。痛みもそれほどではないのでトレーニングの記録をつけるのに苦労はしないだろう。用具などを運ぶことは難しいだろうがそれも彼女に手伝ってもらえば問題ない。
1 22/07/12(火)23:42:54 No.948461696
トレーナーは先生にお礼を言うと先に自主練をしているであろうメイショウドトウのトレーニングをするためにグラウンドへ向かう。……しかし彼はすぐに自分の配慮が足りなかったと悟る。彼にとっては軽いけがでもメイショウドトウにとって担当トレーナーにケガを負わせたという事実はとてつもなく重いものだったのだ。 ………………………………………………………………………………………… 「おまたせ。もうアップは済ませていたみたいだね」 ある程度走って体を温めたメイショウドトウはトレーナーが来たことに安堵して振り返る。しかし、彼の左手にギプスが巻かれているのを見ると、みるみる間にその顔は青ざめていった。 「あ、あのぉ………その左手は……まさか……」 「いや、大したものじゃないよ。そんなに痛むわけでもないし、数日経てば…」 「あ………あぁぁぁぁ!!すみませんすみません私なんかのせいでぇぇぇぇ!」 話を最後まで聞かずに悲痛な叫びを上げながらメイショウドトウはトレーナーの前から走り去っていく。前にもこんなことがあったな、とトレーナーは特に動揺もせずに彼女を追いかけていった。
2 22/07/12(火)23:43:33 No.948461910
「私のせいでトレーナーさんが……やっぱり私なんかと一緒に居たら………」 現役でレースを走るウマ娘と人間との体力差は明らかで、ドトウが走り出してからしばらく経ってやっと、息を切らしたトレーナーは校舎の隅で丸まって震えているメイショウドトウを見つけることができた。 「あの……ドトウ、ケガは大丈夫だからそんなに気にしないでいいよ」 「だ、駄目です……私なんかに構ってるとそのうちトレーナーさんの首がごぎゃって…取れちゃうかもしれないじゃないですか………」 「いや、まぁ首は取れないと思うよ。それに前にも言ったけど僕はドトウと一緒に何度も転んで何度も起き上がりたいと思ってる。今回の怪我だってどちらかというと僕の不注意だし……」 「あのぉ……やっぱりトレーナーさんってそういうご趣味が……?それだったら、私、頑張ってムチの練習でも……」 「いや、これも前に言ったけどそういう趣味はないよ」
3 22/07/12(火)23:44:04 No.948462078
「じゃあどうしてそこまで私なんかに……」 「そりゃあ君の諦めない姿に惚れたからね」 「ほ、惚れたって…そそそそそれって…私のことが好きだってことですか………?」 「そりゃあ嫌いな子の担当なんて出来ないさ。何度転んでも諦めず、立ち上がる君が好きだよ」 もちろん、トレーナーの言葉に恋愛的な意図は一切ない。四六時中レースのヒントになりそうな事を探しているような人間である。今回も純粋に彼が好感を抱いているメイショウドトウの姿勢を述べただけだと思っている。しかし、3年間、どんなドジをしても笑って手を差し伸べ、自分を常に肯定してくれる男性とともに過ごし完全に男性観を破壊されていたメイショウドトウにとってはその言葉はあまりに刺激的であった。 「そのぉ……ごめんなさい、私……トレーナーさんがそんなに私のことを思ってくれてるなんて思ってなくて……私、トレーナーさんにふさわしいウマ娘になれるよう、頑張りますね…」 「………?まぁ、これからも一緒に頑張っていこう!少し遅くなったけど、トレーニングに入ろうか」 こうして二人は致命的な勘違いをしたまま、いつものようにトレーニングをこなすのだった。
4 22/07/12(火)23:44:53 No.948462373
「な、なるほどぉ………つまり体も心も1つになるということなんですね……」 翌日、メイショウドトウはトレーナーにふさわしいウマ娘になるにはどうするべきか、学園内でもトレーナーとのイチャイチャ行為で有名なメジロマックイーンに相談していた。 「えぇ!まさしく人バ一体!メジロ家でもそうしてトレーナーさんと結ばれたウマ娘が何人もいますわ」 ふさわしいウマ娘になるという問いに対する答えとしてはズレているような気もするがとにかく、こうして偉大なる先人から知恵を得たメイショウドトウは決意を胸に今日もグラウンドに、ライバルであるオペラオーとの併走へと向かう。その姿は以前の彼女よりも更に、確固たる信念を感じさせるものであった。 「いつか……いつか必ずトレーナーさんと1つになりまぁぁぁぁぁす!!!」 「ドトウ!?」 「ハーハッハ!不純!」 この日から、トレーナーは時々ドトウから獲物を見るような目で見られるようになるのであった………
5 22/07/12(火)23:45:45 No.948462650
三人称視点の練習 怪文書書くのは難しいね
6 22/07/12(火)23:48:27 No.948463496
ヒソヒソ…また覇王世代よ… 爛れてるわ… ジュルリ…
7 22/07/12(火)23:50:42 No.948464185
わたしトレーナーさんをお婿に行けない体にしてしまいましたああああああ!!
8 22/07/12(火)23:52:18 No.948464707
この致命的なすれ違いで外堀埋められてくのいいね…
9 22/07/13(水)00:36:21 No.948480864
もう責任とってもらうしかありませぇぇん!!
10 22/07/13(水)00:40:28 No.948482204
続きが気になるわ!
11 22/07/13(水)00:41:41 No.948482622
一心同体は健康にいいからね
12 22/07/13(水)01:00:58 No.948487989
そもそも中等部でトレーナーに指輪送って伴侶にしたオペラオーにとやかく言う権利無いような…
13 22/07/13(水)01:08:56 No.948490111
>そもそも中等部でトレーナーに指輪送って伴侶にしたオペラオーにとやかく言う権利無いような… さすがはオペラオーさんですぅぅぅ!!!