虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 22/07/07(木)23:52:41 No.946685820

「今日の放課後、時間空いてるか？」 昼休みに、俺は一緒に昼食をとっているみさきに聞いてみた。 「んー、特に予定ないけどどしたの？」 「今日は神社で短冊飾るための笹出すらしくてさ。 一緒に行かないか？」 「いーけど、このタイミングで誘う？」 「最近雨続きだったから、今日も雨降るかもって予報で言ってたから中止になるかと思って半分諦めてたんだ。 今改めて予報見たら今日はもう降らないみたいだから中止しないだろうし」 窓の外を見ると、雲ひとつない青空が見えた。 午前中まで土砂降りだったなんて嘘のような空だ。

2 22/07/07(木)23:52:56 No.946685903

「今日部活はやるよね？ 昨日まで体育館で走ってばっかりだったから久しぶりに飛びたいなー」 「もちろん。 俺だってそろそろ飛んで感覚取り戻したいからな」 他の部員もみんな同じ気持ちだろう。 選手に戻ってしばらく経って、思うように飛べるようにはなった。 だけど満足には程遠い。 もっと飛びたい。 もっと上手くなりたい。 もっと試合がしたい。 まだ心のどろっとしたところはあるけど、それでも飛びたい。 そんな欲求が渦巻いていた。

3 22/07/07(木)23:53:12 No.946685990

「今日は軽く練習試合でもするか」 「うん。そうだね」 返事をしつつ、みさきはスマホを取り出してパシャリと何かを撮った。 「どうした？」 「晶也、選手の顔になってた」 「そうか？」 みさきがスマホの画面を向けてきたのでそれを見る。 そこには俺が写っていた。 「そうなのか？」 「ほら、この辺。目つきすごいことになってる」 言われて見ると、いつもより目つきが鋭くなっている気がする。

4 22/07/07(木)23:53:28 No.946686077

「勝ちたい、負けたくない。 そんな目になってる」 「…そうかもな」 選手になってると言われると嬉しい。 まだ正式な試合に出ていないから選手に戻ってると言い切れないところはある。 だから他の誰かにそう言われると、選手に戻れていると自信が持てる。 「じゃ、部活終わったら集合しよっか。 あたしの家の前で集合でいい？」 「ああ。それでいいよ」 「ふふーん。楽しいだなー。 飛ぶのもデートもー」 俺もそうだ。 上機嫌なみさきを見て俺は心の中で呟いた。

5 22/07/07(木)23:53:43 No.946686155

部活を終えて、一旦解散して日も暮れた。 暗くなり始めた道を歩いて行くと、みさきの家に着いた。 すでにそこにはみさきが待っていた。 それも浴衣姿で。 「晶也、おそーい」 「時間通りなはずなんだけどな。 それはそうと浴衣久しぶりに見たけどいいな」 「話逸らしてるー」 「そっちの話するよりみさきがかわいいって話の方が建設的だろ」 「そ、それはそうかもしれないけどさ」 こちらを睨んでいたはずのみさきが照れだした。

6 22/07/07(木)23:53:56 No.946686241

「やっぱりみさきは浴衣が似合うな。 今年も見れて嬉しいよ」 「あ、あう…」 照れたみさきが視線を彷徨わせる。 が、途中で手を打合せた。 「あーもー、ストップストップ！ そうだ！今度は晶也も作務衣とか着たらいいんじゃないかな！」 「俺も？」 「そう！あたしだっていつもと違う彼氏見たいし！ 同じ和風なカッコで歩いたらいい絵にならない？」 「作務衣持ってないな…。 帰ったら親に聞いてみるか」 もしかしたら父さんのお古とか借りれるかもしれない。

7 22/07/07(木)23:54:10 No.946686304

「とりあえず、行こ？ このままここでお喋りしてても近所迷惑だし」 「そうだな。みさきのおばあちゃんがこっちに来て詮索してくるかもしれないし」 いつかは挨拶しないといけないとは思うが、今は時間がないので今度ということにしておく。 先延ばしにしているだけな気もするが。 みさきと手を繋ぐ。 「うん」 繋ぎ慣れた手。 細くて綺麗な女の子の手だ。 デートの時はこの手を繋いでいるのが自然になっていてむしろ繋がないと落ち着かない。 「行くか」 「おー」 そうして隣あって歩き出した。

8 22/07/07(木)23:54:22 No.946686362

「なんの願い事書くつもり？」 「そういえばなんにも決めてなかったな」 指摘されてようやく気づいた。 「どうする？ 家内安全とか安産祈願とか書いとく？」 「家内安全はともかく、俺が安産祈願とか書いても無理だろ」 「いやいや、晶也が自分の願い事をあたしと子供のために使ってそれを見た神様がなんて素晴らしい夫婦愛なんだと感動して願いを叶えてくれるってわけよ」 言い終わったら、みさきが真っ赤になった。 「自分で言って自分で照れるなよ」 「なんかノリで言ってたらこうなってたの！ もー！晶也は責任とって！」 「どう責任を取ればいいんだ…？」

9 22/07/07(木)23:54:51 No.946686529

話しながらも願い事について考えてみる。 みさきもそうしたのか、落ち着きを取り戻してまた話しかけてきた。 「夏の大会優勝！とかどう？ 絶対プロの選手になる！とかも」 「そういうのは神様にお願いするんじゃなくて自分で叶えるものじゃないかな」 「じゃ、あたしに試合に勝つとか神様にお祈りしておく？」 「神頼みしなきゃいけないほどみさきに負け続けてるわけじゃないぞ」 練習試合ではあるが、それなりにみさきに勝ったり負けたりしてはいる。 今日の練習試合も引き分けだった。 さすがに真白には確実に勝てるが明日香にも負ける時はある。 徐々にだが勝ちも増えてはいるが、 まだまだ彼女たちと同格になったとは自信を持って言えない。

10 22/07/07(木)23:55:06 No.946686636

「神様にお願いするんじゃなくて、 一旦目標を決めるって感じでいいんじゃない？ あんまり固く考えないでさ」 「目標か…」 「そ。こう短冊に書いたからもう後戻りできないぞーって形にしておく。 四島中をシトーくんで埋め尽くすぞ！とか」 「それは願い事じゃなくて犯行予告だろ」 ツッコミをいれつつも脳内のハードルを下げる。 そうしてみると思いつくことはある。 「じゃ、素直に夏の大会優勝にしておくかな」 「おー。優勝とは夢が大きくていいねー。 んじゃ、あたしはずっと晶也と一緒でいたいって書くかなー」

11 22/07/07(木)23:55:20 No.946686704

「それこそ短冊に書くほどのことじゃない気がするんだけど」 そもそもみさきと離れ離れになる気など毛頭ない。 「それでも書いておくの！ 晶也と離れ離れになるなんて、想像するだけで辛いよ」 「たしかにそうだな。 俺が大会で優勝したら海外に行くかもしれないし」 そうなってみさきを国内に残した場合、俺の心が耐えきれなくなる確信がある。 「晶也にめちゃくちゃにされたい時に晶也がいないだなんて、あたしの欲求の行き先がなくなっちゃうよ」 「街中でそんなことを言うな。 誰も周りにいないからって」

12 22/07/07(木)23:55:35 No.946686792

でも、みさきの言うこともわかる。 エッチな気分になった時にみさきがいないと困る。 「んじゃ、そうならないようにお互い頑張りますか」 「おう。まずは大会優勝だな」 「あたしも上位には入りたいな。 晶也と海外に行っても通用するくらいの順位がほしい」 「それで2人で海外か」 「うーん、見える！海外でイチャイチャしてるあたしと晶也が見える！」 「それはただの幻覚だと思うぞ」 「こういうのはイメージが大事なの！ 具体的な目標を持ってそれに向けて頑張る！ そして海外でデートしまくる！」 「FCのための海外進出なんだけどな」

13 22/07/07(木)23:55:52 No.946686883

指摘するもテンションの上がりまくったみさきは止まらない。 まあ俺も海外でデートしたいのは本音だからそれ以上は追求しないでおく。 「じゃあ、夏の大会がんばろー！」 「がんばろー！」 繋いだ手を掲げて2人で誓い合う。 「織姫と彦星みたいに一年に一回しか会えなくなるなんてごめんだー！」 「俺も嫌だー！」 「勝つぞー！」 「おー！」 誓いを口にする。 そうすることで後戻りできなくなる。 これから短冊に書くのも同じだ。 「みさきとずっと一緒だー！」 「え！？あ、うん！一緒だー！」 だからといってこれを言うのは誰もいないとはいえ恥ずかしかったが。

14 22/07/07(木)23:56:34 No.946687108

以上です 見ていてくださった方は閲覧ありがとうございました

15 22/07/07(木)23:57:34 No.946687411

みさぱいいいよね… >見れて 見られて

16 22/07/08(金)00:00:08 No.946688249

EXTRA2クリアして面白かった！と思うと同時に二次創作書きてえ…とずっと思ってて 七夕の今日に突然ネタが湧いてきて勢いで書き上げました 勢いで書きすぎて誤字あってすみません

17 22/07/08(金)00:07:14 No.946690682

色々あったけどEXTRA2発売されて良かった…

18 22/07/08(金)00:47:32 No.946703665

EX2見たいものは見れた気がするね

19 22/07/08(金)00:51:39 No.946704900

貴重なものをどうも…