22/07/05(火)23:42:42 「……ふ... のスレッド詳細
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22/07/05(火)23:42:42 No.946035272
「……ふぅ」 体の熱を冷ますように、開けた窓から入ってくる風をやや汗ばんだ胸元で受ける男。 1人だからと浴衣をだらしなく着て、窓際の席で缶の酒を煽るその姿はややおっさんじみているが、まだまだ20代。 残り少なかった酒を飲みきり、男と同様に汗をかいた空のアルミ缶をそっと背の低いテーブルへ置く。男の性格から、整列されて置かれていた同じ柄のそれが今ので5つとなり、男から見て3段の3角形が出来上がる。 なんの意味もない行動だが、それを満足げに眺めた男は再び背もたれへ体重を預けて風を浴びる。 元々酒にそこまで強いわけでもなく、またアルコールの独特な後味が苦手な男は特別な時以外に酒を飲むことはなく、また飲んだとしても整列するアルミ缶のように甘味が強い物を好んでいた。そんな男が──彼を知る者からすれば──5杯も飲んでいるのは驚きの事だ。 余程男に特別な事があったのだろう。上気した顔には嬉しさが滲み出ているのがその証拠であった。 コンコン。
1 22/07/05(火)23:43:33 No.946035554
「……ん」 熱を奪っていく心地好い風に瞑目していた男の意識が部屋の入り口へ向かう。 木製の扉を叩く音とは普段トレーナー室で聞くそれと材質の違い故に異なるが、ノックの力加減、間隔ですぐにノックの主が誰だか分かった。 乱れていた浴衣を直し、早足で扉を開けに行くと、やはりそこに居たのは男の担当ウマ娘、トーセンジョーダンであった。 「っす~。……お酒飲んでた?」 「あはは。たまにはねぇ」 そう返事をした男は、彼と同様に浴衣を着たトーセンジョーダンのトレーナーだ。 何故彼等が浴衣姿……更には旅館に居るのかと言うと、少し前まで遡る。 商店街の福引きで特賞の温泉旅行券を当てたトレーナー。しかし温泉旅行券は、トレーナーが「トーセンジョーダンの家族と行ってきたらどうだ」とハナから自分が行くことなど考えず彼女へ渡していた。 そして先日、URAファイナルズで初代チャンピオンとなった彼女がトレーナーにも温泉でゆっくり休んで欲しいと、反対する彼の意見を押しきって──ついでに彼女の両親からも随行をお願いさせて──この温泉旅館へやってきた。 温泉を堪能し、2人で卓球も堪能し、美味しい夕飯も食べた。後は……。
2 22/07/05(火)23:44:10 No.946035775
「上がっていいでしょ? 立ち話とかカンベンしてほしいし」 いくら親しい中でも、男女の、しかも学生とそのトレーナーが旅館の同じ部屋に居れば世間的にどんな事を言われるか分かったものではない。 本来であればトレーナーはそれを充分に理解していたが、酔いが回った彼の判断力は水面にたゆたうが如く定まっていない。断るどころか、寧ろURAチャンピオンの彼女をまだ褒め称え足りないらしく、彼の方から部屋へと招いた。 お互い座椅子に座るとトレーナーは冷蔵庫から缶の酒とジョーダン用にジュースを取り出して、嬉しそうにURAを勝利した時の事を話し始める。 それで興奮したのか、酔いが更に回ったトレーナーはジョーダンの事も忘れて浴衣の胸元をはだけさせ、ことさら嬉しそうだ。 「ジョーダンは真面目だし良い娘だからなぁ。これからの人生、苦労はあるだろうけど必ず乗り越えていけるって信じてるよ。変な男にだけ引っ掛かるなよ?」 「へぇー。例えば?」 「俺みたいのとかだよ。つまらないからってフラれるような面白味のないただの眼鏡野郎だからなーはは」
3 22/07/05(火)23:45:23 No.946036164
ピクリとジョーダンの耳が動く。 そう。トレーナーは2年前「ツマンナイから」と付き合っていた彼女にフラれている。去年の春の天皇賞が終わった頃にヨリを戻さないかと連絡も来ていたが……彼はきっぱりと断っている。ただ別れた理由はまだ引きずっているらしく、今のように自分の事を貶すようになっていた。 自嘲するような笑みで残っていた缶の中味を飲み干すと、再び冷蔵庫へ。扉を開けようと手を伸ばしたその時だ。 「アンタはつまんなくなんかねーから」 「ジョー……ぁだっ!?」 トレーナーが引き倒される。 酔っていた男を引き倒すには少々力が強すぎたようだが気にしない。 「アンタさぁ……いつまで引きずってんの? そんな自己評価低いの、自分を見てるみたいでムカつくんだけど。それにさ、変な男に引っ掛かるなって? それこそ何言ってるんだって話だって。あたしのキモチ知ってるくせに」 「う……」
4 22/07/05(火)23:46:19 No.946036448
「あたしさ……元カノとの思い出なんて全部塗りつぶしてやろうって、あたししか見えないようにしてやろうって思って色々やって来たけど……アンタはあたしを娘みたいにしか見てくれない。勇気を出して温泉旅行にも誘ったのに、引率のせんせーみたいに……」 「ま、待て待て。落ち着けジョーダン」 「酔っぱらってても、あたしのキモチ知ってるならこの部屋に入れるのがどんな意味か分かってたでしょ?」 分かっていた。しかし、いくらトーセンジョーダンでもそんなことはしないとトレーナーは信じていた。だから覚束無い足取りと思考力でも招き入れたのだ。 「あたしもう18過ぎたし、もう立派な成人だからね。子供だからとか、もう言いワケ効かないから」 「ま、待つんだジョーダン! そんな事したら信じて送り出してくれた親御さんに怒られてしまう!」 「──へぇ……期待してるクセによく言うじゃん」 「あ──いや、これはお酒で血流があはは」
5 22/07/05(火)23:46:36 No.946036540
屹立して浴衣の布地を押し返す“それ”を娘のように思っていた少女に見られたことへの羞恥。トーセンジョーダンの両親からの信頼を裏切ってしまう罪悪感。はだけかけた着物の隙間から覗く──下着を着けていない──肌色への興奮。アルコールで思考が纏まらない焦燥。 トレーナーが彼女が最初から、今日、この場で自分を落としに来たのだと理解したときには既に彼女の手はそれを──
6 22/07/05(火)23:47:45 No.946036908
この先は頭の中にエッチな展開がめくるめいたのですが、出力出来ないのでここまでです 何となく、前に書いたフラれたトレーナーの続きの続き
7 22/07/05(火)23:49:24 No.946037453
よくやった 続きを出力するんだ
8 22/07/05(火)23:53:55 No.946038942
酒が足りないようだね さぁもう一本いこう
9 22/07/05(火)23:55:39 No.946039479
言葉を尽くして気持ちを伝えること 大事な時は精一杯攻めること アンタの教えてくれたことだよ
10 22/07/05(火)23:57:33 No.946040121
不器用だけど半端な知識で一生懸命尽くしてくれそうだよね
11 22/07/06(水)01:07:24 No.946064648
3段の三角形作るならもう一本必要じゃない?