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22/07/02(土)18:51:58  ピピ... のスレッド詳細

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22/07/02(土)18:51:58 No.944852830

 ピピピ──枕元で鳴り響く、電子的なアラーム音で目が覚める。 「ふわぁ……」  欠伸を噛み殺しながら上体を起こし、目覚ましのスイッチに腕を伸ばす。  ウマ娘になってしまったばかりの頃は力加減を間違い幾つものスクラップを量産してしまったが、今となっては慣れたもの。  眠たい目を擦りながら身支度を整えるべくまずは洗面所へと向い、 「あいたっ」  ガツンと、壁に頭をぶつけた。 「……やっぱり、デカ過ぎるってこの身体」  然程痛みは感じないが、ぶつけた箇所を摩りながら独りごちる。  鏡の中では、1バ身──2.5mを優に超える程の巨躯を持つウマ娘が、窮屈そうに身を屈めていた。

1 22/07/02(土)18:53:36 No.944853317

 ビッグサイズで有名なヒシアケボノのそれを、更に超える身長とスリーサイズ。  盛り上がった腕の筋肉、見るからに逞しいバキバキの脚、思わず唾を飲む程に割れた腹筋。  それでいて顔は美しく整っており、バストとヒップや豊満な柔らかい曲線を描いている──所謂ばんえいウマ娘たちに混ざっても何ら遜色がないこの身体。  トレセン学園に赴任したばかりの頃の俺に、これが未来の自分だと伝えても──つまらない冗談だと思われて終わりだろう。 「そりゃ、強く逞しくなりたいって思ったけどさ……」  思わず苦笑を零し、あの日を振り返る。  元々は一般的な成人男性だった俺がこんな身体に変わってしまった日――TSクライマックス決勝戦の日を。

2 22/07/02(土)18:54:34 No.944853608

 あの時の俺は、まだ担当ウマ娘すら決まっていないトレーナーの卵だった。  更には運の悪いことに体調を崩してしまい、スカウトすらままならない状態で。  世間は最強を決めるレースに沸き立っているというのに、己の不甲斐無さを嘆き……気晴らしに学園内を散策していたら、気付けば三女神像の噴水前に足を運んでいた。 「あら……トレーナーさん、お身体は大丈夫ですか?」 「ええ。今は大分良くなったので、少し風を浴びたくて……それに、クライマックスの決勝戦を観たらじっとしていられなくて……」 「ふふ……気持ちはわかりますが、今は焦らず身体を休めてくださいね。あなたならきっと結果を残せますから」 「だといいですけど……はぁ、早く治さないとなぁ……」  声を掛けてくれたのは、偶然その場に居合わせたたづなさん。  期待をかけてくれているのに、こんな有様の自分にばつが悪い思いがして目を逸らすと、三女神像と目が合った。 (……三女神様……どうか俺に、風邪も怪我も知らないような、強く逞しい身体をください……なんてな)  そんな気休めの願いを投げかけたら――変化が、始まった。

3 22/07/02(土)18:55:41 No.944853939

「?……トレーナーさん、その胸は……腫れて……?」 「え?……あれ、何だこれ?……ぇ?」  小首を傾げたたづなさん。その視線の先、俺の胸元を見下ろして同じく首を傾げる。  ジャケットとワイシャツが、小山のように押し上げられている。さっきまでは広く平坦な胸板だった筈なのに……気付かない内に虫にでも刺されたか?  何気なく、胸に手を伸ばすと──むにゅりと、弾力のある柔らかさに指が沈んだ。 「え、んっ……っ!?」  驚く暇もなく、胸はムクムクと膨らんでいき、更にはその先端がシャツに擦れて未知の刺激を与えてくる。  たづなさんもあんぐりと口を開けて見守っている間に、しまいにはワイシャツに収まり切らなくなった胸はジャケットのボタンすら弾き飛ばし、インナーシャツをも破り抜けて──ぶるんと揺れて、堂々とその存在を示していた。 「な、まさかコレ、おっ……!?」  変化はそこに留まらない。  頭部と腰に走るムズムズとした痒み。手を伸ばせばズルズルと髪が伸びてきて、腰には思いっきり皮を引っ張られたような痛みが走る。  遅れてお尻の辺りから聞こえた生地の避けた音に、『頭上』の耳がピクピクと警戒するのを感じた。

4 22/07/02(土)18:56:32 No.944854161

 胸、頭、腰。  急激な身体の変貌に脳が追い付いていない内に、今度は顔全体が擽られているようなこそばゆさを覚える。 「ん、あ……ぁっ」  徐々に甲高くなっていく声に、焦りと冷や汗を流す事しかできず──ようやくこそばゆさが収まった頃に噴水を覗き込めば、そこには酷く不安そうな顔をしたウマ娘がこちらを見つめ返していた。 「そんな……俺、ウマ娘に……っ!? ま、また……っ!?」  だが、そこで終わりではなかった。  どくん、と急に一際大きく高鳴った胸の鼓動。  全身の血流が加速しているような、熱が高まって膨らんでいくような錯覚を── 「いや、嘘っ、おれ、膨らんで……!」  錯覚や比喩ではなく、本当に身体が膨らんでいた。  ムクムクと全身が内側から押し出されて、見る見るうちに服の生地がパツパツになっていく。  全身が服に押し込められる窮屈さを覚えたのはほんの一瞬。膨張し、引き伸ばされていく身体にあちこちから生地が裂ける音がする。頑丈なベルトや革靴ですら耐え切れずに弾け飛んでいく。  不思議と痛みは感じず、むしろ気持ち良さを覚え──それがかえって、怖くなって。

5 22/07/02(土)18:57:38 No.944854518

「……と、止まった……ぁ、ははは……はは……はぁ……」  やっと変化が止まってくれた頃には、無残な服の残骸を身に纏ったウマ娘が、その巨躯を揺らしてただただ現実逃避に笑っていた。 ──⏰──  そんな、もう大分前の出来事を思い出しながら寮を出て学園へと向かう。あの日の感覚は未だに覚えている──というか多分、一生忘れられない。  不幸中の幸いか、現場に居合わせたたづなさんやその光景を見ていた他の生徒のお陰で学園への説明はスムーズに進んだものの……とにかく、大変だったとしか言いようがない。  ただでさえデカ過ぎる身体は奇異の目を集めてしまうし、服は全部仕立て直すハメになったし、力加減が違い過ぎてへし折ったペンや箸は数知れず。  なんで俺がこんな目に……何度三女神様に戻してくれと祈っても身体は戻らず、学園からのサポートとあるとはいえ、俺は心が折れていた。 『アンタ、私の使い魔になりなさい!』  あの時、彼女──スイープトウショウに出会わなかったら、俺はトレーナーになる事を諦めていたに違いない。

6 22/07/02(土)18:58:13 No.944854692

 学園でも街中でも常に感じる目線に、俺はこの巨躯に反して身体を縮こめるのが癖になっていた。  落ち着かなくて、恥ずかしくて、身体の強さに反比例するかのように心は内気になっていく。  そんなオドオドした態度でのスカウトを受け入れてくれるウマ娘はいない。また俺の話は既に学園中に広まっており、巻き込まれるのはゴメンだという子ばかり。 『魔法!? アンタ今魔法って言った!?』  そんな中だ。  噂だとか態度だとか、つまらないモノを吹っ飛ばして、俺の元にあの子が来てくれたのは。

7 22/07/02(土)18:59:02 No.944854936

 グランドで見かけたスイープトウショウの鮮烈な走り。  まるで魔法のようだと呟いた俺に、彼女は駆け寄ってきてくれて。  デカ過ぎる身体だとか、元人間のウマ娘だとか、そんな事はお構い無しに、自分を曲げる事なく接してくれた。 『いいのか……? 俺は……』 『どうでもいいわよ! アタシは魔法を見つける! アンタはアタシの使い魔として働く! これは決定事項なんだから!』  この時、確かに俺は──スイープトウショウのかけてくれた魔法に、救われたのだった。

8 22/07/02(土)18:59:31 No.944855084

──⏰──  校門へ辿り着くと、スイープが腕を組みながら立っていた。  俺の顔を見るなり鼻を鳴らして小生意気に笑う彼女。  この笑顔から、俺のトレーナーとしての一日は始まる。 「おはよう、スイープ」 「遅い! 主人を待たせるなんて失格よ!」 「はいはい、ごめんな……と」  苦笑いしながら詫びを告げて、跪いて腕を差し出す。 「ふん、次は無いんだからね……よいしょっと」  スイープがしっかりと腕に乗ったのを確認して、彼女を教室へとエスコートする。  まるでドールを抱き返えているような光景に、周囲の目線は更には集まるが──

9 22/07/02(土)18:59:53 No.944855195

「ふふん、やっぱり良い眺めね♪ 行くわよ、使い魔!」 「仰せのままに」  スイープの笑顔さえあれば、何にも気にならない。  つまらない目線や噂話なんて、彼女がぶっ飛ばしてくれる。  次は一体どんな魔法を見せてくれるんだろう──俺は胸が高鳴るのを感じながら、スイープをエスコートするべく、一歩を踏み出した。

10 <a href="mailto:s">22/07/02(土)19:00:57</a> [s] No.944855529

グイグイ積極ロリ×ムキムキ内気TS巨女いいよね……って三女神様が言ったので書いたら導入部分がそこそこ長くなった……

11 22/07/02(土)19:05:53 No.944857068

絵になる二人でいいね… 抗いよう無く変貌していく描写も大好き

12 <a href="mailto:三女神">22/07/02(土)19:07:41</a> [三女神] No.944857647

いい仕事したと思ってる

13 22/07/02(土)19:11:26 No.944858828

>絵になる二人でいいね… >抗いよう無く変貌していく描写も大好き じっくりねっとり身体を変えられたいよね…

14 22/07/02(土)19:22:01 No.944862145

実際自分の願ったこととはいえ体を作り替えられるってかなりの恐怖だよね いいよね

15 22/07/02(土)19:23:34 No.944862622

おれもこうなりたい たのむ おねがいします

16 22/07/02(土)19:24:11 No.944862819

やっぱでけぇって!!!

17 22/07/02(土)19:26:14 No.944863465

「ちょっと座りなさい!」  梅雨のある日のこと。ブラシを片手にスイープが命じてきたので、正座する。 「ん、んん!……横になりなさい!」  しかしそれでも大き過ぎるこの身体は彼女の手が満足に届かず、言われるがままにうつ伏せになる。 「まったくもう……髪と尻尾、ガサツ過ぎよ。使い魔が見窄らしいままじゃダメじゃない」 「ごめん」  彼女の指と、ブラシが髪と尻尾の毛を通り抜けていく。毛の絡まった箇所が徐々に滑らかになっていく感覚が何とも心地良い。  身体の大きさに見あったボリュームの髪と尻尾は手入れにも大変苦労する。忙しい時は手入れが雑になりがちで、そんな俺をスイープは見かねたのだろう。  スイープの手を煩わせてしまった申し訳なさはあるけれど、彼女の指の感触がこの上なく心地良くて……自然と、頬が緩んでいく。 「ふんふふ~ん……♪」 「……♪」  スイープの鼻歌に合わせて、俺もメロディーを口ずさむ。窓の外では、しとしとと静かに雨が降っている。  ……まるで大型犬とその飼い主みたいだった、とはその時偶然廊下を通りがかったキタサンブラックの談であった。

18 <a href="mailto:s">22/07/02(土)19:27:38</a> [s] No.944863932

普段からこんな感じのロリ主人とデカ使い魔いいよね……

19 22/07/02(土)19:28:28 No.944864200

脚バキバキで芝

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