ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/07/01(金)01:07:22 No.944340348
最初は殆どお互い接点などは全くありませんでした。俺の方は理子さんから打ちのめされたからというもの、彼女が施行した管理プログラムに反抗するために、まるで圧制者に反抗する革命者のような心持でチームキャロッツの指導に忙しくしていましたし、彼女からはおそらく取るに足らない新人の一人という認識だったでしょうから。二回目の会話は最初のアオハル杯レースが終わった時でした。 その時の俺は何としてでも決勝に勝ち上がる。勝ち上がって、自分を認めさせてやる。そんな独りよがりの情熱で動いていて。だからでしょうか、チームのみんなともぎこちなく、一方的な情熱が空回りする一方。最初のアオハル杯で順位を上げられたのは、彼女達自身の実力と彼女達が仲良くフォローしあっていたからというだけです。本当は俺が引っ張っていかなければいけないのに。
1 22/07/01(金)01:07:34 No.944340394
そんな最初のレースが終わった日も、改善点などをまとめてチームレースの練習内容を考えているうちに、すっかり夜になっていました。 没案の紙屑がトレーナー室のゴミ箱からあふれ出して散らばっていて、机の上には栄養ドリンク剤の空瓶が無計画に建てられたビル群のごとく乱立していて、腕を動かすと連鎖的に倒れる有様です。 それでも構わずに、パソコンに向かってキーボードを叩いていると、ノックもそこそこに誰かがドアを開けた音がしました。 夜も遅くだったので、チームのメンバーであるわけもなく、驚いて振り向くとそこに立っている人間をみてまた驚きました。理子さんだったのです。 「明かりがついていたのでもしやと思っていましたが……」 彼女は部屋の現状を見て呆れたようにため息を吐きました。 「人に見せられるような部屋ではありませんね」 「トレーナー室に勝手に入ってきて文句つけないでください。何か用ですか」 「もう業務時間外です。過度な残業は身を壊します、即刻寮へと戻りなさい」
2 22/07/01(金)01:08:00 No.944340505
その時はそんな時間だとも知らずに作業を行っていたので、窓の外を見て驚くと理子さんはさらにため息をつきました。 「目にクマもできています。それに机の上の栄養ドリンク、ちゃんと食事はとっているのですか?」 「貴方には関係ないでしょう。学生ではなく、トレーナーまで管理するつもりですか」 「まだトレーナーとしての自覚が足りないみたいですね。貴方が倒れたら、誰がチームの練習をするのです? チームメンバーのメンタルケアのように先達に頼むのかしら?」 チームトレーナーとしての役割としては及第点以下、先輩頼り。そのことをまた見抜かれた羞恥心と子供じみた反抗心が入り混じって、顔を青くしたり赤くしたりしながら立ち上がるしかできませんでした。 「それはっ……! そういう、貴方だってこの時間までいるじゃないですか……!」 「そうですね。人のことは言えません、なので私も帰ります。貴方も帰りなさい、いえ、一緒に帰りましょう。無駄に反抗して残りそうですから」 「はぁっ!? なんで、そんなことしなきゃ……」 「ついでに空き瓶も片付けましょう。全く中身は洗ってないのですか」
3 22/07/01(金)01:08:15 No.944340567
そのまま唖然としている自分を放っておいて、理子さんは鮮やかな手つきでゴミを片付けていきそれを俺に持たせて電気まで消しました。まさに嵐のように来て、吸引力が落ちない掃除機のように掃除して帰っていく風神の如く。自分が動いたのはドアが閉まってからで、慌ててノートPCをもって彼女に追いつきました。 「ちょ、ちょ、ちょっと! なんなんですかもう!」 「きちんとした生活態度も、学生の模範となるべき大人として当然のことです。あんな部屋を見て、担当が相談に来ようと思いますか?」 「ぐっ……そ、そりゃあ……仕事が終わったらら片付けてましたよ。正論ばかり……」 「当然です。私は前よりも正論を吐かねばならない立場ですから」 ダメだ、この人には弁論などでは勝てない。と俺は早々に認めるのは癪なので心の中ですぐ忘れるように小さく呟いて、顔を背けました。と、同時に自分の不甲斐なさも感じてきて、肩も落ちてくるきがします。 「もう少し肩の力を抜きなさい」 電灯が照らす道を歩きながら、ふと理子さんはそんなことを俺に言いました。
4 22/07/01(金)01:08:30 No.944340630
「え……?」 「貴方がいくら頑張っても、貴方がレースを走るわけではありません。逆に言えば彼女たちがいくら自己研鑽に励もうが、それは貴方に及ぶところではありません」 「俺がやってることは無駄……ということですか?」 「違います。困ったわね、なんといえば……」 理子さんは少し表現の引き出しから選ぶように、額を人差し指でトントンと叩きました。(今思えばかなり美しい仕草でした) 「そう、情熱のギャップというのでしょうか。貴方だけ余計に頑張ってもそれは彼女達に伝わらないでしょう。逆に彼女達だけがどうにかしようとしても、それはまとめ役を欠き暴走に繋がります」 その言葉は何処か、真っすぐに自分に届いてきて、それは理子さんが真っすぐに自分を見てくれているということでもありました。俺はそれが信じられなくて、ただ返事も返さずに彼女を見ていました。 「話し合いなさい。貴方が私の管理プログラムに反対だろうが、それはどんなトレーナーでもやっていることです。そう、どんなトレーナーでも……」
5 22/07/01(金)01:08:40 No.944340665
ただ、最後に彼女が苦虫を嚙み潰したような、過去の記憶に心を奪われたような顔をした理由がその時の俺には分からず、むしろその時頭を占めていたのは、敵であるはずの彼女からアドバイスを受けたことと、その険しい表情が一瞬だけ緩んでいたような気がして、その意味が分からずにただ黙って別れるまで、ゴミとPCを抱えたままでした。
6 22/07/01(金)01:09:41 [s] No.944340935
年下からガンガン攻められてふにゃふにゃになる理子ちゃんの続きの続きの続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きのキャロトレ視点前半の続きの後半の続きのビターグラッセ視点の続きとキャロトレ過去視点の続きですご査収ください そしてこれがまとめです fu1212267.txt
7 22/07/01(金)01:10:24 No.944341089
待ってた
8 22/07/01(金)01:12:11 No.944341518
>理子さんは少し表現の引き出しから選ぶように、額を人差し指でトントンと叩きました。(今思えばかなり美しい仕草でした) めっちゃ惚気るじゃん…
9 22/07/01(金)01:12:12 No.944341522
シームレスに本編の理子ちゃんの掘り下げに入っててありがたい…
10 22/07/01(金)01:12:32 No.944341597
>理子さんは少し表現の引き出しから選ぶように、額を人差し指でトントンと叩きました。(今思えばかなり美しい仕草でした) さらっとのろけてやがる…!
11 22/07/01(金)01:12:34 No.944341607
こいつ最初から惚れてるのでは…?
12 22/07/01(金)01:13:41 No.944341870
>続きの続きの続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きのキャロトレ視点前半の続きの後半の続き もう続きだけでレス上限超えそうな勢いだな!
13 22/07/01(金)01:14:49 No.944342118
とりあえず続きの続きの~になるとこは適当に重ねてxnにでもするか!
14 22/07/01(金)01:15:51 No.944342357
こっから理子ちゃん好き好きになるということは攻略されるのはキャロトレの方なのでは…?
15 22/07/01(金)01:16:34 No.944342528
>こっから理子ちゃん好き好きになるということは攻略されるのはキャロトレの方なのでは…? 実際惚れたみたいな押せ押せするからな…
16 22/07/01(金)01:25:15 No.944344369
もうラブラブになっているので安心してみれる
17 22/07/01(金)04:10:47 No.944363342
待ってた 好き…