ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/06/29(水)01:11:54 No.943687710
「お、ぉ……お、ぇ……れ……!」 トレセン学園のとある隅の──人気の少ない女子トイレにて。 一人のウマ娘が、鏡と向き合って泣きそうな顔をしていた。 ふわふわなウェーブのかかった栗色のロングヘアに、くりっとした丸い瞳。瑞々しい桜色の唇。 ぱっと見の印象は、どこかのお嬢様のような──そんなウマ娘が、プルプルと震えながら、喉の奥から言葉を絞り出そうとしている。 「お…………れ! ! や、やった、これなら……!」 必死に何かにトライしている姿は、傍から見れば、庇護欲をそそるような、守ってあげたくなるような──そんな印象を与えるだろう。 俺だって近くを通りかかったら声をかけた筈だ。 「おぇ!……『私』!……あぁ、ダメ……どうやっても、『私』のことを『私』って言っちゃう……」 『彼女』が、『俺』でなければの話だが。
1 22/06/29(水)01:12:44 No.943687948
「うぅ……どうしても、喋り方が女の子みたいになっちゃう……」 鏡に映るのは160cmにも満たない身長のウマ娘。 トレセン学園の制服に身を包んだ可愛らしい容姿の彼女の中身が、本当は中肉中背の成人男性だと誰が信じてくれるだろうか。耳飾りとして左耳に付けられたトレーナーバッジだけが、以前の俺との唯一の共通点だ。 「何で、こんなことに……」 ほんの数日前まで、俺はお嬢様チームを率いるトレーナーだった。 それも他のトレーナーのように純粋に夢を追いかけるのではなく、己の成り上がりを目的とした所謂闇のトレーナーだ。 俺の期待──いや、目論見通り三人とも見事に結果を残してくれて、G1トレーナーとしての名声を得ることが出来た。 後は俺が、あの三人に釣り合う男として磨きをかけるだけ──その筈だったのに。 「あの三人に釣り合う存在になりたいとは思ったけど……こんなの、想像してないよぉ……」 ある朝。目が覚めたら、俺はお嬢様のような見た目のウマ娘になっていたのだ。
2 22/06/29(水)01:13:18 No.943688118
当然、酷く取り乱した。 起きたらファイン達に混ざっても何も違和感が無いような容姿のウマ娘に変わり果てていたのだ。 慌てた俺の口から飛び出た第一声は── 「ふわぁ……ふふ、気持ちの良い朝……♪」 ──心に反して、まるでご令嬢のような優雅さを伴っていた。
3 22/06/29(水)01:14:15 No.943688384
頭はどうしようもなく取り乱しているのに、身体は殆ど自動的に身支度を済ませていく。メイクに髪のセット、下着や制服。本来であれば未知のルーティンなのに、小慣れた様子でこなしていく。 見た目麗しきウマ娘の裸体を目にして、恥ずかしさや倒錯感に掻き乱されても──鏡の中のウマ娘は、ただ優雅に微笑むだけだ。 学園指定のローファーを履き、足が向かう先はトレセン学園。 すれ違う生徒達と、まるで日課のように挨拶を交わしていると──ついに、俺のチームメイト達と遭遇してしまった。 「いい朝だね、トレーナー♪ 今度一緒にリフティングとかどう?」 「おはようございます……ふふ、いいですね。勝負などは如何でしょう?」 「おはようございます! いいですね! それはら、勝者にはとびっきりの賞品を用意しましょう!」 そしてどうやら彼女から見ても、今の俺の立場は変わらず『トレーナー』のようで……相変わらず頭の理解は追い付かないが、頬は柔らかな笑み以外の表情を許してくれなかった。 「ええ、おはようございます。ファインお姉様、アルダンお姉様、ダイヤお姉様……お手柔らかにお願いしますね♪」
4 22/06/29(水)01:14:57 No.943688575
・サポート科の生徒でありながらお嬢様チームを率いるG1トレーナー。 ・ファイン、ダイヤ、アルダン達のことを『お姉様』と呼び慕っている。 ……教室で落ち着いた頃にみんなに聞いて回ると、今の俺はそんなウマ娘になっているらしかった。 まだ夢でも見ているのか。頬を抓ろうとした瞬間──『はしたないこと』だと感じて、背筋が悪寒で震えた。 「? 大丈夫? 顔色、悪いけど……」 「っ……ぇ、いいえ、大丈夫ですよドーベルお姉様」 「そう? なら、いいけど……無理はしないでね」 あの、男性相手にはアタリがキツいことで有名なメジロドーベルですら態度が柔らかい。 今の俺は完全に、一人のウマ娘として周りに認識されてしまっている。
5 22/06/29(水)01:15:39 No.943688789
そのまま強制的にウマ娘としての数日を過ごし──これが現実だと断ずるしかないと、理解してしまった。 「せめて、仕草だけは男性らしくしたいのに……」 口調。歩き方。一つ一つの仕草。 それら全てが、俺のイメージする『お嬢様らしさ』に矯正されてしまう。 脚の開き方は自然と内股になってしまうし、何か男らしい行動をイメージすると悪寒が走る。 自分を見失わないように、せめて一人称だけでも『俺』でいたいのに──何度気合を入れて試しても、口に出すと『私』になってしまうのだ。 「……うぅ、でも、今日こそは図書室に──」 そして。解決の糸口を探ろうと、少しでも情報を集めようと意気込めば──
6 22/06/29(水)01:16:01 No.943688902
「あ、いたいた♪」 「! ファインお姉様……何か、ご用ですか?」 ファイン、何かあったのか──俺としてはそう口にしたつもりが、勝手に矯正されてしまう……。 チグハグな中身に頭がクラクラする俺の手を──それでも、鏡に映る顔は柔らかな笑みを浮かべているが──ファインは元気良く掴んだ。 「ほら、この前約束したでしょ、リフティング勝負!」 「……あ」 ね、早く!──そう言って俺の手を引くファインを、拒めない。 ──そう、俺が元に戻る方法を探そうとすると、必ずこうやって他の用事が舞い込んでくるのだ。
7 22/06/29(水)01:16:45 No.943689113
そのままファインに連れられるも、身体と心がバラバラな俺がアスリートの三人にリフティング対決で敵うはずもなく、大差をつけられて惨敗。 「さ、流石……お姉様。私はボールを片付けてきますね……」 嫌な予感がして、さっさとこの場を立ち去ろうとするが── 「ねえ、アルダンさん。ダイヤちゃん。私たちの順位はどうだったかな?」 「はい。私と、ダイヤさん、ファインさん。それぞれ同点ですが……」 「うーん。トレーナーさんの一人負けですね……つまり、賞品は……♪」 「あ、ぁあ……」 三人に密着されて、囲まれる。汗と香水の匂いに囲まれて、頭がぼんやりしてくる……。
8 22/06/29(水)01:17:03 No.943689199
……これが、早く男に戻らないといけないと、俺に最も危機感を抱かせる理由。 「ご安心を。サトノの方で最高の施設を手配しましたから♪」 ──ダイヤの手の指が、俺の耳を撫でる。 「ふふ……私たちの手で、たっぷり癒されてくださいね、トレーナーさん……♪」 ──アルダンの指が、俺の胸を這う。 「耳も尻尾も、王様の前に立っても大丈夫なくらい綺麗にしてあげるから……♪」 ──ファインの指が、俺の尻尾の付け根をなぞる。
9 22/06/29(水)01:17:23 No.943689286
ダイヤに、アルダンに、ファインに。 三人に、事あるごとに、ウマ娘として愛でられて── 「……はい、お姉様……♪」 ──私は、いつまで、『俺』でいられるだろうか? 臍の奥に宿った熱と、背筋に走った悪寒。相反する二つの感覚に、俺は、私は、ただ頬を緩ませて、身を震わせることしかできなかった……。
10 22/06/29(水)01:18:14 No.943689544
私はとあるウマ娘 いつか必ずや男性の身体に戻り、闇のトレーナーとして返り咲い あっ お姉様❤️
11 22/06/29(水)01:20:52 No.943690286
大分侵食されてる…
12 22/06/29(水)01:23:28 No.943690981
自我は男のままなのに女の子の身体に縛られた行動しかできないのいいよね…
13 22/06/29(水)01:27:58 No.943692156
こうしてまた一人闇のトレーナーがお嬢様堕ちしていった
14 22/06/29(水)01:31:54 No.943693104
頭では理解してるんだけど身体が言うこと聞かないのが続くと精神擦り減っていきそう…
15 22/06/29(水)01:34:12 No.943693650
>頭では理解してるんだけど身体が言うこと聞かないのが続くと精神擦り減っていきそう… そうしてだんだん頭の中と身体の差異が無くなっていくんだ……
16 22/06/29(水)01:37:57 No.943694452
お嬢様チームのトレーナーがお嬢様に ギャルチームのトレーナーがギャルに 教え子にどんどん似てくる現象が学園内で流行って欲しい
17 22/06/29(水)01:43:34 No.943695638
>お嬢様チームのトレーナーがお嬢様に >ギャルチームのトレーナーがギャルに >教え子にどんどん似てくる現象が学園内で流行って欲しい チームロリコンのトレーナーは飛び級ロリになる…ってコト!?
18 22/06/29(水)01:48:01 No.943696529
教え子と一緒になって背伸びしたい年頃のロリになっちゃうのいいじゃない
19 22/06/29(水)01:51:34 No.943697250
いいよね尊厳破壊
20 22/06/29(水)01:55:47 No.943698010
>チームロリコンのトレーナーは飛び級ロリになる…ってコト!? マヤノトップガン。スイープトウショウ。ニシノフラワー。ビコーペガサス。 この4人の幼いウマ娘を、大人として導いていかなければならない。俺は頼りになる男性として、彼女達を── 「ふふーん♪ トレーナーちゃん、お着替え手伝ってあげるね♪」 「ああもう! しょうがないじゃない、トイレの失敗くらい誰にでもあるわよ……だから、泣かないの!」 「トレーナーさん、頬っぺたにソース付いちゃってますよ。じっとしててくださいね……♪」 「トレーナー! プリファイとキャロットマンショーが同時開催だって!」 ──例え彼女達よりも更に背が低いウマ娘になってしまったとしても。 上手く着替えられずにお姉さん風を吹かせるマヤノにお手伝いされちゃったとしても、小さい身体の許容量を見誤り粗相をしてスイープにお世話されちゃったとしても、お弁当を食べる時に口の周りをベタベタにしちゃってフラワーにふきふきされたりしても、プリファイを見ると頬っぺたが緩んで楽しくなっちゃったりしても── 「……ふえぇ……」 ──俺は、頼れる大人のトレーナーなのだ……!