虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

22/06/29(水)00:40:31 あれ?... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

22/06/29(水)00:40:31 No.943677959

あれ?どうしたのお兄さま、こんな夜遅くに…。 寝れないの?ふふっ…そうなんだ。お兄さまでもそんなことあるんだね。 じゃあ…ライスね、絵本の読み聞かせしてあげようか? なんてね……ふぇっ!?ホントにやるの!? えっ…でも……。…うん、わかった。 それじゃあね、ええっと…。今日はこのお話にしよっか。 『みにくいアヒルの子』

1 22/06/29(水)00:40:51 No.943678058

あるところに一人のウマ娘がいました。 お父さんはちょっとした事故でウマ娘が生まれてすぐに亡くなってしまい、お母さんとひっそりと慎ましく暮らしていたのです。 決して大きくないおうち。どちらかといえば、恵まれていない2人の家族。 そんな彼女にも夢がありました。いつかレースに出て、憧れのG1タイトルを手にしたいと。ウマ娘なら誰もが望むその頂点から望む景色。それを彼女も心に秘め、胸をときめかせていたのです。 ある日、まだ少女の彼女がその夢を口にしたことがありました。 「アタシね、いつかトレセン学園に入って、G1レースで勝ちたいの!」 それを聞いた周りの同級生のウマ娘たちは、一瞬ぽかんとしたと思うと、一斉に彼女を指さして笑い始めました。 「えっ!?」 戸惑う彼女を他所に、笑い声は彼女の周りをえんえんと漂います。 それは幼い彼女にも分かりました。馬鹿にした、滑稽な、嘲った感情の渦だと。

2 22/06/29(水)00:41:12 No.943678159

「どうして!?どうして笑うの!?」 目に涙をためて、彼女は必死に抗議の声を上げます。それでも彼女を取り巻く声は変わりません。 「だってお前、なんだよその大きな顔!」 確かに彼女は身体に際してアンバランスな大きな顔をしていました。アタマが大きなウマ娘は賢くなれないと言われています。 「それにその小さな尻尾!」 確かに彼女の尻尾は小さく、短いものでした。スピードが乗った時にかじ取りの役割をする尻尾が小さければ、高速域でのバランスや向き変えに影響を及ぼすでしょう。 「それに…その右足!!!」 とどめとばかりに指さされたのは彼女の右足でした。生まれつき外に曲がっていたその脚は、明らかに競争をするうえで、致命的な欠陥だと誰もが思いました。 つまり、誰が見ても、彼女がG1タイトルを取れるなど思えなかったのです。それどころか、トレセン学園に入ることすら怪しいとも。仮に入ったとしても1勝もできず、引退してもおかしくないと。 「お前みたいなヤツが出来るわけないじゃん!!!」 とどめとばかりに吐かれたその言葉の刃に、彼女はうずくまり、静かに涙を流すよりほかにありませんでした。

3 22/06/29(水)00:41:34 No.943678284

それでも彼女は諦めませんでした。 トレセン学園の有名予備校を受験しましたが、身体検査で不合格。仕方なく、そこそこの予備校を再受験し、どうにか入れてもらえました。 そこでも身体のことをなじられ、ついたあだ名は『みにくいアヒルの子』。皆にバカにされながらも、彼女は努力し、トレセン学園に入学することができました。 そして憧れの学校の門をたたき、彼女は夢の一歩を踏み出したのです。 ある日のことでした。 今日はコーストレーニングの日。空には高くさんさんと輝く太陽。その暖かな光がダートコースを明るく照らしています。 『みにくいアヒルの子』にもどうにかトレーナーがつき、ダート6ハロン(約1200m)を走ってみることになりました。 「最初だから軽めでいいよ」 「はいっ!」 そう指示をされ、彼女はコースを走り抜けていきます。 そしてあっという間にゴール板前。特に問題なくコースを走り抜けた彼女。そのタイミング合わせて、トレーナーはストップウォッチを止めました。

4 22/06/29(水)00:41:54 No.943678379

「…ん?」 その時計を見て彼は目を疑いました。そこに示されたタイムは1分10秒台。 「嘘だろ…」 流石にトレーナーはそう笑いました。きっと自分が計り損ねたのだろうと自分に言い聞かせ。 そしてもう一度彼女を走らせてみました。しかし 「マジかよ…」 なんと結果はまたしても1分10秒台。しかも彼女は彼の指示通り、あくまで軽めに走っているようなのです。 その結果に絶句したトレーナーは、改めてまじまじと『みにくいアヒルの子』を見ました。 「あの…?トレーナーさん…?」 自信なさげに彼を見上げる彼女の瞳には不安そうな色が映り込んでいます。 しかしそんな姿とは裏腹に、彼女が出した時計は、メイクデビュー前にも拘わらず、いつでも彼女はレースに勝てる実力があるということを示していたのです。

5 22/06/29(水)00:42:14 No.943678475

そして9月。彼女はメイクデビューであっさり勝利。 続いて10月に出たレースでも勝利を飾ります。 そして同10月。ニューヨーク州、ベルモントパークレース場。ダート8ハロン(約1600m)。G1レース、シャンペンステークス。 『先頭を突っ切るウマ娘!後続は大きく離れた!』 興奮した実況が声を荒げます。観客も感嘆と驚嘆がいりまじった歓声を上げます。 『後続は全く追いつけない!!!差は…7バ身!!いや8バ身!!』 全ての驚きと興奮の渦の中心にいるウマ娘、それは彼女『みにくいアヒルの子』でした。 初めてのG1レースで先頭の景色を譲らず、鋭利な脚色をふんだんに輝かせ 『10バ身!!!レコードタイムで圧勝ゴールイン!!!』 なんと彼女は、メイクデビューから1か月後に、あっさりと夢を叶えてしまったのでした。

6 22/06/29(水)00:42:41 No.943678616

もう彼女を誰も『みにくいアヒルの子』とは呼びませんでした。 このシャンペンステークス、10バ身差をつけた2着のウマ娘が実は既にG1タイトルを手にしていたことからも、その常識外れの実力は誰もが気づいてあたりまえのものだったのです。 しかし彼女を『純白の白鳥』と呼ぶ声もすぐになくなりました。 何故ならば、この後、彼女は無敗で3つのG1レース、ケンタッキーダービー・プリークネスステークス・ベルモントステークスを勝利したからです。無敗で米国三冠を手にした彼女に、陳腐な呼び名など不要と誰もが思ったのでした。 彼女の名前はシアトルスルー。 彼女は『シアトルスルー』という栄光の名を、彼女自身の力で手にしたのでした。 『みにくいアヒルの子《シアトルスルー》』、おしまい。

7 22/06/29(水)00:43:02 No.943678745

どうだった?お兄さま。 ふぁ…なんだかライス眠くなってきちゃった…。 お兄さまも夜更かししてちゃだめだよ。 それじゃ、おやすみ。

8 22/06/29(水)00:46:34 No.943679889

なんか重厚な絵本だな…

9 22/06/29(水)00:47:59 No.943680363

伝記だコレ

10 22/06/29(水)00:49:43 No.943680905

これシービスケットみたいな本では?

11 22/06/29(水)00:50:30 No.943681152

fu1206102.jpg そんなに顔でかいか?

12 22/06/29(水)00:51:04 No.943681333

ライスもだいぶみにくいアヒルの子みたいな人生だったよね… ヒールだなんだって言われてそれでもくじけず立ち上がりヒーローって言われるようになった その最後は悲劇だったが…

13 22/06/29(水)00:56:07 No.943683050

わからん…馬は大体みんな顔でかい…

14 22/06/29(水)00:56:29 No.943683171

確かに顔でかいな…

15 22/06/29(水)00:58:33 No.943683805

まんが伝記だこれ…めっちゃ作画が気合入ってるときの…

16 22/06/29(水)01:50:20 No.943697022

fu1206219.png 案の定描かれてた

17 22/06/29(水)02:22:28 No.943702027

ヒシアケボノの母の父なんか 足が悪さが子孫に遺伝しなくてよかったな

18 22/06/29(水)02:24:25 No.943702247

ハヤヒデも愛読してそうだな…

↑Top