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22/06/17(金)12:25:18 ある日... のスレッド詳細

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22/06/17(金)12:25:18 No.939479918

ある日のトレーナー室。スイープトウショウのトレーナーが枝のような杖を持った彼女に詰め寄られていた。 「トレーナー! もっと凄い呪文教えてよ!」 「どうしたスイープよ。『浮遊せよ』(ウィンガーディアム・レビオーサ)では不服か?」 「不服! トレーナー空だって翔べるし、なんなら杖なくても呪文使えるんだからもっと凄いの知ってるんでしょ」 「ふむ……では鍵開けの呪文を教えよう」 「やだやだやだー! こないだサブトレーナーが使ってたゴキブリを一撃で倒した緑の光の呪文がいい!」 スイープトウショウのトレーナー(以下メイントレーナー)の隣に立っていたサブトレーナーがビクリと微動する。 スイープトウショウの指摘にサブトレーナーの鼓動が跳ね上がり、額から汗が眉間、目頭、小鼻を伝って唇を潤す。

1 22/06/17(金)12:25:39 No.939480038

「そうなのかサブトレーナー。俺様の部下ともあろうお前が、たかが虫ごときに遅れをとり、あまつさえ呪文を使ったと?」 「わ……我が君。これには訳がございまして……」 「ほう? 聞かせて欲しいものだな」 「(強い唾を嚥下する音)あ、あの虫は……まほっ、魔法生物でして……高い運動性を、持っていたのでっ、やむを得ず……」 「何を使った?」 「……」 「何を使ったのだサブトレーナー? お前ともあろう者が、たかが虫にどのような呪文を使ったのだ?」 「…………ぁ、『息絶えよ』(アバダ・ケダブラ)を……」 メイントレーナーが深く椅子に腰掛け直す。 軋む椅子の音と、メイントレーナーの一挙一動に過剰に反応するサブトレーナーの様子に、流石のスイープトウショウも恐怖の感情が感染したのか、杖を持つ手はいつの間にか酷く震えていた。

2 22/06/17(金)12:26:00 No.939480130

「おぉ、痛みを与えぬ慈悲(死)の呪文を使ったのか。お前は虫にも優しいのだな」 「お、恐れながら我が君……あの魔法生物は──」 「黙れ」 「ぅ……があぁっ!?」 メイントレーナーが杖を向けると、その瞬間からサブトレーナーが苦しみもがきだし、床をのたうち回る。 身もすくむような磔の呪文『苦しめ』(クルーシオ)。その残忍さから許されざる呪文、闇の魔術であるそれを無詠唱で行使するのはメイントレーナーの魔法力や魔法技術が優れていることの証左。 そしてそれを平然と自分の部下に使って嗤うのは本人の残忍さを明らかにしていた。 「ま、待ってトレーナー!」 「──っはぁ! はぁ、はぁ、はぁっ………」 「何だスイープ? 不甲斐ない俺様の部下の処遇を決めるのか?」 「ちが、そうじゃなくて……サブトレーナーはアタシの為に魔法を使ったの……。アタシが魔法書の魔法に失敗して……アタシじゃどうしようも出来なかったからそれで……」

3 22/06/17(金)12:26:26 No.939480248

「ふむ……つまり、まだ子供のスイープが召喚した魔法生物に遅れをとったのだな?」 「そうよ! アタシが才能の塊だったから、サブトレーナーよりも凄いのを召喚出来たんだから!」 精一杯の虚勢を張る。そうでもしてこの場を収めないと、サブトレーナーが危ないとスイープトウショウも分かっていた。 メイントレーナーが自分に甘いのは今まで二人三脚してきてよく分かっている。故に彼女は大きな魔女帽子を脱いで絞った耳を敢えて見せながら頭を下げた。 「だからお願い“ヴォルちゃん”。これ以上サブトレーナーを苦しめないで……勝手に魔法生物を出したお仕置きはアタシが受けるから……」 「……お前は優しいなスイープ。よかろう。こやつへの罰は止めだ。お前にはお仕置きはしないから安心するのだスイープ」 下げていた視線を頭と共に上げると窓外からの光をバックに、黒いスーツを着ていたメイントレーナーが立ち上がる。胸元のトレーナーバッチは彼の魔法によるものか、はたまた特殊な魔法物質で作り替えられたのか、逆光で見えにくいにも関わらずほんのりと光を放っていた。 「だが1つ、お前には早急に直してもらう所がある」 「……っ」

4 22/06/17(金)12:26:41 No.939480318

先程のサブトレーナーへの罰を間近に見て、丁寧な口調でも底知れぬ恐ろしさを感じて肩が跳ねる。 息も絶え絶えながらも何とか立ち上がったサブトレーナーもとても心配そうな目をしているがしかし、当のメイントレーナーは破顔すると特に害意も無く続けた。 「スイープよ。魔法使いたるもの、お辞儀とはこうするのだ」 「おじぎ……?」 「そうだ。格式ある儀式にもお辞儀は必要だ。魔法使いであるなら、格式ある儀式にこそ礼儀は尽くさねばならぬ……」 メイントレーナーにレクチャーを受けながら改めてお辞儀をするスイープトウショウ。 顎に手を添え、その一連の動作を確認したメイントレーナーは満足したように彼女と向き合った。 「よいぞスイープ。いずれ決闘でもお辞儀をする時がこよう。その時に恥じぬように、今一度確認をしよう」 メイントレーナー……いや、魔法界を震撼させた残忍なる魔法使い。最強、最悪の「例のあの人」。 その名は──ヴォルデモート。『闇の帝王』ヴォルデモート卿その人である。

5 22/06/17(金)12:26:53 No.939480368

「──お辞儀をするのだ」

6 22/06/17(金)12:28:24 No.939480807

実はヴォルちゃんの名前をもった馬が居たのを知ってスイープと合わせてみました サブトレーナーは誰でもないので、お好きな人を想像してください

7 22/06/17(金)12:30:02 No.939481297

ホグワーツ付属トレセン学園きたな…

8 22/06/17(金)12:36:35 No.939483273

分霊箱を使ってないあの人なら優しく指導してくれそう

9 22/06/17(金)12:41:37 No.939484741

>分霊箱を使ってないあの人なら優しく指導してくれそう トム・リドル

10 22/06/17(金)12:59:29 No.939489801

サブトレは死喰い人なのかな…

11 22/06/17(金)13:25:23 No.939496203

トレセンホグワーツかと思った

12 22/06/17(金)13:27:25 No.939496742

あの人が目をかけるんだしなんだかんだでサブトレ可愛がられてそうだな…

13 22/06/17(金)13:53:19 No.939503048

このサブトレーナー羊皮紙に顔を近づけすぎて鼻の脂でシミだらけになってそう

14 22/06/17(金)13:54:21 No.939503300

大体来るのわかってたけどお辞儀教える流れでダメだった

15 22/06/17(金)14:02:52 No.939505174

ダンブルドアが鍛えたイマヅマみたいな流星のウマ娘にスイープが敗北するのは分かる

16 22/06/17(金)14:13:10 No.939507374

あの……スレ画の後ろにうっすら……

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