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22/06/17(金)01:20:28 No.939396696
日常茶飯事とはありふれた取り上げるまでも無いものという意味だが ありふれているからこそ必要なのだとトレーナーは腹の虫で思い知らされた とはいえ深夜0時過ぎ。そして明日までに仕上げたい仕事が一つ 作業に没頭したいが恐らくこのままでは明け方力尽きる 血肉が欲しいがさりとて夜食を作っている時間が無い… ふと生徒の一人に教わった物を思い出した 「困った時に助けを呼ぶおまじない」 半信半疑ではあったが試さない手は無いだろう 彼はそのまま床に魔法陣を描き六芒星の頂点に蝋燭を灯すと そのまま呪文を唱え最後に親指を噛むと自らの血を中央に押し付けた 途端に彼の血液に反応した魔法陣が光り輝きその上に漆黒が渦を巻く やがて形を変えたかと思うと「それ」はゆっくりと目を開けた 「我を呼び出したのは汝か…」 「…スカーレットじゃないか…お前また夜更けに転移してきたのか?」 「否。我は汝が最も油断する相手の姿を読み取り形作っているに過ぎない」
1 22/06/17(金)01:20:43 No.939396761
ダイワスカーレットの姿をした何かに告げられトレーナーが腕を組む 成程言われてみれば「それ」の瞳に光は無かった 「さあ願いを言え。相応の対価を払う事を条件に望みを叶えよう」 「じゃあ夜食作って。冷蔵庫にある材料適当に使っていいから」 「……………………は?」 暫くの間の後「それ」は問い返したが既にトレーナーは作業に戻っていた 眉間に皺を寄せたスカーレットのような何かがつかつかと彼に歩み寄る 「おい…」 「ん?どうしたの」 「今夜食とそう聞こえたのだが」 「うん。夜食。作って欲しい…できればご飯がいい」 「ならばメニューを言うがいい。我が魔力と対価を使い生み出してやる」 「いやいいよ。有り合わせの物使って欲しい。賞味期限近くてさ」 「あの」 「どうしたの…まだ何か?」
2 22/06/17(金)01:20:54 No.939396794
くっ、と「それ」が下唇を噛む その姿はまるで本物のダイワスカーレットが悔しがる姿に酷似していた 恐らくこの化生は化生で何かプライドめいたものがあるのだろう それでも何とか絞り出すように言葉を口にする 「その…料理をした事が無くて…」 「あ、そうなんだ…じゃあ戻ってくれていいよ」 「エッ!?」 「いや無理させちゃ悪いし。いや困ったな…じゃあやっぱ自分で作るか…」 「待て。任せるがいい。契約だ、履行する、してみせるから 召喚された以上は仕事をしてみせる」 「でも料理分からないんでしょ?」 「…何とかする…!」 強い決意を感じ結果的にトレーナーが折れる事になった ダイワスカーレットで無かったとしても彼はその姿に弱いのだ 「じゃあ任せる」その言葉を受け「それ」は決意を胸に台所へと向かう
3 22/06/17(金)01:21:05 No.939396837
「それ」は同僚にLANEをしたが返事は散々なものだった 魔術で生み出してしまう彼等は基本的に料理ができない。する必要が無い しまいにはこんな深夜にくだらない事で連絡するなと怒られる始末 怒った悪魔の姿をしたマスコットでスタンプを返すと 溜息をつき「それ」は冷蔵庫の中身を確認した後スマホで検索を始めた まず米を洗いそして炊飯器にセット そしてニンジン、しいたけ、ごぼうを取り出し 両手のツメを伸ばして細かく切り刻む 栄養バランスを考えれば鶏の死肉が欲しい所だったが生憎無かった だが野菜と穀物だけでも十分であろう 幸い素麺に使用したらしいめんつゆの余りがあったのでこれを加え そのまま炊飯器を炊き込みモードにしてスイッチを押す 「おい」 「ん?出来たの?」 「否…暫し待て。合図を送る」
4 22/06/17(金)01:21:16 No.939396880
「分かった。ええと…君も適当に寛いで良いよ。お疲れ様」 そう言われ「それ」は素直に従う事にしたが落ち着かない 何しろ料理自体が初めてなのである レシピ通りにすれば間違いないと親切な同僚からのLANEが来ていなければ 恐らく気になって幾度も炊飯器の中身を確認してしまっていた事だろう 程無くして炊飯器が出来上がりを示すアラームを鳴らすと おそるおそるダイワスカーレットの姿をした「それ」が蓋を開ける むわっとした蒸気と心地良いふつふつとした音 そして仄かな野菜と醤油を纏った熱気がそれの鼻腔をくすぐる 「それ」はほくそ笑み、そしてしゃもじで全体をかき混ぜ茶碗へとよそった 「契約は果たされた」 「お、出来たのか…おー、いいね炊き込みご飯か」 「味は保証できんぞ…」 「いや、初めてでこれだけ出来たら上出来でしょ。君も食べたら?」 「…ふむ」
5 22/06/17(金)01:21:28 No.939396931
トレーナーに勧められ「それ」もまた向かいに座って炊き込みご飯を口に運ぶ 一拍置いてぴん、と耳が跳ね上がりその瞳に光が宿った 「…美味い」 「ああ。これで汁物もあれば最高なんだが…それは贅沢だな」 トレーナーは呟いたが「それ」は自らの炊いたご飯に夢中の様だった 苦笑し冷蔵庫から麦茶を取り出すと彼女へと振舞う 「ごちそうさま。いや助かったよ…けど対価が必要なんだっけ?」 だが麦茶を飲み干した「それ」が静かに首を振る 「否。対価なら既に得た。我が臓腑を満たすこのぬくもりで今宵は十分」 「ふーん。そうなんだ、じゃあまた困ったら呼ぶ事にするからさ」 「やめておくといい」 「え?」 トレーナーが尋ねた時には既に「それ」は魔法陣の上へと戻っていた 最初に現れた時とは逆にその姿が歪み、漆黒へと変わると崩れてゆく 「時間と命の扱い方はゆめゆめ気を付ける事だ。ヒトの子よ」
6 22/06/17(金)01:21:39 [オワリ] No.939396967
そして何事も無かったかのようにダイワスカーレットの姿をした何かは 魔法陣と共に姿を消していた (食材余らせる位なら何事も時間に余裕もってやれ、って事かな…) アイツに説教をされたみたいだ そんな事を考えながらトレーナーは仕事を再開した。
7 22/06/17(金)01:25:07 No.939397821
可愛かったけどこれ生徒が…
8 22/06/17(金)01:30:25 No.939399005
教えたのスイープだろうけど向こうは無事か?
9 22/06/17(金)01:32:02 No.939399307
普通に終わったのは目線ダスカが出てこなかったからか…悪魔が出てきたのにいつもより平和だ…
10 22/06/17(金)01:33:00 No.939399508
わからんぞどこぞの親切な悪魔みたく気前のいい悪魔だったのかもしれない
11 22/06/17(金)01:38:44 No.939400514
ソロモン72柱とかこれただのいい人ではみたいな悪魔結構多いしな…
12 22/06/17(金)01:40:43 No.939400874
アンドロマリウスとか対盗人用の能力だしな
13 22/06/17(金)01:48:52 No.939402235
>普通に終わったのは目線ダスカが出てこなかったからか…悪魔が出てきたのにいつもより平和だ… 悪魔と目線ダスカのどちらが常識的かと言われたら…
14 22/06/17(金)01:51:08 No.939402659
>ソロモン72柱とかこれただのいい人ではみたいな悪魔結構多いしな… 害悪そのものもいるけど元どっかの神様とか意味分からんやつとか色々いるからな…
15 22/06/17(金)01:51:36 No.939402748
悪魔は契約絶対順守だからな…
16 22/06/17(金)01:51:39 No.939402758
悪魔は契約守るもんな…
17 22/06/17(金)01:56:55 No.939403719
なんですかまるでダスカが約束守らないみたいな
18 22/06/17(金)02:10:38 No.939406092
目線ダスカだって食事中は絶対襲い掛からないとか約束は守るだろ! 常識と恥じらいが無いだけで!
19 22/06/17(金)02:27:05 No.939408439
推定サキュバスに天原みたいな発想の使役させてるのは解釈一致