ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/06/14(火)20:10:18 No.938619484
「」のくせに鰹や牛肉叩くなんて生意気だ
1 22/06/14(火)20:22:53 No.938624743
「ダブル…いや、シングル・マグロ・ドンブリだ」 素子をスロットに滑り込ませると、男の眼前にある、半ば溶けたかのような鷹の墨絵の目が光った。 スキ・ドンブリは、注文から1分以内にドンブリを出すことを社の至上目標にしている。 カウンターの奥では労働者が最低賃金で休みなくドンブリを作っており、配膳に1分以上かけると 労働者本人のみならず店長以下全員の評価がダウンする。隣組めいた相互扶助システムなのだ。 注文から1分3秒。顔に絶望を貼り付けたフェイク・イタマエが、震える手でマグロ・ドンブリを置いた。 「……」 彼らの給料のことを考える余裕は、すでにない。素子は今スロットに投入したのが最後だ。 ビズの入金は明後日。それまで無一文だ。首は回るどころか、傾いだまま錆び付いている。 この町に暮らす連中は、誰も彼もギリギリを生きているのだ。 虹色の合成マグロ・ディスクに、合成ショーユをたっぷりとかけ、サービスのショウガを大盛りにする。 そして男は、もはやマグロの味などわからぬドンブリを、一気にかき込んだ。 「……三日後だ。三日後、百倍なんだ」 うわ言めいて人生の急反発を語る男のジーンズだけが、妙に青々としていた。
2 22/06/14(火)20:25:35 No.938625897
文才あるからなろうにでも投稿したらいいよ