22/06/11(土)00:18:04 「君の... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1654874284601.png 22/06/11(土)00:18:04 No.937230267
「君のトレーナーを2か月後の選抜レースに、か」 「そっ、詳しくは言えないけどちゃんとしたレースで走らせてほしいの」 机のふちに腰掛けながら、向かいの椅子にゆったりとした姿勢で座るシンボリルドルフに提案を飛ばす 夕陽が射しこむ窓際で話を聞いたルドルフはふむと顎に手を添え思案を始める 答えを待っていると来賓用のソファに不格好に寝そべっていたナリタブライアンが口を開いた 「走らせるのが目的ならそれこそお前か私達が相手でもいいだろう」 「ノンノン、実力差がありすぎよ。本格的に走ったことはないからちゃんと同等の実力の子達と競う経験を積ませたいの」 メッ、とブライアンちゃんに向かって注意するように人差し指を立てジェスチャーすると、つまらんと言わんばかりにフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった 「しかしどういう風の吹き回しだ?貴様のトレーナーは走ることはせず復職してトレーナー業に専念すると聞き及んでいたが」
1 22/06/11(土)00:19:06 No.937230620
棚から議事録のファイルをいくつか取り出し脇に抱えたエアグルーヴが問いかける ここまで詳細を伏せて交渉していたけど、さすがに何もかも隠したまま納得してもらえるとも思っていないので少しだけ情報を出す プライバシーの侵害になっちゃうけどトレーナー君、メンゴ! 「それがどうにもウマ娘の身体を持て余しちゃってるみたいなのよねぇ、我慢してるみたいなんだけどずっとチョベリバって感じよ」 「ち、ちょべ……しかし、ウマ娘の実力を披露しトレーナーがそれを見極める大切な機会に特別扱いで出すというのは……」 「私は協力しても構わないよ」 難色を示したエアグルーヴとは対照的にルドルフは快い返事をする 「よろしいのですか…?」 「確約は出来ないが関係者に掛け合うことは可能だ、それに元人間のトレーナーといえど今はウマ娘」 「救世済民、全てのウマ娘の幸福を掲げているんだ、助けない道理はないさ」 「それに我々が一番分かっていることがあるんじゃないか?暗雲低迷の中、走ることでしか得られない答えがあると」
2 22/06/11(土)00:19:50 No.937230902
あたしがうんうんと頷いて他の二人に視線を向けると複雑そうではあるが心当たりがあるといった表情をしていた そういう話題は表立って話すことはなかったけどみんな同じなのねぇ 「ただ、口ぶりからして君のトレーナーはまだ走ると決めたわけではないのだろう?」 「本人の走りたいという意志表明、それが協力する条件だ。当機立断できることではないが、こちらが交渉する時間が必要なことも考慮してほしい」 「オッケー!チャキチャキっと伝えて承諾してもらうから任せてちょんまげ!ありがとうルドルフ!」 とりあえずこれで根回し完了、あとは肝心要のトレーナー君にやる気になってもらわなきゃ お礼を言ってから生徒会室を後にする。それじゃさっそくトレーナー君のところにレッツラゴー、この時間ならトレーナー室よね 「……マルゼンスキーから始『まる善』……ふむ、メモしておくか」 「「……」」
3 22/06/11(土)00:20:32 No.937231210
「そういうわけだから、レースやってみない?」 「ちょ、ちょっと待ってくれ!?」 今日はトレーニングもなくトレーナー室の掃除でもしようかと思った矢先、飛び込んできたマルゼンスキーに矢継ぎ早に説明される あまりにも唐突に規模の大きい話を持ってくるものだから理解が追いつくわけもなかった 「この間も言ったように走るつもりはないし、第一選抜レースって……」 「ホントはあたしと併走するくらいでいいかな~なんて思ってたけど、トレーナー君と楽しいレースをするには必要だと思ったの!」 「いや、だから……」 「それにこれはあたしの我儘で3年間であたしがトレーナー君にしてくれたことのお返しでもあるの」 「……!」 「もしかしたらなにか賞を取るだけの成績を残せたかもしれないのに、トレーナー君はずっとあたしの気持ちを優先してローテーションを組んでくれた」
4 22/06/11(土)00:21:21 No.937231546
走る事が楽しくなくなりそうになったときだってずっと支えてくれて、助けになってくれたじゃない」 「それは……トレーナーとして当たり前のことで……」 「当たり前のことが当たり前に出来る人ってそういるわけじゃないのよ?だからこそのお返し」 「いや、でも……」 「強引だと思ってるかもしれないけど、ウマ娘が全力で走れる期間はそう長くないの」 「ウジウジしてると本格化はチョッパヤで終わっちゃうのよ?そんなのもったいないわ」 何を言っても押せ押せムードのマルゼンスキーをどうにも出来ず、酸素不足の魚のように唇だけが開閉して言葉が出ない 彼女と思考に板挟みにされ、ついに俺は俯いて沈黙してしまう 「……今トレーナー君が抱えてる悩みは走ること以外で解決するとはあたしには思えない」 「ルドルフも言ってたわよ、走ることでしか分からないこともあるって」
5 22/06/11(土)00:22:00 No.937231850
そう言って彼女は俺の両手を掴んで真剣な眼差しで見つめてくる またそういう顔を……いつも余裕綽々としているのにレース中ライバルと競り合う時くらいしか見せない表情 ウマ娘に変わってから彼女よりほんのわずかに低い程度の身長になったので、以前よりも彼女の顔が近い 掴まれた両手と彼女の至近距離の視線から感じる熱が、出すまいと誓い氷の中に閉ざした本能を曝け出す 「……そんなに、走って欲しいのか?」 「えぇ、あなたが楽しんでる姿が見たい」 「どこかで聞いたようなセリフだね」 「あたしがずっと聞いてたもの」 「あはは……うん、わかった、出よう。走ろう」 決意して手を握り返すと彼女は満面の笑みを浮かべ、握った手はそのままに俺ごとグルグルと踊るように回る 結果的に流されてしまったがこれでいいのかもしれない 生意気にも彼女が見る先頭の景色を、もしかしたら俺も垣間見ることが出来るかもしれないと、そんな気がした
6 <a href="mailto:s">22/06/11(土)00:25:23</a> [s] No.937233281
私は光の三女神が一柱 ワクチンの副反応でうなされてる間に続き書くのを忘れて一月くらい経ってた
7 22/06/11(土)00:29:38 No.937234798
疾走れウマ娘
8 22/06/11(土)00:38:22 No.937237955
トレーナーの台詞を今度はマルゼンさんが言うのいいね…
9 22/06/11(土)00:39:28 No.937238358
トレーナーと担当バでもあり先輩と後輩でもありライバルでもあり そんな関係になっていって欲しい
10 22/06/11(土)00:41:58 No.937239124
TSしても健全な関係で確かにこれは光…
11 22/06/11(土)01:08:52 No.937247320
こういうときにトレーナーのために真剣に考えてくれるマルゼンさんいいよね…