22/06/07(火)00:28:32 まるで... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1654529312331.png 22/06/07(火)00:28:32 No.935879599
まるでオーブンの中にでも入れられたような暑さが続く合宿所に今日は雨が降った。しかし一向に涼しくなるどころかむしろオーブンからスチームサウナに変わった程度の変化しかなく、むわつく暑さが服に張り付いて不快指数と身体の不快が増すばかり。 多少の小雨ならば練習を行う所だが、今日ほどの大雨となると体が丈夫なウマ娘であっても体調を崩す危険性があるので許可できない。おかげで合宿所には多くの人間がぎゅうぎゅうに詰め込まれていてこれまた熱気が凄い。どれもこれも古い宿についている古くパワーの無いエアコンが悪い。 ので、私は今チームの皆と共に氷水が入った大きなタライに足を入れていた。ビターグラッセの提案である。もっとも許可も不許可もなく既に氷とタライを持ってきて水を入れ始めたものだから止める暇もなかったのではあるが。 「は~冷たい! これなら少し誤魔化せるな!」 「ちょっともうちょっと詰めてよ。ぎゅうぎゅうになって逆に暑いじゃん」 「確かにこれは、中々涼し気がありますね」
1 22/06/07(火)00:29:02 No.935879772
部屋の中でタライの周りに集まりながら足を投げ出す我々を他の人間が見たら何事かと思うだろうが、熱中症で倒れるよりはマシだと思って恥を忍ぶことにする。足から伝わるひんやりとした冷気が気持ちよい。 「それよりも、樫本トレーナー! キャロッツのトレーナーとはどこまで言ったんです?」 ふと、涼んでいたチームのメンバーの一人がそんなことを言ったので、全員の目がこちらを向いた。興味津々、雲の上の太陽よりも熱いまなざしだ。一人ココンだけが不機嫌そうにふんと鼻を鳴らした。 「どこまでって……別に、あの人とはそう言う関係では……」 婚約関係まで言っているとは口が裂けても言えないので、誤魔化しながら答えるしかない。というのに教え子たちはそれを聞いて露骨にため息を吐いてきた。トレセン学園は女学園だからかそう言う話題に飢えているのだろうか、ビターグラッセが露骨に満面の笑みでこちらを見てくる。清純な目的でひと夏の冒険をしに来た少年からナンパでも受けてほしいと心から切に願う。 「あのキャロトレ好き好きオーラヤバいですもん! 行けますって」 「そ、そうですよぉ! 絶対押せばあっちから告白してくると思いますぅ! 」
2 22/06/07(火)00:29:26 No.935879898
それは誰よりも私が分かっていることだ。 「そしたら、海デートでしょ、森デートに、あぜ道デート……ここめっちゃ田舎だな!」 「でもほらほら、あったじゃん途中にお城みたいなさ、アレ!」 きゃーっ!と本人を差し置いて部屋が黄色い声で満たされる。全員邪な気持ちを持たない勇気を出した清い少年たちからナンパを受ければいいと心の底から思う。当事者になれば全員悩みに悩み、恥ずかしい思いをし、一挙手一投足すべてに緊張する気持ちも分かるだろう。 「失礼しますー! ウチのトレーナーからチームファーストのトレーナーに贈り物があるそーでーす!」 そうしていると、襖がきゃいきゃいと騒がしく開かれて、そこから見覚えのあるウマ娘たちが姿を現した。確かチームキャロッツのメンバーたちだ。彼女達の後ろには彼、チームキャロッツのトレーナーがいて、教え子たちから背中を押されて入ってきた。 「お、おいこら! ……涼しそうですね」 「……まぁ、多少は」 一番見られたくない相手にだらしのない姿を見られてしまって、思わず氷のように固まってしまう。彼の方はと言うと手にはペンギンの頭にハンドルがついた妙な機械を持っている。
3 22/06/07(火)00:30:01 No.935880091
「あーその、なんといいますか……氷を手に入れたのでかき氷でもと思いまして……」 そう言いながら彼はペンギンを差し出した。なるほど、かき氷を作る砕氷機か。確かにそれなら涼めそうだが、彼の表情から察するにチームに持ってきたものを担当達が一計を案じたのだろう。 つまり、私達の仲を深めさせようというわけだ。これ以上なく深まってはいるもののそれを他人に見せる器量はないので、此処はお断りするのが吉だろう。公開処刑も甚だしい。 「それはいいな! じゃあこっちはタライ開けるから、みんなで涼んでくれ! トレーナーはトレーナーの隣にどうぞ!」 ビターグラッセ!!! 「あー……シロップはイチゴでよかったですか?」 「ええ、まぁ……」 ……数分して、私と彼は隣同士でかき氷とタライの氷水で体を冷やしていた。が、両チームの期待する視線が熱くてたまらない。 「あのなぁ……何を期待しているかは知らないけど、君たちが思っているようなことは大体二人きりでやるもので見せるものじゃないだぞ」 「そうですよ。誰も見ていない所でするものです、むしろ貴方達が見ることでそんなことはこれっぽちも……」
4 22/06/07(火)00:30:29 No.935880276
「じゃあ二人きりのときはするんですか!」 その言葉にぐっと二人とも声が詰まってしまったので、さらに彼女達をキャイキャイと騒がせる結果になってしまった。普段はこうじゃないのだが、暑さで脳がゆだってしまったのだと信じたい。 「いやっ、まだ恋人でもないのにできますか! たとえ話です!」 「そうそう、そうだよ……恋人でもないんだから……」 そう弁明するも次はフリだと分かっているくせに彼が露骨に落ち込んだ声を出す。こっちもこっちで面倒くさい、そう言う所が愛らしいが。 「てか結局、本当に樫本トレーナ―が好きなわけ?」 どうしたものかと悩んでいると、なんとリトルココンがそんなことを言い出した。視線が冷たい、水の温度が下がった気がする。断固反対派の彼女の発言に部屋の全員の視線が集まった。 「本当に好きなら、もっと堂々とできるでしょ。かき氷、あーんでも出来なきゃそうとは言えないんじゃないの」 ニヤリと口元まげてそんなことを言う。どうせできないんだろうと見越して彼にダメージを与えるつもりだろうが、何故だかこの展開に見覚えがある。というかビターグラッセとそう恋愛思考回路変わらないんじゃないのかこの子は。
5 22/06/07(火)00:30:56 No.935880423
「リトルココン、彼を困らせようとするのは…」 ふと口元に色鮮やかな氷の一盛がやってきて、思わず顔を向けると彼が自分のスプーンをこちらに持ってきていた。きゃーっ!!と歓声が沸き起こる。 ほら、やっぱりこうなったじゃないか。リトルココン、こいつマジか見たいな顔をしない。貴方が招いたのだ……。 氷は立った少しだったのに、なんだか頭がキーンとした。
6 <a href="mailto:s">22/06/07(火)00:31:56</a> [s] No.935880785
年下からガンガン攻められてふにゃふにゃになる理子ちゃんの続きの続きの続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きですご査収ください次から12時ぐらいになるかも そしてこれがまとめです fu1139589.txt