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22/05/31(火)20:59:38 東京都... のスレッド詳細

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22/05/31(火)20:59:38 No.933609523

東京都、日本有数のラグジュアリーホテルとして知られるインペリアルホテル、その宴会場の1つであるウィンザー。 王宮の名を冠するこの宴会場は、英国のカントリーハウスを彷彿とさせる絢爛な室内装飾が設えられている。 室内には、150人近いその内装に相応しい装いの男女がラウンドテーブルを囲んで歓談しており、壇上には、日本ウマ娘クラブ――ウマ娘同士の親睦と社会福祉活動、そして業界団体でもある――総会懇親パーティーと書かれた幕が掲げられている。

1 22/05/31(火)21:00:25 No.933609922

一生徒の身である私が、今はまだ場違いにも思える日本ウマ娘クラブが主催する立食パーティーに出席しているのは、トレセン学園生徒会長だけでなく、九冠ウマ娘であることも理由の1つかもしれない。 もっとも、私はこうしたパーティーには学園を代表したり、シンボリ家の一員として出席することが少なからずあるから、慣れたものだが。 実際、宴会場を見渡すと、見知った顔ぶれも少なくない。 会員であるURAの関係者や政財界の人間をも集めたパーティに参加している中で、学園関係者は学園理事会、私とトレーナー君、そして桐生院トレーナーとハッピーミークだ。 桐生院トレーナーに関しては、私のあずかり知らぬところであるが、トレーナー君に関して言えば、理事長の意向だと聞いている。 もちろん、私のトレーナーということも大いに関係しているだろう。 会場に着いてから、理事長はトレーナー君と桐生院トレーナーを伴って、挨拶回りに繰り出し始めた。

2 22/05/31(火)21:01:01 No.933610193

来る前にトレーナー君は、こうした場が不慣れだと語っていたが、理事長や桐生院トレーナーの助けもあって一通りの挨拶を終えることができたようだ。 一息つくためだろうか。彼が、飲み物を取りに理事長から離れた時だった。 パーティー参加者であろう、一人のウマ娘がトレーナー君へと駆け寄る。 くすみブルーのカクテルドレスに身を包んだ、彼と年は変わらないだろう若いウマ娘。 彼女は無遠慮にも彼の手を取り話しかけ――おい、なぜお前はトレーナー君に身体を密着させているのだ? 彼は突然の出来事に困惑の表情を浮かべるも、気を取り直して笑顔で答えている。

3 22/05/31(火)21:01:31 No.933610433

背は彼の肩程、栗毛で童顔な顔立ちは会話につれてころころと表情が変わる。 本心なのかまでは区別がつかないが、会話をトレーナー君もそれなりに楽しんでいるようだ。 そんな彼の笑顔を見ていると、胸の奥でどんよりとしたものが、怪物が、鎌首をもたげるのがわかる。 学園でも、女性職員や同僚トレーナー、あるいは一部の後輩が彼と会話しているところを見かけると嫉妬に駆られることがあるが、まだ我慢できる。それも彼の仕事だからだ。 違う可能性もあったとしても、学園にいる限り私が睨みを効かせることもできる。 だが、今回は違う。アレは彼の実績や地位を目当てに来た人間だ。 間違いない。私の中のウマソウルが、そう囁いている。 いくつかのやり取りの後、女が彼の手を握るなりどこかに連れ出そうとし、トレーナー君は抵抗らしい抵抗をしないまま、彼女にずるずると引き摺られていく。 やれやれと、内心で溜息と悪態をつきながら、トレーナー君の元へ向かおうとした時だった。

4 22/05/31(火)21:02:13 No.933610763

「シンボリルドルフさん」 声をかけてきたのは、私よりも頭1つ分ほど背の高い、精悍さを感じさせる男性だった。 トレーナー君と同い年かそれより少し上くらいかもしれない。 「失礼。私、こういうものでして。以後、お見知りおきを」 そう言うと名刺を差し出してくる。 差し出された名刺には会社名と、彼の名前、その横に肩書としてCEOと書かれていた。 どこかで聞いた覚えがある会社名だった。ああ、そうだ。最近流行りの耳飾りを扱ってる会社だ。 雑誌で商品の特集が組まれているのを読んだ覚えがあるし、学園内でも流行っていた…はずだ。 眼の前の彼の顔も、新聞かテレビで見たことがあるのを思い出す。新進気鋭の若手経営者云々…そんなありふれた経済記事だ。 世間の注目だけでなく、皺ひとつないピンストライプのダークスーツの着こなしからも、彼が自信溢れる成功者であることが伺えた。

5 22/05/31(火)21:02:55 No.933611095

「新設された月桂杯、貴女が企画・立案されたものだと伺っていますが、レースだけに留まらないご活躍に、ただただ感服しています」 「中々時間が取ることが出来ず、普段リアルタイムでレースを観戦できないのですが、あのレースは観戦することが出来まして」 「逃げるマルゼンスキーさんを差し切り、追い上げてくるミスターシービーさんの追随を振り切る。皇帝の名に相応しい、圧倒的な走りでした」 「ありがとうございます。引き続き応援していただけると幸いです」 そう答え、丁重に別れの挨拶をし彼の居る方へと体を向けるも、彼はまだ私に用があるらしい。

6 22/05/31(火)21:03:45 No.933611477

「お急ぎの御用でも?よろしければ、ぜひルドルフさんにご相談したいことがありまして」 何か、お飲み物は?続けてそう言うと、彼は近くの給仕を呼び寄せる。 ……かまっている暇は無いのだが、と思いつつも視界の隅で、トレーナー君が理事長に連れ去られていくのが見える。 彼は給仕から2つのグラスを受け取ると、1つを私へ押し付けてきた。 「ルドルフさんも、お読みになられたことがあると思いますが、Umateenで弊社の新作アクセサリー特集を組んでいただくことになりまして」 おまけに、よりによって仕事の話とは。打ち切り辛い。 「そこで、次回の特集では、トレセン学園の在籍している生徒の皆さんに――――」

7 22/05/31(火)21:04:28 No.933611790

理事長に引き摺られて挨拶回りをさせられたのは期待されている…ということなのだろうか。 それとも、この手のパーティーとはこんなものなのだろうか。 会場はあのインペリアルホテルで食事も出るぞ、と釣られて二つ返事で出席すると言ったものの、食事どころかひたすら挨拶なのだから気も参ってしまう。 ルドルフは一体どうしているのだろう、彼女はこういうパーティーに慣れていると聞いていたが。 会場を見渡し彼女を探すと、背の高い若い男と会話していた。 駿大祭の話でもしているのだろうか、男が弓をつがえて放つような動作をすると、ルドルフが興味深そうに聞いている姿が眼に入る。

8 22/05/31(火)21:05:15 No.933612131

談笑をする、スーツを着た男とパーティードレスを纏った女性。それだけを見ればお似合いの2人、かもしれない。 そんな2人の姿を見ていると何故かわからないが、心の奥底から黒いものが湧き上がってくる。 男が、ルドルフと楽しげに話しているのが気に入らない。今ならば、ムーア人の将軍の気持ちがよくわかる。 だが、レースウマ娘が、マスメディアやファンを相手に、その愛らしい笑顔を見せるなんて日常茶飯事だ。 さらにトレセン学園生徒会長としての広報活動も考えれば、こんな事は何度もあって――実際俺自身、幾度となく傍で見てきたじゃないか。 でも、気に入らない。狭量と言うべきなのだろうな。

9 22/05/31(火)21:06:06 No.933612493

fu1120585.pdf fu1120590.txt だいぶ長いので残りはtxtとpdfで

10 22/05/31(火)21:15:10 No.933616490

ダブルグラビティありがたい…

11 22/05/31(火)21:18:31 No.933618028

こいつら赤の他人を出しにしていちゃついてやがる

12 22/05/31(火)21:21:11 No.933619205

嫉妬バリバリすぎる…

13 22/05/31(火)21:26:25 No.933621768

トレーナー君重くない…?

14 22/05/31(火)21:27:23 No.933622247

カイチョーだけじゃなくてトレーナー君も重たいのいい…

15 22/05/31(火)21:30:34 No.933623855

似たもの同士なんだコイツら!

16 22/05/31(火)21:34:00 No.933625512

トレセン学園しょっちゅうパーティー開いてるし こんな事しょっちゅうありそうだよね トレーナーもウマ娘も

17 22/05/31(火)21:42:07 No.933629369

誰がどう見てもお似合いのカップルだよ!

18 22/05/31(火)21:44:26 No.933630414

いい年した大人の情けない嫉妬からしか得られない栄養もある

19 22/05/31(火)21:46:09 No.933631219

>年を感じさせないくらい大人びたエリート娘の年相応の嫉妬からしか得られない栄養もある

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