虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    22/05/27(金)01:12:05 No.931860574

    クナウ(福寿草)の季節が終わり。サクが近づいてきた頃、皆は総出でココロニ(フキ)アウシニ(タラの芽)を取りに山へ出かけるの季節がやってきた。  そんなある日杉元が妙な物を持ってきた。小袋に入っているのは何かの種である 「白菜だよアシリパさん」 「なんだ白菜って?」他のアイヌも皆興味津々だ 「食い扶持が聞く大きい葉っぱをした野菜なんだ。今度飢えようと思って買ってきたんだ」 そう杉元は言うが、疑問が残る。 「種を買う!?どうしてそんな事するんだ、カムイから授かるものじゃないか」 と聞くがシャムでは種木を買って栽培をするのが普通らしい。 「とにかく試しにみんなで植えてみようよ。畑は俺が耕すから」  と話してはいるが、さすがに杉元一人に任せるのは気が引けるので。男衆は総出で新しい畑作りを始めた。その間女集は種が苗になるまで育てる事となった。寒さ避けの為、夜は藁を被せ。それは丁寧に丁寧に育てていくと。自然と苗ができている。

    1 22/05/27(金)01:12:20 No.931860651

    それを今度は杉元がシコシコ「作付け」という工程、苗を植えていく。本当に育つのか眉唾物であったが、みんなで見守る事にした、もちろん水撒きや虫取りなんかはみんなで手伝った。虫が特にひどかった。――― ―――驚いた。サク真っ盛りの季節。あの種が蕗の葉より大きい白いその幹がそびえ立ってるじゃないか。 「上出来だ、」と杉元は言ってた。「まさか最初からこんなにうまくいくとは思わなかった」 と驚いているくらいだ。  杉元も初めての飼育に何度も和人の所に出向き、栽培法を教わっていたらしい。見返りはだいたい採ってきたイセポ(ウサギ)なんかだ  試行錯誤の後出来上がった物を皆で収穫していく。 杉元曰く「煮て食べると良い」との事でその夜皆で宴を兼ねて白菜を実験的に食べた。 ―――ヒンナだった。鍋の汁を良く吸い、染みこんだ菜を食べると大変ヒンナだった。  オソマ(味噌)はいれなくても美味しかった。杉元も「ヒンナだぜ」と満足していた。  和人の杉元もこれでこのコタンで認められたような、そんな気がした。けれども――

    2 22/05/27(金)01:12:39 No.931860729

    その夜トノトも回ったのか皆ベロベロに酔っ払ってチセ(家)へと帰っていった フチも寝静まった頃に、半分酔った杉元を押し倒し。無理やりオチゥした。 杉元のチンポ先生は正直だった。 「恥ずかしいから灯りは消してアシリパさん」というが灯りを消すとチンポ先生が見えなくなるので消さずに続行した。 ――その後だった。「もうお嫁にいけない」とのたまいながら丸まって眠る杉元に聞いた 「なぁ杉元」「どうしたのアシリパさん」 「私達、これからこうしてシャム(和人)のように暮らしていくのだろうか?」 私の疑問に、杉元も少し驚いていた様子だった 「なんでそう思うの?」杉元の瞳が灯りと共に揺れる 「杉元の持ってきてくれた白菜のおかげで私達は大分豊かになった。なにより美味しい。  これが根付けばきっと皆アウシニもココノキも取らず、農耕に精を出すだろう。それは和人の生き方だ。アイヌではない」 「でもアシリパさん達だって稗や粟を作ってるじゃないか」