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22/05/26(木)20:07:19 ここが... のスレッド詳細

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22/05/26(木)20:07:19 No.931734163

ここが死後の世界か、と半ば他人事のようにぼんやりと思った。 果てしなく広がる草原にどこまでも続く星空。現実味の無い光景だが、頬を擽る風も、草の匂いも全て本物。 そして何より── 「トレーナーさん。あなたは、担当ウマ娘を庇って看板の下敷きになりました。覚えていますね?」 ──目の前の語りかけてくる、謎の四足歩行生物の存在が、ここがこの世ではないと訴えていた。

1 22/05/26(木)20:08:31 No.931734655

俺の担当ウマ娘であるゴールドシップとのお出かけの途中で、突如として吹いた強風。 そして運悪く、ビルの上から風に煽られた看板が降ってきて。 俺は咄嗟にゴールドシップを突き飛ばし、その直後に目の前が真っ暗になり── 「トレーナーさん? 聞こえてます?」 「あ、あぁ……うん」 ──気が付いた時には、ここにいた。 人語を話し、ウマ娘の耳と尻尾にそっくりなそれを持つ謎の四足歩行生物。 全身が茶色い体毛に覆われており、額のような箇所には白い十字模様。 時折ブルル、と鼻息のようなものをあげている。 生まれて初めて見るが、今までずっとそばに居たような気がする、不思議な生き物。 そんな生き物と、二人きりの謎の空間。

2 22/05/26(木)20:08:57 No.931734828

「……ゴールドシップは無事か?」 「はい。あなたのおかげで、彼女の怪我は膝を擦りむいた程度です」 「そうか……」 良かった──いや、良くはない。 まだまだゴールドシップと一緒に走りたい。トゥインクル・シリーズを駆け抜けたい。 それに、100年後の約束だってまだ果たせていない。 無念も未練も山程ある。 だけどもう、直感で理解してしまっている。俺はもう、助からな── 「いえ、あなたが助かる方法はまだあります」 「えっ!?」

3 22/05/26(木)20:09:14 No.931734948

「あなたが身を挺して我が友──芦毛を庇うその姿。芦毛への愛。私は共振する個性を感じました」 「いや、そこまで芦毛が好きなわけではないけど──とにかく、助かるなら何でもいい! 教えてくれ!」 「では、これを」 ひひん、と奇妙な鳴き声のようなものをあげると、空から何かが降ってきて頭にぶつかった。 危うく落としそうになって、慌てて受け止める。 「……なんだ、これ?」 それは、こけしのような円筒状のもの。 気の抜ける目と口らしきものが書いてあり、左右には──腕なのだろうか。割り箸のような棒がくっ付いている。

4 22/05/26(木)20:10:16 No.931735405

「ジャスタウェイです」 「は?」 「ジャスタウェイはジャスタウェイです。それ以上でもそれ以下でもありません」 「ああ、そう?……で、これを使うって……?」 「私と一つになるのです」 「え?」 「あなたと私の魂を吹き飛ばし、爆発のエネルギーによって私と一つになるのです。幸いにも、まだそちら側に私の器はありませんので……へっへっへ、心配することはありませんよ」 途端に風向きが怪しくなってきた。それに何だか嫌な予感もする。何だろう、生まれてきてからずっと寄り添ってきた何かを失ってしまうような── 「さあ!」 「うわっ!?」 突然興奮して後ろ足で立ち上がる謎の生き物。 俺は思わずジャスタウェイを取り落としてしまい、カチリと何かスイッチが入ったような音が聞こえて、辺り一帯が光に包まれて──

5 22/05/26(木)20:10:49 No.931735627

「──はっ!?」 「うおっ!?」 アスファルトの上で、目が覚めた。 それは意識を失う直前で見た景色と同じ、街中の風景。 目の前にはゴールドシップの唖然とした顔。そして傍には落ちてきたデカイ看板。 ……あの謎の生き物の言っていた通り、俺は生き返ったのだろうか。 「オマエ……トレーナー……だよな?」 中々に珍しい度肝を抜かれたゴールドシップの顔。無理もない、死人が蘇ったのだから。   「ああ。ごめん、心配かけて……ん?」

6 22/05/26(木)20:11:19 No.931735843

身体を起こして、ゴールドシップに声を掛けようとして、違和感に気付く。 声が高いような? それに、俺の髪は茶髪だっただろうか? それで、こんなに長かったか? 何気なく、ふと頭をかいて──耳が、無い。 「!?」 一つ気付くと、連鎖的におかしなところを見つけてしまう。 頭の上とお尻の近くで、ぴょこぴょこと何かが忙しなく動いている。 身体を見下ろせば、真っ先に目に入る胸を押し上げる二つのお山。 パニックになりながら振り向いて、腰の辺りを確認すれば──俺の動揺を表すように荒ぶる尻尾。

7 22/05/26(木)20:12:09 No.931736205

「ま、まさか……!?」 認めたくないが、確認するために近くのショーウィンドウのガラスへと駆け寄る。 そこには── 「嘘、だろ……」 白い十字のメッシュの入った、茶髪のウマ娘が、唖然とした顔で立っていた。 ゴールドシップも理解が追いついていないのだろう。ポンと、俺の肩に手を置いてただ憐れむような目線を送ってくる。 「は、はは……」 最早笑うしかなく立ち尽くす俺の耳に──ヒヒィンと、どこかかから満足げな鳴き声が聞こえた気がした。

8 22/05/26(木)20:12:26 No.931736353

そんなに芦毛が好きになったのか、ジャスタウェイ

9 22/05/26(木)20:15:09 No.931737500

>そんなに芦毛が好きになったのか、ジャスタウェイ ジャスティウム光線が必殺技かな…

10 22/05/26(木)20:17:35 No.931738430

芦毛を知るただ一人であれ

11 22/05/26(木)20:25:50 No.931741957

気付いたら芦毛を目で追ってそう

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