虹裏img歴史資料館

1 22/05/23(月)20:33:24 No.930707640

「それってジョーダンさんのトレーナーさんと？」 「そ。合コンに誘われて行くんだけどさ、なんか耳触りの良い言葉しか言わないし、話も全然面白くなくてさ。あたし別にお前ら男共の自己ケンジ欲満たすための話とかキョーミ無いっての。マジ萎え」 「でも人付き合いってそんなもんだとネイチャさん思いますけどねー。初めて会う人にいきなり変なこと訊けないでしょ。先ずは相手がどんな話に興味あるのかとか、自分に興味持ってくれるのか確認が主になるから、どうしても自分語りになりがちかなって」 「そうなんだけどさぁ～……」 「それに、ジョーダンさんのトレーナーさんは教師も出来るってもっぱら有名だったし、そもそも知識量も全然違うわけだから、比べちゃうのは相手も可哀想じゃない？ 」 「分かっちゃいるけどムリだわ」 ほんのりと顔が赤いが、まだまだ意識がハッキリとしているトーセンジョーダンの悩みは中々良い相手が見付からないこと。

2 22/05/23(月)20:33:43 No.930707781

在学中は自身のトレーナーへの淡い恋心は劣等感からひた隠し、学園を卒業して自分に見合う良いパートナーを見付けようと頑張ったが、トレーナー以上の男は居ないとすぐに気付いた彼女。理想ばかりではどうしようもならないのは分かっていたし、悲しいかな妥協が必要とは痛感していた。 しかしそう簡単に忘れられる筈もなく、いつの間にか彼女はトレーナーのような男性ばかり探すようになっていた。その結果が今の状態である。 実はナイスネイチャのスナックにあしげく通っているのも、トレセン学園関係者がよく来るここならあるいは、と仄かな期待もあったが……かれこれ通ってもう3年。1度もトレーナーとはすれ違いもしない。学園に訪問する勇気も無かった。 「はぁ～……結婚相談所とかダサいし、ゴルシに先越されたし、あたしの未来絶望的だわ……」 「はいはい」 一方で自身のトレーナーと結婚したナイスネイチャは余裕なものだ。

3 22/05/23(月)20:34:13 No.930708004

とは言え、決してマウントを取ったりしているわけでもなく、結婚生活がそれなりに大変なのも知っているし、自分も一時期似たような状態になったからか経験者としての「意外と何とかなるよ」が態度に現れているだけ。 トーセンジョーダンより年下の彼女だが、流石店主をやっているだけの貫禄はついていた。因みにゴールドシップの結婚相手も元担当トレーナーだったりする。 「だはぁ～…………ネイチャちゃんお代わり」 「ため息は幸せのなんたらですよ～。それに飲み過ぎじゃない？」 「お金はあるし」 「そうじゃなくて……」ｶﾗﾝｶﾗﾝ「お、きたきた」 「きたって？」 ナイスネイチャにつられてトーセンジョーダンも入り口を見る。男だ。 身嗜みにそんなに興味が無いのか、髪の毛は少し……いや、最低限整えてあるだけで、服装も色の組み合わせ等を考えるが面倒なのか黒いYシャツに黒いスラックス。手には黒い手提げバッグでいかにも仕事帰りの疲れた様子の社会人がそこに居た。 「トレーナー……っ」 「あら、ジョーダンじゃないか！ いやぁ、久し振りだな！ 随分大人になって……まぁ！ あ、隣良いかっ？」 「う、うん……」

4 22/05/23(月)20:34:33 No.930708155

眼鏡も最後に見た時から変わっていたが、すぐにその男がトレーナーだと気付いたトーセンジョーダン。 ずっとこの男の影を求めてきて、ずっと想ってきたのだ。多少見た目が変わっても、間違える筈がない。 さて、隣に座ったトレーナーへ何て話せば良いのか。久し振りすぎて分からなくなったトーセンジョーダンは取り敢えず今の疑問を口にした。 「なんでトレーナーがここに？」 「やー、ナイスネイチャの旦那に呼ばれてね。ここで飲もうって言われて初めて来てみたんだが……」 「あの人急用入っちゃってさー。ご迷惑おかけします」 「らしくてね。良いよ別に。こうしてジョーダンとも会えたんだし。ジョーダンとこんなお洒落なバー？ に来れるなんて嬉しいよ」 そう言ったナイスネイチャの顔にトーセンジョーダンは見覚えがあった。付き合いもそれなりの彼女だから分かった、嘘をついた時の顔。 そう。初めからナイスネイチャは彼女とトレーナーを引き合わす目的で元トレーナーの旦那に呼ぶように頼んだのだ。 そんな事は露知らず、意外にもスナックに関しての事前知識が全く無いトレーナーは取り敢えず甘いものが飲みたいとジンジャエールを頼む。

5 22/05/23(月)20:34:47 No.930708284

「しかしジョーダンがお酒をねぇ。ウマ娘の臓器機能的にアルコールに強いのは知ってたけど、こうして娘みたいな教え子が成長してお酒を飲んでるのを見るのは感慨深いな……。美味しいのかい？」 「ま、まぁね。甘くて良いカンジ。てか、カシスソーダなんて大してアルコール入ってないし」 「そうなんだ。俺はアルコールの変な感じが苦手でね」 「はい、ジンジャエール」 「ありがとう。ま、こうしてジュースばっかり飲んでるわけさ」 わざわざストローを貰ってジンジャエールを吸うトレーナー。前に担当バとトレーナーの関係だった頃にも、こうやって缶ジュースにストローを突っ込み、それで吸いながらパソコンのキーボードを叩く姿などは見ていたトーセンジョーダン。 今でも変わらない、その子供っぽい姿に何だか安心する。 「ところでネイリストはどうだ？ 上手くいってるのか？」 「ぼちぼち。でも最近はやっと自分の夢だったサロンが持てそうな気がしてきててめっちゃ頑張ってる」 「おぉ、良かった」 「アンタは？ それこそもう30手前でしょ？ 結婚とかしたの？」

6 22/05/23(月)20:35:21 No.930708517

その質問はトーセンジョーダンにとってはかなり踏み込んだものだった。もしこれで「うん」など言われればどうなるか……彼女自信も分からないが訊きたかった。 「あはは……ご覧の通り、トレーナーってのは理解があるいい相手が中々居なくてね。そりゃ、夏合宿は2ヶ月は居ないし、チームを任された今は休みもほぼ無いくらい忙しい。それにずっと高校生とはいえウマ娘と一緒なんだ。皆そういうのが嫌みたいでね」 左手をヒラヒラと見せて自嘲気味に笑うトレーナー。 「まぁ、結婚相談所にでも行くさ。そういうジョーダンはどうだ？ 今2Xだっけ？」 「ちょおい、それセクハラだから。そのデリカシー無いの他のウマ娘にやったら大変だかんね」 「ごめんごめん」 「はぁ…………あたしも良い相手が居なくて」

7 22/05/23(月)20:35:57 No.930708783

「えー？ 俺ジョーダンから結婚式の招待状届くの楽しみにしてるんだぞ？ ジョーダンは初めて俺が担当した娘だったし、君は実感無いかも知れないが多くを学ばせてもらった。だから娘みたいなもんで、ジョーダンの白無垢姿とか想像したら涙出るもん。親御さんにも「娘の結婚式はまだですか？」って連絡来るぞ。ちゃんと連絡するように。……うっ、嫌だねぇ歳を取るって……すぐ感動して泣いてしまう」 誰のせいでいつまでも良い相手が見付からないと思っている。とは流石にトーセンジョーダンも言えなかった。 トレーナーが彼女の男性観を破壊したのは意図的ではないし、トレーナーが悪いわけではない。第一、思春期の女子生徒に付きっきりでこんな完璧な大人の男性をつけるのが良くないのだ。

8 22/05/23(月)20:36:12 No.930708878

そしてふと、彼女は気付いた。自分ですらこんなに滅茶苦茶にされたのに自分の後に担当された娘達がそうなってない訳がないと。となれば、このトレーナーを求めて何もしない筈がない。 もしここでこの折角のチャンスを、ナイスネイチャがお膳立てしてくれたこのタイミングを逃すと恐らく次会うのは他のウマ娘……元担当の娘と結婚した時だろう。結婚式で初めての担当バとしてスピーチを読んだり、バウムクーヘンを貰うのはごめんだ。 そんな気持ちが彼女を突き動かした。 「へー……そんなにあたしの白無垢みたいんだ？」 「言っただろう？ だから絶対結婚式呼んでくれよ？ 涙脆いおじさんで悪いが是非ともスピーチ読ませて貰うからな！ ズゾゾー」 「……ならさ」 本当にトーセンジョーダンを娘のように思っているのだろうトレーナーに、もう我慢は出来なかった。 ストローで飲むことに夢中になっているトレーナーからストローを奪い、不思議そうな表情をしているトレーナーの顔を自分に向けたまま動かないようにして唇を奪う。

9 22/05/23(月)20:36:27 No.930708980

何となく想像していたロマンチックなシチュエーションではない、一方的に襲って無理矢理する舌を絡めたキス。 舌で感じ取るトレーナーの口内は甘いジンジャエールの味がして、唾液は飲み込む際に自分の飲んでいたアルコールの苦味が混じり変な味がした。 息継ぎも許さない濃密な口付けで互いの唾液を一方的に交換して漸く離れた頃には、トレーナーはウマ娘の肺活量に敵わずただただ荒い呼吸を繰り返すので精一杯な状態になっていた。 「アンタがあたしに白無垢着させてよ。白無垢だけじゃなくて、ウェディングドレスもさ」 酸素不足のトレーナーからは返事はないが虚ろな瞳から何かを言いたげなのはすぐには分かった。しかしもうトーセンジョーダンにはそんなもの関係無かった。 トレーナーを抱き上げてそのままカウンター席からテーブル席へ。そこの横長シートへトレーナーを押し倒すと、覆い被さるようにして再び貪る。その時のトレーナーからの抵抗など、ウマ娘たる彼女の膂力の前では児戯に等しい。 ずっと隠してきた想いを爆発させるように、自分の男性観を破壊された代わりだと言うように口の中を蹂躙する。

10 22/05/23(月)20:36:42 No.930709101

かつての、自分には勿体ないと疎遠していた姿はそこには無い。愛おしく啄み、好きを繰り返し、骨が軋むほど強く抱き締める。 ナイスネイチャが──想像の上をいくアプローチの仕方で焦りつつも──気をきかせて入り口に『CLOSE』のドアプレートを出してくれなかったら他の客に見られていたかもしれない。最早そんな事を考える余裕は彼女にはなく、あるのは肉食獣が如く衝動だけ。 「──っぷはぁっ……」 今度はトレーナーの呼吸も気にして早めに口を離す。お陰でトレーナーも相変わらず呼吸は荒いながらも先刻ほど意識が朦朧としていないようで、トーセンジョーダンの想いを文字通り体で思い知らされた真っ赤な顔で何かを言い淀んだ。 「本当に自分の事が好きなのか？」「酔った勢いと相手が見付からない焦りではないのか？」そんな所だろう。 「ムリ。今アンタの話聞いてる余裕無い」

11 22/05/23(月)20:36:57 No.930709207

だが元よりトレーナーの言葉を聞くために口を離したのではない。この僅かなインターバルはトレーナーの息を整えさせる為のもの。そして次に起こることを教える為。 「次は“殺す”気で、本気(マジ)だから。もうアンタがあたし以外の他の女にキョーミ持てるの今が最後だから、ちゃんとさよならしとくと良いし」 「──まっ」 その先は続かない。 代わりに続くのは、BGMも消えた店内に発せられる荒い息遣いと嬌声、艶かしい水音のみであった。

12 22/05/23(月)20:38:50 No.930710032

ちょっと期間空いちゃった 扁桃炎になったらめちゃくちゃ辛くて寝汗びちゃびちゃになったので 怪文書もびちゃびちゃ路線で書いてみました

13 22/05/23(月)20:40:33 No.930710812

！掛かり

14 22/05/23(月)20:48:44 No.930714344

ごゆるりと…

15 22/05/23(月)20:48:54 No.930714422

ネチャネチャしてますね… いい…

16 22/05/23(月)20:49:45 No.930714805

アンタが最後にそしてこれから永遠に見続けるセクシーはこのアタシだ

17 22/05/23(月)20:50:43 No.930715211

これを見てネイチャさんも今夜は燃え上がる…というわけだね？

18 22/05/23(月)20:52:15 No.930715862

親御さんからの電話は多分さぁ…

19 22/05/23(月)20:53:28 No.930716407

奥の部屋へどうぞ～

20 22/05/23(月)20:54:37 No.930716922

これほど怒りに満ちたディープキスが今まであっただろうか

21 22/05/23(月)20:56:08 No.930717595

>これほど怒りに満ちたディープキスが今まであっただろうか （ウチの店だと月イチくらいで見るかなぁ…）

22 22/05/23(月)21:00:21 No.930719375

つよつよジョーダンはいいぞ

23 22/05/23(月)21:03:29 No.930720698

逆レイプから始まる結婚があってもいい

24 22/05/23(月)21:03:38 No.930720757

度を超えたクソボケには愛より怒りが効く

25 22/05/23(月)21:05:31 No.930721503

クソボケトレーナーわからせ

26 22/05/23(月)21:06:24 No.930721841

ごゆるりと…

27 22/05/23(月)21:08:53 No.930722818

シップもキス失神KOからお姫様抱っこ持ち帰りしたのか 意外とトレーナーがロマンチックに仕上げたのか気になるところ

28 22/05/23(月)21:09:26 No.930723018

定期的に城を抜け出しては連れ戻される生活を送っているファイントレ

29 22/05/23(月)21:10:53 No.930723628

>シップもキス失神KOからお姫様抱っこ持ち帰りしたのか >意外とトレーナーがロマンチックに仕上げたのか気になるところ 案外「最後のひと言はそっちから来い」とか言うかもよ

30 22/05/23(月)21:18:24 No.930726664

スナックで堂々とキスしちゃだめだよ！ 実質貸し切りだから許すが…