虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 22/05/23(月)00:46:44 No.930481967

「ふむ……あまりお気に召さなかったかな？」 「あぁ、ごめん。そういう訳じゃないんだが…」 女性物の服を着るのもだいぶ慣れてきたがやはりスカートを履くことに少なからず抵抗があった。 「遠慮することは無い。今の君はとても可愛らしい容姿をしているのだからね」 「いや、まぁそうなんだけど……」 鏡の前で自分の姿を眺めてみるが、艷やかな鹿毛の髪とウマ耳と尻尾にこの服は似合っている様に思えた。

2 22/05/23(月)00:47:29 No.930482235

「せっかくだし、今日は色々と見て回ろう」 慣れないスカート姿で歩き出すと足下がスース―として落ち着かない。それでも、ルドルフが選んでくれた服なのだから文句を言うわけにはいかないだろう。 最初はぎこちなかった動きだが、少しずつコツを掴み始めてスムーズに歩けるようになってきた。 「この尻尾油はオススメだ。尻尾の艶が良くなるし、何より香りが良い」 ルドルフに勧められるままに化粧品やウマ娘用の尻尾油を購入していく。最初は化粧をすることに戸惑いもあったが、今ではお気に入りの品も出来た。

3 22/05/23(月)00:48:05 No.930482442

「どうだい？私の見立ては間違っていなかったと思うのだが？」 「あぁ……うん…そうだね」 こうして、二人並んで歩いているだけでも周りの視線が集まっているのがわかる。ウマ娘となり小さくなった歩幅にルドルフはリードするように歩いてくれていた。 そんな優しい気遣いに胸が温かくなると同時に、申し訳なさを感じてしまう。 「なぁ、ルドルフ……」 「なんだい？」 「その……俺が男じゃなくなったら迷惑かけるよね……」 「……どういう意味だろうか？」 「だって、ルドルフは頑張ってるのに、こんな風にウマ娘になった俺が側にいたら邪魔じゃないかな……って思ってさ……」 「……」 ルドルフは何も言わずに黙り込んでしまった。彼女のことだからきっと怒っているのだろう。

4 22/05/23(月)00:48:43 No.930482684

「ごめん……変なこと言っちゃって……」 「いや、いいんだよ。君の不安はもっともなものだ」 「でも……」 「確かに君の言う通り、私が頑張れば頑張るほど周りは私に期待するだろう。そして、私はそれに答えようと努力を続ける」 ルドルフは俺の手を取り、真剣な眼差しを向ける。その瞳には強い意志を感じた。 「けれど、それは私一人の力では成し遂げられない。君が隣にいてくれないとダメなんだよ。だから、そんな悲しいことを言ってはいけない」 ルドルフの言葉を聞いて、鼻の奥がツンとなる。俺はいつの間にか泣いていたようだった。

5 22/05/23(月)00:48:57 No.930482796

「ありがとう……ルドルフ……」 「礼を言われるようなことではないさ。トレーナー君、君は君のままで良い。君がどんな姿になっても私の気持ちは変わらない」 ルドルフが優しく抱きしめてくれると、安心感に包まれた。そのまま彼女の胸に顔を埋め、涙を流す。彼女は俺が落ち着くまでずっと待っていてくれた。 「落ち着いたかい？」 「うん……」 「トレーナー君よければ、これを着けてみてくれないか？」 そう言ってルドルフが取り出したのは彼女とお揃いの耳飾りだった。シンプルなデザインではあるが、しっかりとした作りになっているようだ。 「君が嫌でなければ、是非とも身に付けて欲しい」 「ありがとうルドルフ」 トレーナーがそう言うとルドルフは嬉しそうに微笑んだ。そして、俺の左耳に手を掛けると、ゆっくりと耳飾りを着けた。 「良く似合ってるよ」 ルドルフはトレーナーの耳飾りを指でなぞると、少しだけ身体が熱くなった気がした。

6 22/05/23(月)00:51:22 No.930483665

お気に入りの化粧品が出来たりスカート履くようになって少しずつ墜ちるのと独占力会長を書きたかった…

7 22/05/23(月)00:51:59 No.930483846

いい…

8 22/05/23(月)00:56:05 No.930485309

独占力…

9 22/05/23(月)00:56:08 No.930485332

ルドルフのところはこういう大人な湿度がよく似合う…