ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/05/21(土)01:01:28 No.929699217
「大人二人、お願いします」 「畏まりました！ 本日はカップルデーとなっておりまして、それだと特典と割引が」 「はい！ カップルです！」 「こ、声が大きい……！」 若干引き気味な受付のスタッフからチケットと特典らしいお揃いのウマ耳カチューシャを受け取り、大きな門をくぐり抜けると、大きな広間と遠くにこの遊園地の象徴である大きな城が見えた。 周りを見てみれば、若い子のグループや、さまざな種類のカップルや子供連れが多く行き交いしており、大きな賑わいを見せている。 「な、なんというか……やはり若い世代が多いですね。なんというか、エネルギッシュです」 「俺たちも負けてられませんね！」 彼、チームキャロッツのトレーナーの手が私の手を包み、そっとエスコートしていく。すぐに私達も周りから見れば道行くカップルたちの一つになって、アトラクションの方へと流れていった。
1 22/05/21(土)01:01:51 No.929699313
「し、しかしこんなメジャーかつ大きな遊園地で大丈夫なのでしょか、もし学園の生徒などから見られたら……」 「大丈夫！ その為のスタイルチェンジですから！」 そう言って彼はまた私を上から下まで見て満面の笑みを作る。今日私はいつものスーツなどではなく、彼の提案というかお願いよりもはや懇願で、鮮やかな色のシャツとロングスカートを履いていた。しかも髪型まで後ろにまとめてポニーテールのようにまでしている。 ゆるふわ系だか、何系だか知らないが恐らく私のイメージとはかけ離れたファッションであり、リトルココンが見れば卒倒するには違いなかった。 「これなら近くで顔でも見られない限りまさか理子さんとは気が付きませんよ！ 先入観というものがありますからね」 「だからと言ってですね……何故こういうファッションでなければいけないのですか」 「俺が見たかったからです！ あぁ……普段は綺麗な女性って感じで素敵ですが、今日の理子さんは可愛いって感じです。とても可愛い……」 「かわっ……年上の女をあまり揶揄うと後で酷い目に合いますよ」
2 22/05/21(土)01:02:07 No.929699379
本当なのにと笑う彼を見てため息を吐きながらも、来たことがない場所、やったこともないファッション、やるとは思わなかったシチュエーションに、違う自分になったような気がして少しだけ気持ちが大きくなる。 だから、そっと手を離して彼の腕に自分の腕を通す。 「り、理子さん……！？」 「先入観を利用するんでしょう？ 私がやりそうにないことをやらなければ、そうですね？」 口角を上げると、彼は少し赤くなって無言で何度も頷いた。 遊園地などは子供が楽しむものだと思っていたが、こういう日本有数の巨大テーマ―パークともなると大人向け、年齢問わずなものが多く。私のような人間でも十分に楽しめた。 高い所から墜ちるマンションや、スプラッシュするマウンテンなど年甲斐もなく声を上げてしまい、食事ではカップル割ででてきたストロー二本刺しのジュースを飲み、ロケットマウスなるネズミ系のマスコットと並んで写真までとられた。 やがて高かった日が地平線の向こうに、夜の名物であるパレードが始まる頃だった。
3 22/05/21(土)01:02:29 No.929699469
「すいません、少しはしゃぎすぎたようで……まさかベンチで寝てしまうとは……」 「大丈夫ですよ！ほんの一、二時間でしたしちょうどパレードの時間にもなりましたから」 世界観を壊さないようなファンタジックな街燈に沿って、パレードの場所まで歩いていく。たまには彼の膝を借りるのもいいかもしれない。 「おか～さ～～ん？ おか～さ～～ん！」 ふと、その途中で小さな少女が一人、泣いて母親を呼びながら歩いていた。どこからどう見ても一発で迷子だと分かるが、近くにスタッフもいないようだった。二人で顔を見合わせてそっと近づいていく。 「こんばんわ。お母さん、いなくなっちゃったの？」 彼が目線を合わせながら尋ねると、迷子の子供は頷きながら私の方を見て、 「ウマ娘ちゃん？」 といった。そういえば、ウマ耳カチューシャを付けたままであった。どうやらウマ娘が好きなようだ。安心させるためにそのままでいる。 「え、ええ、そうですよ。えっと……ウマ娘は好きですか？」 「うん……、私ねリトルココンちゃん好きなの」 「そ、そうなのですね。貴方は見込みがあります」
4 22/05/21(土)01:02:57 No.929699594
その様子が何か可笑しかったのか、噴き出してしまった彼をそっとつねって、迷子になった場所を聞かせる。どうやらパレードの場所取りの途中で迷って此処まで歩いてしまったようだ。 「では、パレードの方に居そうですね。その近くの迷子センターに向かいましょう」 「そうしましょう！ お嬢ちゃん、お母さんの所に行こうか！」 そっと彼が少女と手を繋ぐと、空いている方の手を私に向けてくる。そっと握ると小さな手から温もりが伝わってくる。 「お兄さんとお姉さんは、ふうふ？」 するといきなり、純粋な眼でそんなことを聞いてきた。思わずウマ耳がズレる。彼の方も小さく頬を赤くしていた。 「えっ！？ そ、それは……」 「お母さんとお父さんもね、おにいさんたちみたいにとっても仲良し！ だからふうふ？」 「そ、その……なんといいますか、私達は……」 「……そうだよ」 その言葉に思わず顔を向けると、彼は耳まで赤くして地面を見ていた。わあ、おにいさん顔が真っ赤と少女が笑う。私はそれが冗談だと笑うことはできなかった。
5 22/05/21(土)01:03:44 No.929699792
パレードに着くと、すぐに声をかけてきた夫婦がいてすぐにこの子の両親だと分かった。何度も何度も頭を下げられ、手を振って去っていく親子たちを見送った後も、私達は只何も話さずにその場を立ち尽くしていた。 「その、先ほどの言葉ですが……」 私が口を開くと、彼は緊張からか少し背を張って私を見返した。やっぱり耳まで赤い。 「だっ、ダメだったでしょうか……！ た、確かにいきなりでいろいろと飛ばしすぎて！ で、でもあの日言った通り俺は……」 「お、落ち着いてください。怒っても引いてもいません。ただ……びっくりしただけで」 やがて向こうから美しく光るパレードがやってきて、私達を照らした。 「その、ここでは……なんだか、勢い任せで、ムードも……ないですね」 「……私は、構いません」 自分で何を言っているのかと思う。こんな、勢いで。だが、その言葉がどうしても今聞きたくなった。 「結婚しませんか？」 彼は言った。
6 22/05/21(土)01:04:21 [s] No.929699947
年下からガンガン攻められてふにゃふにゃになる理子ちゃんの続きの続きの続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きですご査収ください
7 22/05/21(土)01:08:07 No.929700934
ありがとうございます ありがとうございます
8 22/05/21(土)01:10:49 No.929701612
進展しまくってる…！
9 22/05/21(土)01:12:06 No.929701989
このトレーナーは一気に距離を縮めてくるので気ぶり甲斐がある
10 22/05/21(土)01:19:43 No.929703897
担当くらいは式に呼ぶのだろうか…
11 22/05/21(土)01:20:05 No.929703994
どんなスケベ服着るんだと思ったらこれは…可愛い… あと最初メジロかとびびったまともな遊園地でよかった
12 22/05/21(土)01:29:54 No.929706543
抱けー！抱けー！
13 22/05/21(土)01:30:00 No.929706570
遊園地でバッティングするのかと思ったら結婚してる…
14 22/05/21(土)01:31:33 No.929706968
誰かがバームクーヘンを食べる事になるんだ…
15 22/05/21(土)01:35:47 No.929707994
赤系のシャツに黒のロングスカート…サングラスとかも似合いそう…
16 22/05/21(土)01:46:36 No.929710387
>続きの続きの続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続きの続きの続きの続きの健全な続きの続きの続き なそ にん
17 22/05/21(土)01:49:54 No.929711093
>抱けー！抱けー！ もう抱いてる！
18 22/05/21(土)01:51:06 No.929711363
即欠結婚はリスク高いぞー！もっと同棲から始めましょ
19 22/05/21(土)01:53:24 No.929711866
キャロッツの面々は普通にお祝いしてくれそう
20 22/05/21(土)01:53:33 No.929711894
いいべ…
21 22/05/21(土)01:55:33 No.929712342
甘酢っぺぇ～
22 22/05/21(土)01:56:41 No.929712551
>甘ぇ～
23 22/05/21(土)01:59:43 No.929713193
スカート姿の理子ちゃんとか絶対かわいい ポニテ理子ちゃんとか絶対かわいい
24 22/05/21(土)02:00:40 No.929713389
キャロトレすっげえ攻めるな…
25 22/05/21(土)02:02:20 No.929713762
今夜も来たか！ 相変わらず甘酸っぱい恋愛模様を書いてくれてありがたい…
26 22/05/21(土)02:03:50 No.929714019
ウワーッ！かかってる！