22/05/16(月)01:14:14 サク（... のスレッド詳細
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22/05/16(月)01:14:14 No.928071933
サク（夏）がやってきた。長い夏の中でほんのほんのごく僅かな短い短い夏がこの地にもやってきたのだ。 皆、汗だくだ。ピアパ（稗）はもう頭を垂れ、フチも私も杉元も毎日収穫に忙しい。 稗は貴重だ米に混ぜて食べると脚気にならなくなると杉元から聞いた。脚気なんて見たことないがそういう病気があるのだろう。 そんな夏のコタンにある物が届けられた。小包だ。 「アシリパさん！前欲しがってた洋服、届いたんじゃない？」 風の噂で聞いた王国の王、白石が定期的に服を送ってくる。洋装は好きだがこうも定期的に送られるとみんなから白い目で見られているんじゃないかと不安になってくる 「シャモでもアイヌでもない何か」 そういう視線を感じるのだ。当然数年に一回、政府の役人と交渉しに行く。体外出てくるのはとうの昔に北海道から手を引いた黒田清隆だ。 その話は長くなるからよそう、肝心なのはその時常に洋装で行く事だ。
1 22/05/16(月)01:15:23 No.928072214
アイヌの服では舐められる。それではいけないという意地だ。西洋かぶれも大概だと思うが向こうの流れに乗らないと交渉も始まらない。 そうして洋装を嗜んでる事が杉元経由で流れて来たわけだ。しかし今回の洋装は違った。 「―――今回は水着だぜアシリパちゃん。杉元と海水浴でもいくんだな」 と書いてある。中には厚手の一枚着が一個と帽子が一枚 「アシリパさん水着だよ水着、少女世界にも乗ってた」 「水着ってなんだ杉元？」 「泳ぐために着る服だよ」 「なんだ、脱げばいいじゃないか」 「そういう訳にはいかないんだよ西洋の人は…海水浴って言って男も女も混じって泳ぐ文化があって…胸とか見られたら恥ずかしいじゃん？」 「何が恥ずかしいんだ？」 と言うと横にいたフチに肩を叩かれ、ふりむくと黙って首を横に振っていた。 そうか、そういう事か。杉元は私を女として見始めてる―――
2 22/05/16(月)01:16:39 No.928072517
「そういう事じゃないってアシリパさん、マナー、マナー。」 「ふぅん、そういうものか」 と納得した。その後、稗を狩り終えたらひと泳ぎしにいこうと話が収まった。 フチは杉元に向かって拳を握って中指と薬指の間に親指を入れ、激しく上下していた。何かのサインだろうか？ とにかく水着を試着しみる事にした、杉元は後ろを向いている。普段と違う。 なんというか…ゴワゴワしてるというか、分厚い感じの衣装だった。シャッポーなる帽子も締め付けるられてるようで違和感がある。髪をまとめて帽子に入れるのが西洋風らしい。 「綺麗だよ…、綺麗だよアシリパさん」 杉元は感激していた。フチもニコニコしてるし。姿見はないがまぁ様になってる事はわかった。 泳ぐにはまず砂浜を探さないといけないがひと泳ぎできて溺れにくい浜というのはそうそうない。 知っているのはイシカリベツかゼニハコの浜だ、歩いて行って帰るならゼニハコが現実的だろう。
3 22/05/16(月)01:17:03 No.928072616
弁当を握って、小型のキテ（銛）とゼニハコのアイヌにお土産として干していたサキペ（鱒）を二三本吊り下げ、出かける事にした。頭はフチにまとめてもらった。 「お団子も似合うねアシリパさん」 と杉元は笑ってた、なんだか恥ずかしい。 朝にはゼニハコのコタンについた、崖の真下に砂浜があり彼らも漁はいかないので好きなだけ泳ぐといいと言ってくれた。 お言葉に甘えて泳がせていただく。 レプンカイムに祈りを済ませた後、杉元とスッポンポンになった。 「アシリパさん水着！水着！」とドシフン姿の杉元に言われたのでようやく存在を思い出す。今日は小さいチンポ先生はぶら下がってない。 ゴワゴワした水着をきて海辺を遊ぶ、少し水温が冷たいが、泳げなくはない。 杉元と一緒に水をかけあって、泳ぎ合って遊んでいる。杉元の笑顔が眩しい 「綺麗だよ、アシリパさん…」その言葉に胸が少しクゥっと感じるが、眼下に泳ぐそれに目を奪われてしまった。