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22/05/07(土)02:10:34 ある日... のスレッド詳細

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22/05/07(土)02:10:34 No.924844306

ある日のお昼時、トレセン学園の職員用駐車場に停められた乗用車の車内で昼食を摂っている一人のウマ娘 信じられないだろうが彼女は俺、厳密に言えば学園に所属する男性のトレーナーだった 約3ヵ月前の朝、ベッドから身体を起こした時点で自身の何もかもが塗り替えられたと分かったときは酷く狼狽した 関係者への連絡やウマ娘としての能力測定、役所と学園に改めて書類を提出し、いまは何とか以前と同じ生活を送れている アグネスタキオンの観察対象にされたり義務教育レベルの保健体育を身をもって学ぶことになったりもしたが… 空になった弁当箱を閉じてごちそうさまでした、と手を合わせてから午後のスケジュールを確認していると不意に助手席側の窓をノックされた 目を向けるとそこにはニッコリとした表情でこちらを覗く担当ウマ娘、マルゼンスキーがいた アチャァ…と心の中でぼやきつつドアロックを解除して彼女を車内へ招き入れる 「よくここにいるって分かったね」 「悪いとは思ったんだけど、尾行させてもらったの」

1 22/05/07(土)02:11:12 No.924844432

悪びれながらも尾行中の牛乳とあんぱんが美味しかったと語る彼女に対して怒りや不快感は湧いていない ウマ娘になった直後に困り果てて連絡した際にはこちらのすぐ駆けつけてくれて、まずはたづなさんや理事長に伝えるべきと進言してくれた その後も女性用アパレルやヘルスケア用品といった私生活に関する相談にも嫌な顔一つせずに乗ってくれたりとむしろ申し訳なく思っているくらいだ そんなことを考えながら軽口を交わしているとマルゼンスキーは本題を切り出してきた 「それで?どうしてトレーナー君はわざわざこんなところでランチしてたの?」 「……少し長くなるけど大丈夫かな」 「心配ナッシング!いくらでも付き合っちゃうわよ」 「その、最近本格化が始まって来たんだ」

2 22/05/07(土)02:11:44 No.924844525

その言葉を聞いて彼女の耳がピンと立つ 本格化とは思春期のウマ娘に起こる言わば『成長の絶頂期』である。疾患や生活習慣の影響を伴わない急激な身長体重の増加や運動能力の向上などの身体面の変化 緊張する場面で以前より余裕を感じたりナーバスな性格が若干緩和されるなど精神面の変化も起きる もちろんいきなりの心身の成長、変化に付いていけないウマ娘も少なくないためいいことづくめとは言えないが、レースをするウマ娘にとっては喜ばしいことのはずだ 「能力測定で俺が走ったときの事覚えてるかな」 「えぇ、なかなかいいタイムが出て驚き桃の木だったもの」 「あのときは走るのって気持ちがいいなとかウマ娘は走ってるとき周りがこういう風に見えてるんだなぁとか」 「新鮮な気分だったよ、けど自分はトレーナーであってレースに出るわけではないから特に思うところはなかったんだけれど」 少し話したところで心にもやが立ち籠めはじめ、ひとつ息をついてそれを口から逃がす

3 22/05/07(土)02:12:18 No.924844652

「本格化で力が有り余ってるからなのか…いや、多分精神的にも変わっていってるんだろうね」 「全力で走りたい、レースがしたいって体が疼いてしょうがないんだ」 「言い方から察するにトレーナー君は走りたくないの?」 「なんというか……一度全力でやったらもう戻れないんじゃないかって」 あぁ、言ってしまった。こんなことを言っても彼女を困らせるだけなのに 「俺はキミの現役が続く限りキミのトレーナーでありたいし、男に戻れることがあれば戻りたいさ」 「でも、ウマ娘としてレースの世界を知ってしまったら二度と男には戻れない気がしてならないんだ」 「仮にレースを志してもウマ娘として入学し直さないといけないだろうから、キミのトレーナーを続けられなくなる、それは嫌だ」 「それに……」

4 22/05/07(土)02:13:22 No.924844847

様々な感情で満たされ決壊しそうな頭から自己中心的な発言が出そうになり言葉に詰まる。流石に、この先は言えない マルゼンスキーと真剣にレースがしたい、けれど朝日杯FSで彼女と共に走ったウマ娘のようにアスリートとして壁にぶつかった時 彼女たちと同じようにその壁を越えられるのか、もしかしたらそれを越えられずウマ娘となったことを嘆いてしまうかもしれない ウマ娘という視点を得た時、初めてターフに立つ彼女から絶対的な存在感と共にそんな不安を覚えた そう考えてなお、マルゼンスキーの走る姿を見る度に彼女と競いたいと願ってしまう 最低だ、全てが方便でしかない 以前ならこんな風には考えなかったはずなのに女性になったからかひどく女々しくなっちゃったな、情けなくて彼女の顔が見られない

5 22/05/07(土)02:13:45 No.924844931

「ええと……ここでご飯を食べてる理由だったっけ…男だった時の名残を忘れないために来てる、レースの送迎か長距離の移動でもないとウマ娘は車に乗ることも少ないから」 「あと、さっき言ったことを考えてたらなんとなくキミと顔合わせづらくなっちゃって……」 「ああクソ……こんなこと言うつもりはなかったんだけど…ごめんぐっ」 謝罪しようと口を開いたところにパック牛乳に挿さったストローが突っ込まれて驚く マルゼンスキーの方に顔を向けるとムッとした表情をしていた

6 22/05/07(土)02:14:15 No.924845042

「トレーナー君、トレーナーとして復帰したときに約束したでしょ?ウマ娘としてはあたしの方がお姉さんなんだから遠慮なく頼って欲しいって」 「ふ、ふしふにむふほくしへへう……(た、確かに約束したけど……)」 「けどもへちまもないわよ、精神と肉体の性別がちぐはぐで戸惑ってるのに本格化で余計に負担がかかってるのよ?」 「そんなチョベリバな状態で全部背負いこむなんて無茶よ……」 実際精神的には大分キていると思う、少し前に男だった時の夢を見て起きぬけに泣いてしまったことがあった それほど男に戻りたいのか、夢の内容が悲しかったからなのか、泣いているうちに夢の中で男だったこと以外は失念してしまい涙の理由は分からなかったが 「そうね……流石に今の話にあたしがズバリコレ!って答えは出せないしトレーナー君が決めるしかないわね」 「でも、これは忘れないでちょうだい。これからどんな道を歩むとしても、これまで歩んできた道は変わらない」 「あたしのトレーナーはトレーナー君ただ一人なんだからってね」 「時間があるかは分からないけれどゆっくり決めましょ、あたしもついてるんだから」

7 22/05/07(土)02:15:06 No.924845237

真剣な瞳に魅入られていると昼休みの予鈴が鳴った。話し込んでいるうちに結構な時間が経っていたようだ マルゼンスキーはあらいけないと助手席を降りドアを閉める前にもう一言告げる 「あ、もし走る気になったら一緒に走りましょ?」 「もちろん!ターフの上で全力で、ね」 そう言い残し手のひらでキスを投げて彼女は校舎に走って行ってしまった 中身を飲み切った牛乳パックを脇に置いて車内の天板を仰ぐ 彼女と競う、改めてそのことを考えると心の奥でチリチリと何かに火が着いたような錯覚を覚える 男として、トレーナーとして走らないと決心しようと思っていたのに 少しだけ我儘になってもいいのだろうか――――――

8 22/05/07(土)02:15:16 No.924845279

マルゼンさんが素敵すぎて俺も牝になりそう

9 22/05/07(土)02:15:40 No.924845384

まいっちんぐ……つい言っちゃったわ…… 最近トレーニング以外の場所では露骨に避けられてるし、傍目からでも元気がないから跡をつけたら思ってた以上の話が出て来ちゃった てっきり女の子としての生き方が定着し始めてるのが不安なんじゃないか、なら3年間であたしにしてくれた以上にトレーナー君をサポートしてあげたいって考えてたのよ? でもトレーナー君から出て来た言葉はもっとあたしたち寄りのことで、ウマソウルの共鳴ってやつを感じちゃったのよねぇ だってカレが走りたいって言ったときの、ギラギラした瞳見ちゃったら走って欲しいって思っちゃったんだもの 能力測定で走ったときとは比べ物にならないくらい闘争心で溢れてた レースの中でそういうものに晒されるのはいつものことだけど、トレーナー君から感じるのは初めてかも ピチピチのマブいウマ娘ちゃんに変わっても、やっぱり中身はイケイケの男の子なんだものね あれ以上の熱をもっと近くで、芝の上で感じたらって想像しただけでドキがムネムネしてきちゃった 「うふふふっ」 無責任だけど、いつか一緒にって期待しちゃおうかしら……

10 <a href="mailto:s">22/05/07(土)02:16:52</a> [s] No.924845661

私は光の三女神 いきなりウマ娘にして牝馬堕ちさせるのは忍びないのでウマ娘として落ちてもらう

11 22/05/07(土)02:23:34 No.924846995

まだちょっと男だな…

12 22/05/07(土)02:26:00 No.924847483

本当に光の女神か…?

13 <a href="mailto:s">22/05/07(土)02:35:42</a> [s] No.924849234

その後マルゼン姉さんが会長に掛け合ってトレーナーを模擬レースに飛び入り参加させて好成績を収めて鼻高々なところでトレーナーにスカウトがポツポツと来てるのを見て「あたしのトレーナー君よ!」って嫉妬したりトレーナーが自分自身がより速くなるために自主トレーニングメニューを考えてるときに「あたしが見てあげるわよ!」とタイム計測からフォーム調整、併走まで付き添って君と競う為のトレーニングなんだけどなと思いつつちょっと嬉しくなったりする続きがあったらいいね

14 22/05/07(土)03:21:16 No.924855760

お 書

15 22/05/07(土)03:35:01 No.924857260

>続きがあったらいいね うんうんそうだね続きを書けばいいんだね!

16 22/05/07(土)03:49:06 No.924858842

でも最終的に思いの継承が出来てウマのままでなんかこう…産駒ができるんでしょ!?

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