ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/04/27(水)13:06:24 No.921327534
ぽつぽつという雨音がやがて激しさを伴うざあざあという音に変わったことを耳で感じながら、シーザリオは本の世界に没頭していた。 晴耕雨読…というわけでもないが練習がお休みの雨の日には決まって図書室で読書をするのが習慣になっている。 シーザリオは友人たち過ごす時間と同じくらい、この1人で過ごす時間も好きだった。
1 22/04/27(水)13:06:46 No.921327614
雨が小康状態になるまでは、ということで着いてきた妹も静かに本を読んでいるようで―といっても読んでいるのは漫画のようだが―普段にぎやかな彼女もすっかり物語に集中しているようだった。 古典の名作を1冊読み終わり、ふうと本を閉じる。自分と同じ名前の主人公が登場すると聞いて以前から気になってはいたがまさかこんな…なんというか、言い方は悪いかもしれないが、こってこてのラブコメのようなものとは思わなかった。 それでもなんだか少しだけ運命的な何かを感じながら顔を上げると、いつの間に来ていたのだろうか、机の向かいに座っているシンボリクリスエスと目が合った。
2 22/04/27(水)13:07:13 No.921327715
シンボリクリスエスは、あっ、と言いながら、なぜか申し訳なさそうな顔であわてて顔をそらすが、その行動が逆にシーザリオの疑問を誘ったようだ。 「クリスくん、なんでそんな慌ててるの…?」 当然の疑問を小首をかしげながら訪ねるシーザリオ。 やや顔を赤くしたシンボリクリスエスはというと、もはやここまでと言った様相でぽつりと 「真剣な横顔が……その……素敵で……」 とどうにか答えることができた。
3 22/04/27(水)13:07:33 No.921327804
ちなみにこの光景を周りにいたウマ娘視点で見ると 【マニッシュな外見が魅力のグッドルッキングなシーザリオがかわいらしく小首をかしげながら質問していてその答えがどう聞いても惚気だ…】 となるので当然の帰結としてこの机の周りだけなんだか甘い空気が漂っていた。
4 22/04/27(水)13:08:04 No.921327932
さて、素敵で、と言われたシーザリオはと言うと、数拍経ってようやっと素敵と言われたのが自分のことであると気づき、これまた顔を赤らめながら 「……す、素敵で……の、先は?」 と本で顔を隠しながら聞き返したのである。 正直に思ったことを述べて、正直に思ったことを聞き返してしまうほどには、嘘をつくとかごまかすとかそういうのが苦手な2人だった。 「す、素敵で……その……ずっと見てて……」 いよいよここでシンボリクリスエスの頭からぼふんという音とともに蒸気が吹き出してしまった。テクニカルノックアウトと言ったところである。 一方で「ずっと見てた」と言われたシーザリオもいつから!?見られてた!?変な顔してなかったよね!?と頭の中でぐるぐる回ってしまいついには頭からぼふんという音とともに蒸気が吹き出してしまった。ジャブからのノックアウトと言ったところである。
5 22/04/27(水)13:08:40 No.921328081
その様子を漫画越しに見ていた―具体的にはシンボリクリスエスがシーザリオを見つけて声を掛けようとするも、集中している様子だったので前の席に座って、図書室だというのに本も読まずずっと姉のことを眺め始めた頃から―ブエナビスタはというと、KOした2人をそのままにしておくと多分図書室に迷惑だろうなと思い、いつの間にか連絡先を交換していたファインモーションとタニノギムレットを呼ぶことにしたのであった。
6 22/04/27(水)13:09:02 [おわり] No.921328177
雨が降ったのでかきました いいよね嘘つけないふたり