22/04/17(日)23:46:01 ・前回... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
22/04/17(日)23:46:01 No.918074984
・前回の続きです あらすじ レブルとゴークリが時間差で同じ遊園地に…
1 22/04/17(日)23:46:14 No.918075055
レッドにまず連れてこられたのがジェットコースターだった。 「朝早くから並んだからそんなに待たなかったわね」 「それで他のところも見れる時間も出来るから何よりだよ」 手は繋いだまま。 何度かデートしているが、レッドからそうして来るのは珍しい。 だからブルーは新鮮な気持ちでいた。 「どうした?」 「ううん。今日はとことんレッドに任せようかなって思って」 「おう。任せとけ」 頼もしげに頷くレッド。 自信に満ちたその顔について行きたくなる。 彼に手を引かれて列を進めていった。
2 22/04/17(日)23:46:48 No.918075277
その頃、列の最後尾では。 「あー、だいぶ並んでんな」 「並ぶの遅かったみたいね」 ゴールドに連れられてジェットコースターの列に並んだが、すでに最前列が見えないほどの長蛇になっていた。 「もうちょっと早く並べばよかったぜ…」 「まぁ、気長に待ちましょう。始まったばかりで時間はいくらでもあるんだし」 「待つのかったりーなー…」 不満を口にしながらゴールドが頭を抱える。 入園した時には繋いでいた手は離れていた。 自分から繋ぎ直そうか。 そう葛藤し、手を伸ばす。 が、その手は宙を切った。 ゴールドが先に歩いてしまったからだ。
3 22/04/17(日)23:47:06 No.918075416
「どした?」 「…ううん。なんでもない」 また手を収めた。 でもまだ時間はある。 いつか手を繋ぐチャンスはあるだろう。 そう思ってクリスは後をついていった。
4 22/04/17(日)23:47:24 No.918075520
(失敗しちまったな…) ゴールドは内心そう思った。 歩き出すタイミングがまずかった。 クリスが自分と手を繋ごうとしているのは気づいている。 だからクリスから手を繋ぐのを待ってはいるのだが、 タイミングが合わなかった。 だがまだ時間はある。 いつか手を繋いでくるチャンスはあるだろう。 そう思ってゴールドは歩いていった。
5 22/04/17(日)23:48:10 No.918075786
しばらく待つと、ジェットコースターに乗る番になった。 コースターに乗って最上段に達するのを待つ。 「怖いか?」 「どうかな?アタシは今のところワクワクしてるけど」 帽子を脱いだブルーと軽く会話する。 同じく自分も帽子は今は被っていない。 帽子は飛んで行くかもしれないのでバッグ共々預かってもらっていた。 頂点が近くなっていくと、地面から遠ざかっていくのが視界からわかる。 「結構高いわね…。アタシここまで高いところあんまり飛んだことないかも」 「オレは結構飛んだことあるかもな。 プテにつかまってだけど」
6 22/04/17(日)23:48:36 No.918075959
そうは言ったが、さらに高くなっていくと自信が無くなっていく。 もう並んでいる人の姿すら豆粒よりも小さく見える。 誰が誰かなんて初対面であることを差し引いても判別がつかなかった。 「怖い?」 「正直怖くなってきたなぁ…」 本音を言うと、ブルーが重ねたままの手を握ってきた。 「大丈夫よ。アタシも怖いから安心して」 「あんまり安心できないけど、ブルーも怖がって親近感でたよ」 握り返そうとしたら、そこで降下が始まった。 「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」 「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」 油断したタイミングでの降下だったので、覚悟する暇もなくレッドはブルー共々絶叫した。
7 22/04/17(日)23:48:54 No.918076062
「こ、ここのジェットコースターあんなに怖いの!?」 「あー、盛大に絶叫してんなぁ」 男女の悲鳴を聞きながらクリスはゴールドとジェットコースターを眺めた。 「クリスは絶叫系苦手だったりするのか?」 「だ、大丈夫だと思う。多分」 「それすでに大丈夫じゃねー奴の返事だと思うぜ」 「そう言うゴールドはどうなの!?」 内心を言い当てられた焦りから言うが、 「あん?オレ様はそんなの平気に決まってんじゃねーか! あんな程度にビビってたまるかよ!」 ガハハと豪快に笑ってきた。 本当だろうかと疑わしい気持ちになりながらも列を進めていった。
8 22/04/17(日)23:49:35 No.918076336
「怖かった…」 「アタシも。つい叫んじゃったわ」 ふらつきながらコースター乗り場から離れていく。 ある程度まで離れてからようやく帽子を被り直すのを忘れていたことに気づいた。 慌てて被り直すとブルーも同じように帽子姿に戻った。 「今度修行であれくらいのスピードで飛んでみようかな。 実戦でそれが必要になるかもしれないし」 「それって実際に飛ぶプテちゃんが辛いんじゃない?」 同意したかのようにプテの入ったボールが揺れた。
9 22/04/17(日)23:49:55 No.918076462
「たはは、そうだな。それにしても情け無いとこ見せちゃったな」 「別にそんなことで今更失望したりしないわ。 むしろそういうところもアタシはレッドらしくて好きよ?」 「そう言われたらなんか照れちゃうな」 手を繋いでいない方の手で頭をかく。 ブルーも空いた方の手で突いてくる。 照れ臭いがそれも心地いい。 「で、次はどこに行く?」 「巨大迷路とかどうだ?乗り物はちょっと休憩してさ」 「いいわね。アタシ、レッドに着いていくから道案内お願いね?」 「そこもオレ任せなんだな…」
10 22/04/17(日)23:50:14 No.918076595
「してくれないの?」 こちらを上目遣いで見て聞いてくる。 「…やります」 「ありがと♡」 昔からブルーのこういう仕草に弱い。 それはわかってはいるが、こう迫られるのも悪くないとも思ってしまっている。 とりあえず彼女の手を引いて巨大迷路へと向かった。
11 22/04/17(日)23:51:30 No.918077060
コースターに乗って頂点に向かい続けていくと、次第にゴールドの内心に不安が顔を覗かせてきた。 「…これ、高くね?」 「そう?うちのヘリでこれくらいならよく飛ぶけど」 「自家用ヘリが基準かよ」 こんなことならトゲたろうに乗っておくべきだった。 そう後悔してると降下が始まった。 「きゃあああ!」 隣で楽しげなクリスの声が聞こえる。 悲鳴を上げないように耐えながらコースターの動きに身を任せた。
12 22/04/17(日)23:51:59 No.918077267
「あれ?こっち前に通らなかったっけ?」 「そう?どこも似たようなところだけど」 案の定、レッドは迷路の中で迷った。 「ブルーが本気出したら迷路とかすぐに出ちゃいそうだけどな」 「そんなのつまんないじゃない。こういうのは迷ったりしながらの方が楽しいわよ」 「確かにそうかもな。バトルだって圧勝よりは接戦の方が楽しいしな」 「もう、すぐそうやってバトルの話する」 すぐに思いついた例えを出したらブルーに呆れられた。
13 22/04/17(日)23:53:16 No.918077781
「乗る前は不安だったけど、楽しかったわね!」 「そうだな…」 ふらつきながらもゴールドは答える。 自分と対照的にクリスはピンピンしていた。 予想よりはるかに怖かった。 だけどクリスが平気にしてるのに自分が情け無いところを見せるわけにはいかない。 「ま、やっぱあんなくらいじゃオレ様は怖くもなんともなかったな! もっとスピードあっても良かったぜ!」 「なんか無理してない?」 「んなわけあるかよ!じゃ、次は巨大迷路とか行ってみっか!」 「まぁいいけど…」 強引に話を変えながらクリスの手を引いて巨大迷路へと向かう。 途中でまた自分の方から繋いでしまったと気づくが今回はこのまま行くことにした。
14 22/04/17(日)23:54:02 No.918078083
「ようやく出れた…」 「時間ギリギリね。でも出れてよかったわ」 レッドに連れられてブルーは迷路から脱出した。 「案外楽しかったわ。試行錯誤しながら出口探すのも悪くないわね」 「次はウォータースライダーとか行くか?」 「男の子って乗り物系アトラクション好きよね。 でもいいわ。レッドに任せるから」 レッドについていく。 と、誰かとすれ違った。
15 22/04/17(日)23:54:34 No.918078304
「え?」 「どうした?」 「今、すれ違った人って顔見知りだった気が…」 確認しようにもその人たちはすでに迷路の中に入っていた。 「気のせいかな?」 「カントーだし知り合いはいるだろうし、そういう人とすれ違ってもおかしくないかもな」 そうね、と同意しつつ迷路を後にした。
16 22/04/17(日)23:55:15 No.918078600
「これ、どっちに行くんだろ?」 「んなの迷うこたねーよ。適当に行っときゃそのうち出口に着くだろうよ」 迷路の中の分岐点で、すぐに歩き出すゴールドに驚く。 慌ててその手を掴んで止める。 「ちょ、ちょっと!そんな適当でいいの!?」 「どうせ最初のうちに悩んでも仕方ねーって。 考えるならもうちょい色々行ってからだろ」 「そうかもしれないけど…」 そこでクリスは気づいた。 自分から手を繋いでいることを。 「いいから行くぜ。こんなとこで立ち止まっててもどーにもなんねーしな」 「あ、う、うん」 目的が達成できた。 思わずとはいえその喜びに戸惑いつつも彼についていった。
17 22/04/17(日)23:55:28 No.918078699
うまくいった、とゴールドは思った。 自分がこう言えばクリスは止めようとして手を掴むだろうと予想していた。 裾を掴む止まりなのも予想はしていたが、ここまでいってくれてよかった。 さて、次はどうやって迷路を出るか。 歩きながらゴールドは頭を働かせた。
18 22/04/17(日)23:55:43 No.918078798
「ちょっと濡れちゃったわね」 「乾くまでの間、そのあたりで休憩するかな」 「そうね。そろそろお腹も空いてきたし」 言いながらレッドはフードコートはないかと地図のある方向に向かった。 途中、誰かが後ろを通った気配がしたがよくある事だと気にしないでおいた。
19 22/04/17(日)23:56:27 No.918079107
「ホントに出れた…」 「ま、オレ様は最初っからこのルートでなら出れるってわかってたからな!」 割と適当に進んでいたら案外スムーズに出れた。 クリスが嘘つけと言いたげな視線を送ってくるが無視する。 「しっかしそろそろ腹減ってきたな。メシでも買い食いすっか!」 「ま、待ってよ」 クリスを引っ張ってその場を後にした。 途中誰かとすれ違った気がするが気にしないことにした。
20 22/04/17(日)23:56:46 No.918079205
そうしてさまざまなアトラクションをブルーと巡った。 メリーゴーランド、コーヒーカップ、お化け屋敷。 一回転する海賊船にも乗った。 そうして日も暮れそうになり、 「あと一回くらいならアトラクション行けるかな?」 「じゃ、観覧車行くか。まだそれは乗ってなかったと思うし」 「なら急ぎましょう。多分おんなじこと考えてる人結構いるわ」 そうだな、と頷きブルーの手を引いて早足で向かった。
21 22/04/17(日)23:57:07 No.918079337
そうしてさまざまなアトラクションをクリスと巡った。 メリーゴーランド、コーヒーカップ、お化け屋敷。 一回転する海賊船にも乗った。 そうして日も暮れそうになり、 「あと一回くらいならアトラクション行けるんじゃね?」 「じゃ、じゃあ、観覧車行かない?」 珍しくクリスの方から提案が出た。 「いーけどよ。まさかお堅い学級委員から言ってくるとはな」 「いいでしょ!私だって行きたくなるところくらいあるわよ…」 「わーったわーった。ま、クリスの言うことも聞いてみっかねー」 今度は並び立って歩いていった。 特に意味はない。 ただそうしたいと思っただけだ。
22 22/04/17(日)23:57:25 No.918079446
「こういうデートの定番よね。 観覧車に乗るの」 「そうかもな」 2人で観覧車に乗って、部屋の揺れに身を任せる。 と、ブルーが身を寄せてくる。 「ありがとう。今日は色々とリードしてくれて」 抱きしめようと腕を広げてきた。 だが、レッドは手で制する。 「待ってくれ、ブルー」 「レッド?」 「最後まで、オレにリードさせてほしい」 「…うん」 自分からブルーを抱きしめる。 抱きしめられるのはよくあるが、こちらからそうするのはあまりない。 だから、力の入れ具合や体勢の違いに妙な恥ずかしさを感じた。
23 22/04/17(日)23:57:40 No.918079565
「すごい頼もしかった。今日のレッド」 「オレ、リードできたかな?」 「うん。頑張ってた」 彼女にそう言われて安堵した。 やってよかった、とレッドは嬉しく思う。 「レッド」 「うん?」 至近距離からブルーの声が聞こえる。 「こういう時、男が女にすることってなに?」 「…こうかな」 そうしてブルーと唇を重ねた。
24 22/04/17(日)23:57:57 No.918079656
「だー、ようやくかよ…」 「もうちょっと早く並べばよかったわね」 それなりに並び、ようやく自分たちが観覧車に乗る版が回ってきた。 「ごめんね、ゴールド?」 「あん?」 「私が観覧車に乗りたいって言ったから、こんなに待つことになって…」 申し訳なさに身を縮める。 と、ゴールドに乱暴に頭を撫でられた。 「ちょっと何するのよ!髪型崩れちゃうじゃない!」 蹴り飛ばして髪型を直す。 「いって!何しやがる!」 「それはこっちのセリフよ!」 起き上がりながら抗議してくるゴールドに言い返した。
25 22/04/17(日)23:58:29 No.918079830
「別にそんなかっちりする必要もねーと思うぜ。髪型も、デートもよ」 「え?」 「ちょっとくらい乱れたっていいじゃねーか。 失敗とかしながら色々と次にどーすりゃあいいかって学んでいくもんだろ。 もし失敗してもよくあるこった、気にすんなでいーんだよ」 ゴールドの話。 それに少し共感する。 思えば自分は上手くやろうと抱え込みすぎたかもしれない。 逆にゴールドは失敗してもいいと言ってくれた。 クリスはその言葉に肩の荷が降りた気がした。
26 22/04/17(日)23:58:44 No.918079932
「でもそういうならゴールドも強がらなくてもいいのに」 「オレ様はいーんだよ。男が女の前でカッコつけなきゃどーすんだっての」 そうやって意地を張る姿が少し微笑ましく思えた。 「っと、次の奴が降りたら交代だぜ」 「うん」 ドアが開いて、中が見えた。 そこには、キスをしているレッドとブルーの姿があった。
27 22/04/17(日)23:58:58 No.918080032
「……え?」 「……あ」 気まずい、空気が流れた。
28 22/04/17(日)23:59:15 No.918080138
「いや百歩譲ってたまたま同じ遊園地でデートするのはいいんですけどね! あんなとこでチュッチュしないでくださいよ! あれ見たオレたちどーしたらいーかわかんねーっスよ!」 「ああ、なんだかよく誰かとすれ違うなって思ってたらゴールドたちだったのか…」 ゴールドたちが観覧車に乗った後、4人は合流してファミレスで話し合っていた。 「アタシはレッドにリードされてデート満喫できたけどね。クリスは?」 「…ちょっとは」 恥ずかしげにクリスが答える。 「なら両方とも成功じゃない。最後の方に失敗したけど」
29 22/04/17(日)23:59:32 No.918080239
「あーもーこうなりゃやけ食いしてやらぁっ! レッドさんゴチになります!」 「え!?オレ?」 「あ、アタシもよろしくー♪」 「ブルーまで…」 ゴールドだけでなくブルーまで便乗したことにレッドは肩を落とす。 だがすぐに顔を上げて、 「よしわかった!クリスもいいぞ!」 「え!?大丈夫ですかレッド先輩?」 「いいのいいの。こういう時は素直に奢られるのも後輩の役目よ?」 「は、はい」 そうして4人の祝勝会か反省会かよくわからない集まりが始まった。
30 22/04/17(日)23:59:45 No.918080311
以上です 閲覧ありがとうございました
31 22/04/18(月)00:01:09 No.918080820
お疲れ様です レブルの熟練夫婦感とゴークリの初々しさのみで構成された要素が噛み合って凄くいい…
32 22/04/18(月)00:09:54 No.918083839
今回のはレブルとゴークリのすれ違いダブルデートを書いてみました 前回は導入で悩んでそこで終わりましたがそれさえ越えれば後は両カップルにイチャイチャしてもらうだけなので格段に書きやすくなりました
33 22/04/18(月)00:16:08 No.918085968
ゴールドはどんな時でも人前では強がるんだろうなという個人的解釈
34 22/04/18(月)00:17:52 No.918086594
>ゴールドはどんな時でも人前では強がるんだろうなという個人的解釈 悪ガキというか不良ぶってるだけのようなメンタルだしな…