虹裏img歴史資料館

1 22/04/16(土)01:14:59 No.917318674

『オォ……ォ……ォ……』 何事かを呻いているのが遂に耳に入り途端彼女の背中を戦慄が走る このままでは不味い、と既にダイワスカーレットはスタートを切っていた 脚質的には逃げも可能である。背を向けたくは無かったが、踵を返し、走る 『オオオォォ……ァァァ…ァ……！』 声が間近に迫る。成程、視界に入っていない分スピードが上がるという訳だ 「差しウマに追いつかれちゃうとね、魂を取られちゃうんだって！」 そんなテイオーの言葉を思い出したスカーレットの額に汗が浮かぶ そして気配は彼女の背後、１バ身程にまで既に迫って来ていた 「良し。ここっ！」 め　り 『オォ…オ"ゴォッ　！？』 生白いウマ娘の姿をした差しウマの顔面をスカーレットの拳が捕らえた ウマソウルでコーティングされた音速のボーリング球の様な一撃に 怪異は幾度もターフをバウンドし、芝と地面を破壊しながら転がって止まる

2 22/04/16(土)01:15:47 No.917318904

『オゴゴゴゴッ！？　ガ…ァッ　！？　エッ…！？　エェッ！？』 「タイミングばっちりね。やっぱ数学の勉強って大事」 痛む頬を抑え混乱する怪異へとダイワスカーレットが歩み寄っていく そう。彼女は幾度か怪異が視界から消える度に接近した距離を計算し 自らに接近するまでの時間から カウンターを決めるタイミングを計っていたのだ 「んー…近づいたけどなんかはっきりしないわね。まあいいや 殴れるんなら問題無いわよね。これ痛いけど我慢しなさい」 『イーッ！？』 はぁ、とウマソウルが纏わりついた拳を 普段自らがトレーナーにされるようにはぁ、と息を吹きかけ ゴ　ン　ッ 『ン"イ"ッ"！』 差しウマの脳天を全力の拳骨が襲い、怪異はそのままターフに沈んだ

3 <a href="mailto:オワリ">22/04/16(土)01:16:02</a> [オワリ] No.917318968

「―と、まあそんな事があったのよ」 「へーえ。深夜の差しウマって本当にいたんだな」 翌日、ソファで寛ぎながら昨夜の話を スカーレットがトレーナーに言って聞かせていた 「けど悪い事したかしら。これで学園の七不思議も六不思議になっちゃったわ」 「ああ、それは大丈夫だぞ」 「え？」 「学園の七不思議の一。学園内の怪異は自然と補充される」 ――きっともう、どこかで新たな怪異の噂が増えてるはずさ 前からあったようにな そんな作業しながらのトレーナーの呟きを聞き そしてなんとなく 深く追求しない方が良い、と感じた彼女はそのままソファに寝そべった

4 22/04/16(土)01:21:31 No.917320345

ウマソウルってなんだろう

5 22/04/16(土)01:24:09 No.917321060

好きな終わり方だわ…

6 22/04/16(土)01:25:33 No.917321427

怪異を物理で解決するな

7 22/04/16(土)01:26:12 No.917321565

怪現象なんて一生に一度も会わない方がいいぞ あれはマジでヤバいから人智を越えたなんてもんじゃない

8 22/04/16(土)01:27:29 No.917321851

>怪現象なんて一生に一度も会わない方がいいぞ >あれはマジでヤバいから人智を越えたなんてもんじゃない カフェトレのレス

9 22/04/16(土)01:28:06 No.917321963

ククク…深夜の差しウマがやられたか だが所詮奴は我等七不思議の中でも最弱

10 22/04/16(土)01:30:43 No.917322538

>カフェトレのレス だってさ夜道を歩いてたら急に視界が真っ青になって体が動かなくなったんだぜ？ しかもそれがなぜか『当たり前だ』なんて思っちゃっててなんの疑問も感じなかったんだよ ああいうのを思考が止まるって言うんだろうな 視界が戻ったらもう全身から冷や汗出てきて家までダッシュよ 幸いもう1～2mくらいだったから助かったけど下手したらもっと長い距離を走ったり逃げ場のないエレベーターに乗らないといけないと思うと…怖いぞ？

11 22/04/16(土)01:31:07 No.917322610

打撃が通るのは怪異としては3流だな…

12 22/04/16(土)01:32:45 No.917322953

春先のトレセン学園のグラウンド 静かなそこをターフを切る音と吐息を響かせながら一人の少女が駆けていた サイレンススズカ。逃げウマである 深夜不意に外を走り回りたくなる事は彼女にもある ルームメイトは幸い熟睡中。ターフには他に人気も無い 静寂の中自らの風を切る感触のみの存在する、そんな世界 そのままどこまでも駆けていけるような感覚を彼女は好きだった そんな彼女の背後、遥か遠方にいつしかウマ娘の姿があった いや、ウマ娘にしては生白く、そして不鮮明な形状をしていた 『オォ…　オォ　ォ…ォォォ』 それは学園内で「深夜の差しウマ」と呼ばれる何かだった 一人深夜のグラウンドでトレーニングしているといつの間にか表れ そして目を離すと接近し、追いすがると対象の魂を奪う… そんな怪異がスズカの後を追い、駆けていく

13 22/04/16(土)01:33:00 No.917323002

『オオオオォ……　オォォ　オォォォォ……』 普通のウマ娘であればその異様な気配に気づき そして慄いた事であろう。だが差しウマの前にいるのは異次元の逃亡者だった 大逃げと呼ばれる彼女のスタイルに対し怪異は差しである 加速をかけるのだが上機嫌のスズカとの距離は縮まらない ―１５分程が経っただろうか 『オオォォォ…　オォ　ゲホッ　ヴェホッ…　ハァーッ！　ハァーッ！』 遂に差しウマの足が止まった スタミナ不足である。そしてスズカはそのままの足で寮へと消えていった 『フヒィーッ！　ヒィーッ！　フゥーッ！』 鍛えよう 街灯の下、もたれかかりながら息を整えつつ怪異はそう反省した

14 22/04/16(土)01:33:24 No.917323083

嘘でしょ...

15 22/04/16(土)01:35:00 No.917323418

鍛えれるのか…幽霊が…

16 22/04/16(土)01:38:40 No.917324124

スズカを相手に15分も喰らいつけるのか…

17 22/04/16(土)01:39:50 No.917324382

深夜の負けウマじゃん…

18 22/04/16(土)01:43:15 No.917325087

>『オゴゴゴゴッ！？　ガ…ァッ　！？　エッ…！？　エェッ！？』 そりゃ驚くよなあ…

19 22/04/16(土)01:43:43 No.917325186

足鍛えた結果拳で負けたのか… ダスカに追いつく寸前とか鍛えた成果出てる!とかテンション上がってたんだろうな…

20 22/04/16(土)01:45:10 No.917325552

まあカワカミさん相手じゃなくてよかったねとしか…

21 22/04/16(土)01:45:21 No.917325596

やっぱりSさんは凄い、改めてそう思った

22 22/04/16(土)01:47:36 No.917326082

ねえこれただ競争したいだけのおばけじゃ…

23 22/04/16(土)01:47:48 No.917326125

>まあカワカミさん相手じゃなくてよかったねとしか… スカーレットだから良かったけどカワカミは勿論ブライアンとかでも大惨事になってたな…

24 22/04/16(土)01:48:35 No.917326313

ダスカスズカさんだから良かったけどゴルシ相手だったら延々と追いかけられるのか…