22/04/15(金)23:49:14 トレセ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1650034154806.jpg 22/04/15(金)23:49:14 No.917290474
トレセン学園にはいわゆる"モテる"ウマ娘が何人かいる。皇帝シンボリルドルフ、芦毛の怪物オグリキャップ、常識破りの女帝ウオッカなどなど…彼女たちには年相応の少女らしい可愛らしさももちろんあるが、それでも凛々しさやかっこよさが魅力として認識されている。トレセン学園という女性社会の中で思春期を過ごす生徒たちにとって、そういった面々にお熱を上げるのは大して不思議なことではなかった。 本人やトレーナーは知らないが、タマモクロスも密かに熱視線を浴びる側のウマ娘の1人だった。 「見て見て…タマ先輩が練習してる…!」 「えっどこ!?本当だ!いつ見てもかぁっこいいよねぇ…」 「横にいるウマ娘はたしかトレーナーさんなんだっけ?なんかウマ娘になっちゃったって噂の」 「あー、らしいね。タマ先輩といつも一緒にいられるとか羨ましすぎる~!」 タマモクロスはとても愛嬌のあるウマ娘だが同時に鋭利な刃物のような雰囲気を見せることもある。そのギャップにやられる生徒達はとても多いという。
1 22/04/15(金)23:49:42 No.917290648
「お疲れタマモ、今日はこれぐらいにしようか。」 「おう、いやぁ今日もくたびれたで~。トレーナーこの後用事あるか?無かったら腹減ったし学食行こうや。」 「いいよ、じゃあカフェテリア前に集合しようか。」 各々着替えなどの支度をするために1度別れる。 こうしてトレーニング後にカフェテリアへ行くウマ娘が大多数であり、この時間帯はたくさんのウマ娘や職員が一堂に会する。そのため、位置取りや運次第で『 憧れのあの人 』の間近に座れるという状態が発生し、一部では熾烈なレースが繰り広げられているという…。 財布などの最低限のものだけ持ちトレーナーがカフェテリアへと赴くと、タマモクロスは一足先に到着していた。どうやら他の生徒達と談笑しているようだった。 「タマ先輩!前のレース見てました!もう最っ高にかっこよかったです!」 「おぉ~ありがとうな!いやぁ褒められるん気持ちええわ~!なはは!」
2 22/04/15(金)23:50:06 No.917290815
「今日の練習も見ました!最終直線の追い上げとかマジで良かったっす!」 「なんやアレ見とったんかいな!声かけてぇな~併走とか一緒にやったのに。」 「いやいやいや!恐れ多いですよ!」 タマモクロスは圧倒的な実力者であるがふんぞり返るようなことはせず、むしろ自分から後輩達に話しかけにいくことも多い。そういった人懐っこさも『 ファン 』からしてみればたまらない。どんどんドツボにはまっていくのだ。 「別に恐れ多いこたないやろ~、せっかくトレセンにおるんやからもっと先輩らに勝負を挑んでやなぁ───っと、トレーナー!」 「お待たせタマモ。邪魔しちゃったかな?」 「いやいや、別に大した話してへんから大丈夫や。さ、はよ食べよや!お腹ペコペコやで~。ほな、アンタらもまたな!」 「あ…はい!お疲れ様でしたぁ!」 実際ただの世間話でそうなのだが、大した話ではないとポッと出の鹿毛を優先されてしまった後輩達の心境や如何に。 (う…すごい視線を感じる…やっぱり邪魔しちゃったんじゃないか…?)
3 22/04/15(金)23:50:27 No.917290959
「どないしたんトレーナー?はよせなもっと混むで?」 「あ、うん。行こうか。」 カフェテリアの中へ入ると、まだピークでないとはいえ既に列が出来ていた。 「まぁこの時間帯混むのはしゃあないわな。今はトレーナーおるから暇潰しには困らんけど。」 「こういう時に複数人だといいよね。」 「せやなぁ。あ、複数人で思い出したんやけどこの前オグリ達と──」 取り留めもない話を2人で楽しみながら少しずつ列が前進するのを待つ。その間も何人かはどんな話をするのだろうと会話に耳をそば立てているが、楽しくお話している2人はそんなことには気付かないし気にもしない。こうして徐々に前へと進んでいく。 「おぉー、もうこんなとこまで来たんか。まぁアンタと一緒やったらいくらでも待てるけどな。」 「はは、俺もタマモといると楽しいからいくらでも──」 その時何人かがチラチラとこちらを見ていることにトレーナーは気付いた。それも何だか嫉妬を孕んだような突き刺さる視線に。
4 22/04/15(金)23:50:49 No.917291095
(な…何だ…?そんな見られるようなこと言ったか…?) 「どないしたんやトレーナー?」 「あ…いや、何でもないよ。もうすぐだね。」 「せやなぁ。今日は何食おかな…うわアレめっちゃ美味そうやない?ええなぁ。でもアレも──」 トレーナーもその視線の本質にはまだ気付いていないが、タマモクロスはもう全く気付いていない。他人の機微には聡くとも、自分への感情にはてんで鈍いのがタマモクロスというウマ娘だった。それは、自分を切り捨ててでも家族のためという生き方をしてきたが故に育まれた性質だったのかもしれない。 トレーナーが若干の居心地の悪さを感じつつも、2人はついに注文までもうすぐの所までやってきた。 「何食うか決めたか?」 「カツカレーにしようかな。」 「おぉー、ええやん。それも美味そうやな。」 適当に会話をしながら待っていると、1つ前に並んでいる生徒がなかなか前へ進まない。
5 22/04/15(金)23:51:13 No.917291252
(どうしたんだろう?まだ悩んでるのかな?) 「…なるほどな。お嬢ちゃん新入生やな?学食の使い方分からんのやろ?」 「!…は、はい…!すみません、お先にどうぞ…!」 「はは、そんな焦らんでもええ。大丈夫や、安心しぃ。ウチが教えたるわ。」 タマモクロスは他人が、特に年下の子が不安になっているとすぐに察知できた。自分たちの注文で例を示しつつ、相手が萎縮しないよう、柔らかく丁寧に教えていく。 「ほら、これで注文できた。組み合わせとかも色々あるけどそない難しないやろ?」 「はい!ありがとうございますタマモクロス先輩!」 「お?なんやウチのこと知ってんの?」 「もちろんです!どのレースもすごい迫力で…だからこんなに優しい人だなんてちょっとびっくりしました…!」 「タマモのレースは攻撃的でド迫力だもんね…。」 「いやいや!誰も怪我させたことなんか無いし聖人みたいなもんやろウチは!聖タマモンティヌスとまで呼ばれた女やぞ!」 「聞いた事無いよそんなの…。それに攻撃的ってのはレース展開の話で──」
6 22/04/15(金)23:51:44 No.917291436
「ふふ、タマモクロス先輩に対する印象が随分変わりました…もっと好きになっちゃいました!」 「いやぁ~嬉しいこと言うてくれるわぁ~。フレッシュな別嬪さんにそう言われたら悪い気はせえへんな!」 「べ、べっぴ…ん…!えへへ、そんな…」 その時トレーナーは再び視線がこちら側に集中するのを感じた。だが、どうやら今回は新入生の子に向けられているようだった。 (あれ…もしかしてこれって…?憧れの対象になるようなウマ娘には『 熱烈なファン 』がつくものだって同僚が言ってたけど…タマモって…モテる?) そんなことを考えているうちに先に新入生の注文したものが出された。 「あの、本当にありがとうございました!また…お話できますか…?」 「もちろんや!何か困ったことあったらいつでも言うておいでや。まぁべつに何も無くてもええけど。また話そうや。」 「…!はい!ありがとうございます!それでは、お先に失礼します!ありがとうございました!」
7 22/04/15(金)23:52:10 No.917291593
新入生はお盆を持って嬉しそうに去って行った。心なしか頬が赤かったような気がしなくもない。 「礼儀正しゅうて元気な子やったなぁ~、しかもめっちゃ可愛ええし。」 (あ…なんか今ならこっち見てた子たちの気持ちが分かる気がする…!) 「…なんやその顔は。え、どういう感情?」 「いや…何でもないよ。とにかく食べようか。席はあの辺でいい?」 「トレーナーと一緒やったらどこでもええで。」 (あぁ~…!これだ!1回モテるって認識したらなんか色々見えてくるぞ…!) 「…なかなかキザだね。」 「はぁ?別にそんなんやないて。普通に本心や。」 (本心の方がタチが悪いよタマモ!なんでサラッとそんなこと言えるんだ…!?) 「いやしかしホンマいつ見ても美味そうな飯やな…はよ食おうや。」 トレーナーは悶々としながら席につく。対するタマモクロスは普段と変わらない。
8 22/04/15(金)23:52:39 No.917291759
「ほな、手を合わせて──」 「「いただきます!」」 体感は短かったがそれなりの時間並んでいたためかなりの空腹であり、パクパクと食べる手が止まらない。トレセン学園の食事はとても美味しいのだ。 (うーん、やっぱり美味しい!たくさん食べられるのはウマ娘になって良かった点の1つだな!) 対するタマモクロスはトレーナーを眺めるだけであまり箸が進んでいない。彼女こそ空腹のはずなのだが。 「…?どうしたのタマモ?食べないの?」 「…アンタ可愛ええな。」 「は!?」 「いや変な意味ちゃうで!?なんか美味そうに頬張ってるんがハムスターみたいやな思てな?」 (また視線を感じる…普通にしててこれって、もしかして色んな子に似たようなことしてるんじゃないのか…?)
9 22/04/15(金)23:53:00 No.917291899
「…他の子にも同じようなこと言ってるんでしょ?」 「いや、アンタだけやで。」 まるでレース前のような真剣な顔でそう言ってくる。 「だっていつも一緒に食うてるオグリはハムスターとかそんなレベルちゃうしイナリは──」 (お…俺だけ…!?しかもそんな顔で言うのか!?ちょっとズルくないか!?) 『 アンタだけ 』の理由の説明なんてもはやトレーナーには届いていない。タマモクロスがモテると分かってしまったばかりに今まで気にもとめなかったことに気付いてしまう。周囲の刺すような視線とシラフで吐かれるドキッとする言葉に慣れるまでは、胃と心臓が落ち着くことはないだろう。
10 <a href="mailto:s">22/04/15(金)23:53:45</a> [s] No.917292173
おしまい 自覚は無いけどトレーナーはタマちゃんにぞっこんだからキザなセリフでコロッといくよ
11 22/04/15(金)23:55:17 No.917292764
メスになってる…
12 22/04/15(金)23:56:52 No.917293316
─牝
13 22/04/15(金)23:58:41 No.917293933
タマにメスにされてる....
14 22/04/16(土)00:09:06 No.917297605
ヒトオスだったら互いに頼れるパートナーぐらいにしか見られないんだろうけど トレーナーなのに嫉妬したりされたりとナチュラルにウマ娘側に組み込まれちゃってるのいいよね
15 22/04/16(土)00:12:11 No.917298687
寝るときに言われた言葉をずっと頭の中で反芻しちゃって寝不足気味になっちゃうやつ
16 <a href="mailto:s">22/04/16(土)00:19:19</a> [s] No.917301323
>寝るときに言われた言葉をずっと頭の中で反芻しちゃって寝不足気味になっちゃうやつ いいねそれ 寝たとしてもたぶん無自覚の願望が夢として現れてジュテームしてくるよ
17 22/04/16(土)00:25:22 No.917303634
体とソウルが求めちゃってるんだ…
18 22/04/16(土)00:27:12 No.917304318
> 寝たとしてもたぶん無自覚の願望が夢として現れてジュテームしてくるよ 次の日はまともにタマモと話せないんだろうな…
19 22/04/16(土)00:48:03 No.917311038
ウマムスマーdel