虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    22/04/13(水)01:00:48 No.916337932

    「んー? そうね、私は──トレちゃんにとっての、初めてのオンナってとこかしら♪」 そう、挑発するかのように。彼女は、彼の肩を抱いて、笑った。

    1 22/04/13(水)01:01:35 No.916338122

    ──運命の出会いというものが存在するのであれば。あの夜の彼の言葉は、間違いなく運命だった。 『君は、剣だ』 トレーナー。 私の走りを一振りの名刀と。そう評してくれた人。 気性難と切り捨てられ。勝利を手にすることの出来なかった私の走りに、可能性を見出してくれた人。 『俺が、君の鞘になる。絶対に君を守ってみせる』 それに、全てを賭けてくれると。 私の背中を信じて、私が戻るべき鞘となって待ってくれる人。 彼と共に駆け抜けた3年間は、我が生涯の宝と言っても過言ではない。 叶うことならば、これから先も彼と共にあり続けられるように。 今日も私はトレーナー室のドアを開いて──

    2 22/04/13(水)01:01:47 No.916338174

    「うんうん♪ 随分頼もしくなったわね、トレちゃん♪」 みしり。そんな音が、手元のドアノブから聞こえた気がした。

    3 22/04/13(水)01:02:14 No.916338275

    「トレーナー。彼女は」 「あ、デュラン……ダル? 何か怒ってない?」 「いいえ。何も。何を怒ることがありましょうか」 何をそこまでたじろぐ必要があるのか。 表情は何ら変わりなく。耳と尻尾もただ自然に動いているに過ぎないというのに。 それよりも。私の目線は彼女へと向く。 私の視線を受けても彼女は態度を改めない。馴れ馴れしく、トレーナーの肩を抱いて。そして頬擦りするように密着して── 「私? そうね、私は──トレちゃんにとっての、初めてのオンナってとこかしら」 めきょり。そんな音が、手の中から聞こえた気がした。

    4 22/04/13(水)01:03:01 No.916338475

    「言い方!……彼女は、アローキャリー。駆け出しだった頃に色々と俺の面倒を見てくれたチーフトレーナーの担当ウマ娘だよ」 「……そういうことですか」 トレーナーとアローキャリーの関係は理解した。 駆け出しのトレーナーがベテランの下でノウハウを学ぶ。アローキャリーは師弟の共通の知人といったところだろう。ここまではよくある話だ。 そう。よくある話、だが。 「もう、ツレないんだから」 よくない。

    5 22/04/13(水)01:04:00 No.916338726

    「一緒に桜花賞取った仲じゃない」 「アレは先生の指示だし君の力だ。トレーニングメニューだって先生が組んでたし」 よくわからないが、よくない。二人の距離感か。関係か。何がここまで私の心を逆撫でするのか。 「それで、何の用?」 「うん……私、もう引退するから。最後に挨拶をね」 「!……そっか、お疲れ様。君にも色々と教わったよ」 「ふふ、本当に頼もしい顔つきになったんじゃない?」 「だったら嬉しいけどね。デュランダルのお陰かな」 「っ!」 耳がピンと立つ。 デュランダルのお陰。確かに彼はそう言った。 であればそれに相応しく。堂々とするべきだろう。トレーナーとアローキャリーの関係など二の次だ。

    6 22/04/13(水)01:04:51 No.916338936

    「ふーん?」 アローキャリーの目線がこちらを向く。 じろりと。探るような目付き。だが怯むものか。真っ向から叩き斬ってみせようとも。 「……ふふ、そっか。本当に頼もしくなったのね、トレちゃん。でも──」 対峙するアローキャリーは何を考えているのか。 柔らかな印象の微笑みを浮かべて、彼を抱き寄せ── 「レディの扱いは、まだまだ見たいね……ちゅっ♪」 ──ばきり。そんな音が、手元から聞こえた。

    7 22/04/13(水)01:05:06 No.916338983

    「なっ!?」 「あはっ、それじゃあねトレちゃん。またどこかで会いましょ?」 狼狽するトレーナー。固まる私。 この場の主導権を最後まで握っていたアローキャリーはウインクを一つ残して、私とすれ違い様に── 「あの人。頼もしいけど結構隙だらけな人だから。よろしくお願いね?」 そんな一言を残して、彼女はトレーナー室から去って行った。

    8 22/04/13(水)01:05:51 No.916339182

    聖剣先輩が負けてる…

    9 22/04/13(水)01:05:56 No.916339199

    この世に天敵というものが存在するのであれば。 アローキャリーが間違いなくそれだろうと、私は飄々とした彼女の背中を見送って理解した。 「……相変わらず、弓矢みたいにいきなり飛んできて去ってったなぁ……ってデュランダル! ドア!?」 「……あ」 ……こうして。 最初の3年間を駆け抜けた先で始まった新しい日々は、波乱を感じさせるスタートを切ったのだった。

    10 22/04/13(水)01:06:15 No.916339288

    更に、余談だが。 「はぁ……しかしレディの扱いかぁ……どうすればわかるかな?」 「知りません」 彼はこの後に担当することになるウマ娘のお陰で、嫌というほど『レディ』の扱いを考えさせられることになるのだが── 『ヤダヤダヤダー!!!!!』 ──それはまた。機会があれば。

    11 22/04/13(水)01:06:46 No.916339410

    スーっスっスっスいいきみっスね

    12 22/04/13(水)01:07:03 No.916339470

    聖剣マウントが通用しない相手が来たな…

    13 22/04/13(水)01:07:07 [s] No.916339487

    今まで書いた聖剣先輩の流れでアローキャリーと関係持たせるならこんな感じかなと思った。後付けだけど 今まで書いた聖剣先輩 fu970177.txt

    14 22/04/13(水)01:07:33 No.916339594

    >スーっスっスっスいいきみっスね 笑ってる場合か愚昧

    15 22/04/13(水)01:10:52 No.916340410

    聖剣先輩からかうの大好きなおねえさんいいよね

    16 22/04/13(水)01:12:30 No.916340766

    初重賞はまた違うんだよね