22/04/06(水)17:34:38 まず... のスレッド詳細
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22/04/06(水)17:34:38 No.914075317
まず大前提として、バイオロイドは例外なく主人とのセックスに弱い。自分の所有者と認識した人物からの性的刺激には強い正のフィードバックが働くよう、感覚情報系がプログラムされている。これはもともと、バトルメイドに絶対の忠誠心を組み込む際の副作用だったらしいが、すべてのバイオロイドの標準仕様になるのに時間はかからなかった。
1 22/04/06(水)17:34:51 No.914075369
第二にバイオロイドにとって基本的に、セックスとは主人の性処理と同義であった。ベッドの上で対等な人間としての敬意と愛情とをもって扱われたバイオロイドなど、皆無とは言わないまでも滅多にいなかったし、そんなことを期待して主人の寝床に上がるバイオロイドはいない。 第三に、故アンヘル・リオボロスは実力主義者であり、完璧主義者であり、支配欲の塊であり、そして素晴らしいハンサムだった。若かりし頃の彼は、辣腕実業家としてと同じくらいプレイボーイとしても知られていた。オリジンダストで自己の肉体を強化するにあたり、アンヘルは女性に対する性的な支配力の強化にも入念に気を配ったし、自分用の生体再建ポッドにも当然同じ調整を施していた。のちにそのポッドが司令官のために使われた際、コンスタンツァが「強化」の項目をとりあえず全部オンにしたのは、主人の新しい肉体を少しでも強健にしたいというひたすらな忠誠心ゆえであり、責めることはできない。
2 22/04/06(水)17:35:05 No.914075429
最後に、司令官には天性の素質があった。相手の弱いところを探り当てて容赦なく責める。相手が耐えられるギリギリの限界を感じ取り、それを超えるか超えないかくらいのところまでは躊躇なく踏み込む(それ以上行くかどうかは相手による)。いかなる記憶によるものか、戦場で覚醒する異様なほどの鋭さと激しさを、彼はベッドの上でも同じように発揮することができた。 それらが全部合わさるとどうなるかというと、 「………………♡♡♡♡♡♡♡♡」 半開きの両目と唇から涙と涎と、ピンク色のハートマークのように見える実体のない何かを際限なく垂れ流して失神している、このシラユリのごときものができあがる。
3 22/04/06(水)17:35:31 No.914075542
「……リさん? シラユリさん?」 ハッと目を上げると、正面にマジカルモモの顔があった。 その右にカエンとゼロ、左に白兎とトモ。せまい会議室は六人も座れば満杯で、立ち上がろうとした膝がテーブルにぶつかった。 (最優先はモモの右腕。ゼロとカエンは初動が遅い、どちらか一人は先手で首。白兎は最後でいい……) 「シラユリさん」 我に返る。無意識に、かつてのマニュアルにしたがって意識を走らせていたことに気づいて、シラユリは青ざめた。 気遣わしげだったモモの眼差しの底に、硬質の輝きがのぞいている。視線の動きを読まれたのだ。手が動いていないのが幸いだった。
4 22/04/06(水)17:35:41 No.914075587
「あの……」 「もー、シラユリさんってば! ヒルメさんがまだオルカに馴染めてないから、純和風で歓迎会をやってあげようって集まってるんじゃないですか! 今週中にまとめないと、食堂借りられないのに!」 不審げなゼロの声をさえぎり、突然わざとらしく怒ってみせたのは、今のを単なる気の迷いと見なして水に流す、というサインだろう。モモに感謝すべきだったが、今のシラユリの頭にそれは思い浮かばなかった。 「ごめんなさい、少し気分が……失礼します。トモさん、あとをお願いね」 「え、や、ちょっ」 トモの返事を聞きもせず、シラユリは小走りに会議室を飛び出していた。
5 22/04/06(水)17:37:08 No.914075955
シラユリは080機関が開発した最高の暗殺者だ。それまでの主力だったエイミーレイザーモデルが、ターゲットと一対一の関係に持ち込んでの仕事を得意としていたのに対し、シラユリは学校というオープンな場で、状況を総合的にコントロールするスキルを持っている。彼女の同型機が、直接・間接に闇に葬ってきた人間の数は数知れない。その際、ターゲットの護衛にバイオロイドが付いていればその排除も任務のうちだったし、連合戦争が始まってからはバイオロイド自身がターゲットになることもあった。 現在オルカにいる三安のモデルのうちラビアタを除いたすべてと、伝説サイエンスのモデルの大部分、そしてそれ以外の(ブラックリバー製も含む)モデルの一部について、シラユリモデルは過去に殺害した経験を持っている。そのノウハウはすべて、今いるこのシラユリの中にも継承され、蓄積されている。
6 22/04/06(水)17:37:27 No.914076045
「今週はレモネード・アルファ宛の秘匿通信が482件。彼女はすべて受信拒否しています。おそらくオメガ側からの攻撃でしょう。あとはSLOへのチートアクセスが31件と……」 エイミーレイザーの報告を聞きながら、リストに目を走らせる。シラユリはいわゆる指揮官級モデルではないが、その能力上指揮官としての適性もある。復元され、かつての同僚と同じ分隊に配属された彼女が、その分隊をそのまま新たな080機関として立ち上げたのは自然なことだった。 「……最後に、タロンフェザーの盗聴機のうち度を越したもの4個を回収。要するに、今週も平和そのものですね」 「安心と慣れは防諜の最大の敵です。ヒルメの件を忘れましたか? 昔の080なら、私もあなたもとっくに廃棄されて新品と入れ替わっていますよ」 トリックスターなどごく一部の例外を除いて、鉄虫が情報戦を仕掛けてくることはない。造反や内応の心配も、今のオルカにはまずない。警戒すべき相手は当面レモネードくらいで、実際エイミーの言うとおりなのではあるが、それでもシラユリはわざと険のある声を出した。
7 22/04/06(水)17:37:48 No.914076142
「……失礼しました。そのヒルメさんですが、ストレス値がだいぶ高いようです。トラブルに繋がるかもしれません」 「モモさん達が歓迎会を計画していますから、ひとまずその結果を見ましょう。私も準備に加わっていますし、コントロールできます」 かつての自分がやったことについて、罪悪感も後悔も別にない。やるべきことをやっただけだ。もし仮に司令官がそれを命じたなら、自分は今でも同じことをするだろう。 タイトスカートからのぞくエイミーの太ももに、シラユリはふと目を留めた。ドラゴンと剣を組み合わせた、銀色のレッグチェーンが輝いている。余計な音をたてるのを嫌って、首から下にはアクセサリを着けないのが彼女の流儀だったはずだ。 「……それは?」 「LRLがくれたんです。白銀竜のお守りですって」 エイミーは困ったように、でも嬉しそうに笑う。それからシラユリの表情に気づいて、急いで笑顔を消した。
8 22/04/06(水)17:37:59 No.914076186
いつか殺すであろう相手とまるで親友のように笑いあえたあの日々のように、かつて暗殺し、謀殺し、虐殺したモデル達と共に戦い、まるで心からの仲間であるかのようにふるまうことは、シラユリにとって難しくはない。 そのはずだった。
9 22/04/06(水)17:38:20 No.914076269
長くなったので続き fu950865.txt
10 22/04/06(水)17:52:52 No.914079992
ラスオリ日本版ちゃんと続いてほしい
11 22/04/06(水)17:54:49 No.914080547
開幕エロ怪文書!?って思ったら真面目な話だった
12 22/04/06(水)17:55:45 No.914080816
バイオロイドの設定きちんと把握できててすごいな… 指揮官型たちの大人なふるまいいいよね僕も大好きだ
13 22/04/06(水)17:58:09 No.914081508
IFとあるバイオロイドの記録の最新のやつ読んでたら シラユリの闇はこの程度じゃ晴れねえ!もっともっとこじらせてるはずだ! ってなってどんどん長くなったごめん まとめ fu950866.txt
14 22/04/06(水)18:03:08 No.914082874
五升瓶…五升瓶!?ってなった
15 22/04/06(水)18:08:15 No.914084220
>fu950866.txt 362KB……? 362KB!??
16 22/04/06(水)18:13:14 No.914085495
>362KB……? >362KB!?? 一番最初のキルケーの短すぎるやつを除いて今回で40話になりました
17 22/04/06(水)18:13:59 No.914085714
なそ にん
18 22/04/06(水)18:15:05 No.914086003
中盤でビーストハンターについて話してるのはレオナではなくアナルさん? と思ったがレオナの台詞は手前のやつか
19 22/04/06(水)18:19:52 No.914087323
>中盤でビーストハンターについて話してるのはレオナではなくアナルさん? >と思ったがレオナの台詞は手前のやつか そうです レオナはプライベートの時だけ女言葉になるという脳内設定があるのだが 構成力不足であそこ似たような口調の奴が入り交じっちゃってすまない
20 22/04/06(水)18:30:35 No.914090028
俺もほっちゃんのオホ声聞きたい