ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/04/04(月)23:46:14 No.913585227
冬から春への陽気へ移り行くこの時期。 遂に俺は静かに勉強している教え子達の目の前で己が体の一部から我慢できずに体液を分泌させていた。 粘ついたそれを拭う為、俺の机の横に備えられているゴミ箱は丸まったティッシュで一杯だ。 ……この穴に“これ”を突っ込んだらどれだけ楽になれるか。だが俺は大人であり、彼女達学生を教え導く立場。そんな事をしてしまっては彼女達が俺へ向ける目は変わってしまうだろう。 嗚呼、恐ろしきかな生理現象。こんなに苦しいのなら、いっそそれに困らないウマ娘にしてください。 ……あ、駄目だ。我慢できない……っ、出るっ!
1 22/04/04(月)23:46:35 No.913585344
「ぃしゅんっ!」 「風邪?」 「いや、花粉症……」 「ふーん。大変じゃん」 「薬は貰ってるんだが……今年は特に酷いな。こういう時、ウマ娘のアレルギー全般に対する耐性が羨ましく思うよ」 「え、あたし達アレルギーに強いの?」 「ああ」 「「「「「へぇー」」」」」 トレーナー室に居た俺以外の声が重なる。 今日も今日とてジョーダンに加えて友達のウマ娘達との勉強会中。 そんな中でのくしゃみから始まった、ウマ娘のアレルギー耐性の話。 ……鼻水も鬱陶しい。もう彼女達の目なんて気にするのは止めだ。ティッシュを1枚ずつ、両方の鼻の穴に突っ込んで鼻声になった様を笑われたが、アレルギーの話を続ける。 そうだ。ここで堂々と「何もおかしくないが?」感を出しておけば彼女達もすぐに飽きるだろう。
2 22/04/04(月)23:46:52 No.913585434
「であるからして、走る事に特化する為にアレルギーや病気等への耐性が特に高いとされている。もっとも、これも個人差があるから注意するように」(鼻声) 「はい、質問質問」 「何かな?」(鼻声) 「試しに杉の木から直に花粉すったらアレルギーになるの?」 ジョーダンの友達メンバー。その1人、芦毛のポニーテールの娘がそんな恐ろしい事を言うではないか。 幾らなんでも大量に吸ってしまえばアレルギーと言うか、別の病気になりそうでそれも怖い。怒られる位なら良いが、その後治療等で苦しむような事はさせたくない。 その疑問への答えは一先ず「どうなるか分からないからやっちゃ駄目」で返した。 「えー。じゃあ近く行ってどうなるかだけでも駄目? てゆーか、アンタに許可取らなくても行けるんだけどさ」
3 22/04/04(月)23:47:12 No.913585569
成る程……。この芦毛のポニーテールの娘は「勝手に行って何かあったら、知ってたのに対処しなかった俺のせいになる」と脅しをかけている訳だ。しかし何で一緒に行きたがる? 俺は花粉症が今は特にキツいと言った筈なのに。 と、うっかり芦毛のポニーテールの娘の両目を見つめながら考え事をしていたからか、目を合わせ続けるのに堪えかねた彼女が腹を殴ってきた。 前にもあった気がするぞこんな感じのやり取り。 「分かった! 分かったからぁ……俺は完全防備で行かせてもらうから、ちょっと待っててよ」 「ウェーイ! 休憩~!」なんて騒ぐ彼女を尻目にたづなさんの所へ。 学園の備品で確かあれがあった筈だ……。
4 22/04/04(月)23:47:36 No.913585708
学園から少し離れた公園。 広めの敷地に生い茂った森を分断するように作られた遊歩道は、四季によって都度姿を変えて行く木々を眺めながら歩くのに適している。 そんな公園でトーセンジョーダン一行はその遊歩道から逸れて森へと入り、杉の木が幾つか生えている場所に来ていた。 トーセンジョーダンには今後のレース、他のギャルウマ娘達も選抜レースがある為大事をとって花粉対策のマスクをして森に来たが、その集団の中でも一際異質な影。 「シュー……シュー……」 「それだったんだ……完全ボービのマスクって」 「あぁ。これなら花粉も大丈夫だ」 トレーナーが学園から借りてきたのはたまに起こるアグネスタキオンのケミカルハザードに備えて購入された備品、防塵・防毒マスク。 まるでこれから薬物実験を行う怪しい人物を思わせる外見になったトレーナーは厚手のゴム手袋を装着。更にバッグからゴミ拾いトングも取り出して、危険なものか汚いものを拾うかの様に落ちていた杉の木の枝を挟み上げた。 「そう渡されると、なんか汚いものみたいなんだケド……」 「仕方無いだろう。俺にとっては命の危険もある危険物なんだ」
5 22/04/04(月)23:48:25 No.913586002
栗毛のアップヘアの娘がその杉の枝を手に取る。トゲトゲの葉が連なったそれの先に茶色の雄花。少し揺らせば世の花粉症に悩める人達をこれ以上となく苦しめることが可能な花粉が舞う。 マスクを外した一同がそれを色んな角度から眺めたり、揺らしてみたりするが流石にすぐに花粉の影響は出ないのか、誰1人としてのくしゃみすら起きない。 「うーん、なんも起きないよ。トレーナーもすってみてよ」 「殺す気か? 嫌だよ」 「そんな事言わずにさ、トレーナーさんもどう?」 「うぉっ、ビックリした……」 芦毛のポニーテールの娘がトレーナーの背に抱き付く。 突然のボディタッチに一同ギョッとする中、芦毛のポニーテールの娘は思案する。 (ジョーダンはトレーナーさんの事どう思ってるか知んないけど、手ェ出さないなら私が貰っても良いよね? てかトレーナーさんの筋肉ヤバッ! こんなんでも私らウマ娘のパワーなら今ここで押し倒してもどうとでもなるんだ……)
6 22/04/04(月)23:48:55 No.913586156
芦毛のポニーテールの娘が喉を鳴らす。少し腕に力が入るが、それは緊張からではない。全てはこれに至るための計画通り。外出を促し、人気が少ない森へと誘導したのも全ては計画通り。力が入っているのも、今すぐにでも押し倒そうとしているからだ。 そもそもこうなったのも彼女達ギャルウマ娘は言ってしまえば落ちこぼれとも言える分類。そんな彼女達に完璧な対応をし続けた結果なのでトレーナーが悪いし、勇気を出してチョコを渡してきた彼女達(特に掛かり気味の彼女)の気持ちに気付けなかったトレーナーが悪いと言えなくもない。 そんな言い訳が頭の中に渦を巻いてる芦毛のポニーテールの娘がトレーナーを押し倒そうと力を入れた瞬間、抱き付いていたトレーナーから発せられた強力なウマソウル! そして抱き付いていた筈の背中から伝わる感覚はまるで巨大な壁を押しているかの様な、圧倒的な存在感! たちまち芦毛のポニーテールの娘は悪寒を感じ、飛び退いた。
7 22/04/04(月)23:49:16 No.913586281
「い、今のは……」 「すまないな。緊急事態だったからやむを得なかった。さて、皆分かっているな?」 「トーゼンでしょトレーナー……あたしも全然気付かなかった。まさかウマ娘イーターに囲まれてるし……」 ──ウマ娘イーター。 有史以来、ウマ娘の存在と共に有ってきたウマ娘の天敵。 植物の筈のそれらは、ウマ娘の保有するスキルを無力化し、圧倒的な力と生命力でウマ娘を補食する。 気配を感じさせず一同を囲っていたのは杉型のウマ娘イーター。サイズとしては1体2mにも満たない中サイズのカテゴリーに当てはまる。 そしてそれらを従えるように威圧感を放っているのが大サイズのカテゴリーイーターだった。 「完全に囲まれてるじゃん……! トレーナーどうすんの!?」 「落ち着け。中サイズは俺がなんとか血路を開く。その間に逃げてくれ。大丈夫。死にやしないさ」 「でもこの数は……!」 「良いかジョーダン。ハッキリ言うぞ。今ここで逃げてもらわないと俺は死ぬ。そしたら皆死ぬんだぞ」 「「「「「!」」」」」
8 22/04/04(月)23:49:35 No.913586387
トレーナーが構える。 既にその思考は彼女達を逃がすことのみ。わざと過剰にウマソウルを放っているのも、ウマ娘イーターが本能的に警戒するのを狙ってだ。しかし、それを続けていてもいずれは相手も威圧感だけで危険がないと判断してしまう。 故にトレーナーはゴミ拾いトングにウマソウルを纏わせ、中サイズのイーター1体に投擲。矢の如き鋭さで目玉を打ち抜かれたイーターが痛みに悶える。 この瞬間、全イーターはトレーナーを最大の驚異と認定。ウマ娘を捕食することだけを考えていた目玉が完全なる敵意をもってトレーナーへと向いた。 「走れ!!」 防塵・防毒マスクも武器として投げ棄てて血路を開く。 当然、逃がすことを許さないイーター達が殺到してくるが、その悉くをウマソウルを纏わした四肢の一撃で屠る。 時にはイーターを掴み、それをも武器とする。そうすることで、トーセンジョーダン達を逃がすことに成功したトレーナーは追ってくる大サイズのイーターに向きなおす。 中サイズは殺到した時にほぼ全滅させた。残るは大サイズと少し。僅かな眼球の動きで残りの驚異を確認して拳に力を込めようとした刹那、視界が歪み始めた。
9 22/04/04(月)23:49:56 No.913586505
「な!? これは!」 たまらずたたらを踏み、目を擦る。 目の回りは涙で濡れている。それだけじゃない。鼻からは完全にイカれたのか鼻水が際限なく垂れてきていた。 (まさか……! 最近のやたら酷い花粉症の症状はこいつが原因か!) 自覚したが最後、既に目はあまりの痒さに開けることは出来ず、鼻も鼻水と鼻腔内の腫れで呼吸も出来なくなってしまう。呼吸はまだ口があるから良いものの、視界が奪われたのは大きかった。 イーターが触手を唸らせ、木々の間を縦横無尽に駆けてトレーナーの体を打つ。 音を頼りにするも、グラスワンダーのトレーナーの様な達人の域に達していない彼ではかえって集中力を殺いでしまう結果に。しかも更にトレーナーの不利は続く。 花粉症もアレルギー反応の1つ。通常であれば有り得ないが、イーターの特殊な花粉を大量に吸ってしまったせいで中度のアナフィラキシーショック状態になってしまっていた。 体の至る所が悲鳴を上げる。このまま死ぬのか? そう諦めかけた時、脳裏によみがえるトーセンジョーダンの姿。
10 22/04/04(月)23:50:44 No.913586752
(……そうだ。彼女の為に、俺は──!) 無理矢理瞼を持ち上げてイーターの位置を確認。 ほんの一瞬だったが、それで充分。 イーターに向かって飛び込んだトレーナーはつい最近親友のダイタクヘリオスのトレーナーから教わった技を発動させる。 ヘリオスとは太陽の神。その名を冠するウマ娘のトレーナーが使う技もまた太陽の力を有している。 トーセンジョーダンのトレーナーがするのは真似事に過ぎないが、似たようなことは可能である。 トレーナーが右手に意識を、ウマソウルを集中させる。 その時、不思議なことが起こった! 「(へ)リオスケイン! テヤァッ!」 ウマソウルで生成されたブレード。それをイーターに突き刺す。 その瞬間、イーターは体内にウマソウルが大量に流し込まれて悶絶する。 ここまでくれば、勝利は確定されたもの。
11 22/04/04(月)23:51:08 No.913586900
「本当ならヘリトレは太陽のエネルギーを使えるらしいが……これで!!」 「!!?!?!???!!!」 ブレードを引き抜かれ、その穴から大量の火花を散らしたイーターは穴を塞ごうと必死になるも、既に遅かった。 木の幹が不格好に膨張していき、触手は先端から水分を失ったように朽ちていく。そして最後には断末魔の悲鳴をあげながら爆散した。 「……終わったか」 「トレーナぁ!」 「ィダッ!? ちょ、何だよ急に……」 「「「「「トレーナーさんっ!」」」」」 「ぐええっ!?」 爆散して燃えていく杉型ウマ娘イーターを眺めていた所に逃げた筈のトーセンジョーダンが抱きついてきた。更にそれに負けじと他のギャルウマ娘達もトーセンジョーダンごとだろうと関係無く抱き付く。 皆一様に泣いており、本気で心配していた様子を伺わせられて流石のトレーナーもこれには引き剥がすことも出来ずに抱き返す。 「心配かけた。さぁ、帰ろう。帰ってまた勉強会だ」
12 22/04/04(月)23:54:05 No.913587831
花粉が舞うとホントに杉の木根絶やしにしたくなる気持ちがいつの間にかウマ娘イーターになってました その内ギャルウマ娘とジョーダンのトレーナー取り合いとか見たいですね
13 22/04/04(月)23:54:46 No.913588078
な、何?
14 22/04/04(月)23:55:13 No.913588226
ウマ娘イーター助かる
15 22/04/04(月)23:55:16 No.913588239
なにこの…なに…?
16 22/04/04(月)23:56:31 No.913588652
一欠 するトレーナーか…
17 22/04/04(月)23:56:43 No.913588721
畜生!ウマ娘イーターだった!!
18 22/04/04(月)23:57:25 No.913588954
>なにこの…なに…? >──ウマ娘イーター。 >有史以来、ウマ娘の存在と共に有ってきたウマ娘の天敵。 >植物の筈のそれらは、ウマ娘の保有するスキルを無力化し、圧倒的な力と生命力でウマ娘を補食する。
19 22/04/04(月)23:58:33 No.913589311
書き込みをした人によって削除されました
20 22/04/04(月)23:58:50 No.913589387
うん…てなる
21 22/04/04(月)23:58:55 No.913589413
ウマ娘イーターは何時何時来るかはわからぬ
22 22/04/05(火)00:00:11 No.913589844
光のオーロラ身に纏い 君は戦う人になれ
23 22/04/05(火)00:00:36 No.913590001
>なにこの…なに…? >──ウマ娘イーター。 >有史以来、ウマ娘の存在と共に有ってきたウマ娘の天敵。 >植物の筈のそれらは、ウマ娘の保有するスキルを無力化し、圧倒的な力と生命力でウマ娘を補食する。 >なにこの…なに…?
24 22/04/05(火)00:10:35 No.913593197
かわいいジョーダンを見にきた ウマ娘イーターだった
25 22/04/05(火)00:13:49 No.913594253
修羅場見れるかと思ったらウマ娘イーターだった
26 22/04/05(火)00:26:39 No.913598234
なんなの?ヘリオスのトレーナーはてつをなの…?
27 22/04/05(火)00:37:14 [ヘリトレ] No.913601336
ウマ娘の夢を嘲笑い、貪りつくすウマ娘イーター! 俺は貴様たちを絶対に!ゆ゛る゛ざん゛っ!